ーーまずは、読者に向けて自己紹介をお願いできますか?

Dury: ショーン・デュアリー(Sean Durrie)です。ディラン・フェイデンを演じています。

Casorenin: ミカエル・カスリネン(Mikael Kasurinen)です。クリエイティブ・ディレクターを務めています。
ーーありがとうございます。まずお聞きしたいのですが、今回ジェシーではなくディランを主人公に選んだのはなぜですか?
Casorenin: 『CONTROL』は当初から、一つの世界を描く物語であり、異なる主人公を通してその世界の様々な側面を見るフランチャイズとして構想されていました。『アサシン クリード』や『グランド・セフト・オート』などのように、そういったアプローチの例はたくさんありますよね。これはRemedy版のそうした試みなんです。私たちがやっていることで面白いのは、進行中の世界の物語を描きつつ、完全に新しいキャラクターを導入するのではなく、「すでにその世界に根付いているキャラクター」を使っている点です。誰もがディランを知っています。もちろん彼には「本当はどういう人物なのか」といった謎めいた部分がありますが、この体験における彼の存在感はすでに皆が理解しています。今回はただ、『CONTROL Resonant』を彼の視点から見ることを選んだということです。
ーーなるほど。ジェシーとディランの対比が非常に面白いと思いました。ジェシーはどちらかというと遠距離型のキャラクターでしたが、ディランはより近接型で、地に足の着いたキャラクターですよね。私がプレイした限りそう感じました。これは意図的なものですか、それとも単なる偶然ですか?
Casorenin: 間違いなく意図的です。2人の姉弟を見たとき、「同じコインの裏表」のような感覚を持たせることが重要でした。2人とも自立しており、独自のアプローチややり方を持っていますが、相手と比べると全く異なる場合があります。つまり、もう一方がやっていることの「逆」を常に意図的にやっているようなものです。ジェシーが銃を持っているなら、ディランは近接武器を持つ、というように。
彼らの全体的な旅路を見てもそうです。彼らは子供の頃に引き離されました。ジェシーは常に外の世界で生きてきて、弟を探すためにオールデスト・ハウスへと足を踏み入れ、そこで何が起きたのかを理解しようとする中で、この奇妙な超常世界を発見します。一方ディランは、常にオールデスト・ハウスの内部、超常世界の中にいて、彼にとっては奇妙なことが「普通」なのです。しかし今回の彼の旅はその逆です。彼はオールデスト・ハウスの内部から、ニューヨークの通りへと足を踏み出し、彼にとって「奇妙」である「普通の生活」へと入っていくのです。ゲームを通して、このような「逆の旅」がたくさん描かれています。
ーー素晴らしいですね。私はデモ版しかプレイしていないので、ディランについて知っているのはそれだけです。それに前作『CONTROL』の中でも、彼は私にとってまだ非常にミステリアスな存在です。お二人の視点から、ディランがどのような人物で、どんな性格なのか説明していただけますか?
Dury: ミカエルの言葉を借りるなら、まさに「コインの裏表」です。前作のジェシーは自分の「強さ」を持っていて、自分の「能力」を見つける必要がありました。一方ディランは「能力」を持っていますが、自分の「強さ」を見つける必要があります。彼は10年にわたるトラウマを経験し、ヒスに乗っ取られた後、ようやく目を覚まします。そして今、彼は初めて自分自身を取り戻したのです。彼は自分自身を見つめ直し、再び一人の人間としての自分を認識します。そして今度は、再び人間になること、自分の強さだけでなく「目的」を見つけるための各ステップを歩まなければなりません。なぜなら、究極的に彼は「人を助けたい」と思っているからです。それが人間としての彼なのです。彼が自分の過去をどう償いたいか、あるいは償おうとするか、それがこのゲームの物語です。
ーー今、ストーリーについて言及されましたね。プレイした中でゾーイとの会話の選択肢がありました。すべての会話の選択はストーリーのエンディングに影響を与えるのでしょうか?
Casorenin: プレイヤーは何に興味を持っているか、そしてディランというキャラクターをどう表現したいかを選ぶことができます。会話をどのように進めるかによって、さまざまな異なる事実を見つけることができるでしょう。話題をすべて選び尽くしてから別の話題に移るような典型的なRPGのシステムではなく、実際の会話のようにナビゲートしていくような感覚を目指しました。
会話を進める中で、この体験にさまざまな形や色を見つけることはできますが、それがエンディングに影響を与えることはありません。私たちが語りたい物語は一つです。ディランの旅路も一つです。ショーンが言ったように、彼はトラウマや罪悪感、たとえ過去に起きた出来事の多くは彼の責任ではないにもかかわらず向き合うという興味深い立ち位置にいます。そういった種類の旅路であり、一つの結末に向かうよう細心の注意を払って作り上げたものです。
ーーわかりました。今回「Evacuation Zone(避難区域)」と「Sinkhole(陥没穴)」をプレイしたのですが、この2つのエリアの詳細について教えていただけますか?
