◆特許権侵害しているのは「MIX JOY」?
カプコンが、特許権の侵害にあたるとして挙げているコーエーテクモゲームスのソフトは『戦国無双』シリーズなど49タイトル。産経によると、「訴えによると、カプコンの特許は、シリーズ化されたソフトの続編を作動させる際、前作をゲーム機に読み込ませることで、追加のキャラクターやシナリオで遊べるシステム。(※1)」が特許を侵害していると主張しているとのことです。
『真・三國無双』シリーズ、『戦国無双』シリーズ、あるいは『遙かなる時空の中で』といったネオロマンスシリーズなど、コーエーテクモゲームス(旧・コーエー)のゲームには「MIX JOY」と呼ばれるシステムが多く搭載されています。ここでは、PS3『真・三國無双7』とPS3『真・三國無双7 猛将伝』を例に挙げて説明します。
『真・三國無双7 猛将伝』は、新キャラクターや新シナリオで構成された『真・三國無双7』の内容を補う追加コンテンツ的な内容となっています。単体でもゲームをプレイすることは可能ですが、『真・三國無双7』のゲームディスクを予め読み込むことによって、『真・三國無双7』と『真・三國無双7 猛将伝』のすべての内容を一度に楽しめるようになるというものです。このシステムは、コーエーテクモゲームス(旧・コーエー時代を含む)では「MIX JOY」と呼ばれる『猛将伝』シリーズの核とも言えるもので、古くはPS2『真・三國無双2 猛将伝』(2002年8月29日発売)から親しまれてきました。
「MIX JOY」を採用しているゲームタイトルは『無双』シリーズだけに留まらず、人気ネオロマンスシリーズのひとつ『遙かなる時空の中で』などにも同様のシステムが採用され、追加シナリオなどが楽しめるようになっています。このシステムが採用されている49タイトルの全ては把握できませんでしたが(30以上のタイトルを確認しましたが、類似システムまでは把握できませんでした)、基本的に「MIX JOY」システムが大きく関わっていると見て間違いなさそうです。
◆間もなく特許権が切れる?
一部報道では2002年に特許の登録が行われたとされていますが、カプコンが当該の特許を出願したのは1994年12月9日、公開日は1996年6月21日となっています。
出願番号:特許出願平6-306428
出願日:1994年12月9日
公開番号:特許公開平8-161164
公開日:1996年6月21日
出願人:株式会社カプコン
【目的】たとえばシリーズ化された一連のゲームソフトを買い揃えてゆくことによって、豊富な内容のゲームを楽しむことができるようにする。(※2)
つまり、シリーズものの続編ゲームソフトを動作させる際に、前作のゲームソフトを動作し読み込ませることで、追加のキャラクターやシナリオなどが解放されるといった類のシステムに関する特許です。これはコーエーテクモゲームスの『真・三國無双7』と『真・三國無双7 猛将伝』における「MIX JOY」システムの内容と類似性があると言えます。
しかし、「MIX JOY」が初めて登場したと思われる『真・三國無双2 猛将伝』の発売は2002年8月29日。「なぜこのタイミングで訴訟を起こしたか」という疑問を持った方も多いでしょう。それについては、やや筆者の邪推を含みますが、特許法66条について、少しだけ知る必要があります。要点は、出願された特許の有効期限について。特許権は、審査後に特許として設定登録されたときから始まり“出願日から20年後に終わる”とされています。つまり、カプコンが特許を出願したこのシステムの特許は、2014年(今年)の12月9日で期限が切れることを意味しています。訴訟を起こせるギリギリのタイミングとも言えるでしょう。
◆ポイントは、カプコンの特許が「発明」であるか否か
コーエーテクモゲームスの歴史を辿ると、PC98版『信長の野望 覇王伝』(1992年発売)において、シナリオなどが追加されるシリーズ初の追加フロッピーディスク『信長の野望 覇王伝 パワーアップキット』を発売。これは1993年発売なので、カプコンの特許申請よりも先んじたものとなります。現在『猛将伝』などで展開される「MIX JOY」は、おそらく『信長の野望』や『三國志』で多く展開された『パワーアップキット』から着想を得たものであることが考えられ、カプコンの特許が「発明」であるかどうかが論点となりそうです。
『パワーアップキット』は、当時も十分周知が行われた画期的なシステムですが、単体でプレイできないといったカプコンの特許や「MIX JOY」との違いも見られるため、今回の裁判でどのように扱われるかは非常に微妙です。
◆ほかの類似ゲームの扱いについて
例えば、KONAMIのプレイステーションソフト『beatmania』シリーズは、『アペンドディスク』と呼ばれる追加ディスクを発売しています。これらは『アペンドディスク』単体ではプレイできなかったため上記の『パワーアップキット』に相当しますが、同音楽ゲームシリーズのプレイステーションソフト『Dance Dance Revolution』では少々異なるシステムが存在しました。
『Dance Dance Revolution 2ndReMIX』において、初代『Dance Dance Revolution』とディスクチェンジすることができ、これにより『2ndReMIX』のシステムで初代『DDR』の楽曲をプレイすることができました。同様に『Dance Dance Revolution 3rdMIX』においても、ディスクチェンジすることで『3rdMIX』のシステムで初代『DDR』や『2ndReMIX』をプレイすることができました。コーエーテクモゲームスの「MIX JOY」と同様に、カプコンの特許との類似性が見られます。
前作のソフトがあることによって追加コンテンツの恩恵を受ける続編ソフトという構図は、これら以外にも、メジャー・マイナー問わず多数存在すると思われます。そのような中で、なぜコーエーテクモゲームスのみが訴訟の対象となったのか疑問が残ります。ただし、どのようなソフトでも、カプコンから特許の使用許諾を得て、使用料を支払っていた場合は特に問題はありません(上記で例に挙げた『DDR』シリーズがカプコンから使用許諾を得ていたかは不明です)。
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さまざまな疑問も残る今回のカプコンによるコーエーテクモゲームスを相手取った訴訟。コーエーテクモゲームスは徹底抗戦の姿勢を見せており、今後の裁判の行方が気になります。当サイトでも随時続報をお伝えしていきます。
(※1)引用元:msn産経ニュース ゲーム「戦国無双」法廷闘争に カプコン、9億8千万円賠償請求 特許権侵害訴え(http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140826/waf14082617470028-n1.htm)
(※2)引用元:電子特許図書館(http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl)
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