気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Aesir Interactive開発、PC向けに7月20日に早期アクセスが開始された列車サバイバルアドベンチャー『EverRail』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、ランダム生成される凍てついた荒野で列車を拠点に生き延びる、1~4人協力プレイ対応のオープンワールド・サバイバルアドベンチャー。列車は移動手段であると同時に、発電・暖房・生命維持機能を管理する拠点として機能します。敵や罠、過酷な環境が待ち受ける遺跡や工場、ダンジョンへと徒歩で踏み込み物資を回収し、時間内に安全に列車へ戻らなければなりません。日本語にも対応済み。
『EverRail』は、1,900円(9月11日までは20%オフの1,520円)で早期アクセス配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Tomこんにちは。Aesir Interactiveで10年以上にわたりリードゲームデザイナーを務めている、Tom(Thomas Eibl)です。長年にわたり当社のほとんどのゲームに携わっており、『EverRail』ではエグゼクティブ・リードを務めています。
お気に入りのゲームは『7 Days to Die』『Stellaris』『ARK: Survival Evolved』『Path of Exile』『ストリートファイター』シリーズ、『アーマード・コア』シリーズ、『デビルメイクライ』シリーズ…他にもたくさんありますね。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Tom『EverRail』は当初、スピード、温度、燃料などと言った多様なシステムを管理する、伝統的な列車運転システムを備えたサバイバルゲームとして開発が始まりました。しかし初期のプロトタイプ段階で、プレイヤーが燃料の消費に対して極めて慎重になることに気づいたのです。これはサバイバルゲームにありがちな行動で、資源を節約するために移動速度を落とすというのは合理的ではあるものの、エキサイティングとは言えません。
そこで私は真逆の発想を試してみることとしました。「もし列車を走らせることで燃料を消費するのではなく、生存に必要なエネルギーを生み出すことができるとしたらどうだろう?」と言うものです。すると突然、探索や資材収集のためには停車しなければならないにも関わらず、「停まっていること」自体が本当の危険へと変化したのです。
これが『EverRail』の核となる緊張感を生み出しました。列車から離れている毎分毎秒が、蓄えたエネルギーを消費していく時間となるのです。このアイデアは本作の世界観をSFへと広げることにも繋がり、列車は単なる移動手段を超えて「自給自足の移動要塞」となり、プレイヤーが生き残るための基盤となりました。プレイヤーはスピード、安全性、探索、エネルギーのバランスを常に戦略的に考えなければなりません。この融合こそが『EverRail』を唯一無二の作品にしているポイントなのです。
また、乗客システムも本作に独特のひねりを加えています。施設にあるコールドスリープカプセルから救出した人々は乗客として列車に乗り込みますが、同時に彼らは「プレイヤーのライフ」でもあります。これは至ってシンプルで、すべての乗客が命を落とせば生存のために列車を操縦する人間がいなくなり、ゲームオーバーとなるのです。ただライフを集めるよりも、このアプローチの方が本作の世界観に遥かにマッチしており、リアリティや説得力が増すと考えました。乗客システムをさらに発展させ、クルーを列車管理の重要な一部にしていくアイデアは、他にも多くありますよ。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Tom本作のゲームプレイは、『7 Days to Die』や『ARK: Survival Evolved』と言ったサバイバルゲームからインスピレーションを得ています。プレイヤーは世界を探索し、資源を集め、クラフトし、戦い、そして自らの「移動する拠点」を拡張していくのです。部分的にテラフォーミングされた惑星でコールドスリープから目覚める開拓者たちと言うストーリーは、キム・スタンリー・ロビンソンの「火星三部作」からも影響を受けています。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Tom最も心に残っている瞬間のひとつは、現在の「エネルギーと時間」のコンセプトを導入した時です。これは非常に大きな方向転換でしたので、どのように実装すべきか、私たちは長期間にわたって徹底的に議論を重ねました。
いざこのシステムを導入すると、開発チーム内や会社の上層部、そしてプレイテスターの皆さんの間で熱い議論が巻き起こりました。最初は誰もが納得していたわけではありませんでしたが、皆さんは私たちの構想を信じ、このアイデアの実現と検証を最後まで見守ってくれたのです。そして早期アクセス開始のわずか1週間前、特に懐疑的だった上層部の方から「やっとこのシステムに納得したよ」と言われた時は、本当に報われたと感じる瞬間でしたね。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Tomプレイヤーの皆さんは、私たちがこれまでに作り上げた本作のコンセプトや土台をとても気に入ってくれているようです。それと同時に、新機能の要望や機能の改善案、全体的な快適性の向上に関する提案など、すでに非常に多くのアイデアが寄せられています。コミュニティと共に『EverRail』を作り上げていきたいと考えていた私たちにとって、これこそまさに望んでいた展開です。
