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Game*Sparkレビュー:『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』―ここにしかない体験があるが故になおさら惜しい【年末年始特集】

異色の非対称対戦「ドラゴンボール」キャラゲーをレビュー。

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Game*Sparkレビュー:『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』―ここにしかない体験があるが故になおさら惜しい【年末年始特集】
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日本国内はもちろんのこと、海外からの人気も高い「ドラゴンボール」シリーズ。人気漫画/アニメシリーズの宿命ともいえるキャラゲーも、家庭用ゲーム機向けのものやアーケード、モバイル向けのものなど数多くリリースされてきました。

今回レビューするのは、そんな「ドラゴンボール」キャラゲーの中でも異彩を放つ、PC(Steam)/PS4/Xbox One/ニンテンドースイッチ向けに発売中の『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』なお、レビューにはPC版を用いています。

ゲーム概要

『ドラゴンボール ザ ブレイカーズ』は、ディンプスが開発しバンダイナムコエンターテインメントが販売する7対1の非対称型対戦ゲーム。戦闘能力を持たない一般市民(サバイバー)7人と、原作でお馴染みのフリーザやセルなどの悪役(レイダー)1人に分かれて戦います。

サバイバー側は「A」~「E」と「中央エリア」と6箇所にエリアが区切られたマップで、各地に配置される“起動キー”を探し集め、一定数設置することが目標。キー設置後に出現する「超タイムマシン」の起動やレイダーの討伐に成功すると、一般人の集まりであるサバイバー達が勝利します。

一方で悪役のレイダー側は、サバイバーのキー設置を妨害しつつ、「超タイムマシンを破壊」または「全てのサバイバーを討伐」して勝利を目指します。

また、レイダー側が超タイムマシンを破壊したときやサバイバー数が一定以下に減少したときには、脱出用タイムマシンが出現。サバイバー側は緊急脱出、レイダー側は完全勝利をかけた最後の駆け引きが行われます。

戦闘力5の一般人として立ち向かう

サバイバーは“戦闘力5”の一般人なので、丸腰でフリーザやセルに立ち向かおうとすると、7人という数の有利があるとしてもすぐさま倒されてしまいます。そのため、レイダーとまともに戦うには、パッシブ・アクティブそれぞれ4個ずつセットできるスキルやマップ上に散らばっているアイテム、そして何よりドラゴンチェンジを活用する必要があります。

悟空やベジータに加え、セルやブウなどにもドラゴンチェンジ可能。

ドラゴンチェンジとは、悟空やベジータなど「ドラゴンボール」でお馴染みの戦士たちの力を借りることが出来るシステムで、プレイ中にチェンジパワーを集めてチェンジレベル(最大3)を上げると発動可能。変身中は舞空術で自由に飛び回ったり、かめはめ波や魔貫光殺砲などの必殺技でレイダーにダメージを与えたりできるようになります。

とはいえ、ドラゴンチェンジのゲージは変身中に時間経過で減っていくほか、必殺技の使用やレイダーの攻撃によっても消耗。変身が解けたあと再度変身可能になるには、長いリチャージを待つ必要があるので過信は禁物です。

また、アイテム類の中でも特に重要となるのが“ドラゴンボール“です。原作ではドラゴンボールを7つ全て集めると願いを叶えることができますが、本作でもその効果を再現。マップ上に7つのドラゴンボールが点在しており、ドラゴンレーダーを駆使して全て発見し専用の台座で使用すると、「全サバイバーのチェンジレベルを1上げる」または「通常では到達できないチェンジレベル4の姿になる」という、不利状況の打開も狙える強力な願いを叶えることができます。

このように、サバイバー側はキーの設置だけではなく、ドラゴンチェンジやドラゴンボールなど様々な要素をフル活用して有利な状況を作り出していく必要があります。これだけやることがあると大変に思われるかもしれませんが、サバイバーは7人で1チーム。役割を上手く分担できれば十分にこなせるタスク量です。基本はレイダーの脅威に怯え逃げ回ることになりますが、ドラゴンチェンジのように反撃手段は用意されているので、一致団結して強敵に立ち向かう楽しさも感じられる作りとなっています。

あの名悪役としてサバイバーを追跡

続いてレイダー側でのゲームプレイについてです。レイダーは常に自由に空を飛ぶことができ、気弾攻撃や広い範囲に攻撃する必殺技などをコスト無しで使えるので、徒歩で逃げるサバイバーが相手だとすぐさまダウン状態に追い込めます。しかし、サバイバー側も黙ってやられてはくれません。上述のようなスキル、アイテム、ドラゴンチェンジを駆使して距離をとったり、レイダーにダメージを与えたりと反撃してきます。

特に、ドラゴンチェンジしたサバイバーと対峙する際には、相手の出方をよく観察しながら行動を選択することが重要。隙の大きい必殺技に対して基本能力のひとつであるバニッシュムーブを繰り出せば、相手の背後に瞬間移動し必殺技をかわして反撃するといういかにも「ドラゴンボール」な高速戦闘を繰り広げることも可能です。

