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期待の基本無料武侠RPG『風燕伝:Where Winds Meet』開発者インタビュー!中国人すら知らないディープな歴史を体験できる意欲作

「武侠」をグローバルに伝える苦労とは…ゲーム愛がひしひし伝わる激熱インタビューをお届け!

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期待の基本無料武侠RPG『風燕伝:Where Winds Meet』開発者インタビュー!中国人すら知らないディープな歴史を体験できる意欲作
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NetEase Gamesが2025年中にリリースを予定している武侠オープンワールドRPG『風燕伝:Where Winds Meet』。中国のNetEase Gamesが送り出す、「10世紀の中国」というちょっとマイナーな時代を舞台にした作品です。

開発するEverstone Studioは、オープンワールドと東洋風の叙事を軸にゲーム制作をする新進気鋭の開発スタジオ。ベテラン開発者が多数在籍し、コアメンバーは深いゲーム愛とプレイヤー視点を持ち合わせています。

本記事では、2回に分けて行われた開発チームへのインタビューをお届けします。

〈前半インタビュイー〉

  • Chris Lyu(クリス・リュウ、以下Lyu):『風燕伝:Where Winds Meet』リードデザイナー

  • Soul(ソウル):『風燕伝:Where Winds Meet』グローバル版リードデザイナー

  • Zen(ゼン):戦闘デザイナー

――本作の武器種や組み合わせについて教えて下さい。

Zen:本作には現時点で7つの武器種があり、武器種ごとに1~3の武術が用意されています。例として、扇という武器ではヒーラーにもアタッカーにもなれます。皆さんの好みに合わせた戦闘スタイルで楽しめるように設定しています。

現時点で、武術は10種類以上になっていて、今後も拡大していく予定です。これとは別に「奇術」と呼ばれるスキルもあり、こちらも数十種類実装しています。

Lyu:本作は武侠がテーマなので、いろいろな武器を自由に扱えるという“武侠モノ”ならではのロマンを感じているプレイヤーの需要に答えた形です。

――本作の舞台は中国人にとってもそれほどメジャーな時代ではないと聞きました。あえてこの時代を選んだ理由は何ですか。

Lyu:唐と宋に挟まれた。2つの王朝の間で戦乱が続いていたこの時代は、中国の歴史においてもすごく特殊だと我々の中でも考えています。ただ、乱世だからこそさまざまな勢力や個人において非常にドラマチックな表現ができると考え、この時代を選びました。

ドラマなどで唐や宋そのものに詳しい人は多いと思いますが、あえて知らない時代をピックアップすることで、新鮮さをと好奇心をもってプレイしてくれるのではないかというねらいもあります。

シナリオにおいても、メジャーではないからこそフィクションとして創作しやすいのです。史実とリンクしているところもあるので、詳しい人なら感動を覚える箇所もあるでしょう。

本作のメインストーリーは「光と影」に分かれていて、影の部分では史実に基づいた事件や謎を描いています。最初のチャプターではデン・イン(田英※)という歴史上の人物を重点的に描いています。

※田英…チャプター1の舞台「清河」エリアで重要な役割を担う刺客。契丹の使者の暗殺を果たし、当時の情勢を大きく変えた実在の人物。

また、チャプター2では開封市というメインの都市に向かうことになります。当時の朝廷では、唐の時代のお金を使うことが禁止されており、没収されるという動きがあったのですが、我々がフィクションとミックスしてアレンジしながら展開しています。

なお、本作は中国語版が昨年からすでにローンチしておりまして、中国プレイヤーはすでにチャプター2をクリアしている人もいます。ただ、その中でもこういった歴史が初耳だったという声もあり、本作を通して興味が湧いたというお声も頂戴しています。我々は、歴史の再現ではなく、史実とフィクションをリンクさせて、いかに歴史に興味を持ってもらうかというところを重視しています。

――古代中国を描くに当たって、専門家の監修は受けていますか。

Lyu:はい、さまざまな専門家をお招きして、監修していただいています。我々開発チーム自身も、さまざまな博物館や文化局、各地域の施設と連携をして、なるべく史実に基づいた表現ができるように頑張っています。

