新作アクションRPG『Middle-earth: Shadow of Mordor』冥王サウロンの軍勢に家族とともに惨殺されるも、Wraith(幽鬼)の力を手に独り復活したダークヒーローTalion(タリオン)の壮大な復讐の物語。
さる5月20日、Warner Bros. Interactive主催によりイギリスはロンドンにてプレス向けに行われた本作のデモハンズオンイベント。我らがGame*Sparkは幸運にも1時間もの枠をもらい、プリβデモの試遊と開発責任者の方に直接お話しを聞くことが出来ました。本ページではデモプレイのインプレッションと、開発者より直接得られた新情報を交えてお伝えします。
■移動はアサクリ?戦闘はバットマン?これってアクションゲームですか?
これはアクション(オープンワールド+サードパーソンビューアクション)ゲームですか?一見アサシンクリードのように高低差のある広大なオープンワールドをパルクールアクションで自由に探索し、各地に散らばる敵の拠点を制圧しつつストーリーを追うタイプのアクションゲームだろうと見た目の印象をそのままぶつけてみたところ、本作のデザインディレクターであるMichael de Plater氏からは「いいえ、どちらかと言うとストラテジーシミュレーションです」と言う意外な答えが。
それもその筈、このMichael氏業界20年のキャリアを誇る大ベテランで、過去にストラテジーシミュレーションの傑作『Total War: Shogun 』、『Total War: ROME』、そしてボイスコマンドでも知られる『Tom Clancy's EndWar』などを手がけてきたストラテジー分野のスペシャリストなのです。
しかしパッと見と軽く触った感じはまんまアクションゲーム。ではどの辺がストラテジーなのでしょう?先ず本作の核となる部分こそがここで紹介する『Nemesis System』(ネメシスシステム)であるということ。Nemesis(ネメシス)、古代ギリシャ神話“報復の女神”の名を語源とするこの単語には敵、悪の根源、報復者などの意味があるそうで。
オプションボタン一つ(PS4の場合)で呼び出すことの出来るこのシステム、メニューを開けば討伐の目標である数十ものオークが一覧となって表示されます。5人のWarchief(ウォーチーフ)を最上位に、常に彼らに付き従い警護するボディーガード衆、そして下部組織長と敵軍の全容とそのヒエラルキーが確認出来るようになっています。さらにそこから個々の敵キャラクターを選択することでそれぞれの特徴ある外見から得意とする武器、性質、政治信条スローガンから派閥の規模、オーク同士の関係性まで、あらゆるステータスが確認出来るという仕組みになっているのです。
オーク同士の関係性?そう、ネメシスシステムではオーク同士にそれぞれ有効度が設定されパーセンテージで表示されます。数字が高ければ友好的、低ければ敵対的といった具合に。プレイヤーはそれらの数字から勢力の関係性を読み取り、仲間割れや抗争へ導くことで各派閥、ひいてはサウロン軍全体の弱体化を謀るこが出来るのです。また正攻法のアクションでは攻略の難しそうな強力な敵に対しては、Wraithの能力を使って別の敵キャラクターを操り、“謀反”や“暗殺”等のイベントを仕掛けることも可能なのだとか。
さらに「ゲームが進行することでプレイヤー自身の軍隊を組織出来るようになる」とのお話も。サウロン配下のオーク軍対Talion軍の戦いがどのように繰り広げられていくのかも楽しみな要素の一つです。
孤独なプレイヤーが強大な軍勢に対し、あらゆる権謀術数を用いて如何に切り崩していくか?なるほど、これは確かにストラテジーシミュレーションしてますね!しかもかなり硬派めの。
ネメシスシステムのメニューでも見ることが出来るオークのモデリングとボイスアクトは珠玉の一言。まさに映画そのままのリアリティーに溢れる姿の、ピアスや傷、タトゥーなど多彩な要素で飾られた様々な人相のオーク達がどすの効いたオーク訛りで喋りまくります。ビジュアル面に関しては非常に密に作りこまれているという印象を受けました。
■画面は美麗でアクションは華麗。オンライン要素は?物語の結末は?続編はあるの!?
本イベントでデモ用に用意されたのはハイスペックPCではなくPS4版。1080pで詳細に描画されたモルドールは美しくもあり不気味でもあり。プリβ版と言うこともあってか一部フレームが安定しない場面も見られましたが動作は概ね良好でした。「アクション面では必須なフレームレートの安定を第一に開発を進めていく」と言うことです。
戦闘に関しては『Batman: Arkham』シリーズのスタイルを想像すれば分かり易いかと。カウンターからコンボが繋がり、決め所にはQTEが挿入されるタイプです。プレイしたのが序盤と言うこともあり、剣技も少なくスキルも使えなかったためか若干平坦でチューニングも粗めな印象も感じられましたが、感想としては“取っ付き易くて爽快な正統派アクションゲーム”かなと。ライオンのような四足の獣“ワーグ”をWraithの能力で操り、移動の車代わりや戦闘の際の味方にすることも確認出来ました。
1時間弱のデモプレイで2拠点を制圧した上での総評としては、スニークあり、キャラ入り乱れての乱戦あり、追跡ありと、オープンワールドアクションの楽しい要素が贅沢に詰め込まれている、と言うところでしょうか。また製品版に期待したい部分としてはより多彩な戦闘アクションと敵キャラクターのバリエーション。敵キャラクター一覧で確認出来たトロルらしき大型の敵や四足の獣のようなキャラクターを相手にどのような戦闘アクションが繰り広げられるのかも楽しみなところです。
オンライン要素に関する質問に対しては「SNS的な交流要素を実装予定だ」と言うお話が。この辺りはまた続報があり次第詳細お伝えしていきたいと思います。
また「ホビットの冒険」と「指輪物語」の間に位置する本作の物語、シナリオライターとして『Red Dead Redemption』のデザイナーでありシナリオライターでもあるChristian Cantamessa氏が参加。主人公Talionの悲しくも激しく、そして孤独な復讐劇が壮大なスケールで描かれているとのことです。
物語の結末について、本筋が「指輪物語」に続く以上主人公はサウロンには勝利出来ませんよね?と言うちょっとあれげな質問にも笑顔で答えるMichael氏、「Talionが求めているのは心の平穏なんだ。それをどういう形で示すかも本作の見所の一つとして楽しみにして欲しい」との言葉が。また既に大きな話題となっている本作ですがシリーズ化の構想は?と言う答えにくい質問にも「それに関しては様子を見守るしかない」と言うストラテジストらしいそつのないお答えも。
最後に「決して有名映画の単なるゲーム化だとは思わないで欲しい。これはアクションとしてもストラテジーとしてもユニークで最高の物、忘れられない体験が出来るゲームと言うことを念頭に製作している」と言う力強い言葉で締めくくられたインタビューでした。
エンジンメーカーとしても技術力に定評のある『Monolith』が贈る軽快で爽快なアクションと、Michael de Plater氏の20年のキャリアとノウハウを詰め込んだストラテジー要素、そしてシナリオは名作『Red Dead Redemption』のChristian Cantamessaが綴る悲しくも重厚な物語と見逃せない要素満載の本作、日本語版の発売日発表が待たれるところです。
『Middle-earth: Shadow of Mordor』はPC/PS3/PS4/Xbox 360/Xbox One向けに北米では2014年10月7日発売予定となっています。
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