表紙も裏表紙もディスク面も魅力なの
ハル飯田:もう少し深掘りするために、皆さんの思う「パッケージ版の好きなところ」や、思い出に残っているタイトルを聞いていきましょう。
Skollfang:パッケージといえば、やはり『メタルギアソリッド』の仕掛けですよね。あれはパッケージがないと成立しないですから。他にも「ディスクを入れ替えてくれ」というセリフだったり、小島秀夫監督のパッケージを活用したメタ的な遊びは嬉しく思います。

タカロク:幼少期の思い出込みの話ですが、私は箱入りのスーパーファミコンのソフトの、あのデカくて重い感じがすごく好きなんですよね。
ぱっと見では本みたいなのに、開けるとゲームソフトが出てくるワクワクがおもちゃ箱みたいに感じて、『FF6』や『クロノトリガー』を遊んだ思い出と共に記憶に強く残っています。悲しいことに今は手元に1本もないので、いつか取り戻したいなと(笑)。
ハル飯田:任天堂ハードで言うと、昔遊んだゲームキューブのソフトもまだ残してあるのですが、当時子供だったこともあって外側のスリーブは全部失くしています(笑)。パッケージを開けても別のソフトが入っているとか、付属品をなくすとか、そんな「あるある」もパッケージ版ならではですね。
Skollfang:パッケージアートは映画における広告ポスターのようなもので、その1枚だけで世界観を表現する描き下ろしのイメージであり、大きな魅力だと思います。
例えば『大神』は、あえて主役のアマテラスを脇に配置して日本画らしいアートが中心になっているじゃないですか。これが『大神』の世界への入口になっていると感じられますし、大切な要素ですね。

ハル飯田:パッケージの内側やゲームディスクのデザインにも、こだわりを感じられると嬉しいですよね。カートリッジもコンパクトさはメリットですが、やはりディスク用にドーナツ型のデザインが練られていると得をした気分になります。

タカロク:ディスクといえば『FF7』は3枚組だったので、1枚目をプレイしながら2枚目、3枚目を眺めながら「どんなストーリーなんだろう」「こうしたロゴが描かれているということは……」と想像していた思い出があります。
ハル飯田:あとは、パッケージの裏表紙に限られたスペースで情報がこれでもかと詰め込まれていて面白いですね。ゲームの内容をコンパクトかつ魅力的にまとめているので、ゲームライターとして参考にすべきエリアでもありそうです。
文字としてもキャッチーなフレーズが並んでいますし、デザイナーさんの努力も感じて、好きなポイントです。

タカロク:やっぱり我々はライターなので、文字のあるところに反応してしまいますよね(笑)。
ハル飯田:パッケージのジャケットとでも言うんでしょうか、ここを入れ替えられることを利用した「着せ替えジャケット」が特典で付くのも好きなんですよね。
ニンテンドースイッチ版の『グノーシア』は全キャラクターの着せ替えジャケットが付いてきて、嬉しかったです。ただ、もったいないので実際の着せ替えとしては使わずに眺めているんですが(笑)。

忘れてはいけない、悩ましくも楽しき特典事情
ハル飯田:特典と言えば、時にはゲームの倍以上の価格で超豪華な特典をセットにしたバンドルが発売されることもあるくらいで、おまけの話題もパッケージ版には欠かせません。
僕は過去に『アトリエ』シリーズの20周年ボックスを買ったら、超デカい段ボールが届いてビックリした思い出がありますが、皆さんの思い出も聞かせてください。特にSkollfangさんはサントラを集めているとのことなので、特典とも縁が深いのではないでしょうか。
Skollfang:そうですね。子供のころから集めているので、かなりの数になります。
自分の手元にあって印象が強いのは、日本一ソフトウェアから発売された『トリノホシ ~Aerial Planet~』というPS2用ソフトですね。ベイシスケイプの作曲家の崎元仁さんが書き下ろしたイメージソングを、初音ミクが歌ったものが収録されているんです。ボーカロイドブームよりも前なのでまた雰囲気が違っていて、これはレアなものですね。
他にもPS2時代は2枚組ディスクのような感じで、パッケージの中にサントラCDも入っているケースが割と多かったようです。CDとはまた規格が違っていて、整頓はちょっと大変ですが。

