2026年9月4日に、20年ぶりとなるシリーズ完全新作『鬼武者 Way of the Sword』が発売されます。
本作の舞台は、瘴気によって不可思議な姿と化した江戸時代初期の「京都」。「鬼の籠手」によって力を得た主人公の「宮本武蔵」は、己の戦う理由を問いながら「幻魔」や強敵との激しい戦いに身を投じます。
このたびメディア向け先行体験会に参加する機会をいただいたので、新たなステージ探索やボスとの戦闘の感触などをお届けします。また、カプコンのサウンド開発現場にて本作の「音」へのこだわりについてもお聞きしました!
インタビュー記事はコチラ!妖しくも美しく表現された京都の町と鬼の世界
まず惹かれたのが、本作の特徴である鬼武者らしく表現・再現された京都の町です。体験版で武蔵の宿敵「佐々木巌流」と戦った「清水寺」の舞台よりも先の景色まで、今回の試遊で見ることができました。正規の道から外れた行き止まりにも宝箱があったりと、隅々まで調べたくなります。


景色だけでなく、風で揺れる草木の音や、石や木など床の材質によって変わる足音のリアルさによって、まるで過去の京都を歩いているような気分を味わえます。そんな京都の地に跋扈する幻魔たちと、それに翻弄される人間たちの姿からは、本作ならではのダークなエッセンスを感じ取れました。
舞台である京都の“聖地巡礼”記事はコチラ!鬼の力「眼覚醒」を使用して訪れる「鬼の隠れ里」は、幻想的な“和”の異空間となっています。鳥居や木造の寺院、そこに光る金箔のコントラストが美しく、迷い込んでしまった状況にも関わらずゲームの中で観光したくなるほどでした。和と妖の融合という日本を舞台にした作品ならではの雰囲気を『鬼武者』らしく描き出したこの世界は、本作の冒険を盛り上げる大事な要素のひとつであると感じます。


武蔵とその協力者「小野篁」と「出雲阿国」が拠点とする「六道珍皇寺」も実在する寺院です。本作では、鴨川より東の地域「洛東」を探索しながらストーリーを進めていきます。異変や幻魔によって荒れてはいるものの、洛東に暮らす人々とすれ違うこともあり、かつては活気に満ちていたのだろうと想像できました。



町のあちこちには幻魔だけでなくアイテムも配置されており、“探索欲”が刺激されます。籠手が近くの目標地点に導いてくれる機能もあるため、遠くまで探索してしまっても安心です。
そうして歩いていると幻魔に襲われている人の声が聞こえ、助けるとお礼がもらえる「救助イベント」が発生することも。つい町の景色を楽しみたくなってしまいますが、ここは幻魔の蔓延る世界。なかなか気を抜くことは出来ません。


縁切り・縁結びで有名な「安井金比羅宮」は、本作では咲き誇った花に包まれています。この現象は幻魔と瘴気の影響で引き起こされており、「縁」についての悩みを解決してもらおうと訪れる人々の姿もありました。その悩みの解決方法はぎょっとさせられるものが多く、その恐ろしさには身が引き締まります。おそらく、ここもかつてはそのような縁切り・縁結びはしなかったのではないかと思うのですが……。



瘴気と幻魔に侵された町と人々……とダークな世界だけではなく、コミカルなストーリーやキャラクターもほどよく織り交ぜられています。安井金比羅宮に鎮座する「八大力尊」たちを探すクエストでは、兄弟たちの性格の違いやどっしりと構える彼らのある種の呑気さが感じられ、少し呆れたような武蔵とのやり取りも印象に残った場面でした。


再現された京都の町や名所、そこで暮らす人々の営みや幻魔たちなど、ビジュアルとしての「和」の美しさと暗さに、武蔵の破天荒さと泥臭さが加わり、彼がこの京都に一風吹かせてくれるのではと感じられるものになっていました。キャラクターたちの会話にもこだわりが感じられ、ストーリーの展開も気になるところです。

