2023年にニンテンドースイッチ向けに発売された『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』。自分でコースを作れてしまう『スーパーマリオメーカー』シリーズの登場以降、しばらく音沙汰がなく存続が危ぶまれていた2Dマリオシリーズですが、そんな心配はよそに1,500万本以上を売り上げています。
『スーパーマリオメーカー』シリーズではできないような多様な演出、遊びが楽しめる不思議な現象「ワンダー」の要素や、誰でもゲームを楽しめるようにしつつ縛りプレイにも使える「バッジ」システムなど、これまでの2Dマリオにはなかった要素が盛り込まれた最新作です。
そんな『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』のニンテンドースイッチ2エディションである『スーパーマリオブラザーズ ワンダー Nintendo Switch 2 Edition + みんなでリンリンパーク』(以下、『みんなでリンリンパーク』)が2026年3月26日に発売しました。本稿では、あらたに追加されたパーティゲーム要素と一人プレイ用要素の双方についてレビューしていきます。
目玉はあくまで「リンリンパーク」のパーティゲーム要素

『みんなでリンリンパーク』で追加されるコンテンツは主に3つ。さまざまなミニゲームを友達とパーティゲーム的に楽しめる「リンリンパーク」、さまざまな条件下でステージをクリアする「訓練」、リンリンパークを襲った「クッパ七人衆」との“ボス戦”です。
それぞれを触りましたが、やはり目玉となるのは友達とパーティゲームが楽しめる「リンリンパーク」であると感じられます。リンリンパーク内は「おすそわけ広場」と「ルームマッチ広場」に分かれており、それぞれ対戦と協力が楽しめるミニゲームが盛りだくさん。

基本的に2Dマリオのシンプルな操作をベースとしているため、『マリオパーティ』などのようにミニゲーム毎に操作を覚える必要はなく、直感的に遊べます。対戦だけでなく協力ミニゲームも充実しており、ギスギスせずに盛り上がれるのも魅力です。
ミニゲームは20種類を越えており、それぞれ特色に富んでいます。といっても例を挙げなければイメージしづらいかも……ということで、ここではいくつかのミニゲームをピックアップしてそれぞれをレビューしてみます。
◇爆発注意!ボムへいバトル

協力型のミニゲームである「爆発注意!ボムへいバトル」。時間経過でボム兵が指名する運んでほしい人が切り替わる中、上手くパスを回して、ボム兵を爆発させないようにゴールを目指すのが目標です。指名されたプレイヤーがボム兵を持っていない時、ボム兵は自身の導火線を燃やしてタイマーを縮めます。
ボム兵は、指名しているプレイヤー以外が自身を持っている時、逃げるように飛んでいってしまいます。プレイヤーが向いている方向に飛んでいくので、指名されたプレイヤーのほうに飛んでいくように左右方向を上手くコントロールすることでロスなくパスを回すことが可能。ボム兵は障害物に当たることでも爆発してしまうので、プレイヤー間で息を合わせ、どこなら安全にパスを回せるかを考えるのが楽しいミニゲームとなっていました。
おすすめ度:★★★★☆
◇逃げて隠れて!カメーン鬼ごっこ

『逃げて隠れて!カメーン鬼ごっこ』は、その名の通り鬼ごっこをする対戦型ミニゲームです。カメーンを被っているプレイヤーは、Yボタンで出すモヤのようなものを他プレイヤーに当てることで鬼を交代できます。制限時間の最後に鬼だった人の敗北です。
このミニゲームの最大の特徴は、逃げるプレイヤーが周囲のブロックやコイン、おしゃべりフラワーなどに変身できること。ステージは時折真っ暗になるので、その隙に変身して隠れます。2D版「プロップハント」といったイメージですが、特徴的なのは「鬼ごっこ」の名のとおり動的に攻守が入れ替わる部分です。
「最後に鬼だった人が負け」というルールなので、鬼は必死に探し回りますが、マップ自体が狭いので残り1秒で逆転といったことも容易に起こります。逃げる側も、上手く隠れて「しめしめ」としている時間が楽しく、鬼が近づいてきた時に走り回って逃げるか、そのまま耐え忍ぶかという選択に迫られます。ルームマッチ広場とおすそわけ広場の双方で遊べる、勝っても負けても楽しいミニゲームです。
おすすめ度:★★★★★
◇あわせて!ピッタリジャンプ

