今回はNext in GameとIndieArkがパブリッシャーを、Remoobが開発を担い、2023年6月3日にSteamにてWindows PC向けに早期アクセスリリースしたタワー基地建造『Pile Up!』をご紹介したいと思います。
『Pile Up!』とは?
本作は、限られた土地における建造ならびにコミュニティの発展を目指すシミュレーションゲーム。早期アクセスゆえに、記事執筆時点においてはまだまだ荒削りなシステム部分もありますが、プレイフィールとしては遊べるクオリティでした。
後先考えずに建物を乱立すれば、電気ガス水といった基礎インフラが整わず住民の不満がたまり、しかしそれでも建造だけは続けなくてはいけないという世界のルールとの間で板挟みとなり、つま先立ちな攻防の果てに爆発。住民の暴動によって社会崩壊を迎えるというこの世の終わりな結末を迎えてしまいます。
本作、建築・建造系というところからてっきり細かいステータスを管理しながらきっちり詰めて進むのかと思いきや、結構な頻度で運要素が絡み、偶発的な事件が起きるたびに「あたしそんなつもりじゃなかったわよ!?」と混乱のあまり口調がブレるほどでした。ともあれ狭いスペースを建物の特性を活かしてうまいことやりくりしながら、なんとか地域の皆様の怒りを買わないよう平身低頭建造を進めてまいりましょう。
操作・設定・言語
本作はマウス&キーボードに対応。コントローラーも認識はしますが、カーソルをスティックで操作という状態です。記事執筆時点においては、キーボード&マウスが一番プレイしやすく調整されていますね。キーバインドも設定可能なので、自分の好みで調整すると良いでしょう。
その他設定についてはグラフィックのレベル、ボリュームなどオーソドックスな項目が並びます。言語については、すでに日本語に対応済み。一部の建造物の効果に関する翻訳が少々わかりにくかったりしますが、基本的には易しめの英語なので大まかな部分においてはプレイに支障はありませんでした。
本編開始
さあはじまりました『Pile Up!』。目指すべきは既知の建造発展と住民の幸福です。ゲームを起動するとチュートリアルが始まるので、まずは一通りの操作と機能について学びましょう。ただし言語設定はデフォルトだと英語であるため、場合によってはこれら解説が英語のまま進行してしまうかもしれません。
その場合は、トップ画面になったら設定より日本語に変更してから、再度メニューよりチュートリアルを選択すると良いでしょう。とはいえ、先程も書いた通り英語は易しめですし、ビジュアル面のデザインがしっかりしているので何がなんだかわからないまま死んでいくということは無いはず(運に見放されて死ぬことはありましたが……)。
ともあれ新しく建造を開始しましょう。マップは「レクトランド」と「ファーランド山」の2つありますが、アンロックの関係でレクトランドの方を選択。
ゲームモードは「レギュラー」と「サンドボックス」の2つで、これは後ほど改めて触れていきます。島の名前は「Gamespark」ランド、その住民は皆さんお馴染みのスパくんです。ネットで悪さをした前世の罪人が流れ着く魂の流刑地という脳内設定で参りましょう。
最初はただの埋立地(?)なので規模としてはこんなもんです。人口が増えてコミュニティが拡大していけば「Area」「Ville」「Town」と名称もアップグレードしていきます。
Ctrlキーを押せば上空から見下ろすことができます。マップは通常ナナメから見下ろす形で、カメラ操作で回り込んだりも可能ですが、上空からの視点であればマス目と建造物の位置関係がより把握しやすくなります。建造にあたり、建物の選択は簡単で、画面中央株に並ぶ手札カードから1枚選んで、マップの設置可能エリア内をクリックすれば完了。
また画面右下に4/0という数字が見えますが、これは「あと4回行動できますよ」の意味ですね。特殊効果のカードがない限りは、行動可能数分カードを使い切らないといけません。
建造物には様々な効果があり、住民を受け入れる家やオフィス、ライフラインを支える電気ガス水といったインフラ施設、それら建造物を生成する工場がメインとなります。もちろんこれ以外にも特殊な効果を発揮するものがあり、中には建造発展の上でデバフとなるような存在のカードもあったり。使い所によっては状況がプラスに転じることもあるのでそこは腕の見せどころと言えましょう。
ところで先程から住居に黄、赤、青色のアイコンが表示されていますね。これらはそれぞれ電気、ガス、水といったライフラインの需要を示しており、例えば画像は雨風は凌げるものの家に何もないという状況。画面左下に表示されている真っ赤なゲージは「悲しい」という表記のゲージですが、つまるところ住民の怒りです。これを放っておくと数ターン後に暴動が起きてゲームオーバー。一刻も早く環境を整えて、幸せの緑ゲージで塗り替えなければなりません。
というわけでライフラインがひとつ、ガスタンクを設置しました。これによりサークル状の効果範囲内にある住居にはガスが行き渡り文明人としての生活が始まります。この設置の際に注意しなければいけないのは効果範囲の干渉、つまり上記画像の赤い部分が他のライフライン施設などと重なってはいけないという点です。もしぶつかってしまえば、各ライフラインカード左上記載のペナルティが発動。それがガスタンクであれば周辺の建物などを巻き込んで爆発してしまい、住民の怒りゲージが高まります。