新たな武器「薙刀」や強化要素に、鍛錬の間など
「鬼の隠れ里」では「鬼の剛弓」を入手できます。本数は無限なようで、残数を気にせず撃つことが可能です。溜めることで威力が上がり、雑魚敵の「一ツ目笠」などはヘッドショットを決められれば一発で倒せることも。攻撃だけでなく、道中のちょっとした謎解きやギミックにも使用します。


シリーズおなじみの「破魔鏡」では、装備や能力の強化、他の破魔鏡への移動、セーブやアイテムの整理、武蔵の装いの変更などができます。




また、拠点の六道珍皇寺で境内にある鐘を鳴らすと「鍛錬の間」に移動し、技を確認する「稽古」や一度戦った「強敵との再戦」が可能です。


稽古では本作特有のアクションを練習できるので、まだタイミングを掴めていない技もここでマスターできます。稽古で各技に慣れた後、かつて戦った強敵と再戦すれば上達を感じられるはず。ボスと再戦しやすい場所が用意されているのも、嬉しいところです。

初めての稽古が完了すると、小野篁から新たな鬼の武具「両刀【風巻】」を渡されます。こちらは「鬼力ゲージ」を一定以上溜めた時に発動できる技に使える武具で、広範囲への攻撃が可能。武具はまだどこかに眠っているようなので、他にもどんな技を持った武具が出てくるかとワクワクしてしまいます。

ほどよい手強さとキャラの立ったボスに、崩し一閃が気持ち良い
試遊では2体のボス「大唾拉(だいだら)」と「羅掌願(らしょうがん)」と戦うことができました。「大唾拉」は図体がでかく、食べることが大好き。常に口からよだれを垂らしながら、その巨体と棍棒を振り回します。恐ろしい相手ではありますが、どこか可愛げを感じられるような言動も特徴です。


その大きさを表すかのように、大唾拉は動きもダイナミック。迫力に怯んでしまいそうですが、そのぶん技に対応できた時の“してやったり”感もあります。掴み攻撃を避けられなかった時には壁まで吹き飛ばされてしまう「やられモーション」があったりと、あえてボスに捕まってみたくもなるユニークな要素も。
安井金比羅宮で戦う「羅掌願」は、特殊な“願いの叶え方”を見てきたこともあり、キャラクターとしても魅力的です。人間を見下し、武蔵も誘惑するようなまさに人を舐めた態度を取りますが、それでこそ倒しがいがあるというもの。咲き誇る花々を背景に戦う、というシチュエーションも印象的です。

ボスとしても手強く、筆者は数回負けてしまったのですが「強すぎる」とは思わず、「あともう少しで勝てるはず……!」という強さで、戦っていて楽しい相手でした。多腕を活かした攻撃方法や動きも、見ていて面白いボスです。

大唾拉と羅掌願はどちらも戦闘中に台詞があり、プレイヤーの動きに反応したことを言ったり、逆にボスの動きに武蔵が反応した台詞を言ったりと、“劇”のような剣戟を楽しめます。籠手からも大技の兆候や危機状態を警告してくれるなど、彼女の頼もしさを感じさせてくれました。
体勢を崩した時の「崩し一閃」も決まるととても気持ち良いため、「一閃はタイミングが難しくて出せないけど……」というユーザーでも本作の“切る”楽しさを味わえます。これから先どんな強敵が控えているのか、恐ろしくも楽しみになった試遊でした。
『鬼武者』の音響と、音楽へのこだわりとは
では、そんな本作を彩る「サウンド」はどのような思いを込めて作られているのでしょうか。カプコンの「サウンドスタジオ」そして「フォーリースタジオ」にて鬼武者の音楽の魅力や、音響についてをお聞きしたのでそちらの様子をお届けします。