また、時折発生するバグや安定性・パフォーマンスの問題が報告されたり、ゲームのバランスや難易度について詳細な意見も寄せられています。とは言え、プレイヤーの皆さんはこのゲームに秘められた「大きな可能性」を感じ取ってくれており、それを早期アクセスを通じて実現させることが今の私たちの使命です。本作のシステムや機能に関するアイデアについて、プレイヤーの方々がこれほど熱量を持って議論してくれているのを見るのは本当に心強い限りです。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Tom現在はゲーム全体の安定性向上、バグ修正、そしてゲームバランスの調整を目的とした週次パッチの配信に全力を注いでいます。これらのパッチに合わせて、小規模な新機能の追加やファストトラベルシステムをはじめとする快適性の改善も順次行なっています。
さらに、古くなってきたシステムの改修も進めています。これらは私たちも予想していた通り、プレイヤーの皆さんからのフィードバックによって課題が浮き彫りになった部分です。また、ウィスプ(空飛ぶ球体)の挙動や、世界および線路ネットワークの自動生成についても、さらなる改善を予定しています。
そして今年中には、初となる大型コンテンツアップデートの配信を予定しています。このアップデートでは、本作の世界をより深く描くと共に、私たちが採用したデザインについても理解を深めていただける内容となります。本作のコミュニティがどのような反応を見せてくれるのか、今からとてもワクワクしています。
――本作の日本語対応状況について教えてください。
Tom『EverRail』はインターフェースと字幕において日本語対応しています。翻訳は私たちの過去タイトルでも実績のあるプロのローカライズ会社に依頼しました。言葉選びの正確さがどれほど重要かは私たちも理解しているので、各国の言語や文化に敬意を表したいからこそ、信頼できるパートナーを選定したのです。
とは言え、自分たちで話すことのできない言語の完璧な品質保証を行うことは容易ではありません。もし誤訳や不自然な表現にお気づきの際は、ぜひフィードバックをお寄せいただけますと幸いです。改善に向けて全力で取り組ませていただきます。
――本作では、なぜ、そして具体的にどのように生成AIの生成物を使用しましたか?また、生成AIについてはどのような感情を抱いていますか?
Tom私たちは生成AIを「サポートツール」と位置づけています。AIは作業の質と量を向上させ、チームメンバー同士がより深く、より円滑にコミュニケーションを取るための貴重な時間をもたらしてくれるのです。当スタジオではこの新しい技術のプロトタイプ運用を行っており、どのプロジェクトでAIを使用し、どのプロジェクトでAIを使用しないのかを厳格に管理しています。『EverRail』に関しては、定期的な配信サイクルを持つプロフェッショナルな開発パイプラインにおいて、AIの持つ可能性を試すためにも、むしろ積極的に検証を行っているのです。
『EverRail』において、生成AIを使用する箇所は一箇所に限定されています。それは「艦載コンピュータおよびロボットの機械音声」です。これらのキャラクターたちが機械であるという設定を踏まえると、合成音声を起用することはごく自然な選択でした。セリフ自体は開発チームが執筆・確認を行っており、AIは単にそれらに数分で声をつけているに過ぎません。
この技術の本当の価値は、私たちのパッチ配信スピードにおいて発揮されています。早期アクセス期間中、私たちは毎週アップデートを配信していますが、AIを活用することで艦載コンピュータやロボットの新ボイスを数週間ではなく「数時間」で制作可能になりました。これにより、開発チームのベストな作業ペースに合わせたコンテンツを提供することが可能となったのです。
私たちは生成AIをゲーム業界の「万能薬」だと思っているわけではありません。しかしAIのおかげで、同僚との対話、機能の計画、アイデア交換や戦略の議論、そして感情の共有といった「本当に大切なこと」に誰もが集中できるようになると思っているのです。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Tomもちろんです!本作の配信や関連するものをご共有いただく姿を目にするのは大好きですし、人々がそれらにどのような反応を示すのか観察することで、私たちにとっても多くの学びがあります。YouTubeやTwitchなどのプラットフォームにおける収益化コンテンツも歓迎します。コンテンツクリエイターの方からのゲームキーのリクエストも常時受け付けていますよ。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Tomここまでお読みいただき、そして『EverRail』に興味を持っていただき、本当にありがとうございます!ぜひ皆さんも私たちと一緒に列車に乗り込み、本作の感想やフィードバックをお聞かせいただけると幸いです。
『EverRail』は現在も早期アクセス中ですが、コミュニティの皆さんやこれを読んでいるあなたからいただくフィードバックと共に、このゲームを作り上げていきたいと考えています。バグ報告、ゲームバランスへの不満、不公平に感じる点、あるいは「列車にこんな機能があったらいいのに」と言ったご要望まで、あらゆる声が私たちにとって貴重なものとなります。どうぞ遠慮なくお知らせください。正直で建設的なフィードバックは何よりも価値があり、皆さんの意見が聞けることを心から楽しみにしています!
本作のこれからが気になる方は、ぜひ公式Discordへご参加いただき、Trelloにあるロードマップ(英語)もチェックしてみてください。車掌となり、イナラでサバイバルしましょう!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に1,000を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








