中華ゲーム見聞録:イケメン僧侶との恋愛ADV『塵沙惑(Lost in Secular Love)』髪の有無が選択可能な「ヘアースイッチ」機能を搭載!開発者インタビューも | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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中華ゲーム見聞録:イケメン僧侶との恋愛ADV『塵沙惑(Lost in Secular Love)』髪の有無が選択可能な「ヘアースイッチ」機能を搭載!開発者インタビューも

「中華ゲーム見聞録」第13回目は、寺を舞台にしたイケメン僧侶たちとの異色の恋愛ADV『塵沙惑(Lost in Secular Love)』のプレイレポートを開発者インタビューと共にお届けします。

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中華ゲーム見聞録:イケメン僧侶との恋愛ADV『塵沙惑(Lost in Secular Love)』髪の有無が選択可能な「ヘアースイッチ」機能を搭載!開発者インタビューも
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「中華ゲーム見聞録」第13回目は、寺を舞台にしたイケメン僧侶たちとの異色の恋愛ADV『塵沙惑(Lost in Secular Love)』をお届けします。

美少女もの『七人殺陣』、美少年もの『心之檻』と来て、今回は僧侶ものです。図らずもずいぶん幅広くカバーしています。本作は夜兎遊戯(YETU GAME)によって、2016年10月28日にSteamで配信されました。メンバーは中国各地にいて、ネット上で集まって活動をしているとのこと。メンバーの一人、七夜氏に連絡してみたところお返事をいただけましたので(しかも日本語で!)、インタビューを記事の最後に掲載します。

『塵沙惑』の1シーン。髪の毛有り

本作はイケメンの僧侶たちと恋愛をする、いわゆる「乙女ゲーム」です。特徴として挙げられるのは、やはり僧侶の髪の有無を選べる「ヘアースイッチ」でしょう。これによって「ツルツルなのはちょっと……」という方でも安心。ゲーム中、いつでも変更ができます。

本作もインストール時に英語が選べますが、珍しく英語でのプレイが可能でした(これまで「中華ゲーム見聞録」で紹介してきたものは、インストール時に英語が選べても、実際に英語でのプレイができないものばかり)。それではさっそくプレイしていきましょう。

主人公は没落した士族の娘



ゲームをスタートさせると、いきなりエラーが出ました。これは『七人殺陣』のときと同じで、ADVゲーム作製ツール「吉里吉里」の中国語版を使っているため、日本語Windowsと文字コードが合わずに起こるエラーです。システムロケールを簡体字の中国語に変更して再起動すれば動きます。


ゲーム開始後、まずは主人公の名前入力です。主人公は女性なので、『心之檻』のときと同じく「遊戯閃子」に。ちなみにデフォルトの名前は「崔七叶」です。


遊戯閃子は没落した士族の娘で、弟が2人と妹が1人います。父親は亡くなり、白米もろくに食えないほど貧しいようです。ちなみに登場人物の服装がどことなく和風と中華風が混ざった感じで、後ろには畳部屋が見えます。七夜氏の話によれば、中国の僧侶は日本と違って結婚ができないため、和風設定を融合させることによって虚構の時代を演出し、違和感をなくしているとのこと。和風と中華風の融合した個所は他にも多く見られます。

それと本作は主人公以外フルボイスです。これまで「中華ゲーム見聞録」で扱ってきたADVゲームで、フルボイスのものは初めてですね。DLCでは恋愛対象となる男性キャラクターたちの歌もあるなど、声優方面にも力を入れているのがわかります。ちなみに主人公の家は貧乏ですが、登場人物が明るいため悲壮感はまったくなく、コミカルな会話で物語が進んでいきます。

僧侶との結婚で玉の輿?



弟たちとの会話の後、母親に呼び出されます。遊戯閃子ももう18歳ですし、そろそろ結婚をしたほうがいいのでは、と持ち掛けられます。昔の女性は14歳ぐらいで結婚するのも珍しくないので心配しているのでしょう。「でもどこに嫁ぐの?」と遊戯閃子が聞くと、「僧侶のところなんてどうかしら」と母親が言います。

挿入ムービー


ここでムービーが入り、それから……誰だお前!?……母親ですね。この姿で画面の上から現れたり横から現れたりとウザいムーブを見せながら、遊戯閃子に青蓮寺の僧侶との結婚をしきりに勧めてきます。

落ちぶれたといっても士族。僧侶との結婚なら箔も付きますし、寺は田を持っているので白米が食べ放題です。「白米」という言葉に心が揺れた遊戯閃子ですが、弟たちの世話をしなければならないため、家から離れられません。母親は、その点は問題ないと言い、親を安心させるために早く結婚してほしいとのこと。結局遊戯閃子は青蓮寺へ向かうことになります。


本作は仏教関係の専門用語が多く登場します。意味が分からない単語に関してはオプションのところに辞典があるので、それを参照すれば問題ないかと。こういう細かい気配りはいいですね。

いざ青蓮寺へ


僧侶登場シーン


青蓮寺にたどり着くと、さっそく攻略対象の眼鏡をかけた僧侶に遭遇。この寺の住職の次男で、慧海と言います。気さくで親切な人ですね。上の画像の右がその兄の智空。学問好きのまじめな人で、遊戯閃子の結婚相手です。

左にいる髪がフサフサな人は行者(剃髪前の修行僧)の子清。ちょっと厳しい性格の人です。前のほうの髪有り画像と比較するとわかりますが、子清はヘアースイッチしてもハゲにはなりません。


