『ディアブロ』
シリーズ最新作『ディアブロ IV』の発売が2023年6月6日に決まったばかりですが、ハクスラの金字塔は第1作目から日本に上陸していました。プラットフォームはPlayStationです。
開発元はもちろんBlizzard Entertainmentで、日本版の発売元はエレクトロニック・アーツ・スクウェア。1998年4月にEAとスクウェアと設立した合弁会社(合弁当時の記事)で、2003年2月に解消しました(解消当時の記事)。なお、2014年にはスクウェア・エニックスが『ディアブロ III』のPS3版を日本でパブリッシュすることになります。
パッケージイラストはラスボスであるディアブロが飾っており、インパクトが強め。
パッケージ裏です。“これがPlayStation版の「ディアブロ」だ!”とあるように、当時も「PC版の日本向け移植」が話題になっていたことが伺えます。2人協力プレイにも対応しているほか、メモリーカードにキャラを保存して持ち運べるという点をプッシュしているのに時代を感じます。
盤面と説明書の裏です。非常にクールなデザインですね。
説明書は古い書物のようなデザインになっています。ゲームの基本情報のほか、攻略のコツも載っています。
クラスは「ウォーリアー」「ローグ」「ソーサラー」の3人から選択できます。体力・マナの赤青バーやクイックインベントリ、マッピング機能の存在など一作目にしてある程度完成していることがわかります。筆者は『ディアブロ II リザレクテッド』しかプレイしたことがありませんが、少し触った感覚は同作と似ていました。
本作で驚きなのは、音声も含めて日本語化されているところ。ゲーム内の会話や世界観説明などをすべてボイス付きで喋ってくれる豪華仕様で、移植開発にも強い気合を感じます。声優の演技もバッチリです。
『ファー クライ』
ユービーアイソフトの人気FPSシリーズとなった『ファークライ』。第1作目の日本語版はPCにて発売されています。
開発は後に『Crysis』シリーズを手掛けるドイツの開発スタジオ・Crytek。本作はCRYENGINEが描き出すグラフィックの美麗さを押し出す作品としても開発されました。なお、『ファークライ2』以降はユービーアイソフトが制作することになります。日本語版の発売元はメディアクエスト。2004年4月に発売されたため、すでにキッズステーションが同ブランドを管理していた時期になります。
パッケージイラストは海外版のものと同一です。近年のシリーズでは悪役がパッケージを張ることが特徴ですが、今作は主人公のジャック・カーヴァーの姿が描かれています。
こちらはパッケージ裏。「究極の次世代FPSに殴り込み!」とあるように、CRYENGINEの美麗さや、オープンワールドのようなフィールドデザインをアピールしていることがわかります。
そんなこともあってか、ディスクは驚きの6枚組。インストールにはすべてのディスクをインストールする必要があります。ダウンロードボタンひとつで済む近年では、ずらりとディスクが並ぶのは珍しい光景ですね。
日本語マニュアルです。ゲームの基本情報や、武器種の解説などが載っています。
これも今どきはあまりありませんが、インストールにはこのCDキーが必要でした。
日本語版クレジットがマニュアルに掲載されています。
難易度選択画面。フレーバーテキストの訳が良いですね。
基本的なインターフェースや登場人物のセリフはすべて翻訳されているので、ストーリーを理解するのには苦労しないでしょう。といっても、ストーリーは薄くゲームプレイ重視の作品になっています。
グラフィックはCRYENGINEの実力を感じさせます。2004年は本作だけでなく『DOOM 3』や『Half-Life 2』など美麗なグラフィックの作品が多く発売されており、FPSに革命が起きた年でした。
『Rainbow Six』
ユービーアイソフトの長寿シリーズ『レインボーシックス』は、リアル系FPSです。近年は『レインボーシックス シージ』が人気を博し、対戦やe-Sports方面に舵を切りました。今まで多くのシリーズが日本語化されていますが、本作もPlayStationで発売されました。少し番外編的ですが、実は本作は日本語化はされていません。
開発元はオリジナルPC版をRed Storm Entertainment、PS版への移植を『Sniper Elite』や『Zombie Army』で知られるRebellion Developmentsが担当しています。日本版の発売はシスコン エンタテイメントで、同社が展開していた「WORLD GREATEST HITS Series」の第4弾として発売されました。こちらも先述の『GTA』と同じく、一時期ガンホーよりゲームアーカイブス版が配信されたほか、北米版プレイステーション クラシックにも収録されました。
このシリーズは世界のゲームを日本プラットフォーム向けに発売するというプロジェクトですが、ゲーム本編の日本語化はなされていません。形態としては、PCゲームでよく見られた「日本語マニュアル付き英語版」と同じです。
他のラインナップ(当時の記事)としては、Empire Interactive(現在は廃業)が発売した『Proピンボール Big Race USA』『パイプドリーム3D』『スピードボール2100』や、おもちゃ会社マテルのゲーム部門・Mattel Interactive(現在は撤退)が発売した『Tyco R/C』など計5本が発売されました。この中で突出して有名なのは『レインボーシックス』のみでしょう。
パッケージです。地球のイラストに『レインボーシックス』のイラストが合成されたものとなっています。
パッケージ裏と盤面です。価格は2,000円と、一般的なPSソフトよりも安く設定されています。
説明書の中には、武器の解説やミッションの紹介が掲載されています。
操作形態は最近のコンソール向けFPSとはかなり異なります。正直に言うと筆者はあまり理解できず、屋根裏部屋に落ちたまま抜け出せなくなってしまいました……。
現在有名な海外ゲームでも、最初はパブリッシャーや日本語訳の違いが見られます。近年は海外パブリッシャーが直接日本で販売しているというケースも多く見られますが、この頃はそれが難しかったことがわかります。
日本版パブリッシャーにスポットを当ててみても、ゲーム事業から撤退していたり、どこかと合併して続いていたり、そもそも会社自体が無くなっていたり……と、あまり光が当たることのない歴史は非常に興味深いです。有名シリーズのゲームをきっかけに、その事情を調べるのもまた楽しいのではないでしょうか。