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発売から1年…コエテク“三国死にゲー”『Wo Long: Fallen Dynasty』を改めて振り返る。その魅力と最適化不足の現状【プレイレポ】

本編とDLCを全てセットにした『Wo Long: Fallen Dynasty Complete Edition』が2月7日にリリースされました。改めてプレイした筆者がその魅力を紐解きます。

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発売から1年…コエテク“三国死にゲー”『Wo Long: Fallen Dynasty』を改めて振り返る。その魅力と最適化不足の現状【プレイレポ】
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まもなくリリース1周年となる『Wo Long: Fallen Dynasty』(以下、『Wo Long』)にコンプリートエディションが登場しました。これまで登場した有料DLC3種、特典装備に加え、アクションステージ上の攻略に役立つ「史記」といった便利アイテムがセットとなったものです。

本作は「三国死にゲー」と銘打ち登場したタイトルで、いわゆるソウルライクな高難度アクションを特徴としています。ですが、そのゲームデザインは硬派な印象とは裏腹に“遊びやすさ”や“気持ちよさ”を優先したものとなっており、本編の攻略は想像以上にスムーズな体験となっているのです。

コンプリートエディションの発売を機に興味を持った方もいるはず。それでも「高難度アクションってめちゃくちゃ集中力が必要だしな……」とお悩みの方へ、改めてイチから遊んだ筆者が、本作はどのようなゲームだったのかを丹念に紐解いていきます。
※執筆にあたっては提供されたキーを利用しています。

結論を先に言ってしまえば、『Wo Long』はパリィの気持ちよさにフォーカスし、とても手軽に、連続で、バシバシと戦えるアクションゲームだったのです。三国志演義を辿る渋みのあるコンセプトを走りながら、豊富に用意された中国武術の多彩なアクションを楽しみましょう!



三国志演義を丁寧に追うストーリーライン

本作ではプレイヤーが「黄巾の乱」に巻き込まれる無名の義勇兵として参戦するところからはじまります。三国志演義での流れを忠実に追いかける形となりますが、その戦乱の多くは“丹薬”と呼ばれる存在を巡る陰謀が招いたものだった……というのが本作のあらすじです。

本編では「黄巾の乱」から「官渡の戦い」までが描かれ、三国志における重要な戦いのうち最初の山場を越えることとなります。袁紹を打ち破り、丹薬の陰謀を企んでいた人物を倒すことで一旦のエンディングを迎えます。

そんな中でもゲーム的・ファンタジーな要素を担うのが丹薬と関係する“仙気”で、本作においてはストーリーの駆動力であるだけでなく、ステージや戦闘アクション上の要として存在しています。

血液と同じように体内には仙気が流れていて、これが良きにも悪しきにも変化を起こし、この粋を凝縮して丹薬を精製すれば、膨大な力を手に入れられる――という言い伝えが作中でほのめかされます。そして戦乱を引き起こすことで、実際に多くの悪しき仙気を集め、究極の丹薬を手中にしようと企むものが現れるのです。

『Wo Long』において「黄巾の乱」から始まるほとんどの戦乱は、この丹薬による悪影響で悪鬼と化した人々や武将により引き起こされたものとして描かれます。三国志演義の流れに沿いながらも、それぞれの武将が戦う理由は互いの政治的思惑に加えて、勧善懲悪的な色合いに調整されているというわけです。

名無しの義勇兵として混乱を走り抜けていく主人公を操るプレイヤーは、丹薬の陰謀を阻止するべく活躍し、その戦いを通して多くの武将と出会いながら、歴史の裏で絆を深めていくという体験をすることとなります。

パリィに始まりパリィに終わる!“化勁”を極めよう!

