『Slay the Spire2』のリリースから約3か月。その面白さに囚われて多くの時間を溶かしたプレイヤーも少なくないと思います。デッキ構築ローグライトというジャンルの熱が高まる今、ブラックジャックを題材にした異色の一作『Black Jacket』が登場しました。
本作は、死後の世界を舞台に魂のコインを賭けてブラックジャックに挑むデッキ構築ローグライトです。
今回は、そんな『Black Jacket』を実際にプレイしました。ブラックジャックというシンプルなゲームの分かりやすさと、デッキ構築ローグライトの中毒性がどのように噛み合っているのかを紹介します。
何でもあり!イカサマ前提のブラックジャック
本作の基本的なルールは、ブラックジャックというゲームを知っていればすぐに理解できるはずです。プレイヤーと対戦相手が1枚ずつカードを引き、21を超えないように手持ちのカードの点数の合計を21に近づけ、その点数が相手を上回った方の勝利です。


しかし、シンプルなブラックジャックで終わらないのが本作です。
たとえば、デッキの上から数枚をめくって確認したり、相手にベットを強要したり、カードを燃やして場から消してしまったりと、勝つためなら何でもあり。もちろん21に近づけることは重要ですが、ただ運に任せてカードを引くだけではなく、効果をうまく利用して“そもそも相手に勝負をさせない”立ち回りも重要だと感じました。
本作では、トランプのスート、つまりクラブやスペードなどの記号によってカードの特性が変わります。ハートならカードが負の値になったり、ダイヤならカードの並びを変えたり、炎のスートならカードを焼却したり、歯のスートならほかのカードの数字を減らしたりと、その効果はさまざまです。

開始時点でのデッキは1種類のスートのみですが、ショップに出現するスートを別に2種類指定します。ショップや強化を経ることで、1つのデッキに異なるスートのカードを加えることができるので、これが何を意味するかというと……。
カードの背面の絵柄から、ある程度数字が推測できてしまうのです。イカサマ、始まったな……。

しかも、勝負中にもカード一覧から背面の見え方を確認可能。つまり、カードの表面を見る前から情報を拾い、次に何が来るかを推測しながら立ち回れるわけです。イカサマし放題です。やった~!
カードそのものが情報に
場の右側にある2つのスロットは、カードをプレイするために追加のベットが必要になります。その代わり、プレイ時に特殊な効果が発動します。カードの数字を上下させたり、相手にベットを強要したりとやりたい放題!
また、カードを一時的に保持できる“スリーブ”も重要な要素です。引いたカードをその場ですぐに使うのではなく、温存して狙ったタイミングで切れるため、バースト回避やコンボの準備に役立ちます。
背面や刻印でカードの情報を把握し、必要なカードをスリーブに保持しておくことで、ブラックジャック本来の「引いたカードに対応する」遊びから一歩進み、“次の勝負の為に仕込む”ような立ち回りができるのも本作ならではの面白さです。

さらに、J、Q、Kなどの絵札を持ったカードは、互いに干渉を起こすことがあります。たとえばJとQを同時に場に出すと、Qが惨殺され、カードが半分になってしまうことも。しかも、その半分になったカードは背面から確認できたり、返り血にまみれたカードとして判別できたりします。絵札にも複数の種類があり、どのような干渉を起こすかは組み合わせ次第。プレイを続けて新たな絵札を開放していくことで、デッキ構築の幅も広がっていきます。


本作では、単に運だけで強いカードが引けるように願うだけではなく、カードの情報を読み取り山札のカードを推測し、それを勝負へ利用します。ブラックジャックではありますが、運だけではない部分が本作の特徴であり、魅力だと思います。
マップを進みボスとの勝負へ
勝負のテーブルから離れると、マップ上を移動して次のイベントを選択します。ショップを訪れてカードを購入したり、カードを強化したりしながらデッキを整え、最奥に待ち構えるボスへ挑みます。ボスを3回倒せばランは終了。無事勝利となります。

ボスにも複数種類がおり、各ボスには関係値を深める要素が存在します。勝負に勝利することで上昇し、ボスの過去を覗き見ることができます。また、絵柄のトランプを開放してくれたりもします。


不穏で洒落たビジュアル
グラフィックやUIについても触れておきましょう。
本作は、地獄から抜け出すというテーマに沿った、一貫性のあるダークなビジュアルが特徴です。登場人物たちは基本的に顔が描写されず、手だけで登場します。しかし、その手の動きやデザイン、テーブル上の演出だけでもキャラクター性はしっかり伝わってきます。

サウンド面も好印象です。カードをめくる音やチップを扱う音、BGMの質感が心地よく、長時間遊んでいても負荷が少ない作りになっています。さらに、地味にモブを含めてフルボイス。カードによっては専用セリフまで用意されており、細部まで作り込まれていることが伝わってきました。
ただ、日本語訳は残念な部分も。書き方の微妙な差はあれど「これって相手の山札と自分の山札どっちを確認できるんだ……?」となったり、「なんか数字増えた!?どの効果!?」といったことは少々ありました。プレイを続けて効果を理解していけば大きな支障にはなりにくいものの、カード効果の読み違えが勝敗に直結するゲームだけに、少し惜しい部分だと感じました。

総評として本作は、ブラックジャックという誰でも理解しやすいゲームをベースにしているからこそ、デッキ構築ローグライトの奥深さがより体験できる作品です。
魂を賭けたブラックジャックで地獄を抜け出す。その言葉に心惹かれたら、一度勝負のテーブルについてみてはいかがでしょうか。
『Black Jacket』はPC(Steam)向けに1,799円で発売中です。











