
『ドラゴンクエストVII』といえば、言わずと知れた名作!
特にストーリーは印象深く、初プレイから26年が経った現在でも特定のイベントを鮮明に覚えている人は多い!クリアまで100時間かかると言われるボリューム、その気になれば永遠に遊べる豊富なやりこみ要素、名曲ぞろいのBGMも語り草!

……一方で、「手間がかかる」ゲームであったことも事実。
ゲーム開始から最初の戦闘までが極端に長い、キーアイテムである「ふしぎな石板」を取り逃すと探すのが大変すぎる、職業の「熟練度」上げが作業的になりがち、引き延ばしに感じられる謎解きやおつかいの要素がしばしば……などなど、挙げ始めるとさまざまな要因が出てくる。
これらの一部は、のちに出たニンテンドー3DS版やスマートフォン版で改善が図られてきたが、根本的解決は難しい。
かと言って、完全になくすのは考えものだ。捉えようにもよるが、こういう「めんどくささ」も『ドラクエ7』の味だからだ。「めんどくさくない!」と言う声は聞いたことがないが、「めんどくさいのはわかるが、それが好きなんだ」と言う声は何度も聞いた。
じつは、筆者はそのめんどくささに負け、オリジナル版当時は途中で挫折してしまったタイプである。
しかし、好きな部分はたくさんあったし、「めんどくさいところも含めて好き」と言う人の気持ちもわかる。

そして、いよいよ2月5日に発売される、『ドラゴンクエストVII Reimagined(以下、ドラクエ7 Reimagined)』。本作の無料体験版にあたる、「旅のはじまり先行プレイ版」を遊んでみての、率直な感想は……。
「ワクワク&サクサクで、ほどよく手間がかかる!」
現代の基準に照らし、削ったり簡略化したりしたほうがよいものは思い切って整理する。しかし、ゲーム体験として意義が大きいものは、「『ドラクエ7』に必要な手間」として絶対に残す。
そういう意志を強く感じた。その結果、現代のRPGらしくもあり、『ドラクエ7』らしくもあり、という作品になっている。
長年のファンはもちろんだが、オリジナル版を途中で挫折してしまった人や、興味はあるが遊んだことはなかったという人に、特に本作をおすすめしたい。
超便利!だが万能ではない高速&自動戦闘。要所のピリつきがより際立つ

本作の戦闘はテンポがとてもよい。
ボタンを押したらすぐキャラクターが動くし、キャラクターのモーションが終わる前に次のキャラクターが動き出す。バトルスピードが3段階で設定できるし、作戦を設定すればターンをまたいでも無操作で戦い続けてくれる。
もっと言うと、フィールドエンカウントで明らかな格下のモンスターとぶつかった場合は、バトルを省いて勝利扱いとなる「いきなり勝利」機能もある。
総じて、高速&自動戦闘の仕組みがとてつもなく充実しており、これは育成やエンカウントのシステム改善と併せて、作業的な戦闘を体感レベルでほぼなくすことに成功している。

しかし、すべてのバトルを高速&自動戦闘でこなそうとすると、痛い目を見る。
作戦設定によるAIの判断はつねに的確なわけではなく、特にMP管理や新要素の「バースト」使用タイミングは極端な判断になりがち。また、バトルスピードが速すぎると、敵がどんな行動をしてきたかなどを見逃してしまうことがあるので、ほどほどにしたほうがよいことも。
結果として、難易度設定にもよるが、「格下との戦闘はとことんサクサク快適、同格以上の敵が多いダンジョンやボス戦は手動でじっくり」というバランスになりやすい。
『ドラクエ7』はストーリーの性質上、同じフィールド内を行ったり来たりすることや、職業を極めるためにザコ戦を繰り返すことがよくあるので、そこで前者のサクサク快適が活きる。
一方、新要素「強力なモンスター」を含む強敵との戦いでは、伝統のコマンドバトルRPGならではの一手ごとのピリつきを味わってこそなので、そこでは後者の手動でじっくりが活きる。
手間をなくすべきところと、そうでないところのメリハリがすばらしい。「戦闘ってこんなに楽しいんだ!」と素直に驚いた。
劇的に短くなったストーリー導入部。しかし、静けさからの高まりや、石板をはめ込むドキドキは健在

『ドラクエ7』は、シリーズ史上もっとも初戦闘までが長い作品として有名である。オリジナル版で3~4時間くらい、3DS版やスマートフォン版で1.5~2.5時間くらいだろうか。
しかし、本作では劇的に短縮!初戦闘までは1時間もかからない!
それでも現代の平均的なRPGに比べれば長いほうかもしれないが、人形劇風の美しいグラフィックに見とれているあいだにどんどん進んでいくので、体感的にはあっという間。

そして、短いからと言って、物語の醍醐味が失われたわけではない。
波の音が響くだけの夜から始まる、静かなオープニング。日が昇り、村の行事や城下町の喧騒を通じて感じられる、人々の穏やかな日常。しかし、ここでプレイヤーは、平和だが箱庭のように狭い世界にどこか違和感を抱き始める。
その直後、それを待っていたかのように「世界には この島しかないって 大人は言うが そんなのは ぜったいに ウソっぱちだ」と言い出すキーファ。主人公はキーファとともに、島のはずれにある謎多き神殿を探検する。
大人が正しいかもしれない。何も変わらないかもしれない。でも、もしかしたら――!