化勁を決めた瞬間の様子 激しい敵の攻撃でもけっこう取れる
一部の武器種ならば、よりジャストのタイミングを狙う楽しみもある

「死にゲー」と言えば今でこそ連想される特徴的な要素があります。チェックポイントで使用回数を復元できる回復薬、油断大敵なザコ戦、一見して無謀とも思えるボス戦と達成感などなど……。

その中でも、敵の攻撃の瞬間を見極めてはじき返す“パリィ”な要素は見逃せません。ほとんどのタイトルでは「ハイリスク・ハイリターン」なものとして実装され、あくまでも攻略のイチ手段としての立ち位置となりますが、『Wo Long』ではパリィが中心的な要素として存在しています。

どれほど中心的なのかは「ボスの必殺技のような攻撃すらほとんど捌ききれる」といえば、そのイメージも湧いてくるのではないでしょうか。飛び道具や魔法のような“仙術”に対してすら可能です。普通はパリィを中心とするゲームであったとしても、一部の敵の強攻撃は防げない……というのがあるあるですよね。

見るからに危険な攻撃を予感させる赤いエフェクト
この敵の“秘技”をガードすることはできないが、化勁ならば一発逆転のチャンスとしても狙える

『Wo Long』では“化勁(かけい)”という名で存在しており、とにかく化勁、化勁、化勁!!と戦闘の中心として担うことになります。

比較的簡単に化勁を取れるように調整されており、音楽ゲームのようにジャストのタイミングを探る必要はそれほどないのです。化勁を許容する時間が長めに設定されているので、敵の攻撃へ先置きするように余裕をもって入力すると成功する、といった具合です。

また、ガードをしたまま化勁を狙うことも可能なので、タイミングが遅れてしまってもそのままガードできます。通常の打撃であればガードでダメージを無効化でき、なんならそれなりの回数を耐えきるので、化勁のタイミングを掴めるまではガードでなんとかしてしまうことすら可能なのです。

中国武術をモチーフとしたアクションは、敵も味方も高速で推移します。むしろきちんと見極めようとすると目が追い付かないので、ちょっと雑に連打してしまうくらいでも良かったりします。連続攻撃であったとしても、化勁が成功していれば次の化勁まで動作がロックされることもないので、バンバン化勁を取ってしまいましょう!

まずはシンプルに遊んで大丈夫!!“仙術”も活用しよう

下部にある赤と青へ左右に別れたバーが“氣勢ゲージ”だ
ガードの限界や、いわゆるMP的なものがひとまとまりになっている

『Wo Long』には戦闘やステージ攻略に関連する要素が実は多く存在しています。チュートリアルの段階で次々と登場する上に、そのほとんどが中国語風の漢字な単語ばかりなので、正直なところすぐに把握しきるのは難しいと言わざるを得ません。

ですが、化勁にはじまり化勁に終わることには変わらず、その周辺の要素さえ抑えれば『Wo Long』のエッセンスを掴んで攻略を進めていけるようになります。

体力ゲージの下部には“氣勢ゲージ”と呼ばれる表示があり、プレイヤーにとっての状態を表しています。この氣勢というシステムはかなり思い切っていて、他のゲームで見るところのスタミナ・ガード・マジックポイントといった要素を一切合切まとめてしまったものなのです。

いわゆる魔法的な扱いの“仙術”を発動した瞬間
氣勢ゲージが赤へと偏っているが、振り切れてさえいなければいくらでも連射できる

氣勢ゲージは、敵の攻撃をガードすれば減少(赤へ偏る)し、攻撃や化勁を決めれば増加(青へ偏る)します。また、魔法攻撃のような“仙術”を使用することでも氣勢ゲージが減少するのですが、仙術の消費コストはこの氣勢のみなので、実は残り回数といったマジックポイント管理のような悩み方をしなくても良いのです。

化勁を含めた戦闘行為によって、この氣勢は激しく増減を繰り返します。攻撃を受けずに距離を取っているだけでもすぐに中央へ戻っていくので、減りすぎたと感じたら一旦体勢を整えればいい訳です。