『あわせて!ピッタリジャンプ』は、ステージをクリアするまでに「ジャンプした回数」の合計を特定の回数に揃えるという、記憶力が試される協力型ミニゲームです。
高難度なステージを選択すると、単にクリアするだけでもそこそこの操作精度が要求されるのに、その上ジャンプの回数までカウントし続けないといけない状態になります。その上、要求されるジャンプ回数は全てのプレイヤーのジャンプ回数の合計となっているので、一人でもカウントを間違っていたら回数は揃いません。一見してシンプルに見えるルールながら、脳が大混乱するミニゲームとなっています。
これと似たミニゲームに『あわせて!ピッタリコイン』というものがありますが、こちらはコインの取得枚数を揃えるバージョンです。
おすすめ度:★★★★☆
◇レース系ミニゲーム5種目
ルームマッチ広場でオンラインでも遊べるミニゲームは、「逃げて隠れて!カメーン鬼ごっこ」を除いてすべてレース系の種目となっています。レースは「飛んで!プロペラフラワーレース」、「突撃!パタパタジェットレース」、「爆走!ローラースケートレース」、「跳ねて!ホッピングボールレース」、「摩訶不思議!?メイズレース」の5種目となっており、それぞれ特徴のことなる乗り物が登場します。

ですが、レース系のミニゲームに関しては盛り上がりに欠けるというのが正直なところです。特に乗り物に乗るレースには逆転要素がほとんどなく、1位が独走する展開が覆りづらいです。
基本的に、『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』のオンライン要素は、お互いが透けて表示され、干渉し合わないようにデザインされています。そのため、他のプレイヤーにぶつかって妨害したりといった相互にアクションをする面白みはなく、単に操作精度の勝負となっています。一応、一部のレースでは、前のプレイヤーの後ろに陣取るとスリップストリームで加速するという要素があるものの、1位が離れた位置で独走している場合追いつく手段はありません。
「飛んで!プロペラフラワーレース」:おすすめ度:★★☆☆☆
「突撃!パタパタジェットレース」:おすすめ度:★★☆☆☆
「爆走!ローラースケートレース」:おすすめ度:★★☆☆☆
「跳ねて!ホッピングボールレース」:おすすめ度:★★★☆☆
「摩訶不思議!?メイズレース」:おすすめ度:★★★☆☆

このほかにも「リンリンパーク」にはさまざまなミニゲームが用意されており、家族や友達と楽しくパーティゲームを楽しむことが出来ます。一方で、上述のとおりルームマッチ広場のミニゲームに関しては盛り上がりに欠ける印象です。
上述のとおり、本作のオンライン要素はお互いに透けてインタラクションができない仕様であり、駆け引きを作り出す事は困難なように思えます。オンラインで「リンリンパーク」のミニゲームを楽しみたいと思っている人にとって、本作は満足のいく内容ではないかもしれません。
本編になかったことが惜しまれる多彩なボス戦
もう一つの目玉コンテンツは「クッパ七人衆」とのボス戦です。クッパ七人衆とは、「ラリー」、「モートン」、「ウェンディ」、「イギー」、「ロイ」、「レミー」、「ルドウィッグ」の7人で構成されるクッパ軍団の精鋭たちのこと。過去作の時点でそれぞれ異なる特徴を持つキャラクターでしたが、今回は「ワンダー」の不思議なパワーによって、さらにはちゃめちゃなギミックの数々を見せてくれます。


元々、『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』は「ワンダー」の現象で巻き起こる多彩なギミックと、それを盛り上げるアート、演出面が魅力の作品でした。幾何学的な模様が特徴的な地形や岩肌、明るくカラフルな色彩、きらびやかなエフェクトと、丸みを帯びた可愛らしいキャラクターたち。一転して、「ワンダー」が巻き起こるとサイケデリックな色彩とエフェクトが展開され、ゲーム全体の体験にコントラストを作り出します。
『マリオ』のキャラクターやギミックといえば、あくまで遊びのためにデザインされていることに自覚的であることが特徴です。そのモチーフや形状、視覚効果だけで今回どんな遊びが要求されているのかが分かる。それでいて、『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』ならではの、これまでにない美しいアートで世界観が描き出されています。


新たに追加されたクッパ七人衆戦でも、そういったアートと遊びが一体となったデザインの魅力は遺憾無く発揮されています。「ワンダー」のパワーであらたな姿に変身し、さまざまな攻撃をしかけてくるクッパ七人衆は、遊びと視覚の両面で過去作以上に多様にプレイヤーを楽しませてくれるものになっていました。
これは、本編『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』のボス戦がほとんど毎回「クッパJr.」戦だったことと対照的です。毎回異なる「ワンダー」のパワーによって、同じクッパJr.戦でも多少の味変はあったものの、遊び、視覚の両面で多様さに欠けていたことは否めません。そういう意味で、今回のクッパ七人衆戦は、その埋め合わせのようにも感じられます。

クッパ七人衆によるボス戦は、本編のフィールドのあちこちに散らばって配置されます。これは、本作を本編含めてはじめて楽しむ人でも問題なく遊べるようにするための仕様であり、周辺のコースの難易度にあわせてクッパ七人衆戦も手強くなっていきます。こういった「はじめて遊ぶ人にとっては最初からそこにあったものかのように追加要素を配置していく」手法は任天堂作品のDLCとしてはおなじみのものです。