また、プレイ中にレベルを上げることができるのはサバイバーだけではありません。レイダー側も倒したサバイバーや点在するNPCからエネルギーを吸収して最大4までレベルを上げることができ、フリーザ(第一形態)→フリーザ(第二形態)のように形態を変化させていきます。さらに形態によっては、フリーザならデスビーム、セルならパーフェクトかめはめ波などのように象徴的な必殺技を使用できるようになります。

キャラクター再現スキンを除けば基本的に名もなき一般人としてプレイすることになるサバイバー側と違い、レイダー側が操作するのは原作でボスを務めた名悪役たち。名(迷?)台詞の数々を試合開始前や試合中に発することができ、そのキャラになりきったロールプレイを楽しむことも可能というように、キャラゲーとしてのツボも抑えられています。

筆者の場合、原作でベジータと相対した際に情けない言動を繰り返していた印象が強いセル(第二形態)を使っていて敗色濃厚の際は、ハンデを懇願するようなボイスを選択しています。もちろん頼みを受け入れてもらえず、そのまま敗北することがほとんどですが、それも悪役の定め。稀に受け入れてもらえたときには、原作の流れを再現している感覚と面白さを得られます。また、サバイバー側のときも、対戦相手のレイダーがいろいろと話してくれていると「ドラゴンボール」のゲームをプレイしている実感が湧いてきます。

このように、本作の対戦はキー設置をめぐって小競り合いを繰り返しつつ、アイテム収集やレベル上げを行い、超タイムマシン出現後は全員が中央に集って総力戦を行うという流れで進行します。

サバイバー側は滞りなくキー設置をこなせるか、レイダー側はすぐにレベルを上げられるかなど、いわゆる初動も軽視はできません。しかし、本作で一番の盛り上がりを見せるのはやはりド派手な必殺技が飛び交い、スピード感のある空中戦が繰り広げられる超タイムマシン出現後のフェーズです。ホラーのように暗めな作風が多くなりがちな非対称対戦というジャンルにおいて、爽快なアクションを楽しめるというのは本作の大きな特徴といえるでしょう。

スキルや必殺技入手のためのガチャ

本作のレビューをするにあたって避けては通れないのが、ゲーム内ガチャの存在です。完全に課金要素無しで運営を続けるのは難しいという事情は理解できるので、気に入った作品であればコスチューム等を購入することもやぶさかではありません。しかし、有料の作品でありながら、サバイバーの強さに直結するスキルや必殺技を手に入れるためにガチャを引かなければならない本作のシステムは、悪評判に繋がりかねないのではないかというのが率直な感想です。

もちろん、継続的にプレイしていれば配布チケットなどでガチャを引くことはできますが、最高レアリティの排出率は0.5%や1%などかなり低めなので、よほど幸運でない限り課金せずに全て入手するのは難しいでしょう。

短時間攻撃を防げる「エネルギ―フィールド」は強力だが排出率は0.5%と低め。

とはいえ、いくつかのスキルは無課金通貨で購入できたり初期から配布されていたりと強力なスキル全てがガチャからの限定入手というわけではありません。そのため、今のところ無課金でも戦いについていくことはできますが、今後の更新でさらに強力な新スキルがガチャに追加されるのではないかという不安は残ります。

許容しきれない不具合・問題点

ガチャに加えて、ネットワーク周りを中心にバグが頻発することも問題点として挙げられます。筆者の環境では、マッチング人数が突然増えなくなる、8人集まった後の同期やゲーム開始までのロードが異様に長いなどといった事象がしばしば発生。そうなると、しびれを切らしたプレイヤーが切断しているのか、ゲームがクラッシュしているのかは分かりませんが、ようやく試合が始まっても人数が欠けていることは珍しくありません。

サバイバー側は7人という数の力でなんとかしている部分が大きく、1人でも欠けてしまうとかなり苦しい戦いを強いられることになるため、ゲームに重大な影響を及ぼす問題となってしまっています。なお、履歴からSteamプロフィールを確認すると海外在住と思われるプレイヤーとも数多くマッチングしていたので、マッチングする範囲に制限が設けられていないことがエラーやラグの原因のひとつになっているのかも知れません。

さらにレイダーとサバイバーのチーミングが簡単にできてしまうマッチングシステムも問題であるように感じられます。数多の非対称対戦ゲームと同じく、本作でもフレンドとチームを組んだ上で公開対戦に参加できます。

フレンドと一緒にサバイバー側でプレイできるというシステムは、ボイスチャットによる情報共有を行えば他のプレイヤーよりも有利に立ち回れるという点が指摘されることもあります。とはいえ、同じ非対称対戦ゲームの『Dead by Daylight』などではプレイヤーに概ね受け入れられていることを踏まえると、ゲームを完全に破綻させてしまうほどの問題とは言えず、フレンドと一緒に遊ぶことができるというメリットがデメリットを上回っていると言えるでしょう。