一時的に移動速度を増加する仙術なんていうのも存在する
氣勢もそれほど消費しないのでどんどん発動しよう

仙術は思ったよりも強力なので、つい使用制限があるかのように考えてしまいがちなのですが、わずかな氣勢さえ確保できればいつでも何度でも使えるので、むしろどんどん連発していくくらいの勢いで使ってしまいましょう。

注意すべきは「氣勢ゲージが赤側へ完全に振り切った状態で攻撃を食らってしまうこと」です。こうなるとスタン状態となってしまい、しばらくのあいだ身動きが取れなくなってしまいます。ですが、それも数秒の出来事なので、このリスクを取って仙術を使ってしまったとしても、ひとつの攻略法として成り立つかと思います。

冒頭から色々と要素が出てくる訳ですが、まずはパリィ=化勁と、魔法=仙術をガンガン使えるのだということさえ把握できれば、かなり強気に攻略を進めていけるでしょう。

無理なく進む難易度曲線は探索と共に

ステージに配置されている要所へ軍旗・標旗を立てれば相対的にプレイヤーの強さが上昇する
敵が強いと感じたら、まずは探索を進めてみよう

『Wo Long』ではステージクリア型のシステムを採用しています。ステージのサイズはまちまちではあるものの、道中に配置されている要所に軍旗・標旗を立てることで、自分たちの士気を上昇させていくという表現を交えつつ進攻していくことになります。

この軍旗・標旗は“士気ランク”を高める重要な役割を担っており、この士気ランクが高くなるほど相対的にプレイヤーの強さも上がっていくのです。士気ランクはそのステージ専用の数値であり、別のステージではまた個別に旗を立てていくこととなるのですが、一度立てた旗ならば再度立てる必要はないので、中断して別のステージに移動したとしても維持されています。

いわゆるキャラクターのレベルは恒久的に維持・上昇していくのですが、どれほどレベルを上げていたとしても、この士気ランクが不足していると戦闘に苦労する……といった塩梅の設定になっています。もちろんレベルを上げていく意味がなくなってしまうわけではないので、あくまでもステージ内の有利を少しずつ勝ち取っていく、という難易度調整のようなシステムだと捉えるといいでしょう。

そして、本編のエンディングを1週迎えるまでならば、レベル上げ作業といったことをしなくても、登場するステージを順にクリアしていけば、必要なレベルまで到達できるように配分されています。

また、軍旗・標旗の位置は注意深く探索していれば無理なく見つけられるようにもなっているので、一通り寄り道しながら攻略していれば大きく詰まることもなく、次へ次へとステージを進めていけるでしょう。

そのステージに配置されている重要なアイテムを取得したかどうかは
ワールドマップのアイコンでチェックできる 回復アイテム強化は少なくとも見つけ出そう

攻略においては、できれば「回復薬を強化するアイテム」は発見しておかないと厳しい場面があるかもしれません。ワールドマップで戦場メニューを確認すると、配置されている重要アイテムを取得したかどうかがアイコンで表示されているので、取り逃しをチェックできます。

特に緑色のアイコンで表示される「龍脈の晶石」と「龍脈の精華」は見逃していたら改めて探しにいきましょう。それぞれ回復薬の最大使用回数の増加と、回復効果の増加という恩恵があります。

DLC3本の攻略は終盤からだが、新要素はすぐに試せる

コンプリートエディションに含まれるDLC3本は、新たなストーリーとステージの追加だけではなく、新しい武器種も追加されています。

攻略順序としては、DLC第1弾の最初のステージの時点で推奨レベルが79となり、次のステージでは93まで上昇します。本編のエンディングに到達する頃にはレベル100になっているといった配分なので、DLCのストーリーラインは終盤まで待つことになるでしょう。

ですが、追加された新たな武器種などははじめから使用可能なので、コンプリートエディションからはじめるプレイヤーならば、序盤から様々なアクションを試せる楽しみがあります。

