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目指すのは“コンテンツ海外売上高20兆円”―日本で創り、世界に羽ばたくコンテンツとクリエイターを育てる経産省と文化庁の取り組み

海外での展開も視野に入れた、各省庁の支援制度や取り組みについてご紹介します。

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目指すのは“コンテンツ海外売上高20兆円”―日本で創り、世界に羽ばたくコンテンツとクリエイターを育てる経産省と文化庁の取り組み
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2月20日、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は国内ゲーム産業におけるデータや調査結果をまとめたレポート、「CESAゲーム産業レポート2025」の発刊を記念したセミナーを実施しました。

セミナーではコンテンツやクリエイターの支援を行う省庁の働きや、ゲーム開発スタジオによる生成AIの活用事例、グローバルな展開が当たり前となる時代での課題など、さまざまな観点から“ゲーム業界の今”を見る多彩なトピックが語られました。

本稿では、経済産業省の梶直弘氏文化庁の小野賢志氏の二人による、「経済産業省・文化庁の最新動向」の講演の様子をお届けします。

目指すは「コンテンツ海外売上高20兆円」―経済産業省による大規模な予算と支援計画

梶直弘氏(経済産業省)

セミナーで最初に登壇したのは、経済産業省の梶直弘氏(商務・サービスG 文化創造産業課長)。同氏も子どもの頃からゲームに慣れ親しんでいたといいます。

まずは、日本におけるコンテンツ産業の現状の紹介からスタート。2024年に高市早苗総理大臣がクールジャパン担当大臣だったころ、「2033年までに日本のコンテンツ産業の海外売上高20兆円という目標を打ち立て、2025年には政策目標として閣議決定されました。

現在の売上高はおよそ6兆円でうち6割程度がゲームを占めているといいます。目標の実現に向けて関連省庁での連携がすすめられているほか、予算も倍増するなどの取り組みがみられました。政府全体では補正予算が550億円にまで倍増し、そのうち約350億円を経済産業省が確保しています。

しかし世界のコンテンツ産業を見てみると、アメリカは約6,000億円、中国とフランスは約1,200億円、韓国は約750億円規模の財政支援や、減税による支援を行っています。今後は国民の理解を得ながら相乗効果による売上高の成長を目標としているようです。

また、2025年には経済産業省としてのコンテンツ産業への支援の大きな方針となる「エンタメ政策5原則」が設定されました。

  1. 大規模・長期・戦略的に支援する。

  2. 日本で創り、世界に届ける取組を支援する。

  3. 作品の中身に口を出さない。

  4. 真っすぐ届ける。

  5. 挑戦者を優先する。

この原則のもと、日本国内から海外へコンテンツを発信する事業者を持続的に支援し、コンテンツ産業の地盤を強固なものにしていくよう、さまざまな支援を行っていく方針です。クリエイターの育成だけでなく、インディースタジオからAAAタイトルまで、ゲームビジネス全体のエコシステムを形成していくといいます。

支援策は規模や用途にあわせたさまざまなメニューが用意されており、スタートアップ向けの支援では1社あたりの支援額の上限が前年から倍増した1,000万円に。大規模なコンテンツ制作への支援では、2ヶ年の計画で最大15億円までが補助金として用意されています。 さらに、海外市場を見据えたマーケティング費用の支援によって、ゲームのグローバル展開も後押しする方針です。

一方で、支援の対象は新規性の高い挑戦的なプロジェクト、コンテンツのヒット時には補助金を返還納付するという条件も設定されています。また、補助金の申請にあたってはローカライズ言語の追加やクオリティのアップなど、補助金があることで生まれるプラスアルファの価値“追加性”の明確な説明が必要です。

なお、経済産業省ではクリエイターやコンテンツ産業の直接的な支援だけでなく、税制面でもインセンティブを導入しています。試験研究費に応じて控除が受けられる「研究開発税制」は3年間の延長が決定され、製品化前のフェーズで積極的に活用することを梶氏は推奨しています。

また、高付加価値な国内設備投資の推進を目的とし、「大胆な投資促進税制」を創設。35億円以上(中小企業者等は5億円以上)の設備投資を対象に、「即時償却」または「税額控除7%等」の適用を選択できます。この制度により、大規模なスタジオの建設等にも活用可能です。

経済産業省は今後、ロードマップの策定なども計画しています。これまでの補正予算による支援から、ゲーム開発企業が長期的な計画を立てられるような支援体制の確立を目標としているようです。

“文化”としてゲームを、次世代のクリエイターを育てる―文化庁の取り組み

小野賢志氏(文化庁)