しかし、本作ではそれに加えてフレンドとチームを組んでいる状態でも各々がレイダー側でプレイすることを希望できるシステムになっています。このままマッチングを行った場合に何が起こるかというと、知り合い同士、あるいはボイスチャット等でやり取りをしている人物がレイダー、サバイバー間に存在することになってしまいます。

サバイバーはゲーム中に他のサバイバーがどこにいるのかを把握することができるので、レイダーに他のサバイバーの居場所を口頭で伝えることも非常に簡単です。また、レイダー側もフレンドのみ意図的に見逃すといったことができるでしょう。もちろん、フレンドとチームを組むことができないシステムだとしても偶然知り合い同士がマッチングすることはあり得るでしょうし、チームを組んでいたとしてもマナーを守りプレイしていれば何の問題もありません。

しかし、このシステムはゲームを崩壊させようとするプレイヤーが居た場合に簡単に悪用できてしまいます。実際、明らかに1人のサバイバーだけを見逃したり、心当たり(ドラゴンレーダーに映っているなど)が無いのに何度も的確に居場所を察知してきたりと、チーミングを疑ってしまう試合も稀に存在しました。このような悪用を防ぐために公開マッチでチームを組んでいる間はレイダーを選択できなくするべきであるように感じます。

アップデートによる環境の変化

ライブサービス型の対戦ゲームにつきものなのが、アップデートによるバランス調整や新要素の追加。本作のように陣営によってキャラクター性能が大きく異なる非対称対戦ゲームでは、ゲームバランスをとることが特に難しいような印象です。

本作では、発売後もほぼ毎週のペースでバランス調整やスキルの追加が行われており、環境が停滞するという事態には陥っていません。しかし、その内容は極端なこともあり、プレイの定石が一気に変わる調整や、熟練者同士の対戦を念頭に置いていると思われる調整が含まれているので、ルールを把握しきれていない初心者にとってはついていくことが難しくなっているかもしれません。

リリースから時間が経つにつれて熟練者を意識した調整になっていくことは仕方がないのかもしれませんが、基礎の基礎しか教えてくれないチュートリアルやTIPSで表示するプレイのコツを改善するなどの対策は必要であるように思えます。なお、バンダイナムコYouTubeチャンネルでは2022年12月23日から全4編のチュートリアル動画が公開されており、これから本作をプレイしてみようという方は事前に視聴しておくことをおすすめします。

さらに、サバイバー側にはコスチュームに加えて、様々なスキルやドラゴンチェンジできるキャラクターなど、ゲームプレイ自体に影響する要素がアップデートで追加されているのに対し、そもそもレイダー側には能力を付け替えられるようなシステムが存在しません。そのため、レイダー側のアップデートによる変化は基礎性能を変更する調整を除くとセリフの追加のみにとどまっており、プレイが単調になってしまっています。

現状、レイダーにはスキルの強化以外に能力に関わるカスタマイズ要素はない。

これは、サバイバー側の手札がどんどん増えていく中で、レイダー側は同じ技のみで戦っていかなければならないというレイダー側に不利なシステムということもできるでしょう。レイダー側でのプレイのマンネリ化を防ぐためにも単純な性能の調整にとどまらない、何らかのカスタマイズ要素の追加を期待したいところです。

総評

キャラゲーとしても非対称対戦ゲームとしても光る部分はあるのですが、同時に大きな問題も抱えた作品です。「GT」や「超」などのアニメシリーズや劇場版に登場したキャラクターも含めるとまだまだ人気のある悪役たちは数多く存在するので、あのキャラクターがレイダーとして参戦するならこんな性能になりそうなど予想してみるのも楽しく、キャラゲーとしての強みは悪役にフォーカスするというやや珍しい切り口により十分に活かされているといえるでしょう。

また、非対称対戦ゲームとして見た場合でも、同ジャンルで採用されがちなホラーテーマではない明るめの作風で、空中を飛び回るスピード感あるアクションを楽しめるという独自の味を持った仕上がり。試合終盤の盛り上がりも本作ならではの魅力で、次々に仲間が倒れていく中、決死の突撃が功を奏し、超タイムマシン起動に成功したときの興奮は筆舌に尽くしがたいものがあります。

しかしながら、マッチング時や試合開始後の通信の不安定さやチーミングを容易に行えるフレンドシステム、キャラクターの強さに直結するガチャといった無視できない問題点も抱えています。幸いなことに本作は現時点でもシーズン3までのロードマップが用意されているライブサービス型の作品。今後のアップデートによりこれらの問題点が改善されていくことを祈ります。

総評:★★☆

良い点
・悪役にフォーカスし、キャラゲーとしての良さを生かしている
・非対称対戦ゲームとしては珍しい作風
・試合終盤にかけて盛り上がる対戦

悪い点
・スキルや技を入手するためのゲーム内ガチャ
・不安定なマッチングと通信
・レイダー側の戦略の多様性の乏しさ



《kamenoko》
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