Funcomは、オープンワールドマルチプレイサバイバル『Dune: Awakening(デューン:アウェイクニング)』を、PC(Steam)向けに2025年6月10日をリリースしました。
本作は、1965年に発表された小説「砂の惑星」から始まり、ドラマや映画などのメディア展開を行っている「デューン」シリーズを原作としたゲーム。原作とも違うIFの歴史が語られる本作で、プレイヤーは貴重な資源を巡って争いが絶えない惑星「アラキス」で自由に探索やクラフト、戦闘などを行いながら、過酷な環境でサバイバルしなければなりません。
Game*Sparkでは、Steamユーザーレビュー24,000件超えで“非常に好評”の『Dune: Awakening』を手がけたFuncomへのメールインタビューを実施。本稿ではその内容についてお届けします!なお、質問はリリース前に行ったものです。
『Dune: Awakening』開発インタビュー

質問に回答してくださったのは、FuncomのCCOであり『Dune: Awakening』のクリエイティブディレクターを務めるJoel Bylos氏。ゲームの開発で苦労した点や、今後の展望などについてお答えいただきました!
――原作である「デューン」の世界を再現するために、どのような開発の工夫や苦労があったのでしょうか?
Joel Bylos氏(以下、Joel氏):私たちが『Dune: Awakening』の制作に取りかかったとき、まずこのユニバース特有の要素をすべてリストアップしました。サンドワームや香料のように明らかなものもあれば、露刈り器やホルツマン・シールドのように一見して目立たないものもあります。そのうえで、これらの要素をどのようにサバイバルゲームのメカニクスに組み込むかを検討する時間を取りました。
細かく挙げていくときりがありませんが、今回はホルツマン・シールドについてお話しします。『DUNE』の世界では、ホルツマン・シールドはある速度以上の飛翔体を遮断するため、戦闘において近接戦が主流になっています。他のゲームで見られるようなチャージ式のシールドシステムを単に模倣するのは誤りだと考え、フランク・ハーバートが提示したルールに忠実なシステムを構築する必要がありました。
その結果として、私たちは戦闘全体のパラダイムを根本から見直すことを余儀なくされました。そうして生まれたのが、今の『Dune: Awakening』におけるユニークで興味深い戦闘システムなのです。

――4月に開催されたベータ版に参加させていただきました。本作は水分の管理がとても重要で、特に序盤は行動中の管理にかなり苦労する印象です。こういった過酷な世界をまず感じさせるゲームデザインを意識したのでしょうか?
Joel氏:私たちのアプローチは、アラキスを過酷な惑星にしている最大の要因である“水の欠如”に徹底的に焦点を当てることでした。
私たちのサバイバルメカニクスのほぼすべては、この一点に帰結します。つまり、あらゆる手段を使って水を確保することです。これは意図的な判断であり、他のゲームに見られるような複雑なサバイバルゲージを取り除き、プレイヤーが「水」にほぼ完全に集中できるようにしました。アラキスでは、こう言われています。「水こそが命だ(Water is Life)」。


――ベータ版では、施設内などで思った以上に敵が強く苦戦した印象があります。リリース版では戦闘バランスの調整なども行われるのでしょうか?
Joel氏:戦闘に関しては、数値バランスだけでなくシステムそのものにも多くの調整を加えてきました。もし最後にプレイしたのが4月のバージョンであれば、正式リリース時にはビルドに大きな変更が加えられていることを期待していただいて構いません。
(※筆注:戦闘は正式ビルド版のプレイでかなり遊びやすくなった印象です。)
――サンドワームの緊張感は素晴らしいです!ただし警告ゲージが少し分かりづらく、アイテムロストを考えて砂漠の移動が恐ろしくなることもありました。視覚的にわかりやすくなるような改善、もしくはオプションは追加されないでしょうか?
Joel氏:これまでに何十万人ものプレイヤーとプレイテストを重ね、私たちはこのバランスを繰り返し調整してきました。そして今後も引き続き調整を行っていく予定です。現時点では、多くのプレイヤーにとって納得のいく状態に仕上がっていると感じています。
ここで伝えるのが難しいのは、振動のビジュアルインジケーターは非常に分かりやすく表示されているにもかかわらず、多くの人が「振動を止めればサンドワームは来ない」と考えてしまう点です。しかし実際には、サンドワームは最後に振動を感知した場所に向かってくるのです。そしてそれはたいてい、プレイヤーが今立っている場所です。
そのため、サンドワームは攻撃する前に地中から姿を現し、非常に明確なビジュアル的脅威を提示するようになっています。これは、プレイヤーに「ここは危険だ」と警告を与えるためのものです。