慧海に案内され、青蓮寺の大徳(僧侶の直系の年配者)に会いました。遊戯閃子の母親から大徳へは話がついており、大徳は智空と遊戯閃子の縁談を早く結びたいと考えています。

しかし、世の中そうすんなりはいきません。ここで檀家のオババが登場。仏教の知識もないような女と結婚させるわけにはいかないと反発し始めました。結果、三か月のテスト期間を与えられ、遊戯閃子は青蓮寺に住むことに。果たして遊戯閃子は智空と結婚し、白米食べ放題の生活を送れるでしょうか。それとも……。


ちなみにADVパートでは、青蓮寺の好きなところへ移動することができます。そこでの出会いやそのときの選択によって、物語や男性キャラクターの好感度が変化していきます。あとDLCの設定集には攻略指南も書いてあるので、詰まったときの参考にすればいいかと。設定集には声優へのインタビューなどもあり、読んでいて面白いです。

開発者へのインタビュー


全体的にコミカルでテンポのよい作品といった印象でした。そのため取っつきやすく、気楽に遊ぶことができます。各男性キャラクターの好感度はオプションから確認できますので、攻略自体はそれほど難しくはないと思います。以下は開発者・七夜氏へのインタビューです。


――まずは自己紹介をお願いします。

七夜氏:みなさん、こんにちは。夜兎遊戯の七夜です。これまで手掛けてきた作品は、ADVゲーム『PRICE』『The Liars』『The Endless Journey』『彼の声』、そして本作『塵沙惑』です。『PRICE』と『彼の声』は日本の友人のおかげで日本語版が開発できました。興味がある方はSteamやFreem!で無料ダウンロードできます。

夜兎遊戯のメンバーはだいたい五人で、中国各地にいます。普段のコミュニケーションはネットで行っています。『塵沙惑』を開発していた頃は嬉しさと同時にプレッシャーも感じていました。メンバーはゲーム開発に対する熱意を捨てられず、今も頑張っています。

――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょう?

七夜氏:原画兼シナリオ担当のメンバーはもともと僧侶関連の作品が好きで、他のメンバーにさまざまな面白い作品を勧めていました。これがきっかけで本作の開発を決定しました。2014年2月ぐらいから始めて、完成まで8ヶ月ほどかかりました。あのころメンバーの大半はまだ学生でした。昼は学校、夜はゲーム開発といったスケジュールで、進捗はあまり早くありませんでした。同時に経費不足ゆえ、ゲームの容量は限られていました。

――本作の特徴を教えてください。

七夜氏:一番の特長は「ヘアースイッチ」でしょう。最初は男性キャラ全員髪が無いゲームを作りたかったのですが、プレーヤーがこういう設定を受け入れるかちょっと心配でした。後に体毛の有る無しを変更できるゲームがあることを知り、これにヒントを得て「ヘアースイッチ」が誕生しました。髪が無い男性キャラクターが嫌いなプレーヤーでも気楽にゲームができるように作ったのですが、思いがけずも多くのユーザーが気に入ってくれました。

それと中国は日本と違い、僧侶は結婚できません。中国のプレイヤーが納得できるよう、ゲームでは中国と日本を合わせた虚構の時代を作りました。そのため、ゲーム中のさまざまなシーンで両国文化の融合が見られます。

もう一つの特長は「フルボイス」です。今でこそ中国でもフルボイスのゲームは多くなりましたが、5年前はまだ珍しかったのです。多くのプレイヤーは「音声は日本語がいい。母国語を聞くのは恥ずかしすぎる」という認識でした。そのため、本作に参加していただいた声優さんたちには感謝しています。


あとは、キャラクターの顔芸を思い切りたくさん作りました(笑)。

――本作が影響を受けた作品はありますか?

七夜氏:最初に影響を受けたのは、「不負如来不負卿」という中国の高僧・鳩摩羅什(くまらじゅう)が主人公の恋愛小説です。その後、日本漫画「5時から9時まで」を読んで「日本の僧侶は女性と結婚できて、気楽に恋愛できるな~」と認識しました(笑)。

――本作の日本語対応予定はありますか?

七夜氏:私たちは日本語版を開発したいと思っています。日本語版が配信できるなら、夢が叶うようなものです。メンバーはみんな、小さいころから日本のゲームが大好きなので。

実は本作の小劇場をアウトソーシングで翻訳しました。Freemで無料ダウンロードできます。しかし翻訳会社は「『塵沙惑』には多くの古代用語、宗教用語、中国語詩歌が出てきて翻訳のハードルが高すぎる」とのことで、本編の翻訳は断られました。将来、翻訳ができる代理会社、あるいは翻訳会社に出逢えばと思います。 

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

七夜氏:日本のプレイヤーの皆さん、このインタビューを読んでいただき本当にありがとうございました。将来私達のゲームをどんどん日本語化して、皆さんと一緒に楽しさを共有できればと思います。

――ありがとうございました。



本作はたしかに仏教関係の専門用語も多く、翻訳には専門知識が必要になるかと思います。ちなみに、七夜氏に「髪の有る無し、初プレイならどちらを選びますか?」と聞いたところ、「ゲームをテストプレイしたとき、実は髪のあるほうを選びました。髪がないほうは慣れるまでちょっと時間がかかりました。髪をオフにした瞬間、男性キャラが別人になったみたいです」とのコメントをいただきました。あなたは髪の有る無し、どちらを選びますか?

製品情報



※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字・繁体字を日本の漢字に置き換えています。
《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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