オーディオディレクターの諏訪駿一氏、ゲームオーディオミキサーの森口崇氏によると、本作では7.1.4chの立体音響に対応していますが、単に上から鳴らすというところを目的にしているわけではないとのこと。目指したのは、京都という世界をよりリアルに感じられること、幻魔や異質な存在を際立たせること、そして戦闘の迫力やプレイのしやすさを向上させることです。

環境音では、木々のざわめきや風の音を実際に京都で収録したものを使用しており、カラスの鳴き声などは上方から聞こえるよう設計されています。しかし重要なのは単に上から音を鳴らすことではなく、その場にいるような没入感を得られることだといいます。

本作では、従来のスピーカーから音を鳴らすチャンネルベースオーディオの考え方ではなく、空間のどこから鳴る音なのかを定義するオブジェクトベースオーディオを採用しています。
音の位置がしっかり決まっていることで、プレイヤーは視線を向ける前に音でその位置を把握でき、自然な誘導にもつながる。効果的に立体音響を使うことで、上下感のある豊かな表現だけでなく、ゲームプレイや戦闘を行ううえでのプレイアビリティを高める効果も担っているとのことでした。

ミュージックディレクターの鈴木まり香氏とリードコンポーザーの大本望美氏のプレゼンでは、『鬼武者』の音楽についてのお話をうかがえました。江戸時代初期の現世に突如出没する幻魔、というダークな世界観の中でどんな楽器を使うかという構成では、オーケストラを軸に、邦楽器を中心とした民族楽器で繊細さや朴訥さを作り、シンセなどの電子楽器の音色を用いて幻魔や地獄のおどろおどろしい世界を表現したとのことです。

鬼武者の音楽で大事にしているのは、邦楽器をはじめとする民族楽器を取り入れながら、「音楽そのもの」で日本らしさを表現することです。琴や尺八といった邦楽器を用いるだけでなく、メロディーや和声、横の流れといった音楽そのものにもこだわっています。今回は和楽器だけでなくオーケストラも国内で収録しており、演奏者が持つ日本らしさやノリ、グルーヴといった息遣いまで余すことなく取り入れたいという思いで制作にあたったとのことでした。
静寂や空間を作ることで、ドラマティックな場面とのコントラストを生み出し、物語から生まれる「感情の揺らぎ」を音楽で演出しています。物語全体での場面のコントラストの見せ方はもちろん、一曲の中でのコントラストにも意識を向けているそうです。
また感情の揺らぎという点では、ボス戦において敵のキャラクター性を考慮したキーサウンドを取り入れています。それとは別に、武蔵が敵と対峙した際にどのような心境だったのかを探るような気持ちも意識して演出しているとのことでした。
プレゼンの中では、フル尺初公開となる本作のメインテーマ曲を聴かせていただきました。こちらは物語全体を包括する楽曲で、武蔵の日々の姿や強さとは何か、剣の道について葛藤し成長していく姿、仲間への敬意――そうした様子を想像しながら聴いてほしいとのことです。

また特徴的な音として挙げられたのが「水琴窟」です。これは江戸時代に日本庭園に作られていたもので、地中に大きな空洞のある甕(かめ)を埋め、上から落ちる水滴の音とその余韻を楽しむ、侘び寂びを感じさせる仕掛けとのこと。この音が鬼世界へのつながりや、現世と地獄という階層のイメージを連想させることから取り入れたそうです。唄では、鬼の歌人や鬼たちの思い、その心の叫びを表現しているといいます。曲中の歌詞は造語ですが、実際には意味のある文章になっているそうです。
美しく、繊細なイントロから壮大な世界へと繋がり、苦しんできた人々の想いを感じる切ないメロディ、それを背負い戦うような熱く勇ましいラストは、本作がどのような武蔵の旅を描くのかが非常に楽しみになる音楽となっていました。
そして、武蔵の宿敵「佐々木巌流」の戦闘曲も。こちらは彼の粘着質で感情の起伏がとても激しい様を表しているそうで、這うような弦の音や繰り返されるフレーズにその粘着質さを感じられます。ただおどろおどろしいだけでなく、彼のスラリとした華麗な立ち姿も合うような楽曲です。