ハル飯田:冒頭の繰り返しになりますが、やはりゲーム音楽はまだまだ物理が強い印象がありますね。東京ゲームショウでも、物販コーナーではCDを求めて列が出来ている光景を未だに目にします。
Skollfang:そもそも、ストリーミング配信されていないゲーム音楽は多いですからね。ゲームのサントラも近年は曲数がものすごく増えていることもあり、数万円することも珍しくないので、やはり情勢の変化は感じます。
最近は光ディスクの最大容量である100GBを超えるゲームも当たり前になってきて、ゲームディスクはインストーラーではなくライセンスキー的な役割に変わっていますよね。
ハル飯田:パッケージを購入しても、結局ダウンロードすることに変わりはない状況ですよね。DL版の特典と言えばデジタルコンテンツがおまけについてくることが多いですが、先述の『アトリエ』シリーズのコーエーテクモゲームスさんは「ゲームはDL版が良いけれど物理の特典も欲しい」人のために特典だけのセットも販売していて、個人的にすごく嬉しいアプローチだなと。
タカロク:コーエーテクモゲームスさんには私もお世話になっていて、女性向けのルビーパーティーブランドから出ている『ネオロマンス』シリーズも、2万円近くの“特典詰め詰めセット”が定番なんですよ。
我々信者たちは喜んで買うわけなんですが、箱が本当にデカいの何ので、置き場所には困っています。それでも開封する喜びやワクワク感は年齢が変わってもあるものだなと感じます。
ハル飯田:分かります。僕もずっと飾っておけるほどのスペースはないんですが、ゲームの特典をまとめて収納してある自宅のコーナーを定期的に覗いて楽しんでいます。


タカロク:「これを持っている」と確認するだけでもちょっと嬉しいですよね。あとは、もしこの記事をゲーム会社のプロモーションの方々が読んでいればぜひ伝えたいことなんですが、「日本と海外で異なる特典を付ける」のは本当に慎重に検討していただきたいですね……。
以前、『AI: ソムニウム ファイル』のフィギュアが出ると聞いて喜んだら海外版のみで……。たまたま家族が海外にいたので運よく購入を頼めたのですが、こういうケースは結構あるのではないかと。
ハル飯田:色々な事情があるのは分かりますが、それこそ「日本国内でも海外向けの特典だけ販売」とか、あれば嬉しいですね。
タカロク:欲しいですね。特に、そうそうグッズが作られないタイトルでは本当に貴重なので。
ハル飯田:特典では、自分はよく「初回限定版を買うか否か」で悩んでいます。置き場所問題もあるので通常版を買うんですが、後からそのゲームにめっちゃハマると「限定版の特典欲しかったな……」となるんですよね。そういう意味ではPSPで発売された『ダンガンロンパ』は発売1年後に出た廉価版でも限定版を用意してくれて、嬉しかったです。
あとは、これはパッケージそのものからは少し離れますが、Amazonで任天堂のタイトルを買うと専用の化粧箱で届けてくれるので、これも捨てられずにとってあります(笑)。

Skollfang:『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の時にも、ポケモンセンターオンラインで購入すると配達員さんとユーザーへのメッセージが書かれていることが話題になりましたよね。
ハル飯田:ニンテンドースイッチとニンテンドースイッチ2では、「DL版にパッケージの空箱をセット」にしたバージョンも販売されていますし、任天堂さんは我々からすると有り難い存在ですね。
タカロク:任天堂さんは元々おもちゃ屋さんなだけあって、手に取る体験を大事にしているんじゃないでしょうか。
Skollfang:ゲームで遊ぶことだけでなく、そこで発生する周囲とのコミュニケーションやワクワクも、非常に大事なゲームの要素だと思って作っているように感じます。
ゲームの特典やパッケージ、あとは本棚もそうですが、そういった物理的なものが日常の中でチラっと目に入ることは、記憶の強化に繋がるんですよね。逆に、DL版のライブラリーは常に一覧で確認できる画面がなくて、全く目に入らない期間が長くなると、プレイした記憶も自然と忘れられていってしまう感覚があります。
ハル飯田:確かに思い出はパッケージと紐づいていますよね。パッケージを手に取ると好きなシーンが蘇るような感覚もあります。
Skollfang:持っていて嬉しいだけでなく、棚に置いておけば記憶の定着にもすごく役に立ってくれるのがパッケージの魅力だと言えますね。
ゲーマーの置き場所問題や長期保管による劣化……ネガティブな面への向き合い方は?










