Game*Sparkレビュー:『Avowed』生ける大地を謎の病から救え…『Fallout: New Vegas』のObsidianが送る、コンパクトながら骨太なハイファンタジーRPG | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

Game*Sparkレビュー:『Avowed』生ける大地を謎の病から救え…『Fallout: New Vegas』のObsidianが送る、コンパクトながら骨太なハイファンタジーRPG

◆シルバー級の CRPG

連載・特集 Game*Sparkレビュー
Game*Sparkレビュー:『Avowed』生ける大地を謎の病から救え…『Fallout: New Vegas』のObsidianが送る、コンパクトながら骨太なハイファンタジーRPG
  • Game*Sparkレビュー:『Avowed』生ける大地を謎の病から救え…『Fallout: New Vegas』のObsidianが送る、コンパクトながら骨太なハイファンタジーRPG
  • Game*Sparkレビュー:『Avowed』生ける大地を謎の病から救え…『Fallout: New Vegas』のObsidianが送る、コンパクトながら骨太なハイファンタジーRPG
  • Game*Sparkレビュー:『Avowed』生ける大地を謎の病から救え…『Fallout: New Vegas』のObsidianが送る、コンパクトながら骨太なハイファンタジーRPG
  • Game*Sparkレビュー:『Avowed』生ける大地を謎の病から救え…『Fallout: New Vegas』のObsidianが送る、コンパクトながら骨太なハイファンタジーRPG
  • Game*Sparkレビュー:『Avowed』生ける大地を謎の病から救え…『Fallout: New Vegas』のObsidianが送る、コンパクトながら骨太なハイファンタジーRPG
  • Game*Sparkレビュー:『Avowed』生ける大地を謎の病から救え…『Fallout: New Vegas』のObsidianが送る、コンパクトながら骨太なハイファンタジーRPG
  • Game*Sparkレビュー:『Avowed』生ける大地を謎の病から救え…『Fallout: New Vegas』のObsidianが送る、コンパクトながら骨太なハイファンタジーRPG
  • Game*Sparkレビュー:『Avowed』生ける大地を謎の病から救え…『Fallout: New Vegas』のObsidianが送る、コンパクトながら骨太なハイファンタジーRPG

ついに日本語版が配信された『Avowed』をプレイしました。本記事では、Game*Sparkレビューをお届けします。

本作は『Fallout: New Vegas』や『アウター・ワールド』などで知られるObsidian Entertainmentが送る新作ハイファンタジーRPGです。結論から言って、今作もまさしくObsidianらしい非常に手堅いCRPGでした。

夢蝕病を根絶するために、帝国の特使が旅に出る――コンパクトで手堅いストーリー

本作の主人公は帝国の特使です。職業の選択やキャラクターメイクなどは可能ですが、アディア帝国から「夢蝕病」という奇病の根絶を任されて、ドーンショアという地に降り立つという点は変わりません。

また、主人公は「神宿り」という出自を持ち、顔面に不思議な紋様が浮かび上がっています。その力によってアドラ(死者と生者の世界をバイパスする石)と交信したり、謎の声を聴いたりしますが、一方で迷信深い連中から忌み嫌われてもいます。

といった具合で、AAAのオープンワールドRPGに比べるとやや地味な導入であり、実際にそこまで大ボリュームのゲームではありません。ちょっと広めのマップが四つ用意されており、その中に大きな町がひとつずつと、複数のダンジョンが詰まっている形です。この辺は『アウター・ワールド』と近い作りですね。サイドクエストなどをしっかり遊んでも50時間強でだいたい終えられるのではないでしょうか。

本作は『Pillars of Eternity』シリーズと世界観を共有していますが、セリフの中に特徴的な固有名詞が登場するたびに逐一内容をチェックできる機能がある(『ファイナルファンタジーXVI』のアクティブタイムロアのような仕組みです)ので、未プレイでも問題なく楽しめるでしょう。時折、翻訳の表記揺れや脱字があったりしますが、意味が取れないようなレベルではありませんでした。

ストーリー展開についても、非常にオーソドックスです。

夢蝕病を治せる存在を探しているうちに、派遣された帝国兵と現地民同士の軋轢や、明日食うものにも困っているような作物の育たない地で、役に立ちそうもない研究ばかりしているために疎ましがられている魂魄学者(呪術師のような人々)などと出会い、彼らに手を差し伸べたり、報酬のために裏切ったりすることができます

しかしながら、カルマシステムのようなものはなく、多少のクエスト結果がリンクしていたりするくらいで『ウィッチャー3 ワイルドハント』や『ディスコ エリジウム』ほどオチに意外性があったり、有機的にシナリオ同士が絡んできたりすることはありません。『アウター・ワールド』などに比べると、話のテンポ感や皮肉っぽい言い回しも弱まっているように感じました。

