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【E3 2015】鈴木裕に『シェンムー3』に賭ける想いを独占インタビュー「僕はクリエイターである事を選んだ」

『シェンムー3』のKickstarterプロジェクトで、世界で最も早く100万ドルの調達に成功したゲームとして、ギネス記録を打ち立てた鈴木裕氏。前回の取材から一夜明けて、あらためてプロジェクトの現状や、ゲーム作りにかける想いなどについてお聞きしました。

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シェンムー3』のKickstarterプロジェクトで、世界で最も早く100万ドルの調達に成功したゲームとして、ギネス記録を打ち立てた鈴木裕氏。前回の取材から一夜明けて、あらためてプロジェクトの現状や、ゲーム作りにかける想いなどについてお聞きしました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

――先日はありがとうございました。今回はその深掘りをさせていただければと思っています。

こちらこそよろしくお願いします。

――まずは『シェンムー3』のテーマに掲げられていた「懐かしさ」というキーワードについて、もう少し詳しく教えてもらえますか?

世界中どこにいっても『シェンムー3』はどうなっている、と聞かれるんですよ。メールだったり、人づてに聞いたり……。そこで感じたんですが、『シェンムー』にはいろんな要素が入っているので、人それぞれ気に入ってくれたところが、ずいぶん違っているようなんですね。たとえば望という女性に会って・・・『シェンムー1』のヒロイン(原崎望)ですよね。それで運命を感じて結婚した人もいますし。

――ええっ? そうなんですか。

はい、そうなんですよ。ほかにも、日本人にとってはものすごく当たり前のことなんだけど、外国人にとっては新鮮だったりしたこともあるようです。たとえば『1』で主人公の(芭月)涼が事件の手がかりを求めて、街の人に聞いてまわるじゃないですか。その時に必ず「ありがとう」といって別れるんですよね。それに感動したという外国人もいます。それを聞いた時「じゃあ、あなたの国ではありがとうと言わないのか」と思ったりもして。

――そういう思いはあっても、あえて口にしない文化なのかもしれないですね。

しかも「すみません」「ありがとう」というやりとりは、ゲームを通してものすごく繰り返すわけです。それは日常的に経験したことがない人にとっは、けっこうショックなんでしょうね。そこで、すごく心に入り込むというか。

――たしかに「ありがとう」といって会話を終えるRPGはほとんどありませんしね。

また、いまはインターネットでいろんな情報が世界中で共有される社会ですが、昔になればなるほど、田舎になればなるほど、情報の交流がないので、その土地にまつわる文化や風習の色が強くなります。そこの民族につたわる信念や価値観といったものが、わかりやすいんですよ。そういうものがおもしろくて。

――なるほど。

だからたぶん、「3」に期待してくれいる人って、過去の思い出が美化されることも含めて、ちょっと懐かしい感じを、たぶん15年前の玲莎花とか、涼とか、15年前の『シェンムー』に懐かしさを感じてくれているんだろうなと思って。『3』でその懐かしさを壊しちゃいけないだろう、そう考えています。そういったものを、ちゃんと『3』でも思い出させるようにしないと、ユーザーの期待に応えられないんじゃないかな。だから『3』では「懐かしさ」がキーワードということですね。



――『1』『2』でも「懐かしさ」をテーマにしていませんでしたか?

同じ懐かしさでも『3』とはちょっと違いますね。『1』『2』は時代に対するノスタルジーで、『3』はゲームに対する懐かしさです。『1』『2』をつくっていたころは、ターゲットユーザーが10代後半から20代前半と若かったので、そういったユーザーに対して1986年という、昭和の香りを色濃く残す街の文化に触れてもらって、ノスタルジックになってもらうことでした。それに対して『3』は、ゲームとしての『1』『2』を懐かしく思ってもらうことですね。

――ちょっと時系列を整理すると、『1』『2』が発売されたのは2000年、2001年です。『1』の舞台は1986年の横須賀ですから、当時のユーザーが仮に20歳だったとしたら、自分が6歳の頃の話になるわけですね。

懐かしさどころの話じゃないですよね。まだ子どもの頃の話だから。ノスタルジーと共に、こんな世界が昔はあったんだという、異世界に近い体験かもしれません。

――それが15年経って、当時のユーザーも35歳になり、だんだんと「懐かしさ」を感じることができるくらい成熟してきた。それこそ『1』『2』を遊んだ思い出を「懐かしい」と振り返られるくらいに。

はい、当時のユーザーにとって『シェンムー』体験が懐かしいということですね。

――もっとも、先ほど言われたようにリリースしてみて、世界中のユーザーから「こんなところに感動した」という反応が返ってきたというのは、開発中は予期されてなかったわけですよね。そうした反響が世界中から来たことに対して、この15年間、作り手として驚き続けてきたということでしょうか?