そんな、静けさから徐々に階段を上るように盛り上がっていくストーリー導入部のよさは健在!
むしろ、途中で詰まる要素がなくなってテンポが良くなった分、階段を休みなくトントンと上ることができ、高まりをより感じやすくなったかもしれない。

そして、『ドラクエ7』を代表する要素である「ふしぎな石板」探しも、もちろんある。
これはマップ上にヒントが表示されるなどかなり探しやすくなっており、仮に取り忘れてしまっても、これまで来たところを総当たりで探し回るようなことはしなくてよい。
石板自体は世界中に散らばっており、「えっ、こんなところに!?」「こんな人が持ってるの!?」という驚きも多い。「探す楽しみはしっかりありつつ、不毛な探し直しがなくなった」という印象。よい変化だ。

石板を台座にはめこむ際は、オリジナル版にあったパズル的な要素はほぼなくなったが、自動ではなく、必ず自分の手でボタンを押してはめ込むようになっている。ちなみに、石板に限らず、重要なアイテムを石像に捧げる際なども同じ。自分の手でボタンを押す必要がある。
単純なテンポ重視なら自動にしてもよさそうなものだが、「プレイヤー自身の手で物語を動かす」という体験を大切にしてくれているのだろうな、と感じた。
削っていい手間と削ってはいけない手間があり、本作は削ってはいけない手間を明らかに意図的に残してくれている。
迷わず突き進める親切設計!……だからこそ、決断を迫られたときが怖い

セーブデータから再開すると、これまでのあらすじが表示される!

次に行くべき場所や宝箱の位置が、つねに地図上で示される!

新しい要素が登場すると、解説画面が必ず出る!

難易度設定がいつでも細かく変えられる!
……といった感じで、本作はプレイヤーをサポートする機能が大充実!
一気にクリアしたい人もじっくり進めたい人も、難度を下げてストーリーに専念したい人も難度を上げて強敵を倒したい人も安心!誰でも自分のプレイスタイルで迷わず突き進める!やったね!

……と、言いたいところなのだが。
そこはやっぱり『ドラクエ7』。そして、なんでもかんでも手間を減らすだけではなく、必要な手間はしっかり残してくる『ドラクエ7 Reimagined』。
ストーリーを進めていると、その後の展開に影響する分岐がしばしば発生する。
大きな結末が変わるわけではないが、そこに至るまでの流れが変わり、結果として後味も大きく変わる、というような分岐が。
そしてそれは、原則としてやり直しがきかない。セーブデータを戻さない限り。

つまり、「いやぁ、快適だなー!」とワクワク&サクサクで突き進んでいたところに、いきなり「これ、どうしますか? 人の命がかかってますけど。今この場で決めてください」と言われることがあるのだ。
怖い!メリハリがありすぎる!全体的にテンポがいいぶん、急に制止されて決断を迫られたときのドキドキ感が尋常ではない!
やはり本作は、手間をごっそり削っているように見えて、「プレイヤー自身の手で物語を動かす」ための手間はしっかり残してある。
強敵と手動で戦うこと、石板を台座にはめ込むこと。そして、登場人物の最期を決めること。
ある意味では、開発スタッフの意地悪さすら感じる。
「ものすごくワクワク&サクサクなゲームにしておきましたよ!それはそれとして、トラウマになるべきところはなってもらいますので、よろしくね!」というような。
恐ろしい……!しかし、これこそまさに遊びたかった『ドラクエ7』!
移植ではなく、単なるリメイクとも違う。これぞまさに「Reimagined」!

本作は、もちろんオリジナル版の移植ではないし、かと言って単純なリメイクでもない。わざわざ「Reimagined」と銘打たれた、特殊なリメイク作だ。
ただ、プレイしてみると、「これは明確な意志を持って作り直された『ドラクエ7』なんだな」ということを強く感じた。
だからこその「再構築」。あらゆる面を快適にしつつも、プレイヤーに手間をかけさせるべきところはしっかりかけさせ、『ドラクエ7』ならではの体験を刻みつけていく。

ワクワク&サクサクで、ほどよく手間がかかる。これが現代の『ドラクエ7』!
『ドラゴンクエストVII Reimagined』は、ニンテンドースイッチ2/ニンテンドースイッチ/PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam/Microsoftストア)向けに2026年2月5日(Steam版は2月6日)発売予定。