続いて登壇したのは、文化庁参事官(芸術文化担当)の小野賢志氏です。文化庁では古墳などの文化財や、歌舞伎などの伝統芸能の保護や振興といったイメージが持たれがちですが、アニメやマンガ、ゲームといったコンテンツも日本の大事な文化として育て、世界に発信していく目標があるといいます。

小野氏の世代はコンピューターゲームの発展とともに成長してきた世代で、小学校の頃にはファミコン、中学生でスーパーファミコン、その後にPlayStationの登場などを経験してきたといいます。また、小野氏自身も幼少期からパソコンに触れていたようです。

文化庁ではゲームをはじめとしたコンテンツの循環を促進するため、4つのサイクルに重点を置いています。

  1. つくる

  2. 届ける

  3. 残す・活かす

  4. 育てる

この方針のなかでは人材の育成はもちろんのこと、コンテンツに触れる機会を増やしたり、海外への発信を増やしたりといった支援も行っています。

さらに、これまでの技術や作り上げてきたものを保存し、次世代へ繋げていくことも重視しています。古いゲームの筐体や基盤も今では立派な文化財として見ることができ、技術面での課題やその解決策、クリエイターの工夫を知識として次の世代へ受け継いでいきます。

「コンテンツとクリエイターの支援」という大きな目標は経済産業省と共通する部分があるものの、経済産業省は事業化や市場展開のサポート、文化庁では人材育成や保存、権利保護など“上流”の部分でのサポートといった差があることを小野氏は強調しています。

文化庁でもさまざまな施策がみられ、近年の大きな取り組みとしては独立行政法人の日本芸術文化振興会にクリエイター向けの基金を設置。令和5年度には60億円(3年度分)だった予算も、令和7年度には175億円(3年度分)にまで増加しています。

毎年度の補正予算は支援するターゲットが異なっており、5年度には卓越した若手クリエイターを対象に、海外での発信機会を設けることで日本出身のクリエイターが世界に羽ばたくことを後押ししています。6年度には高度な人材を育成するための基盤整備、7年度にはコンテンツ制作現場を支えるエンジニアやアーティストの育成などを目標としています。

また、この予算の活用事例としては、企業で活躍するクリエイターをメンターとした育成プログラムの「TGCA(Top Game Creators Academy)」の設立も挙げられています。TGSでもブース出展され、実際にユーザーが手に取ることでフィードバックを得られる経験にもなったようです。


子どもの教育にも携わる文化庁では、CESAとの連携のもと実際にクリエイターを小学校に派遣し、ゲームづくりを体験する機会を設けるなどの取り組みも実施されています。子どもたちの憧れでもあるクリエイターという職業を身近で感じられるだけでなく、創造性や思考力を育成するといった狙いもあり、継続的な授業が設けられているそうです。

そのほか経済産業省や外務省とも連携し、海賊版への対策事業も文化庁が担当しています。国家間での協議のほか、海賊版サイトの実態把握や調査にAIを活用するような事例もみられます。

最後に、小野氏は「今後、時間をかけてゲームを日本の文化として定着させて、次々と新しいクリエイターが生まれてくるような、そんな瞬間をぜひ皆様と一緒に作っていきたいと思います。」との想いで講演を締めくくりました。


ライター:kurokami,編集:宮崎 紘輔

ライター/チャーシュー麺しか勝たん kurokami

1999年生まれ。小さい頃からゲームに触れ、初めてガチ泣きした作品はN64の『ピカチュウげんきでちゅう』です。紅蓮の頃から『FF14』にどハマりしており、Game*Spark上ではのFF14関連の記事を主に執筆しています。

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編集/タンクトップおじさん 宮崎 紘輔

Game*Spark、インサイドを運営するイードのゲームメディア及びアニメメディアの事業責任者でもあるただのニンゲン。 日本の新卒一括採用システムに反旗を翻すべく、一日18時間くらいゲームをしてアニメを見るというささやかな抵抗を6年続けていたが、親には勘当されそうになるし、バイト先の社長は逮捕されるしでインサイド編集部に無気力バイトとして転がり込む。 偶然も重なって2017年にゲームメディアの統括となり、ポジションが空位になっていたGame*Sparkの編集長的ポジションに就くも、ちょっとしたハプニングもあって2022年7月をもって編集長の席を譲る。 夢はイードのゲームメディア群を日本のゲーム業界で一目置かれる存在にすること、ゲームやアニメを自分達で出すこと(ウィザードリィでちょっと実現)、日本武道館でライブすること、グラストンベリーのヘッドライナーになること……など。

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