気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Umigame Studios開発、PC/Mac向けに7月29日にリリースされた廃校ビジュアルノベル『Dissolution of the Silent Union』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、廃校の最終日に囚われたヴェラと共に、避けられない約束の場所へと向かう短編ビジュアルノベル。アニメ調の線、ピクセル、そして実写写真がコラージュのように融合しているのが特徴です。日本語にも対応済み。
『Dissolution of the Silent Union』は、395円(9月27日までは20%オフの316円)で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Fatmaこんにちは、Fatma Berfinです。本作では動画制作や写真撮影を担当しました。また、ストーリーやそのコンテンツにも携わっています。大学では工業デザインを専攻していました。
趣味としてPCゲームをプレイするのが好きで、特に深みのある引き込まれるようなストーリーのビジュアルノベルが大好きですね。ただ、一番好きなゲームは実はこのジャンルではなく、とてもシンプルな答えに聞こえるかもしれませんが、『Stardew Valley』です。私にとって、「心安らぐ場所」のようなゲームですので。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Fatma本作を真の意味で特徴的にしているのは、学園ビジュアルノベルの王道を覆している点です。この作品では、「学校最終日」と言う日を、不気味で時間に囚われたリミナルスペースへと変えています。そして、生々しい写真や実写映像の上に2Dアニメイラストを直接レイヤーとして重ねる、一風変わった「ミックスメディア・コラージュ」によってそれを視覚化しました。
このアイデアは、かつて大切に思っていた人々との別れと言う、万国共通の痛みを表現したいという思いから生まれました。不気味で時間が停止したような空間に二人の若い女性を閉じ込めることで、表現手法の不協和音が彼女たちの内に秘めた疎外感を表に出し、繋がりを失う静かな恐怖を、あらゆる会話が感情的な重みを持つ緊張感あふれる心理ドラマへと変貌させているのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Fatma開発チームのそれぞれが多様な作品からインスピレーションを得ていると思いますが、私が写真を撮影するにあたっては、主にデイヴィッド・リンチ監督の映画や東欧の映像・ビジュアルイメージから大きな影響を受けました。また、アニメスタイルのイラストやフォトコラージュについても研究を重ねています。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Fatma本作の開発を行ったのは冬で、私は写真撮影の担当だったため、凍えるような寒さの中で外に出て撮影する時間がかなりありました。そのため個人的には、撮影中に寒さで凍えそうになったことが、一番の苦労であり同時にとても印象深い思い出になっています。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Fatma本作のストーリーについては「混乱した」と感じたプレイヤーの方々もいて、時にはネガティブな捉え方をされることもありました。ですがそれと同時に、リリース以来たくさんの温かいポジティブなフィードバックもいただいており、本当に嬉しく思っています。
中でも、私にとって特別なコメントが一つありました。本作の写真スタイルをデイヴィッド・リンチ監督になぞらえ、「ビジュアルの一部にドラマ「ツイン・ピークス」のような雰囲気を感じる」と言ってくださった方がいたのです。実は本作の写真を撮影していた時期、私はまさに「ツイン・ピークス」を観ていて、私自身デイヴィッド・リンチ監督の大ファンでもあったので、最高に嬉しい気持ちになりました。自分が影響を受けたものや特有の雰囲気を、プレイヤーがしっかりと読み取ってくれたのは、本当に感慨深いものでしたね。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Fatma現在は、新しい言語の追加とバグの修正を進めています。
――本作の日本語対応状況について教えてください。実装の内容や大変だった点、日本からの反応はどうでしたか?
Fatma翻訳はコミュニティの皆さんと協力して進めました。もちろん、有志の方に手を挙げていただけるなら本当にありがたいです。日本語を話せる友人たちと一緒に訳文を推敲する作業も行いました。
一番大変だったのは、メランコリックな会話に含まれる「感情」をいかに正しく伝えるか、と言う点でした。今のところ日本のファンの皆さんからネガティブなフィードバックは受け取っていませんが、どんなご意見も歓迎します。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Fatmaもちろん、やっていただけると光栄です。私たちの作品に対するどんなご意見やご批判も嬉しいですし、私たちが前へ進むための糧となります。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Fatma現在、日本を舞台にした新作ビジュアルノベルを開発中です。ぜひ期待して続報をお待ちいただけたら嬉しいです。皆さんが楽しみつつ、心にそっと触れられるような体験をお届けできれば幸いです。
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に1,000を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