電気とガスは設置できたので、怒れる住民も多少は落ち着きを取り戻し、左のゲージも「まあそこそこ」といった表情になりました。ちなみに画像には表示されていませんが、実はライフラインがひとつ「水」用のポンプ導入を試みたものの「水漏れ」というペナルティによって直下の建物ごと消失する事件がありました(増える住民の怒りゲージ)。
しかしめげずにガスタンクを設置する筆者。
そして設置後に気づく、効果範囲が完璧に重なっているという状況。
…………………………。
当たり前ですが巻き込まれ消し炭となった住民の皆さまから怒りは大変なことになっています。左のゲージからもそれはよくわかりますし、右下にはとうとう警告が表示される始末です。
社会危機……人々の怒りが頂点に達し、とうとう暴動によってコミュニティは機能停止。ゲームオーバーとなってしまいました。合計660匹のスパくんが暮らしていた楽園生活は14日で炎上して幕を下ろします。
運要素が強い
その後Game*Sparkランドと名前を改め再度建造を開始した筆者。今回はできる限り平面になるよう建物を密集させて並べます。ここで気がついたのですが、てっきり各建物ごとに水やガスといった需要が固定の属性なのかと思いきやランダムなのですね。おかげで前世の記憶を頼りにインフラを整えようとしていた目論見はこの時点で雲行きが怪しくなってきます。
一応建物を密集させたことによって、ライフラインの設備を1つ置くだけでほぼ全域がカバーされるのはメリットではあります。
大きなアパートも建てて人口600人を超えました。人口数には600、1,200、2,000人とマイルストーンが設けられています。初めの方でも触れましたが、到達する毎にコミュニティの名称がアップグレードされていきますね。
その際ご褒美として特殊なカードが配られます。それらカードはアンロック式で、ゲーム序盤ではデフォルトで3種類のみですが、プレイ報酬で得られるゲーム内通貨を使用することでどんどん追加していくことが可能です。
個人的に序盤で取得できる「手札を使わずにターンを進める効果」のカード以外、建造のおじゃま虫というかデバフ効果ばかりな気がしてなりません。
例えばこのカジノ……一応当たりもあるはずなのですが、画像のプレイ時含めて筆者は100%「ハズレ」でした。そうすると手札に「借金」カードが強制的に加えられ、どこかに設置して爆破しない限り先へ進めなくなります。
また「時計台」という特殊効果のカードで、直前に建造した建物を破壊することはできますが……
今度はその場に残る時計台が邪魔になるという……!ただし破壊される建物の直上に建てると対消滅するのでまだやりようはあるのかもしれません。
また上記画像2枚はカジノを爆破しようとして周辺住居ごと巻き込んでしまった図。
しかも借金カードは2つあるため別の箇所も爆破するはめに。
そんなところへランダムで配られた手札にはまたカジノが含まれており、結局この島は3回も爆破されました。本作はこういったところで運要素が非常に強く、きっちりかっちり計画的な建造で管理しようと考えているプレイヤーにとってはストレスになるかもしれません。
そりゃそうだよ!という結果の社会危機。これで暴動が起きなかったらどんな忍耐力だとなります。
サンドボックス
ちょっと本編で疲れたのでサンドボックスモードに切り替えて、ゆるく島を発展させましょう。基本的なゲームルールは変わらずですが、カードをほぼ無制限かつ自由に使用可能なので、自分の理想形を追い求めることができます。
本編ではランダムに配られるカードに翻弄されましたが、各建物の少しでも効率的な建造スタイルを研究できるという意味においては、本モードはうってつけなのかもしれません。
実際ここで得た知見からその後のプレイでは、住居と工場は距離をおいて工場側はいつでも爆破できるようにするというスタイルに至りました。
おわりに
こちらは突然終演を迎えた社会の画像。これは完全にバグで、サンドボックスモードで成長した筆者をさらに翻弄するかのごとく発生したので少し笑ってしまいました。しかし流石に順風満帆に発展が進んでいる島で突然暴動が始まったのはどうなんだ!
ともあれランダム性の強さはあるものの、穏やかなBGMもあってなかなかゆったりと楽しめた本作。今後のアップデートでどのようにブラッシュアップされていくのか、引き続き要チェックです。
タイトル:『Pile Up!』
対応機種:Windows PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)
発売日:2023年6月3日
著者プレイ時間:2.5時間
サブスク配信有無:記事執筆時点においては、無し
価格:1,200円(2023年6月10日まで960円のセール中)
※製品情報は記事執筆時点のもの
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爆発で何百ものスパくんが海の底へ沈んだスパよ……