
トレーディングカードゲームと言語解読パズルを組み合わせ、ホビーアニメのストーリーを載せた名作フリーゲーム『鏡のマジョリティア』を制作したぱるそにっく氏がSteamに進出し、初の有料ゲームを送り出しました。
その名も『ギルド探求団へようこそ!』。ファンタジー世界のギルドを舞台に、78人の冒険者を特定していく推理パズルゲームです。
アイツはどこにいた? お前は何をした? 脳みそフル回転のリストアップパズルにハマる
本作の主人公は色々な資料を記録している「記録士」のおじさん。一人称視点であり、顔は表示されていませんが、足を悪くしています。
机の脇で待機しているのは、アシスタントの少女。彼女は文字を読むことはできませんが、記録をすべて記号として覚えており、タイトルを教えれば一発で取ってきてくれます。
そんなふたりの下に、冒険者ギルドから依頼が来ました。なんでもギルドに登録した冒険者の記録が紛失したとか……。
彼は足の治療と報酬金を目当てに、ギルドが発行するインタビュー記事やニュース記事をもとに、冒険者たちのパーティ構成を完璧に復旧する仕事を担うのでした。

ゲームとしては『Return of the Obra Dinn』や『The Case of the Golden Idol』のような、断片的なヒントや情報を基にリストを作っていく推理ゲームです。前作『鏡のマジョリティア』に比べると、そこまで尖ったゲームメカニクスではありません。
ゲーム中は「PARTY」と「P-NEWS」という2種類の記事を基に、ギルドに登録した冒険者たちのパーティ構成・役職(戦士、魔道士など)・ランクを正確に当てなければいけません。
チュートリアルで一組をチェックしたあと、残りの19組を一気に当てるパートが始まります。大まかな導線はありますが、どのパーティーから解いていっても構いません。

しかし、可愛らしいイラストや雰囲気のとは裏腹に、なかなかヘビーなパズルになっております。
何せ、ギルドの活動日数は1000日、登録冒険者は78人もいます。当てずっぽうで正解できるわけがありません。
パーティは「リーダー」「メンバー」「死亡者」に分かれており、1000日時点の構成を正確に答える必要があります。一切のズレは許されませんが、その代わり1パーティーごとに記録の正誤が判定され、正解の組み合わせが作れた瞬間にそのパーティーはロックされます。

というわけで、早速記事を読み込んでいきましょう。
『Return of the Obra Dinn』同様、わざわざ固有名詞を言ってくれるキャラクターはなかなかいません。あいつとか、あの時とか、指示代名詞ばっかり出てきます。「こいつが言う“あいつ”はきっとあの人のことだろうな……」とひとつひとつ確認し、メモしていきましょう。
そもそも最初からすべての記事が読めるわけではなく、何の記事が読みたいかを脇にいる天才少女に指示しなければなりません。記事タイトルは英数字で管理されており、これも正確に答える必要があります。何の記事がどんなタイトルなのかを推理するのも必要なんです。
となると、ひとまずすべての記事を机の上に置きたくなってきますが、それはちょっとオススメできません。いま手元にある記録だけで答えを導き出せるかどうかはゲーム側が教えてくれるので(画面に霧がかかっている状態だと、まだ記録が足りないということ)すぐに使うかどうかもわからない資料をいたずらに増やさなくても大丈夫です。

とにかくこの手の推理パズルにあるあるですが、ミスリードに次ぐミスリードで、頭がこんがらがること必至です。素直な名前で登録して、イメージ通りに活躍しているパーティーはほぼいません……かと思いきや、そこはベタなのかよ!? みたいなことの連続です。
しかし、無理のある論理はほとんどなく、記事を読み込み、落とし穴に気づき、しっかりと整理していけばいつかは解くことができます。人間ってのは、本当に重要な情報だけを、スコーンと読み落としているもんなんですよ……。
完全解答できなくとも、ある程度絞り込めれば、あとは怪しい人物や役職を入れ替えれば解けることもあり、多少のローラー作戦が利くのも筆者としてはGOODでした。パズラーってのは、たまにゴリラになりたくなる人種なのでね。
そもそも、この手の物語ベースの推理パズルの長所は、フレーバーから逆算して解ける瞬間があるという点であり、本作もそこが重要です。JRPGや異世界ファンタジー小説などといったサブカルコンテンツの常識に則った世界観なので、そういったものに詳しい人はある程度目星を付けながら遊ぶことができるでしょう(その常識を逆手に取られることもありますが……)。

ただちょっと気になったのは、本作における子どもの扱いです。
本作は20組のパーティーが結成されてからの物語や、ギルドで起きたさまざまないざこざを追っていくゲームなので、必然的に彼らの行く末を辿ることになります。
それらのストーリーはとても良くできており、断片的な情報に追いかけるからこそ真相にたどり着けた瞬間のアハは大きいのですが、ビデオゲームのストーリーにしては、未成年と思しきキャラクターが酷い目に遭うことが多いかと思います。
残酷な描写が綴られることはなく、筆者自身がショックを受けたわけではありませんが、そういった設定に敏感な人には注意が必要かもしれません。

子どもの扱いはさておき、推理パズルとしての骨太さと、冒険者ギルドを巡る物語というキャッチーな設定が組み合わさった素敵な作品でした。悩めば悩むほど、彼らの紡ぐ物語にのめり込んでいき、ギルドの1000日間をじっくりと追体験した感覚に浸れます。あまりにパズルが解けなくて、頭が沸騰してきたら、脇にいる少女の頭を撫でてあげましょう。

それでも解けない場合は、Steamコミュニティに作者の用意した解答があるので、ちょっとだけチラ見してみるのもいいかもしれません。
『ギルド探求団へようこそ!』はPC(Steam)にて配信中です。











