2026年8月8日、東京都立産業貿易センター浜松町館にて「東京ゲームダンジョン13」が開かれました。
そこで『Verse of Birth』を試遊してきました。

本作は『Slay the Spire』などに代表されるデッキ構築ローグライト。開発はあの広告代理店電通のなかにある「デンツウゲームセンター」です。
カードを組み、スキルを付け替え、ダンジョンの奥地を目指していきます。
この手のジャンルはターン中に配られるマナの上限までカードを使用して敵と戦うのが定石ですが、本作は珍しいことに、戦闘自体はオートバトルです。
しかしながら、同ジャンルの先駆者にも引けを取らないような戦略性を感じました。

まず、戦闘に入るとひし形のグリッドにカードを配置します。
お互い最も戦闘にいる相手を攻撃するのですが、攻撃の順番はそれぞれのSPDを参照します。
当然、ダメージはATKを参照。前にタンクを置いて壁になってもらい、後ろから足の早いカードでチクチク殴っていくのが良いでしょう。

各カードには3つまでスキルを付けることができます。このスキルは近くのカードにも効果を及ぼすものがあり、戦闘時の配置が重要です。
ターンの合間にも配置は入れ替えることができるので、オートバトルと言いつつも、細かい配置換えが求められます。
それぞれのカードが持つ個性をチェックしていけば、ほとんど被弾なく敵を倒すことも可能でした。
戦術がぴったりハマったときの気持ちよさたるや……。

他にも特色があります。それは本作が生成AIを用いているということ。
カードのイラストはほぼすべてAI生成のようで、それっぽいモンスターたちが描かれています。
また、ゲーム中に手に入る資源を使用すれば、オリジナルのカードも作れちゃいます。
試しに「Game*Spark」と入力してみたら、攻撃してきた相手にダメージを与える「トゲ」を持ったモンスター「スパークラスター」が生まれました。
……あんまり強くはなかったので、早々に別のスキルを付けて上書きしましたが、こんな感じで毎回新しいモンスターと旅に出られるところが面白いですね。


開発しているデンツウゲームセンターの川田琢磨さんにお話を伺いました。
――『Verse of Birth』のコンセプトについて教えてください。
川田生成AIをどう遊びに使えるか、というところから始まった企画です。業務効率化ではなく、もっとふざけた形で使ってみたいという思いがありました。
本作では、プレイヤーが自由記述で言葉を入力すると、そこからオリジナルキャラクターが生まれます。入力された言葉からAIがイメージを連想し、それをキャラクターとして出力する仕組みです。
たとえば「ニャン」と入力すれば猫のようなキャラクターが出てきますし、「おにぎり」と入力すれば、おにぎりをモチーフにしたキャラクターが出てきます。入力した言葉をAdobe Fireflyがどのように認識し、どんなビジュアルとして返してくるのかも、遊びのひとつになっています。
――生成されたキャラクターの強さは、どのように決まるのでしょうか?
川田入力された言葉のイメージに合わせた能力になるよう、バランスを調整しています。
ただ、AIにすべてを自由に決めさせてしまうとゲームバランスが崩れてしまうため、あらかじめ決められたレンジの中からパラメータが選ばれるようにしています。AIを活用しつつ、ある程度は人の手で制御している形です。

――開発期間はどのくらいですか?
川田およそ1年ほどです。企画自体は約2年前から動き始めています。
――生成AIは具体的にどのような部分で使用しているのでしょうか?
川田キャラクターのビジュアル生成にはAdobe Fireflyを使用しています。また、キャラクターの名前やテキストについてはChatGPTを利用しています。
いずれもAPIを使用していますが、コストについては、それほど大きな金額にはならないと考えています。ゲームの販売価格の範囲内で十分に収まるのではないか、という想定です。
――ゲーム部分について教えてください。
川田ジャンルとしては、ローグライク要素のあるオートバトルゲームです。
プレイヤーが行うのは、キャラクターの配置変更や報酬の選択、進むノードの選択、スキルの付け替えなどです。
単純に強いキャラクターを引けば勝てるというゲームではなく、スキル同士のシナジーを考えることで、プレイングによって状況をひっくり返せるようにしています。うまい組み合わせを思いつけば攻略できるという設計です。

――敵の構成は毎回変化するのでしょうか?
川田敵については、ほぼ固定されたプールの中から登場します。
ゲームは3層構成になっていて、ボスも用意された3体の中からランダムで1体が選ばれる仕組みです。
――電通社内では、どのような経緯で開発が始まったのでしょうか?
川田社内に「デンツウゲームセンター」というクラブ活動があり、そこで「ゲームを作ってみよう」という話になったのがきっかけです。
そこから約2年前に企画が始まり、実際の開発へと進んでいきました。
――どんなところに苦労しましたか?
川田AIが生成する部分だけでなく、人の手で調整しなければならない部分も多くあります。
特にUIの調整については人力になるため、かなり大変でした。

生成AIで生まれた予測不能なキャラクターと、しっかり考えさせられるオートバトル。その組み合わせが『Verse of Birth』でした。
何を入れたら何が出てくるのかというワクワク感は、生成AIを使ったゲームならでは。そこに配置やスキルのシナジーを考えるローグライトとしての面白さもきちんと用意されています。次はどんなやばい言葉で潜ろうか?
『Verse of Birth』はPC(Steam)にて配信予定です。











