平成ゲームメモリアル第6回(前編)「平成終盤に輝いたゲームシーンとは?国内e-Sportsやバトロワゲームなど振り返る」 3ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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平成ゲームメモリアル第6回(前編)「平成終盤に輝いたゲームシーンとは?国内e-Sportsやバトロワゲームなど振り返る」

いよいよ最終回となる「平成ゲームメモリアル」第6回は、バトルロイヤルゲームの流行やe-Sportsの盛り上がり、VR/AR/MRゲーム、スイッチの発売など2015年ごろから現在までのゲームシーンを振り返る内容です。長すぎるから前後編にわけてしまうお腹いっぱいの最終回前編。

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■2010年代から盛り上がる日本のe-Sportsシーン―平成に生まれた課題を探る


G.Suzuki ここで話題に出したいのが国内のe-Sports展開に関してです。2010年代に入ってからe-Sportsは国内でも盛り上がりが本格的になってきたようにも感じます。自分は特に「特定のチームを応援している」というものが現在ありませんが、フライトシムを筆頭としたミリタリー系ゲームが好きなので、ミリタリーサンドボックス『Arma 3』やコンバットシム『DCS World』で行われる試合などは、時々見ることはありますね。

この間なら『DCS World』のニュースレターでユーザーが飛行隊を組み空戦で勝敗を競い合う「SATAL 2019」が2019年4月6日から開催されることを知ったので、これから試合の様子を見るのが楽しみですね。国内からもチームが出場するということなので彼らの活躍も見届けたいです。


SHINJI-coo-K 自分は「DreamHack」の観戦をよくしています。メインは『Counter-Strike: Global Offensive』で推しのチームは「Fnatic」です。


葛西祝 やっぱり国内では格ゲーでしょう。ウメハラ選手がオーバーグラウンドに浮上したのは驚きました。90年代から有名でしたが、公の場に出てくるようになり、書籍も多数出しています。続いてときど選手も活躍がTVで特集されたり、人間としてのe-Sports選手がクローズアップされるようになっていきましたね。

キーボード打海 e-Sportsって当然ながらショービジネスでもあるので、「観戦しやすさ」というのもひとつのポイントだと思ってます。玄人、いわゆるプロゲーマーが「目にも見えない速度で卓越したテクを連発する」ような競技シーンだと、スゴイけどスゴさの本質が伝わりにくくて、もったいないこともあるのかなと。自分は『リーグ・オブ・レジェンド』の競技シーンを特によく観てますけど、MOBAってRTSみたいなものなので、「遠くから全体を見る」ような感覚があって比較的観戦しやすいと感じてます。

SHINJI-coo-Kルールをしっかり知らなくてもすごさがなんとなく状況が理解できたりするジャンルだと観戦しやすいですよね。格闘ゲームはそれが顕著ですし。

キーボード打海 「ウメハラがぁ! 画面端ぃぃっ!!!! 」みたいな、誰でも分かるスーパープレイはやっぱり盛り上がりますよね。あれは格ゲーをほとんどやったことがない人でもアツくなれそうです。

G.Suzukiウメハラ選手は「レッツゴージャスティーン!」のかけ声からの展開で知られる2004年の「背水の逆転劇」から知りましたが、あの逆転劇のようにテクニックの凄さや興奮が簡単に伝わるものなら盛り上がりやすい気がします。


キーボード打海 「2018年はe-Sports元年」というフレーズがよく使われていましたね。ぶっちゃけ毎年のように「元年」と言われている気もするので、自分は意識してなるべく使わないようにしているんですが。「e-sports SQUARE AKIHABARA」や「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」、各タイトルの大規模な国内大会、そして「日本e-Sports連合(以下:JeSU)」と大きな動きはここ数年で見られてましたけど、いつになったら「e-Sports元年」から「e-Sports二年」と移り変わるのか疑問ではあります。

葛西祝 e-Sportsが世間的に認知されたのは喜ばしいことですけど、実態としてはどうなんでしょうね。観賞スポーツのひとつとして捉えられているのでしょうか。
SHINJI-coo-Kスタート地点を決めたい人たちがいて、そういう人たちって継続性へ目に向けない場合が往々にしてありますね。もう始まったんだから次は続けていきましょうというところに着目しないというか。

なお、自分の中のe-Sports元年は、国内のものではありませんが『ザ・シムズ2』で登場した職業「ゲーマーキャリア」を見たときでした(笑)


G.SuzukiVRでもそうですが、「元年」と言われているのはどことなく「パラダイムシフトが起こるような大きなブームになって欲しい」みたいな願望を感じます。自分としては、VRは一般に「Oculus Rift」と「HTC Vive」、そして「PS VR」が発売された2016年から、日本のe-Sportsは格闘ゲームの冬の時代を終わらせた『ストリートファイターIV』発売以降がその元年だと思います。

キーボード打海 そうそう、G.Suzukiさんの言う通り「願望」でもあるんですよね。主にリーグ/大会の運営側や我々のようなメディアが言い出してると思うので、ブーメランとなって返ってくる可能性はあるんですけど、「元年が始まったんですね、それじゃあ次は?」というのにほとんど答えられていない。シーンによってはむしろ後退してる印象すらあります。

葛西祝e-Sportsの副次的な効果というか、マスメディアでは「ゲームを遊んでるひとを映すだけでもTV番組にできるよな」みたいな流れがありますね。テレビ東京さんが有吉弘行をメインに据え「有吉ぃぃeeeee!~そうだ!今からお前んチでゲームしない?」を始めたり、フジテレビさんも指原莉乃を起用して「さっしーのe部屋」を始めてますし。

