
アイレムソフトウェアエンジニアリングが1998年に初代PlayStationでリリースした『R-TYPE DELTA』を、シティコネクションがHDリマスターとして現行機に対応させた2Dシューティングゲーム『R-Type Delta: HD Boosted』。本作のGame*Sparkレビューをお届けします。
RX-10アルバトロスを使用して、難易度HUMANでの攻略パターンを探りながらプレイした1機目のクリアタイムは約10時間。2機目以降R-9A II DELTAとR-13ケルベロス、そしてPOWアーマーを使用してのクリア時間は12時間41分(ニンテンドーストアアプリの計測時間だと17時間ほど)。なお、ニンテンドースイッチ版をニンテンドースイッチ2でプレイしました。

文字通り復活した『R-TYPE DELTA』
前述の通り本作は1998年にリリースされたタイトルです。今回のHDブーステッド版はTGS2025で実施したインタビューによると、ソースコードのライブラリが不十分ななか、本体の解析が成功したため何とか復活を果たせたタイトルでした。
本作はHDリマスターであり、処理落ちが無くなったことを筆頭にグラフィックなど多くの部分が改良されていますが、メニューを含めた各要素は基本的にオリジナルのPS版の仕様を踏襲しています。
例えば、コンティニューに関してはプレイ時間(プレイ中のみ計測)3時間未満だとコンティニュー回数5回ですが、3時間以上になると10回へ増え、6時間以上になると無限になることもオリジナル版と同じです(POWアーマー出現条件も同じ)。またオリジナルにも存在した、ポーズ中にコマンドを入力するとフルパワーアップにしたり、DOSEゲージをほぼ100%にする裏技も使えます。

メニュー画面もオリジナルとほとんど変わりませんが、フォントや壁紙が高解像度に対応し、綺麗になった他にも新たにプラクティスモードが追加。詳細は後述しますが、通しでプレイせずとも様々な条件下で復活ポイントから反復練習出来る機能です。他にも、新たにパッドのスティック操作に対応したことも小さくも大きな変化でしょう。これによって自機が操作しやすくなりました。
オプションにあるSCREENはいわゆるグラフィック設定です。テクスチャHIGH設定だと高解像度で描画され、ポリゴンの歪みが抑えられると共にテクスチャも高解像度化します(初期設定はHIGH)。STGは敵ユニットや敵弾、地形などの視認性が重要なジャンルであるために、違和感なくディテールがハッキリしてくれるのが素直に嬉しい施策です。


またテクスチャ設定をLOWにすると、解像度やテクスチャ、ポリゴン、フォントを含めてオリジナル相当(初代PS)のグラフィックに変更できるため、ユーザーが求める幅広いゲームプレイ環境に対応出来るのも良いポイントでしょう。


画面領域もオリジナルの4:3に加え、比率をそのまま左右へ拡張したエキスパンションや、4:3を左右に引き延ばしたフルなど様々なディスプレイに対応しています。しかしながら、グラフィック設定に相当する表記が「テクスチャ」だと、変わる要素が伝わりにくく意図がわかりにくいのではないかと思えます。
加えて、画面左右の黒枠が寂しいのが気になります。黒枠自体は設定として残して欲しいですが、イラストや機体説明、ステージ進捗などを表示できるようにすれば、より良かったのではないかと思えます。
ほとんどの要素は同じであるものの、OPが新たに『R-TYPE FINAL 2』的な映像へ変更されたことや、文字フォントや壁紙の高解像度化、メニュー推移レスポンスの向上など小さな改良点も多くあります。しかしながら、メニュー画面を筆頭とした各要素は時代の移り変わりに応じて変わったように思えないのが、少し保守的であるようにも感じました。
攻略パターン構築が難しい『R-TYPE DELTA』そのもののゲームプレイ
ここからはHDリマスターとしての改良点だけでなく、本編そのものの評価を行いましょう。前述の通りグラフィックの初期設定はHIGHなので、起動→即ゲームプレイでも美麗になったグラフィックを堪能できます。バランス調整などはされていないため、基本的なゲームプレイはオリジナルと変わりません。
ステージは、地球の都市部が舞台となるステージ1の「狂機」から、地下水路の「異形」、巨大ボスを倒す「巨襲」、宇宙要塞の「侵食」、バイドによる精神干渉によって過去のボスなどが襲いかかる「邪悪」、バイドの精神干渉を振りほどき基地へ帰還するもバイドによって破壊された跡をたどる「覚醒」、時空の狭間に出現したバイドコアを討伐する最終ステージの「生命」の全7つです。


筆者の体感ですがステージ1や2は、ノーミス突破が安定しにくい一部シーンを除けば難なくクリア出来ますが、ステージ3以降はパターン構築を突き詰めていかなければ突破出来ないほど難しくなります。
特にステージ5「邪悪」からは難易度が著しく上昇する印象です。開始直後から画面中央の自機を囲うように敵やオブジェクトが出現し、プレイヤーの逃げ道を塞ぐような攻撃やステージギミックが設けられています。

