『エースコンバット7』ロングインタビュー…最新作のテーマや『エレクトロスフィア』への繋がりを語る【TGS2018】 4ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『エースコンバット7』ロングインタビュー…最新作のテーマや『エレクトロスフィア』への繋がりを語る【TGS2018】

『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』ブランドディレクター河野一聡氏を筆頭とした開発スタッフにロングインタビュー!

家庭用ゲーム PS4
『エースコンバット7』ロングインタビュー…最新作のテーマや『エレクトロスフィア』への繋がりを語る【TGS2018】
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■『エースコンバット』のe-Sports展開や、VR機体の選定、そして無線デザインなど


――では次の質問に入ります。2011年ごろのツイートで『ACE5』は元のデータが開発終了後に消えてしまったとありましたが、今回の移植に影響はあったのでしょうか?


河野氏: あれは、多くの人に誤解をさせてしまったようで申し訳ございませんでした。正確には幕間のモデルデータなどを保管していたサーバーがお亡くなりになったというもので、キャラクターたちのモデルがもう存在しないという話です。外部でのサルベージも試みたんですがダメでした。

河野氏が指しているのは、この画像に写るハンス・グリムのようなプリレンダリング映像で使用されたCGモデルデータ

――そんな経緯があったんですね、真相を知れて納得しました。ではもう一つ、PS4版早期購入特典となる移植版『エースコンバット5』の単品販売はありますか?

一同: 移植版の単品販売は全くないです。

下元氏: 早期購入特典でしか手に入れられないですね

玉置氏: この期を逃さずに!

――単品販売がないという情報は重要ですね!

河野氏: そういった経緯で実現しました

――VRモードでの機体がF-22AラプターとSu-30M2フランカー、そしてF/A-18F スーパーホーネットの3機種に決まったのは、どんな理由からなのでしょうか?


玉置氏: まずF/A-18Fスーパーホーネットに決まったのはわかりやすくて、「VRモードのミッション1の最初のシーンは空母の発艦からやろう」というのを決めていたんですよ。空母の発艦は最初の体験としてお客様にぜひ見ていただきたいシーンだったので、それに合う艦載機というのが条件でした。その中でも多くのプレイヤーにとって操作しやすい機体というのを選びました。そのため、1番に決まったのはスーパーホーネットでした。


F-22Aラプターは、今回『7』のキービジュアルとなる機体なので、「やっぱり外せないよな」というところから決まりました。Su-30M2フランカーF2は、東側の機体に対する根強い需要にお応えするものです。それにやはりフランカーをはじめとした東側特有の流線美を、VRで手に取るようにご覧いただきたかった。


TsAGI(Tsentralniy Aerogidrodinamicheskiy Institut、ツアギと読む)、ソ連時代から続く中央航空流体力学研究所というのがあるのですけれど、そこが作った空力モデルをもとに設計された独特のフォルムというのが東側機体のひとつの見所になっているんです。特に機首から主翼にかけて、とても独特な美しさを持っており、「あれをVRで見たい!」と私自身も強く思っていました。ぜひ愛好者の方には自分自身の眼の前に存在するものとして、さまざまなアングルから味わっていただきたいです。

4機目は…、まだ未公開ですね。未公開としたせいで、いろいろな想像が各所に広がり始めていますが、すみません! 実在機です。地に足のついたものですけれども「あっ! なるほど確かにVRで見たいし乗りたいな!」という機体です!

――そうなんですね、明らかになるのを楽しみに待っています!ところで河野氏は、EVOや闘会議など『鉄拳7』の大会によく見学へ行かれているみたいですが、同作への関わりに加えて、e-Sportsなどに興味はあるのでしょうか?

河野氏: 僕が働き始めたのが『鉄拳』を作り始めた時期で、その後、若い時に部内で『鉄拳3』がすごく流行って休憩時間によく遊んだりとか、そういう思い出はありますね。

玉置氏: 何のキャラクターを使ってらっしゃったんですか?

河野氏: ポールです。崩拳一筋。(笑)ずっと休憩時間に遊んでいて、電話に出なかったことで加藤さん(『エースコンバット2』のディレクター)に怒られた思い出があります。(苦笑)今、僕のチームに『鉄拳』『ソウルキャリバー』『エースコンバット』『ファミスタ』『サマーレッスン』などをプロデュースしたプロデューサーたちが集まっています。なので、最近は『鉄拳』のe-Sportsはどういうものかな?と、よく見に行くようにしています。(『エースコンバット』の)e-Sports化に関しては下元が喋ります。

――本当ですか!?

下元氏: 突然ですね(笑)。もちろん考えてはいます。それは『7』の話ではないですが、「フライトシューティングのフロントランナー」という思いでやっていますので、このジャンルでのe-Sportsは考えています。

河野氏: 構想段階で、どの道に行くべきか。


下元氏: ありがたいことに『エースコンバット』の進化する可能性が沢山ありすぎて、贅沢なんですけれど「どうしよう」というのに悩んでいます。それこそ今回1つの未来への可能性として「VRモード」を形まで持っていきましたが、それ以外の形になっていない未来はいくつもあって、どれを選ぼうかと河野と話しています。ただ、大体、僕の選ぶ道は河野が「嫌」って言うんですけれど(笑)