――特定の流派に属さなくても、すべての武術を学べるとお聞きしました。逆に、流派に所属するメリットは何があるのでしょうか。

Lyu:これまでの武侠作品(特にゲーム)では、特定の流派に加入して、武術を学んで、深い絆を結んでいくというものがよくありました。ただ、我々は自由度の高いオープンワールドを提供したかったので、所属するかどうかはプレイヤーの任意としました。

流派に入るメリットとしては、ルールを守ることで「奨励ポイント」を得ることができます。これを集めると商品と交換できるというシステムがあります。ルールを守るとポイントが減ってしまうため、しっかりルールを守り、「私はいま流派に所属している!」と感じながらこの世界を生きるというロールプレイも楽しめるようになっています。

例をひとつ挙げると、本作の中には天泉(テンセン)という流派があります。ここはいわゆる「体育会系」のような流派で、ログインする度に走り込みをしなければならなかったりします(笑)。

――武侠というテーマを多言語に伝える際の苦労を教えて下さい。

Soul:やはりローカライズには非常に苦労しました。本作には、中国の文化に根付いた要素がたくさんありますから。日本人の皆さんが理解しやすいところだと、「四字熟語」を英語に訳すとき、いかに文化的要素を残しつつ、理解してもらえるような翻訳にするかは非常に悩みました。

また、当時の中国の時間は24時間制ではなく、2時間を1つの「刻」として呼び、動物に当てはめていました。これを英語圏に伝える際は、すべてローカライズするのではなく、まず「ラビットタイム」などと落とし込んだあとに、なぜこうした表記なのかを補足する情報も見られるようにしています。

ただ、全世界で普遍的なものもあります。武侠の核心は「1人の人間が鍛錬を重ねて強くなり、自分の運命に対してどういった選択をするか」だと考えていますが、こうした物語は世界中どこにでもありますよね。こうしたわかりやすい部分に加えて、武侠らしいシンボルを入れることで、皆さんが少しでも興味を持ってもらえるように努力しています。

言語対応について、今回皆さんには中国語音声版をプレイしていただきましたが、ローンチ時には英語音声も実装されています。日本語含む他言語版も検討中なので、楽しみにお待ち下さい!

――開発チームの皆さんは「武侠」のどこに魅力を感じますか。

Lyu:私個人の観点では、個人の努力で大きなゴールを達成するというところにロマンを感じます。もうひとつは「人と人とのつながり」で、人同士の恩義、憎しみ、愛情といった関係性で、本作でもそこを楽しんでいただければと思います。

――武侠というテーマは戦闘のデザインにどう影響を与えましたか。

Zen:歴史上に存在していた武術を参考にしつつ、有名なドラマや映画などのコンテンツからたくさんヒントを得ています。武侠映画の監督さんや、武術指導のプロの皆さんにモーションキャプチャーしていただいて、本物の剣や槍の使い方をなるべく再現しようとどりょくしています。

ただ、本作はオープンワールドなので、探索やストーリーが好きな方もプレイします。そのため、戦闘はハードルにはしたくなかったのです。難易度は4段階からいつでも変えられるので、単に初心者・上級者という属性だけでなく、その時の気分によって選んでいただきたいです。

ちなみに、メインストーリーのボスは誰でも苦戦しすぎず倒せるようにしていますが、隠れボスなどはチャレンジングな難易度ですし、規定時間内にボスを撃破すると解除できるトロフィーもあるので、きっとアクション好きにも楽しんでいただけると思います。

――本作のメインストーリーは一本道なのでしょうか。それとも、プレイヤーの選択によって複数のエンディングが用意されているのでしょうか。

Lyu:本作はライブサービスではありますので、今後いろいろな楽しみ方を提供したいと考えています。チャプター1のメインストーリーは一本道ですが、最近中国語版で実装した新バージョンのメインストーリーは、主人公だけでなく4人のキャラの視点で同じ事件を体験していくという群像劇も描いています。

ここで初披露の情報になるのですが、いま開発中のバージョンではエンディングの可能性を増やしています。詳しくはまだお話できませんが……お楽しみに!