最後は、試遊でも戦った人々に危害を加える狡猾な幻魔「羅掌願」との戦闘曲。極楽浄土を思わせる綺麗な花畑で戦いますが、おぞましい羅掌願と舞台のミスマッチ感をBGMでも演出しているそうです。キラキラとした音と同時に不穏な鐘の音が鳴り響き、不気味な雰囲気を漂わせています。どっしりと構える羅掌願を表すかのような重い音と、所々挟まれる美しい旋律は、まさに舞台とのミスマッチさを感じさせました。

試行錯誤の中で見つけ出す「効果音」の世界
「フォーリースタジオ」では、諏訪駿一氏とフォーリーアーティストの北村氏、サウンドデザイナーの永田氏による実演が行われました。フォーリーとは、実際にさまざまな物を使って音を出し、収録することで効果音を作る手法を指します。
本作でも多くのフォーリーを制作したとのことですが、今回はその中でも特徴的な音である「刀」と、鬼の武具の一つ「大槌」の動作音について実演していただきました。

まずコンセプトについては、和の世界観の中で刀を使うゲームということもあり、刀の音には特にこだわったといいます。今回目指したのは、ダーティで粗暴な刀の音。武蔵は勝利のためなら手段を問わず、力尽くで事を進めていくような男であるため、その荒々しさを音でも表現したかったそうです。一般的な刀の音というと、綺麗でスムーズな響きをイメージする方も多いはず。開発初期には、実際にそうした音を入れて検証していたこともありました。
そこからさらにダーティな音を作りたいと考え、まず使用したのが「音響効果刀」と呼ばれる音を鳴らすためだけに作られた刀です。鉄工所でオーダーメイドしたもので、音が伸びる仕組みになっています。普段はこれを擦って音を出しているものの、それだけでは足りず、さらに鉄筋を加えて音を作り込みました。


鬼の武具である「大槌」については、現実世界には存在しないような特殊な質感を目指したとのこと。本作の舞台となる時代よりもさらに未来的で、テクノロジーを感じさせるような動作音を作りたかったそうです。
実演では、まずスーツケースを使用。こちらは音の響きを立てたり、演技の中で音量を上げたりする役割を担っています。その上にドラムのキックペダル(壊れたもの)を乗せ、さらにその上でドアノブを使用。これだけでは動きの中のインパクト部分がまだ足りなかったため、工事現場で単管をつなぐクランプを組み合わせることでその部分を補います。これらの道具を集め、実際に演技を披露していただきました。


音作りの過程について、まず金属を擦ってみるなど基本となる音を試した上でただのケースに乗せてみる、あるいは木箱に乗せてみるなど、さまざまな組み合わせを試していきます。そして「これじゃないか?」と感じたものがあれば、実際に録音して確かめてみる……という流れを繰り返す。「これならいけるのでは」と期待しながら録音しても、思っていたものと違いもう一度やり直すことは珍しくないそうで、そうした試行錯誤も含めて面白い作業なのだと語っていました。
こうして収録した音を他のエフェクト音と組み合わせることで、実際のゲーム内の音になります。本作では格好良さとユニークさ、そしてプレイ時の気持ちよさを表現するために、さまざまな工夫やアイデアを詰め込んで音作りを行っています。プレイの際には、ぜひ音の方にも注目してみてほしいとのことです。

再現された京都に、新たな武具やボス。そして「音」に込めた想いなどを知り、よりいっそう発売が楽しみになった本作。実際の京都で収録された環境音やキャラクターを表した音楽に耳を傾けながら、幻魔を斬りに京都を駆け巡る日もあと1ヶ月です。
『鬼武者 Way of the Sword』は、PS5/XBOX Series X|S/ニンテンドースイッチ2/Windows(Steam、Epic Games Store、Microsoft Store)向けに9月4日に発売予定です。