加えて、ステージ6「覚醒」の中盤から出現する巨大な敵ノーザリーからのシークエンスは、回避の抜け道を極限まで塞ぐような敵配置と出現パターンであることから、試行錯誤に時間がかかるのが大変でした。ステージ7「生命」自体も上下から出現する精子型バイドを見て「当たるかもしれない…」と思った矢先に即自機へ直撃するため回避に苦労しました。
これら後半の3ステージは自力でパターンを構築するのがとても大変で、1周目のプレイ時間の大半を占めていたと思います。


他にも、画面に対して自機が大きいため敵弾や敵から逃げ道が塞がれて倒されてしまうことや、自機のやられ判定が大きく、少し移動して回避したと思っても弾や敵に当たってしまうことなど、純粋な難しさに翻弄されることもよくありました。
加えて、敵が撃つ弾も自機の現在位置に向けて発射するのではなく、移動先の未来位置に狙って撃つため速度4で素早く逃げるか上下左右に微入力して、射撃位置をずらすなどのテクニックが必要となってきます。
コンティニューが無くなるまで何度も挑戦し、無限になった後はひたすら突破出来るまでパターン構築を諦めず、なんとかエンディングまで辿り着けた時は大いに感動しましたが、同時に疲労も覚えました。

本作を面白いと思えたのは、全ステージでの行動パターンを熟知し、他の機体で挑戦した時に倒される回数が大幅に低くなってからでした。そこに来て初めてプレイヤーとゲームのバランスが釣り合い、弾を能動的に避けて敵を倒しまくれるエキサイティングな瞬間がやってきます。
ここで得られた快感は他のゲームで代えがたいものであり、ふとプレイしたら最後まで遊びたい楽しさに満ちているものでした。一方で、試行錯誤を終えてパターンを覚えてしまえば、プレイヤーが新たな突破方法を考えたり見極めたりする必要性がほとんどなくなってしまいます。
1周目以降におけるゲームプレイの発展が望みにくいのが『R-TYPE DELTA』で感じたもう一つの印象でした。敵の出現やステージギミックを詰めれば詰めるほど、プレイヤーが取れる選択肢や自由度が狭まってしまうからです。『R-TYPE』シリーズを特徴づけるプレイヤーのパターン構築は、プレイヤーが弾避けを少しずつ上手くなる能動的な快感とは別種のものです。この『R-TYPE』シリーズが持つ最大の弱点は、現状の最新作『R-TYPE FINAL 2/3』でもありましたし、過去作とはいえ今回の『R-TYPE DELTA』においても例外ではありませんでした。

『R-TYPE DELTA』そのものはグラフィックやサウンド、敵や部位を倒した時の快感は相応に高く、クリアした時の感動は他に代えがたいものです。しかしながら、難易度曲線の上がり方が後半になるにつれて歪なほど高くなることが問題で、攻略パターンを覚えてしまうとそれすら形骸化してしまいます。改めてプレイしてみると面白さと問題点の両方を感じつつ、STGの人気が弾幕へ移る約27年前の1998年の過渡期に登場したタイトルであることを強く意識させられます。
処理落ち無し+短いロード時間で遊びやすくなったHDリマスター
『R-Type Delta: HD Boosted』はHDリマスターとして処理落ちが無くなると共にロード時間も著しく早くなりました。オリジナルのPS版では、巨大な敵やオブジェクト、そして敵が一定数以上登場すると処理落ちが発生し、その頻度も多いものでした。
例えば、ステージ1中盤の蛇型の中ボスであるコントライトが出現する場面や、モリッツGのボス戦、ステージ2の巨大な建物が落ちてくる水路やボス戦、ステージ3のほぼ全体、ステージ5の敵が多く出現するシーンなど、全体的にゲームの要所でゲームがスローになる処理落ちが発生していました。

この処理落ちは、道中で倒された時に復活ポイントから撃墜地点まで戻るのに時間がかかってしまうことが多く、退屈で冗長な印象を与えていました。特にステージ3は顕著です。
HDリマスターでは処理落ちが無くなったために、倒されてからの復帰がより早くなり、テンポが大幅に改善されました。処理落ちによるスローモーションは、本作の攻略パターンを構築するのに少しだけ難しさを下げていたように感じますが、処理落ち有りのオリジナル版をプレイしてみると、思った以上にゲームプレイと関係無い所でも発生していることに加えて、処理落ちのためにテンポが乱れて弾避けが難しいと思える箇所もありました。