――詐欺師や暴徒など、ワルにもなれるという要素が紹介されていました。悪者のゲームプレイは具体的にどういったものがありますか。また、ストーリーには影響しますか。

Lyu:本作は自由度高めに設定しているので、まずNPCはほぼ全員殴ることができます。ただ、NPCを殴ったときに目撃されたら、警察的な役割のNPCが登場して、捕まると投獄されてしまいます。ただ、投獄されてもゲームオーバーではなく、実際にリアル時間で待って釈放されたり、脱獄したりといったことも可能です。デメリットはありつつも、悪さを働くことができます。

悪さに限らず、皆さんの行動はすべてのNPCの好感度に繋がります。メインストーリーにはそれほど影響しませんが、一部のサブクエストやイベントが好感度によって左右することはあります。

――クマが太極拳をしていたり、怪しい商人のショップを覗いたら値段が「999999」でとても買えなかったりと、コミカルな表現も目立ちました。シリアス要素とコメディ要素はどのようなバランスで入れていますか。

Lyu:乱世のこの時代は、基本的には史実に則ると悲劇がメインなんです。でも、プレイヤーさんには重苦しい気持ちだけで遊んでほしくないという思いがあり、史実とは関係のない部分にコミカルな要素を入れています。

インスパイアされたものに、とある香港映画があります。その映画は全体的に見るとコミカルなのですが、ストーリーをよく見てみるととても悲しい物語なのです。そこから、本筋は悲しいからこそ、笑えるところは笑ってほしいというところを大事にしました。

――基本無料として展開する理由は何ですか。

Lyu:根本的な理由としては、たくさんの方に遊んでほしかったというのが出発点にあります。価格設定をしてしまうと、どうしてもプレイを遠慮してしまう方いるので、まず一度遊んでほしかったのです。チーム全体で長く議論して出した決断です。

また、マネタイズのシステムはプレイヤーが嬉しくなるような要素で構成されていて、戦闘が簡単になるといったことは一切ありません。完全に外観などビジュアル的な部分だけです。ただ、このマネタイズモデルには非常に自信を持っています。きっとこのプロジェクトを長く運営していけると信じています。キャラのビジュアルにこだわらなければ、無料で奥深くまで遊んでいただけます。

――でも、かなり開発費がかかっているように見えます。かなり挑戦的なことだと思いますが、社内では反対意見はなかったのですか。

Lyu:実は、社内では反対意見というのはありませんでした。ただ、プレイヤーやメディアから「これ本当に成功すんの?」という意見をいただきました。でも、いま半年運営してきて、「本作は成立します!」と胸を張って言えますね。

――成功した理由は何だとおもいますか?

Lyu:根本的な話になるのですが、いまのゲーマーって、自分が楽しむためにお金を払いますよね。本作の衣装はカットシーンにも反映されるので、そこで魅力を感じていただいているのかなと思います。そして、ゲームプレイにまつわる課金要素がないからこそ、長く遊んでいこうという信頼感が築けているのではないでしょうか。

――アップデートの頻度はどれくらいなのでしょうか。

Lyu:中国語版は、平均1.5ヶ月~2ヶ月のペースで、さまざまなコンテンツが散りばめられた1つの新マップを投入しています。今のところは来年末までの構想ができていて、その6割は現在すでに制作中です。グローバル版は年4回ペースで大きめなアップデートを予定していて、中国語版の後を追っていくような展開になると思います。

――コンテンツは中国語版からどれくらい遅れが出ますか。

Lyu:更新頻度自体は中国語サーバーとそれほど変わらないペースで展開していく予定なので、全体的に半年遅れになる見込みです。

――今回プレイしたのは江南のあたりの話でしたが、今後中国のどのあたりまでカバーしていきますか。

Lyu:今回皆さんに体験していただいたのは、河北省と山西省の間から北寄りの場所です。いま中国語版では、北西方向の砂漠が多い河西というエリアを実装しています。中国は広いですが、今後もできるかぎりいろいろな地域の景色や特徴、伝承や物語、民族を表現できたらいいなと思います。