そうですね。一気にきたわけではなくて、常にいろんなコメントが世界中から届き続けたという感じですね。特に文化の違いだと思いますね。

――では同じ『1』『2』ユーザーに向けて『3』はこんなことを楽しんで欲しいといっても、日本人と外国人では、ちょっと違うかもしれませんね。

違うんですよね。外国人に対して『1』『2』を作った覚えはないです。たとえば『アウトラン』をはじめ、僕が昔作っていたアーケードゲームは、最初から世界市場に通用する題材を選んで作っていました。でも『1』『2』の場合は、どこの国に向けてというのはなかったですね。



――日本のユーザーに対して作ったわけでもなくて?

そこは、あんまり考えてなかったですね。むしろ「新しいゲームスタイル」を提案すれば、そこに注目もあるし、おもしろみもあるだろうということで、新しいことをすれば新しいゲームと言うことで、世界の人が注目してくれるだろうと思っていました。システムの新しさということです。でも文化・風習にここまで皆さんが反応するとは思っていませんでした。

――新しいシステムというのは、人間でいうなら骨格の部分ですよね。それに対して文化・風習は肉体や外見といったところでしょうか?

どちらかというとシステムはフィジカルなもので、文化・風習というのがスピリチュアルなものという感じです。

――そこが、しばしば『シェンムー』で言われている『スピリチュアル』というキーワードにつながるわけですね。そして『3』では、そうした『1』『2』ユーザーが思いもかけず喜んでくれた部分を、もう一度大事にして作ってみようということですね。

そうですね。

◆15年ぶりに当時のキーマンが再結集

――『3』は開発をネイロが担当されますよね。社長の平井武史さんは元セガで『1』『2』のチーフプログラマーだった方とうかがっています。今回、どういった経緯で再び一緒に開発されることになったんでしょうか。お二人の関係性は15年間ずっと続いてきたんですか?

平井をはじめ、何人かのメンバーとはずっと交流してきています。時々お酒を飲のんだり、いつか『シェンムー』をやりたいねとか話したり。「もしやることになったら頼むぜ」とか、そういったことはずっと言っていたんですよ。

――皆さん気になっていたんですね。

また僕がもともとプログラマーですし、平井も同じなので、プログラマー同士ということもあって。ゲームにはグラフィックス、サウンド、プログラムといろんな要素がある中で、僕はプログラムで勝負したい気持ちが強いんですよ。

――なるほど。

いま世界中ですごいゲームがありますよね。『Destiny』『グランド・セフト・オート』『アサシンクリード』など……。どうしてもバジェットが違いすぎて、これらのゲームとグラフィックスのクオリティだけで勝負しようとすると厳しいところもあります。ただ、たとえば任天堂さんのゲームって、他よりちょっとポリポリしていても、そこはまったく気にならないし、ゲーム性が高いから僕は大好きなんですね。ですから、そういうアプローチです。当然プログラム面で新しいチャレンジもするでしょう。僕はゲームをおもしろくするのはプログラムだと思っています。やっぱりそこで勝負したいなという時、プログラムのチーフがとても重要なパートになってくるんですね。

――そこで平井さん。

ええ、平井が当時のプログラムチーフだったことや・・・ああ、もう「平井」と呼び捨てにはできないですね。つい昔の部下だったので・・・。ネイロは彼が作った会社なので、もちろんプログラムが強いだろうなと。それに今回は『3』を開発するにあたり、『1』『2』のソースコードの提供をセガから受けています。彼が書いたコードもかなりの量がありますし、リソースの再利用もできるでしょうし。当時のプログラムに対する理解力において、彼より優れた人はいないでしょう。そうしたいろいろな意味で、彼と彼の会社に協力してもらうのが最善だったんです。

――ほかにも過去の中核クリエイターが参加されるようですね。

はい、メインシナリオに吉本(昌弘)先生もまた参加されてくれますし、キーメンバーの人たちがまた参加してくれるというのは、すごく嬉しいですね。

――現在の開発はどんな感じでしょうか?当然その前からネイロさんとは話があったと思います。

大前提として本プロジェクトはKickstarterが成功するか否かが一つの区切りになりますよね。もし成功しなかったら、なくなる話ですから。今はまだゴールしていないので本格稼働というわけにはいきませんが、動ける範囲で動いてもらっています。企画ミーティングなども何度かやりました。またKickstarterでの募集開始にあたり、プロモーション映像を「アンリアルエンジン4」で作りましたが、あの制作はネイロにお願いしています。もちろん監督は僕がやりましたが。そこで一緒に仕事をしたり、そんな感じですね。バジェットがあと一ヶ月くらいで確定すると思うので、その規模でプロジェクトチームを最終構成します。計画は流動的ですが、少なくともネイロが中心的存在になっていくのは変わりありません。

――ちなみにセガ時代の平井さんはどんな方でしたか?

「シェンムー」プロジェクトは一時300人に膨れあがったんですよ。セクションごとに管理者がいて、彼の下にも100人くらいの人間がいたのかな・・・。僕と現場との間にいるわけじゃないですか。やっぱり、部下からの信頼が厚かったですね。それが一番の褒め言葉だと思います。上から信頼される人は、ただ機嫌をとっているだけかもしれないけれど、下から信頼されるというのは、人間性が問われますからね。

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《インサイド》

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