気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Alawar開発、PC/Mac向けに11月11日にリリースされたローグライトアドベンチャー『Wall World 2』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、2Dマップ上のロボスパイダーおよびエグゾスーツ着用のキャラクターを操作するローグライトアドベンチャー。舞台は自動生成される鉱山が垂直に広がる壁世界で、『Wall World』の続編になります。戦闘、バイオーム、ローグライトの進行など、あらゆる体験が前作から進化。日本語にも対応済みです。
『Wall World 2』は、1,400円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Stepán私はStepán Komaróvで、Alawarのゼネラルプロデューサーを務めています。これまでに『Beholder: Conductor』『最強の武術家』、『Necrosmith』の1と2、そして『Wall World』シリーズでプロデューサー、アートディレクター、アニメーターとして携わってきました。
お気に入りのゲームをひとつだけ選ぶのは難しいですが、どうしても選ばなければならないとしたら『プリンス・オブ・ペルシャ ケンシノココロ』ですね。もう少し範囲を広げるなら、『メタルギアソリッド』『Cyberpunk 2077』『シェンムー1・2』『ALIEN: ISOLATION』、そして『アンチャーテッド』『バットマン:アーカム』『バイオハザード』『アサシン クリード』『メトロイド』『ゼルダの伝説』といったシリーズです。
また、幼少期に遊んだセガ時代のクラシック作品である『アラジン』『アースワームジム』『アウターワールド』『フラッシュバック』には、今でも特別な思い入れがあります。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Stepán『Wall World』の特徴は、その独特な世界観と、シンプルでありながらも中毒性のあるゲームループだと考えています。
このアイデアの原点は2014年に遡ります。ある夜遅く、仕事仲間と彼の家のバルコニーで話していた時のことです。ふと、リスたちが木の幹を縦に走ったり、枝から枝へ飛び移ったりして、世界をまるで傾いた巨大な平面のように自在に移動している様子が目に入りました。そこでふと「もし世界全体がそんな構造だったらどうだろうか?」と想像したのです。そして、「(リスのゲームになるとは限らないものの)いつか面白いコンセプトになるかもしれない」と冗談半分に話しました。
その小さな種が長い時間をかけて芽を出し、やがて『Wall World』というアイデアへと成長したのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Stepán『Wall World』の原案は、何年もの間ラフスケッチのまま眠っていました。『テラリア』のようなタイトルに緩く影響を受けたサイドビューの採掘ゲームでありながら、よりタイトでアクション性の高いゲームループを中心にした構想でした。このアイデアは何度も形を変え、方向性が決定的に固まったのは、ゲームデザイナーのArtémyが私に見せてくれた『Dome Romantic(のちの『Dome Keeper』)』の体験版がきっかけです。そのダイナミックな構造に強く惹かれ、「これだ」と直感し、『Wall World』のビジョンが一気に明確になりました。この作品と『Wall World』はトーンもテンポも哲学も大きく異なるものの、発売後には比較されることは予想していました。
もうひとつ重要なインスピレーションとして挙げられるのが、主人公のデザインであり、『Dead Space』のアイザック・クラークの象徴的なヘルメットから大きな影響を受けています。
他にも参考にした作品はありますが、特に影響が大きかったのは以上のものとなります。ちなみに、『Dome Keeper』は本当に素晴らしいゲームですので、ぜひ遊んでみてください。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Stepán初代『Wall World』の開発で強く印象に残っている出来事があります。開発初期、主人公が使うバキュームツールは巨大なホースでスパイダーと繋がっていました。スケッチではとても魅力的に見えたのですが、実際に導入してみると物理演算の問題が次々と発生してしまったのです。ホースが地形に巻き付いたり、下のブロックを壊したり、画面の端まで飛んでいってしまったりと、プレイヤーのやりたい放題になってしまったのです。何日も修正を試みた末、リード開発者のMaxが「いっそホースをなくして、主人公が手に持つコンパクトなドリル兼バキュームにしてはどうか」と提案してくれました。私は当初のアイデアに愛着がありましたが、ホースを取り除いたのは間違いなく正しい判断でした。
『Wall World 2』では、当初からビジョンがより明確でした。洞窟内の敵やさらに奥深い進行システムといった要素は、実は1作目の頃から考えていたものです。しかし、まずは小規模でリスクの低いプロジェクトでコンセプトの可能性を証明する必要があり、それが初代『Wall World』だったのです。『Wall World 2』が実現できたのは、熱心なプレイヤーの皆さんのおかげです。彼らの情熱、配信活動、口コミがあったからこそ、続編が存在するのです。本当に感謝しています。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Stepán『Wall World 2』は全体的に好評をいただいていますが、もちろん意見はさまざまです。リリース当初は「難易度が高すぎる」という声もあり、すぐにパッチを配信し、その後は3つの難易度を選べるようにしました。これにより、ベテランプレイヤーの手応えを損なうことなく、より幅広いプレイヤーが遊びやすくなったと思います。
私にとって最も心に響くフィードバックは、プレイヤーからの「ありがとう」です。小さなインディーゲームであっても、たくさんの人による努力の結晶です。「楽しい冒険だった」「長い一日の終わりに、このゲームのおかげで癒された」…そんな言葉を聞くと、本当に励みになります。もちろん建設的な批評も同じぐらい重要で、プレイヤーが何を求めているのか、どう改善できるのかを理解する助けになります。丁寧で前向きなフィードバックは、コミュニティの健全な成長にもつながり、シリーズの未来にとっても大きな支えになります。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Stepán『Wall World』の世界をアップデートという形でも、もっと大きな形でも、さらに広げていきたいと考えてはいますが、現時点で具体的なお約束をするのはまだ早いと思っています。『Deep Threat(初代『Wall World』のDLC)』の経験から、ローンチ後のコンテンツをデザインする際には、「明確な期待値」と「なめらかな進行カーブ」が非常に重要であると再認識しました。今後もその点を強く意識して開発していきたいと思います。
『Wall World 2』の初期反応はとても好意的で、次に何ができるかを探る余地を与えてくれました。最終的に、今後の展開がどのような形になるかは、時間と共にコミュニティやプレイヤー層がどう発展していくかにかかっています。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Stepánもちろんです。プレイヤーの皆さんは、YouTubeやTwitchなど、どのプラットフォームでも『Wall World 2』を自由に配信・収益化していただけます。本作に関するコンテンツを見るのはいつも嬉しいですし、新しいプレイヤーに本作を知ってもらうきっかけにもなります。
私自身、配信や動画をよく視聴していて、プレイヤーがどんな場面で驚いたり笑ったりするのかを見るのがとても楽しいです。メモを取りながら見ることも多く、そうした観察はチーム内でもよく共有し、話し合っています。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Stepán日本の皆さん、本当にありがとうございます!私が一プレイヤーとして、そして一開発者として大きな影響を受けた作品の多くは日本のゲームでした。『メタルギアソリッド』『シェンムー』『ゼルダの伝説』『メトロイド』…これらの作品は優れたゲームデザインとは何かを教えてくれ、今でも私の創作の原点であり続けています。
また、日本のアニメーションや、アーティスト、作家たちの驚くべき創造性にも深く敬意を抱いています。私たちのゲームが日本の皆さんに届くことを本当に光栄に思っていますし、いつかぜひ日本を訪れてみたいです!
そして、このインタビューを読んでくださっているすべての方へ…素晴らしいゲームとの出会い、幸運、そして心に残る瞬間がたくさん訪れますように!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