Casorenin: 世界はいくつかの「ゾーン」に分かれています。1作目で「セクター」があったように、各ゾーンは探索可能なバブルのような場所です。多くの出来事が起きており、様々なクエストなども存在します。その考え方をマンハッタンにも適用しており、その中に異なるゾーンが存在します。それらはすべて相互に繋がっており、ゾーン間にはチェックポイントのようなものがあります。
そして各ゾーンには独自のアイデンティティや「色」があります。ヒスの影響を強く受けているゾーン(Evacuation Zone)もあれば、別のゾーンではモールドが強い存在感を示していることもあります。また、時間や物理法則の喪失にもパターンがあります。そのため、ゾーンごとに時間帯が異なったり、天候が異なったりします。つまり、その空間を支配している超常的な力は何か、その下にある都市環境のベースは何か、そして時間帯や天候はどうなっているか。これらを重ね合わせることで、大規模でありながら独自の彩りとアイデンティティを持った、非常にユニークな世界を作り出しています。
ーーつまりEvacuation ZoneやSinkholeについては今後さらに見ることができるわけですね。私がまだプレイしていない他のゾーンについても、何か教えていただけることはありますか?
Dury: もちろん他にもゾーンはあります。ただ、まだ言っていいのかどうか分かりません(笑)
Casorenin: そうですね。ゾーンがいくつあるかを発表する段階にはまだありませんが、複数存在するのは確かです。
ーー今回はいくつかのアビリティや武器、そしてカスタマイズをプレイできました。2つの武器形態を使えましたが、現時点で武器の形態はいくつあるのでしょうか?
Casorenin: 形態がいくつあるかについてはまだお話しする段階ではありませんが、ゲームを進めるにつれて獲得できる、非常に異なっていてユニークでクールな形態がいくつか用意されています。
ーー他作品からのイースターエッグや繋がりはありますか?ゾーイとの会話の中で、彼女が別の次元、AWE(オルト・ワールド・イベント)に対処しているという話がありましたよね。彼女はFBCの人間ですし。そこで気になったのですが、『CONTROL Resonant』をプレイする前に『FBC: Firebreak』をプレイしておくべきでしょうか?初代『CONTROL』はすごくプレイしたのですが、『FBC: Firebreak』はまだプレイしていないので。
Casorenin: 『FBC: Firebreak』など、私たちが制作したこれらのゲームはすべて、同じ世界を覗く独自の「レンズ」ですが、同時にそれぞれが独立して成立するように設計されています。ですので、別々にプレイすることが可能です。事前に『FBC: Firebreak』や初代『CONTROL』をプレイする必要はなく、直接『CONTROL Resonant』に飛び込んでも最初から最後まで独立した一つの物語として楽しむことができます。もちろん、より広い視点を持ちこのユニバースで他に何が起きているのかを知りたい場合は、過去のゲームをプレイしていただくこともできます。
ーージェシーに何が起きているのかお話しいただけますか?デモでは彼女の姿を少し見たのと、幻影を通して会っただけでした。彼女についてわかっているのはそれだけです。
Casorenin: 彼女は間違いなく何かに直面しており、それを解明しようとしています。しかし、現時点で彼女に何が起きているのかは謎に包まれています。
ーーディランについてですが、彼はミステリアスでありながら同時に責任感が強く非常に礼儀正しいと感じました。昏睡状態にあったりヒスに乗っ取られていたからというわけではなく、彼の性格自体がとても親切で少し無垢な感じがしました。
Dury: ええ、そういった側面は確かにあります。彼の物語を語る上で、彼が目を覚ますことはある意味で「再生」のようなものだと捉えたかったのです。彼は私たちのような普通の子供時代を過ごしていません。10歳くらいでオールデスト・ハウスに入り、あなたがプレイした今まで一度も外に出たことがなかったのです。ですから、自分の手に太陽の光を浴びるということは彼にとって非常に特別な体験です。なにしろ20年ほど太陽を見ていなかったわけですから。そこには再発見という側面が強くあります。
また、彼は計り知れないほどの罪悪感を抱えています。1作目の『CONTROL』よりも前に起きた出来事のせいで、彼は幽閉されるという状況に陥りそれが彼に重くのしかかっているのです。単なる間違いではなく悲劇を引き起こしてしまったと感じれば、それは魂に重くのしかかります。ですので、このゲームは彼がそれに直面するだけでなく最善を尽くしてそれを克服し、内なる強さを見つける姿を描いています。
そこに気づいていただけて嬉しいです。それこそまさに、私がゲームの冒頭で表現しようとしていたことですから。ゲームをプレイして結末にたどり着いたとき、彼が最初と最後でどう変化したかを見届けていただければと思います。
