Game*Sparkのライターが話題作を語る「良いところ・悪いところ」。本企画では、世間で注目を集めるゲームについて、複数のライターがそれぞれの視点から「ここが良かった」「ここは気になった」というポイントを率直に語ります。ひとりのレビューでは見えにくい、多角的な評価や意見の違いをお読みいただけます。
今回で取り上げるのは、人気作がリメイクされた『アサシン クリード ブラック フラッグ RE:シンクロ』をお届けします。
圧倒的に美しいカリブ海と極上の海賊体験―惜しさが残る近接戦闘と声優変更(各務都心)
目を見張るほど美しいカリブ海を、極限まで綺麗に描いたグラフィック表現にまず驚かされます。透き通る海、広がるジャングル、男たちが行き交う船着き場……スクリーンショットを撮る手が止まりません。
ただでさえ面白かったストーリーに、コンテンツが追加され、海賊たちとしての冒険がいっそう引き立ちました。海賊とアサシンとテンプル騎士団が入り混じるドラマチックな物語をぜひ堪能してください。

なお、エドワード・ケンウェイの日本語版声優が変わった点はいつまでも慣れませんでした。
また、近接戦闘については原作よりも格段に良くなったものの、相変わらず煙幕やカウンターがメインのバランスだな……という印象は拭えません。もう少しのアップデートでより現代的に感じられるとは思うのですが……。
大海原を渡り、魚を獲り、艦隊を沈め、宝を持ち帰る――極上の海賊体験は健在です。
海戦が楽しすぎて物語が進まない!往年の『アサクリ』らしさを現代的に味わえる一本(焦生肉)
何よりも海戦が楽しいと言いたい!筆者は『WoWs』のライトプレイヤーなのですが、「もっとアドベンチャー的に海戦を楽しめればいいのに」と思うことも多く、その点でぴったりその需要にマッチした作品でした。海戦ばかりやっていてメインストーリーが進みません。

もちろん暗殺アクション作品としても、シリーズらしさ溢れるオリジナル版から衰えないゲーム体験を楽しめます。特に『オリジンズ』以降のハクスラRPG的な潮流とは違う初代からの流れに近いアクションを、現代的なグラフィックと快適さで遊べる点は新鮮かつ気楽で楽しいものだったと言えるでしょう。

一方で、個人的にはリメイクと言うよりはリマスターの方が感覚としては近いのではというのが正直な所。難度調整やアクションの追加、新規コンテンツの収録などただのリマスターでないのは重々承知ではありますが、プレイ感は良いところも悪いところもナンバリング世代の『アサシン クリード』そのままに思えます。エリア探索の自由度やモーションの自然さはやはり最近の作品に匹敵するとは言えず、オリジナルを踏襲して1から開発というよりはグラフィックを中心にオリジナルに手を加えた物といった印象で『MGSΔ』に近しいものを感じました。
美しく生まれ変わった名作、快適さと引き換えに失ったものも(タケダだいゆう)
名作『アサシン クリードIV ブラック フラッグ』をリメイクした本作。美しく刷新されたグラフィックに加え、敵の攻撃を受け流しながら次々と相手を倒す、無双感あふれるスタイリッシュな戦闘も魅力です。グラフィック、通常の戦闘以外にも船を操って大砲を撃ち合う海戦にも大幅な改良が加えられ、全体的に原作で煩わしかった部分を見直した、遊びやすい作品に仕上がっています。

一方、原作に存在した現代編プレイパートは削除されました。本作から『アサシン クリード』シリーズに触れ、今後ほかの作品も遊ぶことになった場合、現代と過去が交差するシリーズ特有の物語を理解しようとしても、『ブラック フラッグ』の現代編で起きた出来事だけが、すっぽりと抜け落ちてしまうのではないかと感じます。また、通常戦闘ではアサシンブレードを使用できなくなるなど、テンポや格好良さが増した一方で、戦い方の幅が原作より狭まっている点も気になりました。
初見でも夢中になれる極上の海賊体験!古さを感じるシステムには不満も(DOOMKID)
筆者は『アサクリ』シリーズ自体は2017年の『オリジンズ』から入ったクチで、オリジナル版『ブラック フラッグ』は未プレイです。

