Game*Sparkレビュー:『Bloodstained: Ritual of the Night』 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『Bloodstained: Ritual of the Night』

『悪魔城』のIGAがついに帰ってきた!待ち望んでいたゲームが期待していた通りに、否、それ以上の姿で届けられることの歓び!2.5D横スクロール探索アクション『Bloodstained: Ritual of the Night』をレビューします。

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※UPDATE(2019/7/1):使用機種を本文中に追記しました。コメントでのご指摘ありがとうございました。

2019年6月19日に発売された『Bloodstained: Ritual of the Night』は、メトロイドヴァニアの語源の半分とも言える『悪魔城ドラキュラ(Castlevania)』シリーズを多数プロデュースした五十嵐孝司(IGA)氏が手がけています(『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』『悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印』など)。

メトロイドヴァニアの由来となる『メトロイド』および『悪魔城ドラキュラ』シリーズは特に海外での評価が高く、本作がクラウドファンディングを大成功させた姿は、独立後の五十嵐氏に対する期待の表れとして象徴的な出来事だったと言えるでしょう。

とはいえ、誤解を恐れずに言えば…… 本作はあえて新たに語る部分がそれほどないタイトルでもあります。様々なメトロイドヴァニアリスペクトのタイトルが生まれた中で、いよいよ本家とも言うべき作品が正面から提示したのは、変わらぬ遊びやすさだったからです。

本稿では主にアクションメカニズムを中心に触れ、(本作は直接的に関りはありませんが)「イガヴァニア」シリーズを遊んだことのない方に向けた解説を含めつつレビューして参ります。

進行に応じて大きく広がる移動の自由



メトロイドヴァニアといっても、その操作性はゲームによって大きく異なります。ひとたびジャンプしてしまうと着地するまで軌道を修正できないといった硬派なタイトルもあれば、プレイヤーの入力がダイレクトに反映される自由度の高いものまで様々です。

『メトロイド』シリーズとは異なり、『悪魔城ドラキュラ』シリーズはタイトルによって、極めて硬派なものからスーパーヒーローのような攻略が可能なものまで、そのゲームシステムは様々に遷移していきました。

ファミコン世代のゲーム体験が中心だった方にとっては『悪魔城ドラキュラ』は硬派で、そして決して易しくはないタイトルだという印象を持たれているのではないでしょうか。

本作は『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』に連なるシステムとよく似ていて、アクションゲームが苦手なプレイヤーでも挑めるレベルにまとめられています。


作中全体を通して、プレイヤーキャラクターは概ね自由に操作でき、物語の進行に応じて移動能力が強化されていきます。その自由度の広がり方は段階的とは言え、プレイヤーによっては極端なものに映るでしょう。

プラットフォーマーとしても、足場から足場へシビアな距離感を要求されるような場面はほとんどなく、ステージ構成についても見渡せば分かる程度にオブジェクトが散りばめられているので、後半はキャラクターの自由度を持て余してしまう程と言えます。

そうした意味では、本作はプレイヤーの入力に対し高い集中力を要求しないので、肩の力を抜いて遊べるタイトルとして、良いバランスを取っていると感じます。

素直で余地のある操作性



はじめのうちは行えるアクションの選択肢が少ないとはいえ、行動に伴う「キャラクターの隙」も実際のところは少なく抑えられており、あまり息苦しさを感じずに進行していけるでしょう。

特徴的なのは、隙を帳消しにできる余地が残されている点です。格闘ゲームでの「キャンセル」に近いことを行うことで、次の行動へ素早く繋げられます。

ゲーム開始時点からすぐに実践できるものとしては、着地によるキャンセルです。本作に登場する装備は様々なものがありますが、威力の高い装備は大きな隙を生じるように設計されている為、連続攻撃には不向きです。しかしこれらの装備も、様々なキャンセルを活かすことで弱点を補えます(※)。

※ただし、全ての武器で同様に行える訳ではありません。

攻撃判定が出る瞬間に着地するようジャンプの高さを調節すれば、重い攻撃でも素早く連発できる

地上に立った状態では、その攻撃モーションが全て終わるまで次の攻撃は出せません。しかし空中で攻撃を出していた場合は、着地によってモーションが途中でキャンセルされることになります。