そのため、各ボス戦もその周辺のコースのテーマにあわせたものとなっています。たとえば樹海のフィールドでは植物に変身する「イギー」が、山脈のフィールドでは硬い鉱物に覆われる「ラリー」が登場します。本編を進め、新たなフィールドとコースを遊んでいる中で現れるボス戦としてデザインされているのです。
ですが、本編をクリア済みでDLCを購入したプレイヤーにとっては、これらのボス戦はすぐにアクセス可能なため、ボスラッシュのように連続で消費するコンテンツでしかありません。
せっかく各コースのテーマにあったボスがいても、道中のコースを経由することなくボス戦をはじめることになるため、せっかくの魅力的なボス戦が味気なく感じられるという面もあるように思えます。あらためて、ボス戦とは道中とセットで盛り上げるものなのだと強く感じさせるのです。本編のボス戦がもともとこうなっていなかったことを惜しまずにはいられません。
チャレンジングなエンドコンテンツとしての期待に応える「訓練」
基本的にはマルチプレイで楽しむ要素にフォーカスされている『リンリンパーク』ですが、一人用に用意されたチャレンジングな要素である「訓練」も存在しています(複数人で遊ぶこともできます)。


「コインを取らずにゴールする」、「時間内にすべての敵を倒す」、「無敵状態を維持したままゴールする」など、さまざまな条件下で、次第に難易度の上がっていくミッションを攻略していく、エンドコンテンツ的な要素です。任天堂のアクションプラットフォーマーが時折みせる高難度なチャレンジに惹かれるユーザーにとっては、これが一番気になっている部分かもしれません。
訓練のミッション数は70を越えており、それぞれ練られたレベルデザインと、異なる条件による遊びの緩急によってしっかりと楽しめる内容になっています。高難度なチャレンジを求めているユーザーにとっては、手応えが得られるほどの難易度になるのにはかなり時間がかかるのですが、最後の方のミッションはしっかりとその期待に応えてくれるものになっていました。


これらのミッションは、基本的に本編のコースの地形を流用しており、そこに一部のギミックを追加したり、条件を付与することによって遊びをデザインしています。本編ですでに遊んだコースであっても、コインの取得を縛ったり、バッジを変化させたりといった条件次第でこうも遊びが変わるのかと驚くはず。
一方で、特に時間制限のある高難度なミッションについては、地形が流用されているためにレベルデザイン面で無理が生じており、純粋に動きの流れが心地よいものになっていない部分も見られました。
基本的に『マリオ』シリーズは、キャラクターのジャンプの高さやジャンプの幅、攻撃のリーチなどを前提に気持ちよく進められるように地形や敵配置がデザインされており、「バッジ」による動くの多様さが加わったとはいえ『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』でもそこは同じです。

訓練は、そのようにデザインされた既存の地形や敵配置を流用してなお面白い遊びになるようにさまざま条件が付与されたコンテンツですが、上述の理由から一部のミッションには既存の地形とのコンフリクトが発生しているように感じられます。
それでも、全体としては2Dマリオらしい優れたデザインでさまざまなチャレンジを楽しめるものになっていることは間違いありません。上述したクッパ七人衆戦の強化版が登場するなどエンドコンテンツらしい要素も用意されており、任天堂タイトルの高難度なチャレンジを好む人ならば相応に満足できるもののように思います。

家族や友達ともっといろいろな遊びを楽しめるようになった『スーパーマリオブラザーズ ワンダー Nintendo Switch 2 Edition + みんなでリンリンパーク』。目玉となる「リンリンパーク」のミニゲームは対戦・協力の双方で、友達と盛り上がれる内容が充実しています。
一方で、オンラインで遊べるリンリンパークの「ルームマッチ広場」については、盛り上がれるミニゲームが不足している印象です。本編と同様に、オンラインで友達と楽しむという用途で本作をオススメすることは難しいかもしれません。
一人で楽しめる要素としては、『ワンダー』ならではの視覚的・ギミック的多様さが際立つ「クッパ七人衆」によるボス戦が新たに追加されました。70を超えるミッションが待つ「訓練」も、エンドコンテンツとして不足のない内容です。総じて、2,000円のDLCとしては価格相応に満足できる追加要素となっていました。
Game*Spark レビュー 『スーパーマリオブラザーズ ワンダー Nintendo Switch 2 Edition + みんなでリンリンパーク』 ニンテンドースイッチ2 2026年3月26日
目玉となるパーティゲーム要素だけでなく、一人用の遊びも充実した手堅いDLC
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GOOD
- 2Dマリオがベースだからこそ誰とでも直感的に楽しめるパーティゲーム要素
- 「対戦」だけでなく「協力」も楽しい、充実したミニゲーム
- 「クッパ七人衆」は『ワンダー』らしいアート面の魅力が際立つ多彩なボス戦
- 同じコースでも条件次第で遊びが大きく変わることを示すチャレンジングな「訓練」
BAD
- せっかくの充実したミニゲームのほとんどがオンラインでは遊べない
- 「訓練」の一部は、既存のコースの地形を流用しているゆえにアクションのリズムに難がある
※UPDATE(2026/04/05 12:36)レビュースコア部分を修正しました。ご指摘いただきありがとうございます。













