Gamera Gamesは、养蛋人工作室 Egg Hatcherの手がける育成シミュレーションゲーム『火山の娘（Volcano Princess）』をPC（Steam）向けに2023年4月21日配信開始しました。
本作は、愛する亡き妻との間に生まれた子供を育成していくゲームです。舞台となる「火山国」は錬金術が盛んで、騎士精神、剣と魔法を尊び、火山の女神を信仰する国。プレイヤーは父親として娘を導きながら、幼少時から成人までの成長を見守っていきます。
火山国での生活は人々との交流やアルバイト、料理や演劇、魔物との戦闘など、多くの選択肢があり娘の成長に大きく関わっていきます。ゲームはマルチエンディングで、国の未来と娘の将来は、プレイヤーの選択と育成によって変化していくのです。
本稿では『火山の娘』のプレイレポートをお届けしていきます。なお、Game*Sparkでは2022年に開催された「Steam Nextフェス 10月エディション」にて本作の体験版のレポートも掲載しています。
妻の遺した愛娘よ健やかに育て！
まず、本作は日本語対応予定ですが、実装までおよそ1ヶ月から2ヶ月かかることがアナウンスされています。そのため、今回のプレイレポートは英語テキストでのプレイになるのでご了承ください。なお、娘の声優として中原麻衣さんが起用されており、現時点でも娘の声だけですが日本語音声には対応しています。
物語は亡き妻との思い出から始まり、会話の中でプレイヤー（父親）と娘の名前や誕生日などのプロフィールを決定していきます。その後は時間が現在へと戻り、愛娘が5歳になった春の日からゲームが始まります。今回のプレイでは娘の名前は最初に提案されたローズにしました。健やかに育ってほしい。
育成システムは1ヶ月ごとにスケジュールを決めていく形式で、月末にプランを実行します。また、それ以外にも行動力を消費して酒場や街中、湖など、国のさまざまな場所で人々との会話や農業などのアクションが可能です。行動できる場所や出会う人々は、ゲームの進行と共に増えていきます。
なお、本作のもっとも重要な点は「プレイヤーが娘に誇れる父親になれるのか」という部分。ゲーム冒頭で3種類の“娘にとってどんな父親なのか”という質問があり、この理想の父親像はゲーム内の娘との交流で評価が変化していくのです。娘をどれだけ愛して育てるか、そして、娘にとってどれだけ誇れる父親であるか。二人の生活が始まります。
始まる学生生活！3つの領主から道を選べ
ローズのステータスは4つの基礎能力と3つの才能に分かれていて、育成プランやイベントを経て上昇していきます。湖でボート漕ぎを体験すれば力が上昇したり、絵を書けば想像力が上昇したりと、街中でのアクションも重要です。本作の育成期間は42ターン用意されていて、ローズが5歳の時には基本的な育成・交流部分を学び、イベントを経て7年後、愛娘が12歳になることで本格的にゲームが始まります。
12歳になった娘は、火山国の騎士学校へと進学することに。愛娘は一人で危険な地域へ冒険に出て危険な目に遭うなど、少しばかり腕白に育った様子です。魔物との戦いに負けてなんとか逃げてきたローズは、そこで騎士学校の同級生となる少女・ニナと出会います。こうして新たな交友範囲が広がっていくのですね。それにしても無理はしないで欲しい。
新たな育成の舞台となる騎士学校は、火山国を納める3人の領主の誰に仕えるかを選択しなければなりません。領主はそれぞれ力・頭脳・カリスマといった才能を重んじていますが、ここは育成方針に合わせても、気に入った領主のコースを選んでも問題ありません。我が家の娘は立派な戦闘力を持つ騎士を目指すつもりでしたが、カリスマに秀でる王女・グヴィネスに仕えることにしました。
学生生活中も、月末の育成プランや街中の交流などの基本的な育成は変わることがありません。ただし、同級生や領主、町の人々との好感度が登場したり、アルバイトや冒険といった新たな要素によって行動範囲は大きく広がります。また、目的を果たすことで騎士ランクが上がる「目標」も提示されます。
すっかり成長した娘ですが、その未来が誤った方向へと行かないように導くのも父親の役目。毎月の会話で彼女と交流しながら悩みを解決したり、働いてお金を稼いだり、育成中に一緒に過ごしたり、さまざまな方法で彼女を支えていきます。何があってもシンプルに「愛娘が可愛すぎる」のが何よりも本作の魅力です。
愛娘の未来は無限に広がっていく！
年月が進み、娘の能力が育っていくにつれてゲーム内では多くのアクティビティが可能になります。例えば街中でアルバイトをしたり、演劇に出演したり、社交界でのダンスに参加したり、野生の馬を捕まえたり、エレガントなものから野生なものまでさまざまです。
筆者のプレイではカリスマを大きく伸ばしていたので、演劇や社交界での交流が中心でした。特に演劇はなかなか面白いもので、劇中でロマンスや怒りなどの「感情にあったセリフ」を選ぶことで評価が上がっていきます。評価が高ければ報酬としてお金や名声を獲得できます。
お金は本作で酒場で食事して行動力やムードを回復したり、武器や衣服を購入したりする大切なリソースです。当然ですがあって困ることはないので、育成を優先するか、稼ぎを優先するかは悩ましい部分ですね。名声は教会で才能を伸ばすために消費するので、こちらもなるべく稼げるようにしていきましょう。
なお、本作の舞台である火山国は、騎士団としての大きな目標として討伐すべき魔物も存在しています。ローズは仲良くなった友人とパーティを組んで冒険して魔物を討伐していくこともできますが、極端なことを言えば戦闘をしなくてもゲームを進めることは可能です。
ゲーム内でやれることは多いですが、“やらなくてはいけないこと”はほぼ存在しません。プレイヤーの数だけ、愛しき娘の道はあるのです。個人的には各キャラクターが老若男女魅力的で、それぞれの会話の楽しい作品なので、色々な人との交流を見て欲しいですね。
ちなみに月の初めに娘に会いにくるキャラクターを追い払うこともできるのがとても楽しいですね。ひどい親父だ（やりませんでした）。
ここまで紹介してきた『火山の娘』。スケジュールやステータス管理など、比較的オーソドックスな育成システムで遊びやすく、可愛らしいグラフィックと親子の絆に焦点を当てたゲームの雰囲気は非常に魅力的です。勉強やイベントなどで成長する能力もわかりやすいので、自由な育成が気楽に楽しめると思います。
とにかく全体的にテキストとグラフィックが良く、悩める娘に父が寄り添って真摯に話を聞いてあげるシーンが、どれも素晴らしく優しい雰囲気です。悩める娘を放置してしまうこともできるのですが、今回のプレイでは娘が愛おしすぎて選べませんでした。娘の“闇”が増えるとまた違う将来もあるようなのですが……。
各キャラクターとのイベントや実績などのゲーム内コレクション要素も充実しているほか、ゲームクリア後の引き継ぎ要素も用意されています。育成しやすさもあり、何度プレイしても色々な娘の、火山国の姿が見れることでしょう。多くの方々に遊んでもらうためにも、日本語実装が待たれるところです。
ちなみにですが、仲良くなった主要キャラクターとのエンディングもしっかりありますよ！
理想的な娘育成シミュレーション！日本語実装も待ち遠しいスパ！