これらの番組で面白いのは「e-Sports」って銘打っているけど、ゲーム実況がメインになっているんですよ(笑)ゲーム実況と言わずに「e-Sports」って枕詞をつかっている。芸能人がゲーム実況番組を公にやれる意味のe-Sports元年はあったのかもしれません。

SHINJI-coo-K なんだかんだいってテレビはメディアの王様なので、波及する予感がしますね。ゲームに理解のない年長世代にも届きそうな気がします。

G.Suzuki ただビデオゲームの紹介や対戦を披露するTV番組が過去なかったわけではないですからね。90年代ならテレビ東京で午後6時30分から「64マリオスタジアム」などで、『ポケットモンスター』の番組内トーナメント戦を映していましたから。

葛西祝 昨年、格闘技大会RIZINで『鉄拳7』の日韓戦が行われていましたし、メジャーなところからコントラストで見せていきたい意図はあるのかもしれません。

実際に取材でRIZINへ観に行ってきたところ、無茶な組み合わせではあったんですけど、今後、日本でe-Sportsをショービジネスとした場合のヒントも結構あったと思いますね。


SHINJI-coo-K ショービジネスとしてのe-Sportsという目線は興業をする人たちに意識してもらいたいですね。それによって振る舞いなども含めた「プロe-Sports選手」という実像ができあがると思いますので。

葛西祝 それはあるかもしれないですね。RIZINに出場した『鉄拳7』の選手の皆さんは、JeSUから正式なライセンスを配布されたプロ選手でした。試合後のインタビューもかなりしっかりしていましたね。

格闘技イベントで、さすがに自分たちが浮いているのではないかと感じていたところ、思ったより観客が暖かったってバランスで語っていたのが印象深かったです。

G.Suzuki 自分の場合はまた違っているのかもしれませんが、『Call of Duty』関連で何度かSIE主催の「CWL日本代表決定戦」を取材してきましたが、選手たちはインタビューに対して、しっかりと受け答えをしていましたし、ウィットに富んでいて熱意が伝わってくるのがとても良かったです。

キーボード打海 自分としては真逆というか、頭を抱えるような体験が過去にありまして。インタビューする予定だったプロゲーミングチームが試合に負けて、ロクに喋れなくなっちゃうほど選手が落ち込んでしまい、ヒンヤリした雰囲気の中で合同取材を進めたことがあります。

SHINJI-coo-K おお、そこまで沈むということはそれだけ情熱を捧げていることの証左な訳で、本当にスポーツの世界というか、“遊びでやってない”って感じがしますね……!

キーボード打海 多くの場合は大会やチームの運営がインタビュー時間をガンバって調整しているわけで、落ち込んでるからって「やっぱり後日やりましょう」という話にできなかったのが、かなり心苦しかったです。向こうもこっちも「遊びじゃない」のは当然なんですけど、「仕事だから!」って理由で半泣きの選手に無理やりインタビューするのも全然面白くないなって。

「仕事だから」という気持ちで試合を観たり選手の写真を撮ったりしてると、どうしても頭が「メディア関係者」モードになっちゃいますし、e-Sportsを心の底から楽しめないんですよね。で、やっぱり楽しんでやってない人のレポートやインタビューはどことなく「工業製品」っぽさが出てきてしまう気がします。

「好きだからやる」と「仕事だからやる」の境界線にブチ当たっちゃう、いわゆるゲームライターっぽい悩みに似てるような、そうでもないような話です。

SHINJI-coo-K いやー「たかがゲーム」、「ゲームごとき」とかいう言葉を口にする人たちに是非とも読んで頂きたい内容ですね。「e-Sports元年」の何が良いかというと、あくまで私見ですが「ゲームに対して真剣に取り組むこと」が馬鹿らしいことじゃないと世に知らしめられることかもしれないな、と思いました。

G.Suzuki 先の問題もそうですが、他にもe-Sportsってまだまだジャンルを広げられると思うんです。今国内はFPS/TPSや格闘ゲーム、MOBAにほぼ絞られてしまっています。2016年に海外で『Civilization VI』のe-Sportsチームが発足したのに驚きましたが、よくよく思い返してみると、ストラテジーゲームである将棋や囲碁も激しく動くジャンルではありませんが、実際にはショービジネスとして成立しています。


最初に挙げた『DCS World』のe-Sports的な試合が世間から注目度低いのは、タイトルやジャンルがマイナーな故に、観客がそれを見てどこで驚けばいいかショー的に映す演出が洗練されきれていないだけで、「戦闘機の挙動をリアルに再現したゲームで戦う試合」に興味惹かれる人は多いと思うのです。

同様にフライトシューティングの『エースコンバット7』も、「e-Sportsには向かない」という意見はTwitterなどで度々見かけますが、それは先の通り、映し方やプレイヤー側の受け取り方が洗練されきれていないだけで、まだまだ広げられると思うのです。


キーボード打海『Farming Simulator』のe-Sportsリーグ「Farming Simulator League」 は、ギャグでなくホントにがんばってほしいです。


……とこれでまだ折返し。もう平成も最終盤なのに掲載日未定の後編は2017年から平成終わりまでが話題の中心となります。ニンテンドースイッチ発売、バトルロイヤルゲームブーム、PCゲームのプラットフォーム戦国時代、日本メーカーの近況などなどまだまだ話は尽きません。ぜひ後編もお付き合いください。
《G.Suzuki》

ミリタリーゲームファンです G.Suzuki

ミリタリー系ゲームが好きなフリーランスのライター。『エースコンバット』を中心にFPS/シムなどミリタリーを主軸に据えた作品が好みだが、『R-TYPE』シリーズや『トリガーハート エグゼリカ』などのSTGも好き。近年ではこれまで遊べてなかった話題作(クラシックタイトルを含む)に取り組んでいる。ゲーム以外では模型作り(ガンプラやスケモ等を問わない)を趣味の一つとしている。

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