『バイオハザードRE:4』虫の世界で喰い破りは日常茶飯事!プラーガも普通に見える寄生虫の生態【ゲームで世界を観る#42】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『バイオハザードRE:4』虫の世界で喰い破りは日常茶飯事!プラーガも普通に見える寄生虫の生態【ゲームで世界を観る#42】

ミクロスケールではゾンビも珍しくありません。

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『バイオハザードRE:4』虫の世界で喰い破りは日常茶飯事!プラーガも普通に見える寄生虫の生態【ゲームで世界を観る#42】
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記事中にはグロテスクな表現及び実際の寄生虫の映像が含まれます。苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

動画を再生する前には十分に心の準備をお願いします。


前回の「ゲームで世界を観る」に引き続き、『バイオハザード RE:4』を取り上げます。スペインのとある村を壊滅に追いやった「教団」は、太古の琥珀から蘇った寄生虫「プラーガ」を利用して人々を怪物に変えてしまいました。頭が壊れて虫が生えてきた姿はなかなかにインパクトがありますが、小さい虫の世界に於いては寄生虫に操られたり腹を食い破られたりはよくある話で、グロテスクホラーの光景はそこら中に転がっています。

魔改造されたプラーガのような万能生物はフィクションですが、生態のそれぞれを見ていけば、それらは実在する寄生虫が当たり前のようにやっていることなのです。

宿主にほとんど影響を与えないなど、寄生にはいろいろな形式がありますが、プラーガのように中から肉を喰らって宿主を殺してしまう寄生を「捕食寄生」と言います。日本でよく見かけるのは夏場のハリガネムシで、熱いアスファルトの上でカマキリと一緒に干からびている、または水辺の近くでカマキリのお尻から細長いものが出てくるのを見たことがある人も少なくないでしょう。ハリガネムシは宿主の身体を乗っ取り、脱出する場所となる水中へ飛び込むように操っているのです。

ハリガネムシは水中のヤゴやボウフラなどの虫にまず寄生し、小さい殻の中で状態で一時休眠します。それらが成長して水から上がると、宿主を弱らせてカマキリに捕食されるように仕組み、鞍替えした新しい宿主の中であのハリガネムシになっていきます。カマキリの身体が用済みになったら、今度はもう一度水の中に戻るため、カマキリを入水自殺させるよう操るのです。

以前から乗っ取られたカマキリが光に反応することは知られていましたが、具体的には深い水の中から出る特定の波長に導かれ、ハリガネムシに都合の良いスポットにダイブさせていたことが判明しました。無事に水中に飛び込んだら腹の中から這い出し、あのよく見かけるうにょうにょになるわけです。デルラゴやコルミロスから出ている触手にも似てますね。そして川底で卵を産み、次のサイクルに入ります。

カタツムリを宿主にするロイコクロリディウムは、見た目のインパクトから寄生虫界隈でも人気がある種類。鳥の糞に含まれる卵をカタツムリが食べると、その中でロイコクロリディウムは無性生殖で数を増やし、約100匹ほどがまとまって「ブルードサック」という袋を作り、カタツムリの触覚部分を目立つ芋虫のように見せるのです。日が当たって鳥に食べさせやすい位置まで移動させ、空から発見されるよう仕向けます。

このように、寄生虫は新しい宿主へ乗り換えるために、宿主をコントロールする能力を身につけています。ネコとネズミに寄生するトキソプラズマは人畜共通感染症のひとつで、日本でも人口の2割ほどが感染経験者である身近なものですが、人間の性格に影響を与えるという説があるのです。トキソプラズマに感染すると普段のネズミはネコの匂いを避けるのですが、感染したネズミは気にしなくなり、むしろ積極的に近づこうする習性に変わります。そうすることで、ネコに捕食されることをトキソプラズマは狙います。

人間に感染した場合、危機に対する警戒心や恐怖心を低下させ、より大胆な行動に出やすくなる変化が起きます。車の接近への反応が遅れて事故に遭いやすくなったり、失敗のリスクを恐れずにベンチャー企業で成果を上げたりするという調査が出ており、ゾンビほどではないけれど人間もある程度「操られている」らしいのです。

また、サドラーが下位のプラーガを操るように、寄生バチを呼び寄せて利用する生き物がいます。それはなんと、皆さんの食卓に並ぶあのキャベツです。キャベツはモンシロチョウが卵を産み付ける対象として知られていますが、コナガという別の虫にもターゲットにされます。ふ化した幼虫に葉っぱを食べられてしまえばキャベツも迷惑です。

そこで、今自分がどっちの敵に襲われているか、キャベツはシグナル、ある匂い物質を傷口から発して、護衛役となる寄生バチの特定の種類を引き寄せるのです。モンシロチョウの幼虫ならアオムシサムライコマユバチ、コナガの幼虫ならコナガサムライコマユバチと、言わば「駆除業者の選択」をしているのです。プラーガのコントロールは高周波やフェロモンでしているらしい描写もありましたが、植物は虫の羽音を聞いたり、護衛役を呼び寄せたり、思いのほかアクティブに虫とコミュニケーションを取っていることが明らかになりつつあります。

休眠状態になると何をやっても死なないクマムシなど、虫の世界は哺乳類の弱肉強食とは全く違う常識が支配しています。虫たちはゾンビ菌や乗っ取り寄生の脅威と戦いながら、あるいはその寄生能力で狡猾に繁殖しながら生きているのです。最初こそ気味悪いですが、想像を超える驚きは好奇心をくすぐります。慣れてくればあなたもキモカワのことが好きにな~る……ダメ?

※ UPDATE(2023/04/17 13:31):クリーチャー名の誤りを修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。


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