今やPC/コンソール/モバイルそれぞれのプラットフォームでサバイバルジャンルの作品は定着していて、多くのプレイヤーがさまざまな世界を舞台にサバイバルを楽しんでいます。
Game*Sparkでは【クラフトサバイバル名鑑】として、同ジャンルが好きな筆者が、定番作品を中心にクラフトサバイバルジャンルの作品の魅力を紹介・解説しています。今回紹介するのは、2019年4月19日にリリースされた2Dオープンワールドゲーム『Forager』です。

小さな島から世界を広げよう
『Forager』は、アメリカを拠点とするHopFrogが開発を手がける個人開発の作品(パブリッシャーはHumble Games)。創始者兼開発者のMariano Cavallero氏は、母国アルゼンチンで大学を中退してゲーム開発をスタートし、ゲームジャムや展示会などへの参加を通じて実績を積み上げました。
本作は、YoYoGamesの主催するゲームジャムGMS2Jamに出展したバージョンが準優勝となり、itch.ioではアルファ開発版からのデモが更新されて公開されています。2017年にはHumble Bundleがパブリッシングを務めることが決定し、クローズドベータ実施や延期などを経て2019年4月にリリースされました。
『ゼルダの伝説』シリーズや『Stardew Valley』『Terraria』などに影響を受けて制作されたというゲームは、小さな島から物語が始まります。プレイヤーは少ない資源からクラフトや施設の建設を行いながら、少しずつお金を稼いでいくことで、周囲の土地を購入して世界を広げていくことが大きな目的となります。
土地の拡大とともに入手できる資源や登場する生物も増え、ゲーム内では行動の選択肢が大きく拡がっていきます。スキルの獲得によっては工業や魔法などを利用した施設も増え、作業の自動化や効率化も可能。また、購入する土地ごとに秘密が隠されていて、ダンジョンやボス戦などの冒険要素も用意されています。


ゲームはリリース後もアップデートを配信しましたが、残念ながら2021年には開発を進めていたマルチプレイヤー対応の中止が決定。現在HopFrogは開発メンバーによる『Lost Nova』『WitchHand』のパブリッシングも務めています。また、開発者の1人が『Fields of Mistria』のリードプロデューサーを務めています。


採掘・伐採・クラフトでお金を稼げ!
本作の物語は、主人公が何もない小さな島にいるシーンから始まります。最初に持っているのはツルハシのみで、島には木や岩、鉱石などがあるので、まずはどんどん資源を入手していきましょう。このゲームではツルハシがあれば、伐採も採掘も行えます。
ある程度資源が集まったらメニュー画面からカマドや鍛冶台などを作り、鉱石の加工やクラフトを進めていきます。序盤で特に重要なのが金の延べ棒を加工して作れる「コイン」です。コインはその名の通りこの世界で使用できるお金で、アイテムや土地を購入することができる『Foregar』で最も重要なリソースです。



少しお金が溜まったら土地を購入しましょう。本作では、自分の所有している土地と隣接する場所が購入可能で、中心の島から四方にさまざまなバイオームが用意されています。当然バイオームごとに入手できる資源は異なりますが、かなり値段の高い土地も多いので、まずは初期の草原から少しずつお金を稼げる体制を整えましょう。
お金を稼ぐ方法としてはコイン精製のほか、市場を建ててアイテムを売る、銀行を建てて生み出すことなどもあります。また、ツールをアップデートすることで、伐採などの作業でもコインを入手できます。とにかくお金を稼がなければ資源入手もできませんし、なによりも土地が狭くて施設の設置も一苦労です。




新しい土地にはクエストをくれるNPCや、バフを与えるオベリスク、ダンジョンや謎解きなどのイベントが用意されています。謎解きをすればその土地で宝箱を発見し、特殊効果を得られるアーティファクトや基礎能力アップ用のアイテムなども入手可能です。