――本作のタイトルにはどういった意味が込められているのでしょうか。「風」がテーマなのかな…と感じました。

Zen:中国語タイトルの『燕云十六声』は、中国語話者にしかわからないコンセプトを深読みするタイプのタイトルになっているので、他言語版ではとっつきやすくするため、変更する必要がありました。武侠のポイントは、先述したように人と人との関係性です。それを、「風が出会う場所」というような概念的なコンセプトに落とし込みました。

〈後半 インタビュイー〉

  • Avery Wang(エイヴリー・ワン):ストーリーデザイナー

  • Vera Du(ヴェラ・ドゥ):ストーリーデザイナー

  • ZHONG Zhou(ジョン・ジョウ):コンセプトアーティスト

  • Yida(イーダ):オーディオデザイナー

――女の子のキャラクター「ホンシェン」が相棒として出てきますが、どういった意図で入れましたか。

Wang:ホンシェンは小さな頃から主人公といっしょに成長してきたキャラクターです。ギャグ要員的な役割を持っていて、プレイヤーのガイド的な役割も果たしてくれます。このキャラについては大きなイベントがあるのですが……ネタバレになるので控えさせていただきます(笑)。

――史実を勉強した上で遊ぼうかなと思っているのですが、逆に史実を知らないほうが楽しめるというようなことはありますか。

Du:本作は立ち上げ当初からグローバル展開することを想定していたので、まず多くの方に古代中国という歴史を知っていただきたいと思いました。実在の人物や出来事のドラマチックなところを抽出して、ゲームの中で再現しようと思っています。なので、歴史に詳しくなくても楽しめるようにはなっています。ただ、詳しければ詳しいほどニヤリとできるところもありますよ。

例を挙げると、開封市にはぽっちゃりなおじさんがいます。彼はただ楽しい雰囲気のキャラクターとして接することができるのですが、歴史に詳しい方だと節々のヒントで「もしかして…!!」と気づけるはずです。

――先ほど音声の収録現場を見学させていただいたのですが、セロリやトマトなどを使ってリアルな骨折音・出血音が

Yida:本作はリアルに近いオープンワールドを提供しているので、オリジナリティを出しつつ自分だけのキャラになりきる没入感を出せるようにこだわりました。

――他にユニークな録音をしたものはありますか。

Yida:琵琶という楽器があると思うのですが、あれってすごく高いんですよ。で、とあるカットシーンで、琵琶を壊す場面があるんです。すごーーーく心が痛みましたが、再現にこだわって本物を何個か壊しました(笑)。また、洞窟内でどうしても再現できなくて悩んだ音があるのですが、琴をクレジットカードで弾くと変な音が出て(笑)。それが洞窟の違和感のある雰囲気にぴったりでした。

――古代の開封市を再現するにあたって、苦労はありましたか。

Zhou:かつて存在した都市を再現するのは、断片的な資料をパズルのようにつなぎ合わせていくことしかできません。資料に使った写真素材だけで200GB以上にも上ります。

当時の開封市で娯楽に栄えていた地域があるのですが、そこの建物は美しい外観と機能性、そして非常に複雑な構造を持っています。実際に自分で木を組んで作ってみたんですよ……。

実際に見せてくれたもの。めちゃくちゃ複雑!

――序盤をプレイさせていただいて、武侠好きにはたまらない要素がいくつもありました。現在半年サービスを行っている中国語版の反応はどうですか。

Du:すごく印象に残っているのは、いわゆる“考察班”の方々ですね。本当にすごくて、我々ですら「こういう解釈もできるんだ…」と驚くことがたくさんあります。私たちが作ったストーリーに興味を持ってくれること自体が嬉しいですね。

また、SNSで二次創作のイラストやコスプレをしてくれる人もたくさんいます。中にはしっかりプレイしている人しか理解できないようなNPCを元に二次創作してくれる人もいるんです。皆さんの熱意という栄養を逆に我々が摂らせていただいていますね。

――ありがとうございました。

『風燕伝:Where Winds Meet』は、PC(Steam)/PS5向けに2025年内に配信予定です。現在、ファイナルベータテストが開催中です。


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ライター:みお

ライター/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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