
アニメやゲームの定番ジャンルのひとつに「ロボット」があります。創作物のロボットは巨大な搭乗型、意志を持つような自立型、マスコットのような可愛いタイプなど多彩な種類があり、いずれも違った魅力を持っているものです。
ゲーマーのみなさんが現行機で遊べる素敵なロボットゲームを紹介する企画、それが【ゲムスパロボゲーカタログ】です。今回紹介するのは、2024年9月21日にPC(Steam)向けに配信されたローグライクシューティングゲーム『ヘビーストームシャドウ:ふっかつ(HSS:Reload)』です。
一度のSteamストア削除を経て「ふっかつ」
『ヘビーストームシャドウ:ふっかつ』は、ゲーム開発スタジオSmokingBear Studioが開発を手がけています。同スタジオは、2022年2月10日に和風デッキビルドRPG『森久城物語』もリリースしています。
ゲームは『Crimsonland』『Vampire Survivors』といった作品からインスピレーションを受けて制作されています。プレイヤーは砂漠や氷の世界を舞台に、周囲から無数に押し寄せる虫型の生物を相手に、個性豊かな武器や能力を持つメカを強化しながら立ち向かいます。


基本的なルールは、経験値を得てレベルアップ時に複数表示されるパワーアップを選択してマシンをカスタムしていく、いわゆる『Vampire Survivors』フォロワー作品。主役機がロボットであることを活かし、ブーストダッシュやエネルギーの概念などを採用しているのが大きな特徴です。
実は本作は、元々2024年4月に『ヘビーストームシャドウ』の名称で販売されていましたが、当時パブリッシャーだった中国のBD Gamesの問題によりストアから削除された経緯があります。その後、同年8月にゲームの再始動がアナウンスされ、9月21日に『ヘビーストームシャドウ:ふっかつ』として再リリースされています。
4種のロボを使いこなせ!
現在のビルドでは、ゲーム内に4種類のロボット(およびサブパイロットの女の子)と3つのステージが用意されています。いくつかの項目はロックされていて、特定のステージクリアや目標を達成することでアンロックされていきます。1プレイはおよそ20分程度で、登場する3体のボスと最後に登場する大ボスを倒せばクリアです。
プレイヤーが操作するロボットは移動・射撃・ドッジ(回避)・スキルの操作があり、任意でオート射撃と自動照準が切り替え可能です。また、ドッジは長押しで敵との接触ダメージ回避などの効果を持つ「ブースト」に変化します。ドッジおよびブーストはエネルギーを使い、0になればオーバーヒートするので要注意です。


ステージ内でEXPを回収すればレベルアップし、ランダムに提示される5種類の強化プランから1つを選びます。基礎能力を獲得すれば次回はさらなる強化プランを得られる可能性があり、例えば防御アップなら次回は「被ダメージで周囲に爆破攻撃」「被ダメージ直後にドッジすれば体力回復」などがあります。ランダム表示なので狙うのは難しいですが、初期で1ゲーム3回まではリロールも可能です。


登場するロボットが使えるスキルは強力な爆撃やタックル、設置式の誘爆装置など、それぞれ個性が異なります。また、アンロック可能な武器は共通装備です。当然ながらスキルと武器、強化の組み合わせはゲームを大きく左右する要素で、いかにして強力なビルドを作り出せるかがゲームの肝の部分です。



操作は機体の移動と照準をそれぞれ行うツインスティックシューター形式。武器には弾数とリロードの概念があるので、戦闘時は位置取りにも注意が必要です。オート射撃は便利ですが、自動照準は360度敵が現れるゲームなのでちょっと使いづらいかな、と思います。


プレイすればするほど強くなる!
ゲーム内では、戦闘で獲得したリソースを消費して機体のアップグレードをアンロックできます。アップグレードは恒常的なバフ「上級システム」と、最大5種類選んで特殊効果を得られる「チップセット」の2つがあり、チップは4つまでプリセット保存が可能です。
「チップセット」には“オーバーヒート状態で効果を発揮するもの”や“一撃で倒されるようになるが報酬が増加するもの”など、特殊な効果を持つものも多く、使用には注意が必要です。また、チップごとのコストもありますが、こちらは“コスト上限をあげる”という専用チップを積めば拡張できます(枠は1つ使用)。


また、戦闘を行っていくことで各機体のサブパイロットである女の子の好感度が上昇し、機体に新たな能力が解放されます。本作の女の子はほとんどフレーバー的存在ですが、一応好感度アップ時には会話なども発生するので、ちょっと嬉しいですね!
『ヘビーストームシャドウ:ふっかつ』ではアップグレードの恩恵がかなり大きく、特に「上級システム」の“ボスを倒せばHP回復”や“自動HP回復のクールダウン短縮”などは絶大な効果を持っています。4種類の機体の個性に合わせてアップグレードプランを考えるのも重要です。


理想のビルドで思い通りの戦場を作り出せ!
豊富な強化プランが用意されている本作では、いかにして自分の思い通りのビルドに近づけるかが大きな楽しみです。スキルが異なる機体はそれぞれ得意な戦い方があり、強化やチップによって、実にさまざまな戦略を生み出すことができます。
例えばアンロックで使用可能になる3つ目の機体のスキルは、短距離ダッシュ&ダメージの「キネティックカット」が使用可能で、このスキルはドッジ扱いになっています。この機体にドッジ時に効果を発揮する強化を付けることで、スキルが大幅に強化されるのです。



筆者はこの機体が大のお気に入りで、上級システムやチップを調整し、スキルも吟味することで「エネルギーが続けば理論上不死身」になるビルドを作りあげました。ある程度ランダムで欲しいものを引く運は必要ですが、かなり安定したプレイが楽しめています。
もちろん、メイン武器をひたすら強化するビルド、ドローンなどの自動攻撃に頼るビルドなども自由自在。チップによっては「オーバーヒートになってから大きく性能を向上させる」といった、こだわった機体を作り上げることもできます。チップのおかげで運以外にもビルドを考える余地があるのは嬉しい部分です。



ステージも条件を満たせば、無限モードが遊べるようになったり、難易度オプションが設定できるようになります。難しくすれば報酬も大きくなるので、さまざまな条件での戦場を楽しめますよ。



一度のストア削除を得て自社パブリッシングで復活した『ヘビーストームシャドウ:ふっかつ(HSS:Reload)』。いわゆる『Vampire Survivors』ライクな「多数の敵を倒しながらランダム強化してビルドを考える」という、基本的な要素はしっかり楽しめますし、ブーストや射撃リロードなど、メカ要素も組み込まれています。自動照準など、自分で操作する部分の比重を変更できるのも好印象です。
ゲームとしてはステージや敵にあまり変化がなく、やや単純なバトルになってしまうものの、多彩なビルドを楽しめるのが大きなポイント。「弾薬が0になったら効果を発揮する」強化を活かすために弾薬の少ない武器を選ぶなど、プランニングも比較的簡単に組めるので、気軽に俺の考えた最強を味わいたい!という人には向いている作品です。


ロボットや女の子のデザインも個人的には好きなのですが、女の子が現状でほとんどいるだけなのはもったいないところ。また、日本語翻訳もややおかしな部分が目立ちます。『ヘビーストームシャドウ』の時代から新たなマップやゲームモードなどのアップデート計画はアナウンスされているので、このあたりも何かしらの強化があれば嬉しいところです。
