本作をプレイして最も感動したのは、圧倒的に美麗なグラフィックの没入感と、海賊としてカリブ海を自由に冒険できるロマンを感じられたこと。最新のゲームエンジンで描かれる海は美しく、航海に影響を与える「荒波」や「乱気流」など、リアルタイムで描かれるダイナミックな気象変化はとくに息をのむものがありました。

また、『アサクリ』お馴染みのステルスやパルクールによる滑らかな移動は、入力のしやすさや反応など快適な操作感でストレスを感じませんでした。また、自身の海賊船「ジャックドー号」を操る海戦がとにかくエキサイティングでした。
敵の船に大砲を撃ち込み、そのまま接舷して乗り込んで白兵戦へ移行する流れがシームレスで、男のロマンが詰まっています。さらに、航行中は操舵感覚が良いため、ただ移動しているだけでも心地よく飽きがきませんでした。
そして戦闘面では、相手の攻撃を受け流す「パリィ」を主体とした緊張感のあるアクションになっており、初見プレイでもタイミングを掴めば映画のような格好良い立ち回りが楽しめました。歴史上の有名な海賊たちと肩を並べ、徐々に名を馳せていくストーリーの熱さも含め、アクションアドベンチャーとして非常に完成度が高いと感じました。

一方で、実際にプレイしていてストレスを感じたり、システム的に不親切だと思ったりした部分もいくつか存在します。まず、初見プレイヤーとして戸惑ったのが「尾行ミッション」の多さ。敵に見つからないよう物陰に隠れながら会話を盗み聞きするパートが頻繁に発生するため、ゲーム全体のテンポを損ねている印象を受けました。

見つかっても即ゲームオーバーにならないよう配慮はされていますが、爽快な海賊アクションの合間に挟まれると、どうしてもじれったさを感じてしまいます。
また、オープンワールドとしての利便性にも課題があります。一度クリアしたメインミッションを後から個別にやり直すための「リプレイ機能」が実装されていないため、特定イベントをもう一度遊びたいと思っても、すぐにできないため不便に感じました。

成長システムにおいては、最近のシリーズで取り入れられている「スキルツリー」やスキルの概念がなく、武器の強化などもできないため、育成したりビルドを組んだりする楽しさがなく、シンプルすぎて味気ないプレイに感じられました。
また戦闘面において違和感があったのは、敵の視界や警戒ゲージの挙動が大雑把で、物陰に隠れて口笛で敵を一人ずつおびき寄せれば大抵は切り抜けられるので、ステルスの緊張感が物足らないと思いました。
さらに、ファストトラベル後のロード時間がやや長く、島々の探索をスムーズに行いたい時の小さな障壁になっている点も、最新ハードの作品としては少し残念なポイントだと思います。
海賊ごっこに必要なものは全てそこにある(Skollfang)
歴史エンタメの大人気コンテンツである「海賊」は、ゲームにおいても幾度となくチャレンジされてきた題材です。それでも、『アサシン クリード IV ブラックフラッグ』はこの10年で常に金字塔として君臨し続けてきました。『アサシン クリード』の本分は時代劇体験であり、その時代を感じられるリアリティにかけては、AAA級の圧倒的な物量を以てして他の追随を許しません。

帆を張り、荒波を乗り越え、船員達の歌声と共に大海原を進む。宝箱の中身に一喜一憂する。結局の所海賊もので一番楽しみたいのはそういう景色ですし、オープンワールドというゲームスタイル自体が宝探しのようなもの。海が広ければ広いほど、世界が美しければ美しいほど良い。体験のアップグレードをアニムスを用いてメタ的に説明しているのもユニークなところです。
プレイフィールは近作の弾きを主体にしつつ、敵は斬られ役に徹した『Ghost of』シリーズのような痛快チャンバラに変わりました。体力削りは実質的になく、体勢を崩しさえすれば一撃必殺、まさしく映画のようにバッタバッタと薙倒していくスピード感を演出しています。テンポが悪いと指摘されてきた初期アサシンの弱点を取っ払い、全てにおいて滞ることのない爽快な冒険を堪能することができます。
テンプル騎士なんざ永遠に待たせてやれ!ラム瓶とコントローラーを手にすりゃ、おれたちゃもう自由な海賊だ!

『アサシン クリード ブラック フラッグ RE:シンクロ』は、PS5/XBOX Series X|S/PC(Ubisoft Store/Steam/Epic Gamesストア)向けに発売中です。
¥6,422
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)