――『Dune: Awakening』は、クエストで丁寧に順を追って世界が広がっていくRPGとしての要素も大きいと思います。ゲームの進行についての狙いやコンセプト、苦労したことを教えて下さい。
Joel氏:私たちの意図は、プレイヤーが自分の好きなタイプのコンテンツを通じて進行できるようにすることです。たとえば、契約をこなすのが好きなプレイヤーであれば、それだけでかなりの経験値を得ることができます。契約を繰り返してお金を稼ぎ、その資金でアイテムを購入することで、長く生き延びることも可能です。
一方で、クラフトが好きな人のためには、クラフティングシステムを通じた進行手段も用意しました。そういったプレイヤーも、自分の楽しめるアクティビティを通じて進めていくことができます。もちろん、多くのプレイヤーはさまざまな要素を組み合わせて進行していくと思いますが、私たちは、探索できるコンテンツが十分に用意されていると自信を持っています。
――乗り物を入手することで、ゲームが便利になったのを実感できます。装備品だけでなく、お気に入りのマシンをカスタムできるような見た目や装飾品も手に入りますか?
Joel氏:はい、本作には染色システムとスキンシステムの両方が搭載されています。プレイヤーは溶接トーチを使って、自分のビークルをカスタマイズすることが可能です。
これらのコスメティック要素は、契約の達成、派閥への参加、そして領主会議への貢献などによってアンロックされます。


――PvPを体験しなければ手に入らないようなアイテムや装備品はありますか?
Joel氏:他のプレイヤーを直接倒すことでしか入手できないアイテムは存在しません。ただし、PvPゾーンには特有の資源やアイテム設計図が存在します。そのため「PvPの定義によって少し意味合いが変わってくる」と言えると思います。
――リリース後のアップデート計画を教えて下さい!
Joel氏:現在私たちは、リリース後に定期的に配信する予定の無料アップデートと有料DLCに取り組んでいます。DLCを追加するたびに、それに合わせてストーリーの追加や無料コンテンツを含むゲーム本体のアップデートを行い、全体的な体験をさらに向上させていく方針です。
その合間には、不具合修正やプレイの快適性を向上させるパッチも配信していく予定です。今後のDLCに関する情報は、Steamのシーズンパスのストアページにてご確認いただけます。


――PS5/Xbox Series X|S版リリース後のクロスプレイは予定していますか?
Joel氏:この件についてはまだ最終的な決定には至っていませんが、コンソール版のリリースが近づいたタイミングで、必ず正式にご案内いたしますのでご安心ください。
――最後に『Dune: Awakening』というゲームの魅力を読者に教えて下さい!
Joel氏:私たちは、フランク・ハーバートが創造したユニバースの中で生きるという感覚を再現するために、全力を尽くしてきました。その結果、『Dune: Awakening』はさまざまな面でユニークなゲームとなっています。
本作は、いわゆるクラシックなサバイバルゲームでもなければ、純粋なオープンワールド探索ゲームでもなく、MMOでも、シューティングや近接戦特化のゲームでもありません。それらすべての要素が独自のバランスで融合された、唯一無二のゲーム体験です。そして何よりも大事なのは、それが楽しいということです!

『Dune: Awakening』は、Steamにて配信中。PS5/Xbox Series S|X向けにも配信予定です。
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