本作はジャンプと着地で特に隙が発生しないので、着地と同時にすぐさま地上攻撃を繰り出せるようになります。更に言えば、低空ジャンプ中に攻撃し、着地によってキャンセルしつつすぐさま低空ジャンプ、そして攻撃…… と繰り返すことで、重い武器でも実質的に攻撃スピードを上げられるという訳です。

緊急回避の終わりは隙が生まれるが、一瞬しゃがみを挟めばこれをキャンセルできる

このような、行動に伴う隙を解消する要素は着地だけに限らず、緊急回避などでも可能です。また、隙を生じるその他の行動(スライディング等)にも、それぞれ隙を打ち消せる何らかの工夫を挟める余地が残されており、複雑な入力を求められることにはなるものの、新たな能力を取得していない段階であっても、移動や攻撃の速度を上げていく楽しさがあります。

手堅い構成で難易度は抑えめ



レベルアップ制、新たな装備やシャード(後述)によるキャラの強化といったシステムがあるものの、通常に進行する範囲では油断をすればやられ、慎重に進めば切り抜けられる丁寧なステージ構成となっています。

敵の数だけを見ても、画面内で一度に4匹以上の敵が出現することは少なく、基本的には決まったパターンでしか邪魔をされません。恐らく後半のボス戦闘に至るまでは、キャラ育成に目を向けずともどんどん進行していけるのではないでしょうか。

ひとつの武器にこだわり、それ一本で攻略しようとすれば難しさも感じられますが、主人公ミリアムが体内に宿している「シャード」の力を活用すれば、場面場面での難易度を下げていけます。

通常の武器攻撃では届かない範囲でも、魔法なら安全に切り拓ける

ミリアムは、悪魔の力が結晶化した「シャード」を取り込み、自身の能力として使役できる「シャードリンカー」です。この力により、画面広域を対象とする魔法攻撃や、特定の属性の防御力を増加させるといったことが可能になるのです。

本稿の前半で指摘した、移動能力の極端な強化といった要素があるものの、素直にクリアまでプレイするだけならば、これらの機動力は必須ではありません。メインストーリーを楽しむ上では、特に長時間のレベル上げや素材探索といった労力を掛ける必要もなく、攻略の手ごたえが段々と高まっていくのを感じられます。

そうした意味で、プレイヤーのコントローラーさばきで格闘を主体にアクションで勝負するか、様々な能力を駆使して知恵で乗り切るか、どちらのタイプのプレイヤーでも楽しめる配分と言えるでしょう。

重すぎない正道のストーリー


小粒なパロディも随所に見られ、中には直球なコラボ的要素も

何らかの原因により悪魔たちが大量に出現し、これを打ち倒すために旅立つ…… というストーリーに違わず、その内容は真っすぐで分かりやすいものとなっています。

キャラクターなどのアートワークを見る限りでは、重厚で暗い印象を受けてしまいがちですが、しかしながら本作はその実、それほど重苦しい演出は用意されていません。むしろ、ややギャグ調の部分が目立つところさえあるので、気を楽にして挑めます。

主人公ミリアムにしても、筆者の当初の印象では可憐で物静かな少女というものだったのですが、思ったより脳が筋肉…… いえ、真っすぐでどこか抜けた子だという風に認識が変わってしまいました(キャラクター紹介では物静かで頭の良い子だと書かれてます!)。

ひたすら「ぶっころしておくれぇ~~!」と叫び続けるおばさんが登場したり、随所にツッコミ所があります。私は戦闘訓練を受けているから、の一言で単身突撃することを厭わない主人公ミリアムに頼もしさを感じつつ、悪魔たちを蹂躙しましょう。

『Curse of the moon』でも登場したキーキャラクター達

『悪魔城ドラキュラ』とは別のIPとなったことで、キャラクター達の設定は上手にひねりを加えられたものとなりました。主人公ミリアムが持つ「シャードリンカー」としての素質と10年も眠り続けていた秘密、ミリアムとかつて親友であったジーベルがなぜ悪魔を呼び起こしてしまったのか、斬月やアルフレッドの狙いは何なのか……。

ステージの構成を含めて謎解きの要素は少なく、ストーリーも陰謀めいた複雑な演出は登場しません。『悪魔城ドラキュラ』シリーズからそうであったように、ゲーム内で描かれるのは「城」が現れて打ち倒されるまでであり、各キャラクターの関係性の表現はドライであるとも言えます。