玉置氏: だからチームを組んでいる意味があるわけですね

下元氏: 「将来どの道を取る?」というのはよく話していますね。その1つに当然e-Sports化はあります。

玉置氏: やっぱり『インフィニティ』をやっている時に、オンラインで遊ぶということに対しては、すごく独特なコミュニティが出来上がっていたんです。そう考えると色々な可能性があるんですよね。ただ、今回の「VRモード」の立ち位置もそうですが、一番重要こととして申し上げたいのは、キャンペーンモードの「エースパイロットになれる体験」こそが多くのお客様から一番に求められている、ということを前提としてスタッフ全員が理解しているということです。


河野氏: 僕は、お客様は基本「わがままな存在であっていい」という考えがあります。それで、今の時代ってもうお客様のニーズが細分化していて、格子のように細かくなっています。昔のようにお客様のニーズやセグメント分けがシンプルで、それを満たす手段も限られている。という時代はとうに終わってしまってます。なので『7』のさらに先となると、今までのように『エースコンバット』というタイトル1本で、全員のお客様を満足させるというのは難しくなってきた。

『エースコンバット』の中でもドラマ・ストーリーが好きな人、戦闘機の操縦が好きな人、プレイヤーとの対戦が好きな人。求めるものが様々で、そして誰もが自分の求めるものをより高く満足させてくれることを望んでいます。それらを全部一本の製品で、すべての方向にベストとして満足していただくのは、厳しくなってきた。今回はVRも含めてですね。挑戦的に作ってみましたが。

玉置氏: VRはギリギリでしたよね。『7』はよりどりみどり、ギリギリを狙っている。


河野氏: これからこの先には『エースコンバット』というフランチャイズと、『エースコンバット』の良さを維持しながら、どれだけお客様の細やかなニーズに答えていけるのかというのが我々の一つの課題かなと思います。

――いろいろな道が存在しているんですね。次の質問ですが、プレイアブル出展された本編試遊のTGS 2018版を日本語音声でプレイしました。そこで初めてプレイヤー達に投げかけられるセリフが感情的に厳しいことがわかったのですが、本作の無線はVRも含め過去作と比べてどのような違いを意識したのでしょうか?

河野氏: そんなに違うかな?

下元氏: 懲罰部隊という設定は新しいですよね


――そうですね、例えば『5』だったら、上官(オーソン・ペロー基地司令など)から色々なこと嫌みったらしく言われることがあっても、最低でも軍人として敬意を持った扱いを受けていたうえでの口調だったと思います。ただ今回のは、軍人、あるいは人としての敬意も尊厳も無く、懲罰部隊ということで「貴様らは的になって死んで来い!」と言われるのが初めての体験だったんです。

河野氏: TGSの試遊台のミッションは、全体のトーンの中でもどん底の所を出しているんですよね。

下元氏: 今まで以上に下がったところから、どう這い上がっていくか?というところですね。それが伝わったのならよかったです。

――ちなみに、「VRモード」での無線演出は「ある部分はこう演出しよう」と考えてたりするのでしょうか?

玉置氏: 実はそこがかなりの苦しみポイントでしたが、初めて質問していただけましたね。河野さんもお呼びして「VRの無線はどうあるべきか!?」と激論を交わしました。何が難しいって、VRで無線をやる場合には当然字幕を出さないといけないのですけれど、あんまり字幕を出しすぎるとそればっかり見ちゃってせっかくのVRが台無しになっちゃうんですよね。


最終的にVRモードでは、音だけの「雰囲気だけが伝わればいい無線」と、<<内容をちゃんと聞いてほしいから文字まで出す無線>>にきっちり分類して演出しています。

河野氏: キャンペーンモードと同じ設定のままだと、触ってみて「何か違う!!」って。

玉置氏: 何が違うんだろう?と、無線の出方がちょっと変、みたいな。

河野氏: 無線のレギュレーションがおかしいぞ。って。

玉置氏: もちろん無線の出方が『7』本編と違いすぎるとお客様の混乱になるので、なるべく同じルールにしながらもVRに最適な出し方にするにはどうしたらいいのかを決めました。結果的には、そもそも無線を文字として読んで理解しないとゲームを遊べない、という状況はなるべく排除していますね。実際、現実世界では空中に文字が浮かび上がるわけではないのですから、「字幕を完全に無視して遊んでても、ゲームプレイが成り立つようにしよう」という考えに立っています。

――そういった試行錯誤があったんですね。またVRモードの無線に日本語音声が入ったのも「字幕を見なくてもわかるようにする」という意図も入ったものでもあるのでしょうか?


玉置氏: 日本語/英語音声両方ともあります。本編とまったく同じレギュレーションというだけですね。よく考えたらスカイアイが日本語を喋るのは初めてなんですよね。

河野氏: そうです。それがちょっとネットでも話題になっていました。どこの国の方なんでしょうね?バイリンガル?(笑)

次ページ: 平成を振り返り、次の元号を見据えた『エースコンバット』
《G.Suzuki》

ミリタリーゲームファンです G.Suzuki

ミリタリー系ゲームが好きなフリーランスのライター。『エースコンバット』を中心にFPS/シムなどミリタリーを主軸に据えた作品が好みだが、『R-TYPE』シリーズや『トリガーハート エグゼリカ』などのSTGも好き。近年ではこれまで遊べてなかった話題作(クラシックタイトルを含む)に取り組んでいる。ゲーム以外では模型作り(ガンプラやスケモ等を問わない)を趣味の一つとしている。

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