工業・農業・商売・魔術、どの道を選ぶ?
ゲーム内では戦闘やクラフト、採集などによって経験値を入手し、レベルアップすることでスキルポイントを獲得します。スキルは工業・農業・商売・魔術の4つのカテゴリーが用意されていて、習得することで新しいスキルもスキルマップに登場していきます。
スキルはクラフト速度を上げるものや、新しいレシピを得られるもの、経験値獲得量がアップするものなどがあります。どのカテゴリーもそれぞれ有用なので、プレイスタイルに合わせてある程度選ぶのがオススメです。ただし、アイテムをしまえる保管庫や基本的な武器などのアンロックは優先したほうがいいと思います。




工業を進めて工場などの生産施設を作れば、自動で鉱石を採掘してくれる設備や、プレイヤーをサポートするドロイドなどを生産可能。魔術を進めれば強力なポーションや巻物を作れるようになり、周辺に資源を出現させたり、他の資源から貴重な宝石に変換できるようになります。
先におすすめした保管庫は、本作では絶対に必要なものです。まずアイテムを収納するための施設は保管庫しかなく、さらに本作での保管庫はスキルを鍛えていけば自動収納機能も強化されていきます。収納したアイテムもクラフト素材として使えるので、プレイヤーのインベントリも快適に整理できます。



もちろん各カテゴリーごとのスキルが独立しているわけでなく、複合することで大きなシナジーを発揮します。



理想的な効率化を感じられる
『Foregar』は食事ゲージやクラフト用の石炭など、序盤のリソース管理が厳しい設計です。ツールの強化やスキルを獲得していくことで劇的に生活が楽になり、冒険や戦闘、クラフトで余ったリソースを換金して土地を拡げることもできるようになります。
例えばツルハシを強化していくと、採掘時に追加の石炭やコインが得られるようになります。クラフト施設は生産するアイテムの自動化が可能で、資源がある限り生産を続けてくれるので、鉱石を掘っているだけでも自動的に加工してくれます。自動生産はプレイヤーのインベントリから勝手に素材を消費してくれるのも嬉しいポイントです。



さらに、この環境下に採掘場(定期的に鉱石をスポーンさせる)を設置し、その周りに採掘ロッド(資源の自動採掘と収集)を設置しましょう。これでプレイヤーが他のことをしていても鉱石が加工され、生産ラインを作ればどんどん高級な素材やアイテムも量産されていくのです。
施設のアンロックが進めば自動化はやりやすくなるだけでなく、土地を埋め立ててより広く施設の設置ができるようになっていきます。『Foregar』はこういった効率化のペースがとても秀逸で、遊んでいくことで“ここが少し不便だな”と思うところがどんどん解消されていきます。





もちろんこういった生産部分だけでなく、ダンジョンでのボス戦なども用意されているので、とても幅広いゲームスタイルを楽しめます。ゲーム内実績の数で衣装やおまけコンテンツもどんどん解放されていくので、冒険・クラフト・商売と、色々な遊び方を試せます。





クラフトやダンジョン、自動化まで幅広く楽しめる『Foregar』は、比較的コンパクトな世界ながらプレイヤーを飽きさせない工夫が散りばめられています。いかにして生産の効率化を図り稼いでいくのかというのが、ゲームを拡張するためのシステムとなり、同時にプレイヤーにストレス無くゲームをプレイさせる恩恵に繋がっているのです。
ある程度スキルを解放していくことで、簡単に半自動化できるのも本作の魅力。完全に構築するためには立地の工夫や大量の資材なども必要ですが、通常のプレイでも加速度的に入手できるようなゲームデザインなので、色々工夫しながら土地の改良をしていくのも楽しいものです。


ゲーム内実績で解放されるコンテンツやゲームモードもあるなど、チャレンジ要素が多いのも嬉しいポイント。実績はいつでも確認可能です。さらに、公式Modサポートも行っており、Steamワークショップで導入したModはゲームのメニュー画面で簡単にON/OFFできます。色々なスタイルで『Foregar』を楽しみましょう!