ストレッチゴール対象としてリリースされた『Curse of the moon』では、キーキャラクター4名が共闘する構成となっていました。筆者の個人的な願いとしては、彼らが仲間として関係性を深めていく物語も(それが過去の話であっても)見てみたいと感じているので、今後のシリーズ展開を楽しみにしたいと思います。

時折感じる「荒さ」と「古さ」


「キラーブーツ」は先端から刃の出る蹴りで追加ダメージを与えるが、序盤の装備だ

五十嵐氏が語っている通り、あえて直球の「らしさ」を踏襲して開発されているので、以下に並べるいくつかの言及は重箱の隅を突くような行為かもしれませんが、プレイ中に気になった点は少なからずありました。

様々に用意された武器の分類によって、攻撃のモーションが決まります。更に、装備品単体に目を向けてみると、変わった特徴を持っているものが粒ぞろいで、単純に性能だけを見て新たな装備へ移るのはもったいないと感じる程です。

とはいえ、大きな威力の差の前にはそうした特徴が潰れてしまうのも事実で、使わなくなってしまう装備を何らかの形で活かすことができたらと思います。これは見た目を性能と切り分けて選択できない問題も同様に内包していて、特にアクセサリー類はミリアムのモデルを大きく飾り立ててくれるので、より顕著です。

レベルアップや、やりこみによる強化を極めていけば威力の問題は小さくなっていくので、こうした要素は後の楽しみにとっておく…… と考えるべきなのかもしれません。

それほど目立つ訳ではないものの、バグもちらほら遭遇します。敵から落ちるアイテムが、ステージの壁などに引っかかるせいなのか、当たり判定が消失して取得できなくなるといったケースがありました。

ただ、イガヴァニアシリーズはプレイヤーが壁を抜けてしまうといった類の挙動がそのままスピードランへ活かされるなど、わざとバグを残しているかのような節がある為、一概に負の側面と評するのは拙速と言えます。

マップに自分で付けられるマーカーは青いバラのアイコン一種類のみ

グラフィックやUIに関しては古風なものを感じます。会話やボスの登場演出をスキップする機能はあれど、スキップしきれない箇所もあり、周回には煩わしく感じる瞬間があります。

ミリアムの髪型や色などを変更する機能は、マップのある地点にいるNPCに話しかけなければ利用できません。メニューからいつでも呼び出せても良かった気がしますが、オートセーブを採用しない方針や、マップに関する機能の少なさといった面など、現代的な親切さをすべて盛り込むよりは、あえて古めかしさを残した設計と捉えれば、開発当初の方針が貫かれた結果だと考えられるでしょう。

ファンにとっては求めていたもの



首を長くして発売を待っていたファンの方々の反応は、総じて「こういうのでいいんだよ!」というものです。筆者は全てのイガヴァニアシリーズをプレイしていた訳ではありませんが、インディータイトルを含めた数々のプラットフォーマーを遊んできた上で、やはり同じように感じています。

冒頭にお伝えした通り、本作を遊ぶ中で受けた印象には、最新の一大タイトルから受ける新鮮な衝撃といった種類の感想はありませんでした。しかしながら、メインストーリーをクリアするまでの道のりは楽しく、上手におもてなしをして頂いた…… と思える魅力が途切れることなく最後まで続くので、非常に遊びやすい作品として仕上がっています。

AAAタイトルと比較して、映画のような感動的な演出がある訳ではありません。それでも、これまで遊んできた2Dプラットフォームゲームの集大成を、誰でも食べられる気軽なデザートのように出して貰えたなと思います。そうした仕事は、頂く方は甘くても、作る方は高いレベルを要求されるに違いありません。

ゲームプレイにかかる時間は、エンディングを迎えてスタッフロールを見る段階でおおよそ10~15時間といったところでしょうか(今回のレビューにおけるエディションはSteamでのPC版となります)。

短めの作品ではあるものの、攻略の方法は多岐にわたり、育成や収集によって拓かれる新たな可能性はクリア後にこそ詰められています。

ほとんど「ムチ」一本で踏破し、MPをあまり消費しないスタイルで知恵も使わずクリアしてしまったので、二周目からは正しく「シャードリンカー」として悪魔の力を活用して参ります。



総合評価: ★★★

良い点

・求められていたゲーム性へ十全に応えた構成
・最後まで心地よく進行できるレベルデザイン
・あらゆるプレイヤーに対応できる幅広い難易度
・随所に散らばるファンサービス
・効果的で高品質な美しいBGM

悪い点

・やや機能不足なマップ

《Trasque》

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