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トラウマを抱える人が前に進むために。『BrokenLore: FOLLOW』は過去と向き合う自己受容ホラー

主人公の記憶を辿る、自己受容の旅。

連載・特集 プレイレポート
トラウマを抱える人が前に進むために。『BrokenLore: FOLLOW』は過去と向き合う自己受容ホラー
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現代はまさに大”短編ホラー”時代開発で言えば「チラズアート」、シリーズで言えば「Fears to Fathom」、パブリッシャーで言えば「CRITICAL REFLEX」なんかも、この短編ホラーの時代を彩る立役者といえるでしょう。

そして2025年、『BrokenLore: LOW | 霧雨村』をデビュー作として引っ提げた、Serafini Productionsによる『BrokenLore』シリーズが彗星のごとく登場しました。次々にシリーズ作品を開発し、現時点で4作品をリリースし、さらに今後3作品の発表も予定されています。

そんな『BrokenLore』シリーズの最新作が『BrokenLore: FOLLOW』です。SNSにおける承認欲求をテーマに描かれた『BrokenLore: UNFOLLOW』の前日譚でありながら、自己受容というポジティブなテーマを扱う前作に深みを与えるような作品に仕上がっていました。

本稿では、『BrokenLore: FOLLOW』のプレイレポートをお届けします。なお軽微なストーリーに関するネタバレが含まれるので、閲覧の際はご注意ください。

主人公・アンの記憶を辿る自己受容の旅

ゲームを開始するとクリスマスツリーが鎮座する古びた部屋で、前作の主人公「アン」が目を覚まします。この光景が自分の子供時代のものだと気づいた彼女は、どこか懐かしさを覚えているよう。

テレビに映ったダンサーを見ては「彼女のようになりたかった」と子供のころの夢をこぼし、人形を手にしては「授業で作ったな」と思い出を振り返るアン。

作りこまれたロケーションだけでなく、テキストや映像を用いて、在りし日のアンの家が説得力を持って描写されています。

本作の特徴はこのように、プレイヤーが主人公の過去を追体験しながら、今の状況を明らかにしていく点にあります。

思い出の品が次々と目の前に。

しかし、その過去には現実にはあり得ないはずの決定的な違和感が潜んでいます。これまでのシリーズでは、部屋中に目玉が生えてきたり、霧がかった町が舞台であったり、妖怪が登場したり、まるで統一感のない怪異が容赦なくプレイヤーに襲いかかっていました。

『BrokenLore: FOLLOW』で登場する違和感、それはノーム人形のような「小さなアン」です。地に足の着いた現実的な描写から一転、陽気な小さなアンが、姿を現し意味深な言葉を主人公のアンに投げかけます。

ここから雰囲気は一転、不穏なものへ。

脱出ゲームのように「ここから出るために鍵を手に入れよう」となるのではなく、「人形の中にあるライターをハサミで取り出して、クリスマスツリーを燃やそう」という、夢の中でしか通用しないような独自の論理でゲームは進行していきます。現実の文脈が通用しない不条理さが、プレイヤーをじわじわと不安にさせます。

ツリーを燃やし終えたと思ったら、本作の最大の敵である「ママ」がアンを家から追い出すように、突き飛ばし最初のチャプターは終わりを迎えました。

異様に細く長いマネキンのような体、髪のない頭と強烈なビジュアルがプレイヤーに恐怖を植え付けます。

またチャプターを完了するごとに、「小さなアン」を操作する横スクロールアクションのミニゲームが用意されています。まるで『Limbo』や『リトルナイトメア』のような操作感ですが 、一つ違うのは「小さなアン」が常に巨大な顔に追われている、という点です。

巨大な顔に追いつかれないよう障害物を避けながら、ゴールまで到達する必要があります。

次のチャプターに進むと、今度は廃墟になった学校のような場所にロケーションを移します。前のステージに赤色が多用されていたのに対して、このステージには不自然なくらいにオレンジ色が配置されています。

それもそのはず。本作のもう一つの特徴は、各チャプターごとにそのステージを象徴する色が決められている、という点にあります。

「西洋文化においてその色が何を表しているのか?」ということが壁に書かれ、アンの過去の記憶とも結びついてその内容が理解されていきます。

例えば、あるステージではオレンジ色は「活発かつ抑圧的」と説明されます。アンはここで「絵を描きたかったのに、母親に反対されて怒り狂った」という過去の記憶を再現することに。

色と記憶に沿って展開するゲームプレイは、まるで何か大きな意思によって操られているかのような不気味さをじわじわと突きつけてきます。

そんなそれぞれの色を象徴するチャプターを巡る中で、『BrokenLore』おなじみの「あのマーク」に遭遇することもありました。家紋のような、それでいて脳みそのようなマークが唐突に、しかし、物語を大きく動かす場面で登場します。

『BrokenLore』シリーズが持つ、SF的なホラー成分を象徴するような要素は本作でも健在でした。

前作『BrokenLore: UNFOLLOW』では、インフルエンサーとして悲惨な現実を目の当たりにしたアン。

『BrokenLore: FOLLOW』ではFOLLOW(フォロー)の名の通り、トラウマを作った過去を直視し、自分を受け入れていく、という自己受容のプロセスが描かれます。

その過程は恐怖に満ちていましたが、アンが一歩前に進むためには必要なものだった、そう思わされるプレイ体験でした。


以上、過去のトラウマと今一度対峙し、それを乗り越えていくホラーゲーム『BrokenLore: FOLLOW』のプレイレポートをお届けしました。

これまでの『BrokenLore』シリーズは結末に救いのない作品が多かったのですが 、本作は『BrokenLore: UNFOLLOW』のスピンオフ作品ということもあって、これまでとは方向性の異なる希望の持てるアプローチが光っています。

エンディング後にはさらなるシリーズ作品とのつながりを示唆する演出も盛り込まれており、広がり続ける『BrokenLore』ユニバースの今後への期待が高まる締めくくりでした。


ライター:ようげ,編集:八羽汰わちは

ライター/3D空間を一人称視点で歩くのが好きです。 ようげ

隠れた宝石のようなゲームを日々探しています。 英日ゲーム翻訳者としても活動中。

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編集/ 八羽汰わちは

はちわたわちは(回文)Game*Sparkの共同編集長。特技はヒトカラ12時間。

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