Casorenin: それに一つ付け加えると、このゲームの始まりでディランを発見したとき彼は自分の頭の中にある「ギャップ」にいます。彼はその7年間ずっとその場所にいたのです。ですから、彼には過去に起きた多くのことを処理するための時間もたっぷりとありました。そうした場所から抜け出してきて、ショーンが言ったように太陽の光を見たりすることで深い感動を覚えているのだと思います。彼は罪悪感を背負いながらも、世界に出たいと願っているのです。太陽を感じたい、他の人々と繋がりたいという強い欲求が彼の中にあります。その一方で、過去に起きたことへの責任も感じているためそれが世界にいる他の人々との間に興味深い関係性を生み出しています。
ーーそれを見るのが楽しみです。さて、私は初代『CONTROL』はレイトレーシングの素晴らしさを初めて教えてくれたゲームだったと思います。それ以前はレイトレーシングが好きではありませんでした。正直PCのリソースを無駄にしているだけだと思っていて……。しかし『CONTROL』は本当に私の目を開かせてくれました。現在では多くのゲームがレイトレーシングやレイ再構築を採用していますが、今回の『CONTROL Resonant』がどのような映像をもたらしてくれるのか期待しています。
Casorenin: それは技術スタッフやアートディレクターに向けるべき質問かもしれませんが、私から言えるのは、私たちがビジュアルデザインを深く気にかけているということです。ご覧いただいたように、実写の特殊効果などを取り入れそれを体験に統合するといった多くのレイヤーがあります。私たちは独自のテクノロジーを構築しているので、プレイヤーに最高のビジュアル体験を提供できるものを常に見つけ出そうとしています。
ただ単に「そこにあるから」という理由だけで技術を導入することは避けたいと考えています。意図的であり、目的を持ったものであってほしいのです。それが、1作目でレイトレーシングを見たときの考え方でした。より大きな体験の中で果たすべき役割があったのです。
ーークリエイティブな面についてお聞きします。初代『CONTROL』では各セクターに独自のテイストがあった点がとても好きでした。今回の新作を作るにあたって1作目と今作とでどのように違いを出そうと決めましたか?
Casorenin: それも先ほどの「コインの裏表」の考え方に戻ります。オールデスト・ハウスを見ると、閉所恐怖症的で圧迫感があるように感じられます。ジェシーは文字通り「不思議の国」へと入り込み、彼女にとっての新しい現実である超常世界を発見していくという旅でした。外から見るよりも中がはるかに広大に見える世界を探索するという、ミステリアスで奇妙な旅です。
今回はその逆の旅路ですから、当然ディランは現実の自然な世界に置かれる必要があります。閉所恐怖症の反対、つまり「広場恐怖症」のようなものです。開けた空間が怖いと感じる感覚ですね。ディランが太陽の光を浴びるとき、空の下を歩き、そのすべてを見て感じることは彼にとって恐ろしい瞬間でもあるのです。もちろん、ヒスが現実世界に逃げ出していることに彼はショックを受けますが、そこには途方もない感覚があります。私たちにとって見慣れた光景でも、ディランにとってはそうではない。それが全体的な体験として面白くしている部分です。兄弟がそれぞれ異なる旅をしていると考えれば、チェス盤の上の駒をどう配置すべきか全体をどうデザインすべきかは自ずと明らかでした。
ーーこのゲームを「ストーリー主導」か「アクション主導」のどちらかで表現するとしたらどちらを選びますか? 私は『CONTROL』のストーリーも好きですが、アクションも大好きです。
Casorenin: 個人的には、ゲームをユニークにしているのはインタラクティブな側面だと思っています。自分がその世界にいるように感じられ、没入でき、自分が足を踏み入れる前から存在していたかのような空間に入っていく感覚です。そして、その中での進み方を自分で選びます。主体性を持ったプレイヤーの選択です。
ですので、私は必ずしも「アクション主導」という言葉は使いませんが「プレイヤー主導」だと言いたいですね。世界をどう進むか、どうアプローチするか、何に注意を払うかを自分で選ぶことができます。私にとってはそれが非常に重要です。すでに存在する物語を本のように読むような感覚にはしたくありません。インタラクティブであり、自分自身で体験し、自分自身の選択によってその旅路を定義していくものなのです。
ーー最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いできますか?
Dury: 日本のファンの皆さんへ。このゲームをただプレイするだけでなく、心から楽しんでいただけることを願っています。『CONTROL』の世界がどれほど広大になり得るか、そして私たちが創り上げたこの世界の可能性を発見してください。また、ディランの旅を個人的なレベルで楽しんでいただければ幸いです。
Casorenin: 正直なところ、私から付け加えることはあまりありませんね。完璧なメッセージでした。