これらを考慮すると、やはり処理落ちが無い方がより良いゲームプレイに繋がっており、全体的な体験の質が上がったのは間違いありません。また、体感ではありますがロードも早くなっているために復帰自体も非常にスピーディーなのが嬉しいです。
また、音楽ではオリジナルだけでなくアレンジ楽曲も収録。STGのゲームプレイで音楽はゲームプレイの快感と密接に関わるため、HDリマスターとはいえ新鮮な気持ちでプレイできるのは素直に良いところです。
オリジナルとの差異が小さいアレンジ曲もありますが、特筆したいのはステージ6「覚醒」のアレンジ曲。おどろおどろしいオリジナルとは方向性が異なるポップさを感じるロックな曲になっており、ステージ6に対して全く別の印象を与えてくれるのが素晴らしく嬉しいです。
オリジナル曲が、パイロットの不安や驚きを表現した曲なら、アレンジはバイドが基地を占領して、やりたい放題破壊し尽くしたあとの高揚感を表現したものであるようにも感じてしまいます。
もう少し情報や機能が欲しいプラクティス(練習)モード
HDリマスター版では、各ステージの復活ポイントから任意に練習できるプラクティスモードが実装されています。これは、1周クリアしていなくても設定可能な練習モードで、突破が安定しないシーンにおいて行動パターンを構築することなどに役立ちます。
設定画面は非常にシンプル。ステージや機体、フォースの有無と強化段階、レーザーの種類、ビットの個数、ミサイル有無、DOSEゲージの充填具合(パーセント設定)、難易度、無敵それぞれが設定できます。特定の復活ポイントを超えるとそのままゲームプレイは続行しますが、突破した状態は記録されません。

前述の通り本シリーズはパターン構築要素が極めて強い作品で、1周目をクリアしステージの全貌を知っていても安定させるには反復練習が必要なため、練習する時間や手間を大きく短縮できるプラクティスモードは貴重な存在です。
しかしながら、このプラクティスモードは、あくまで設定した復活ポイントに設定した状態で挑戦するもので、一度倒されてしまうと全装備ロストの状態で復帰してしまい、初期に設定した意味が薄れてしまっています。

また、無敵だけでなく他のボタンを押してゲームスピードをスローに出来る機能や、当たり/やられ判定の表示、敵の体力表示、画面比率4:3プレイ時に左右の黒枠へ情報を表示するなど、もう少し練習に役立つ情報や機能があればと思います。
初期の全3機種でクリアするとステージセレクトが登場するため用途が少し被ってしまいますが、それでもオリジナルにはこうした機能が無かったため、あるだけでも一歩前進しています。
処理落ちという弱点を無くし、テンポ良く本作の面白さを味わえる『R-TYPE DELTA』
『R-Type Delta: HD Boosted』は処理落ち無しで現行機/PCへの移植が成功し、ロード時間の短縮から復帰のストレス無くプレイできるようになったタイトルです。HDリマスターとしての移植を含めてゲームそのものの品質は高く、STGファンならプレイして損がないタイトルに仕上がっています。
しかしながら、本作が面白いと思える腕前へ到達するためには、飛び越えなければならないハードルが複数あることが問題です。無限コンティニューが解禁されるまで諦めず根気よくプレイして攻略パターンを作ること、なるべく倒されずにプレイすること、理不尽な判定や敵の出現に気持ちが折れたり萎えないことなど、求められるスキルが多い印象も受けます(コンティニュー回数は選択式にしても良かったと思う)。

本編そのものの難しさからパターン構築は強い根気が必要なために、ゲームそのものの当たり/やられ判定や理不尽さを極力抑えて現代的にバランス調整した特別モードや、難易度KIDSより低い難易度のカジュアルなゲームモードがあっても良かったのではと思えてしまいます。古の復帰プレイヤーだけでなく、これから新規でプレイしてみようと思うユーザーは、『R-TYPE DELTA』そのものの難しさに、心折られかねない難易度であることは間違いないからです。
理不尽さを感じる敵出現パターンやステージギミックが複数ありますが、90年代後半のポリゴン表現シューティングゲームを代表とする1作品が正規に遊べるようになったのは意義深く、そして喜ばしいことです。これらの問題点を予め知っておけば、初プレイでもきっと納得できるでしょう。
Game*Spark レビュー 『R-Type Delta: HD Boosted』 PC(Steam)/PS4/PS5/Xbox Series X|S/ニンテンドースイッチ 発売日: 2025年11月20日
HDリマスターとしての品質の高さは想像以上。ゲームそのものの理不尽と難しさは強いが、STGファンは是非手に取って欲しいタイトル。
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GOOD
- 処理落ち無しで60fps動作を実現した素晴らしさ
- テクスチャを含めてグラフィックが改良され、より味わい深くなり、古いゲームながらも見劣りしない見映え
- ゲームプレイに現代的で新たな遊び心地を与えてくれるアレンジ楽曲
- オリジナル版の裏技などがそのまま使える
BAD
- 当たり判定表示など、もう少し機能が欲しいプラクティスモード
- よりカジュアルに遊べる低難易度モードが無い
©IREM SOFTWARE ENGINEERING INC. ©CITY CONNECTION CO., LTD. ©Clear River Games.
¥10,265
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)