今回のプレイでは、二刀流で戦える“双刀"と、DLC第3弾で追加された“手甲”で攻略しました。どちらも素早い武器で、特に双刀ならばよりジャストな化勁をキメることでエフェクトが派手になり、高い効果を得られるという特徴があり、戦闘に爽快感がありました。

“手甲”もこだわりの武術アクションが目まぐるしく展開されます。「中国武術の攻防が素早く入れ替わっていく魅力」を目指して開発を進めたとされる通り、敵の連続攻撃に対しても強引に反撃をねじ込んだり、化勁を挟み込める様は、ジャッキー・チェンやドニー・イェンの映画を思い出すかのようでした。

課題だったPC最適化不足への取り組みは?

『Wo Long』は発売当初からしばらくはPC版の最適化不足が指摘され、多くの低評価レビューを受けることとなってしまいました。高難度アクションの中でも遊びやすさを重視した設計や、思い切った化勁システムへの好評価が言及されながらも、瞬間的な判断力を必要とするアクションゲームとしては致命的な状態だったと言えます。

Steamの評価システムにおいては、過去の低評価が反映されてしまうこともあり、未だ厳しいものと言わざるを得ません。コンプリートエディションを検討されている方にとっては大きな心配の種と言えるでしょう。

今回、コンプリートエディションを通して遊ぶ中で、少なくとも筆者のプレイにおいては致命的なほどの不具合が頻発することはありませんでした。ですが、DLC3種を含めて50時間近いプレイ時間の中で、操作が厳しくなるほどの不具合が無かったかと言われれば、そういうわけでもありません。

具体的には、突然急激にフレームレートが落ち込んでしまったり、Bluetooth接続しているイヤホンが認識されなくなったりといった症状が発生しました。ですが、全体のプレイ時間からするとそれらの症状は頻度としては僅かなもので、原因も特定できず、筆者のPC環境によるものも否定できません。

総じて「PCでゲームをするならば出会う程度の不具合」に収まっているのではないかと思います。PC版には体験版がありますので、敬遠してきた方も試してみると良いでしょう。

開発元であるTeam NINJAとしても、当初の最適化不足は大きな問題として認識していたものと思われます。『Wo Long』のパッチノートを遡ると、毎週のように更新プログラムが登場している時期がありますし、変更内容の告知もかなりの量の記載があります。

『仁王』などのタイトルも含めて、Team NINJAは発売前から体験版を出してユーザーの反応を得ようとするなど、プレイヤーの視点に立って探りだす傾向が強いと言えます。最適化不足に対するものだけではなく、要望によって追加されたシステムや調整が重ねられたことで、コンプリートエディションではかなり遊びやすくなっているはずです。

怒涛のパッチノート

Team NINJAとして新規IPの挑戦となった『Wo Long: Fallen Dynasty』は、『Bloodborne』などを手掛けた山際氏を迎えての体制を整えつつも、前途多難な漕ぎ出しとなりました。今後の課題として指摘せざるを得ないものの、ユーザーからの声にひとつひとつ応えようとする粘り強さに、これからも期待したいと思います。

中国武術を取り入れたアクションはかなりのこだわりでありながら、どれだけ用意されているのか分からない程のモーションが実装されています。攻略を進める中で高速で過ぎ去ってしまいがちなこれらの要素を、じっくりと鑑賞するように楽しむのがいいでしょう。

Wo Long: Fallen Dynasty Complete Edition』は、PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox SeriesX|S/Xbox One/Steam/Microsoft Storeにて、7,480円(税込)にて発売中です。
※いずれもダウンロード版のみの販売。

なお、Game*Sparkでは本作のプロデューサーである山際眞晃氏、そしてディレクターを務める平山正和氏に発売1年を振り返るインタビューを実施しました。インタビュー掲載は1周年となる3月3日を予定していますのであわせてご覧ください。


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《Trasque》

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会社員兼業ライターだけどもうすぐ無職になりそう

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