とはいえ、すでにある世界観を借りてきているからこそ、その設定の豊富さには舌を巻きます。舞台となる土地は生ける大地のなかでも一部のエリアに過ぎませんが、そこに息づく人々の宗教観や、政治的立場、口癖に至るまで、しっかりと描き込まれています。ロアや会話劇のボリューム感だけで言えば、AAAタイトルのそれと近しいように感じるのではないでしょうか。

また、ビジュアルとサウンドもなかなか作り込まれており、どこを切り取っても絵になります。瘦せこけた田園地帯や、砂漠の隅にあるオアシス、古代の遺跡まで、とことんテンプレ的でありながらも手抜かりはなく、ついついスクショを撮ってしまうこと請け負いです。

『アウター・ワールド』からちょっとだけ進化したバトルシステム

ゲームプレイにおいても、同社が今までに開発してきたCRPGタイトルとほぼ同じ作りをしています。クエストを受け、敵を倒し、戦利品を入手して(持ち主に返したり、あるいは嘘を吐いてネコババしたりしながら)レベルを上げてまた別のクエストを受けていくといった作りです。RPGファンなら勝手知ったるデザインでしょう。

戦闘システムについても、同社のRPGが何度も採用してきた一人称のリアルタイムバトルです。近接武器を振り回し、盾を構えて相手の攻撃をブロックして……たまに仲間に指示をしたり、爆弾を投げたり、魔法を唱えたり、といった具合です。

しかしながら、銃撃戦とアビリティくらいしか幅がなかった『アウター・ワールド』などに比べると、色々な点がブラッシュアップされています。

まず、スキル習得に縛りがありません。戦士・狩人・魔術師と大まかに分かれていますが、自分のステータスに限らず、好きなように取得することができます。

魔法についても、自分で覚えることでいつでも使える魔法と、魔導書に初めからセットされているものがあり、後者を装備して順番に唱えているだけでも、なんとなく戦略的に戦っているような気がしてきます。エフェクトもかっこいいですしね。

魔法を始めとする現象には属性があり、水を凍らせたり、通電させたり、タルに引火させて爆破させたりと、それなりに環境キルをする楽しみもあります。爆弾や消費アイテムもすべて(パッド操作の場合)ラジアルメニューから一発で使用でき、格段に快適さが増しています。

反面、結局のところは『Fallout: New Vegas』の頃から変わらず、ずーっと引き撃ち(下がりながら遠距離攻撃をし続けること)することになるゲームですし、過去作よりもマップ内のオブジェクトが増えたことにより、木や岩や建物にぶつかって下がれずに攻撃を受けることも増えました。余程難易度を上げるか、レベル差がある敵に挑まなければ、アイテムをがぶ飲みすればどうにかなるので、上手いことデザインされたギミックバトルを味わうことはほぼないです。

フィールドを歩いていて敵と遭遇し、そのまま戦いに入るという体験が悪いわけではないですが、そろそろもっとルールを増やして、ゲームらしいリスクリターンを導入する必要があるのではないかと考えてしまいます。

一方で、戦闘以外のゲームプレイは、相変わらずファンを魅了するものではありました。

目標のお屋敷内に侵入するために、屋根伝いに歩いて行って脆い天井を壊したり、門番を口八丁で騙して入れてもらったり、仕掛けを解いて遺跡を攻略したりと、イマーシブシム的な遊びはちゃんと用意されています。

全編を通して、手堅いCRPGという印象を抜けることはありませんでしたが、逆に裏切られたと感じたこともなかった作品でした。コテコテのCRPGに飢えている人や、Obsidianの描く皮肉っぽい世界とキャラクターたちにまた会いたくなったという人には、間違いなくオススメです。あと、筆者の推しはヤツリちゃんです。

Game*Spark レビュー『Avowed』 PC(Steam)/Xbox Series X/S 2025年2月18日

最初から最後までObsidianらしい味がする非常に手堅いCPRG

GOOD

  • 皮肉っぽいテキストとロアで魅せてくれるストーリー体験
  • 豊富なロケーションとそれを支えるビジュアル
  • 初見プレイヤーを置いてけぼりにさせない工夫

BAD

  • 選択肢の多さの割に代わり映えしないバトル
  • パンチの弱いサイドクエスト
  • CRPGの伝統から一歩もはみ出ないゲームデザイン

※UPDATE(2025/07/22 16:48):記事中の誤字を修正しました。

ライター:各務都心,編集:みお


ライター/ 各務都心

マーダーミステリー『探偵シド・アップダイク』シリーズを制作しているシナリオライター。思い出の一本は『風のクロノア door to phantomile』。

+ 続きを読む

編集/取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top