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中華ゲーム見聞録:ドキュメンタリーADV『Indie Dream』駆け出しのインディーゲーム開発となって夢を追い求めよう!

「中華ゲーム見聞録」もとうとう第50回目。今回は、駆け出しのインディーゲーム開発者が主人公のドキュメンタリー風横スクロールアドベンチャーゲーム『Indie Dream(独立夢)』をお届けします。

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中華ゲーム見聞録:ドキュメンタリーADV『Indie Dream』駆け出しのインディーゲーム開発となって夢を追い求めよう!
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中華ゲーム見聞録」もとうとう第50回目。今回は、駆け出しのインディーゲーム開発者が主人公のドキュメンタリー風横スクロールアドベンチャーゲーム『Indie Dream(独立夢)』をお届けします。

本作はLorb Luによって7月27日にSteamで配信されました。中国ではこれまで海賊版などの問題から、ゲーム業界がなかなか育たなかったという経緯がありました。ゲームを産業として考えたとき、成功するかどうかわからないゲームの開発に巨額の資金や時間を投じるよりも、人気ゲームをコピーしてそのまま海賊版として販売してしまった方がコストも安く済んで儲かるという(善悪は置いといて)商売人としての「合理的」な判断がくだされてきました。

一時期中国では、海賊版ゲームや映画のCDやDVDが詰まった段ボールを置き、「一枚いくら」(元の価格に関係なく、すべて枚数計算)という形で販売している人たちが路上のあちこちで見られました。パッケージもカラー印刷されたものが使われており、あきらかに個人製作ではなく、どこかの工場でプレスして大量生産しているクオリティのものでした(売っている人たちも雇われでしょう)。

インターネットやスマホの普及とともに、これら路上販売は徐々に見られなくなっていきました。特に月額型・課金型ゲームは、海賊版の多い地域のデベロッパーにとっては救世主のようなものです。中国でネットゲームが爆発的に増えていく一方、海賊版被害を受けやすいシングルプレイのゲームは依然として低調なままでした。

「独行」日本語版PV

しかしそのような環境の中でも、「シングルプレイのゲームを開発したい」という意欲を持った人たちは少なくありませんでした。Unityなど個人でも無料でゲーム開発ができる環境や、Steamなど気軽に作品発表できて著作権も保護されやすいクライアントの登場により、大企業に頼らず自分の作りたいゲームを作るという「インディーゲーム」が中国でも注目を浴びるようになってきます。

また、中国のゲーマーたちの意識も変わってきました。「正版(正規版)」を持つことや、Steamのゲームリストが多いことがステータスとなり(中国はコレクター気質の人が多い)、ゲーム価格自体も安くなっていることや、アップデートも自動で行ってくれることなどから、「海賊版をわざわざ買う意味がない」という考えも生まれてきました。

シングルプレイのゲームが発展する環境が整ってきた中で、中国産インディーゲームも次第に増えてきました。武侠ローグライク『太吾絵巻』など100万本を超える販売数のインディーゲームも登場します。しかし、ゲーム開発はやはりリスクがあるもの。夢を追ってインディーゲーム開発に乗り出す人たちが増加する一方、失敗して借金を抱えるようなケースも目立ってきました(このあたりはSteamで配信中の、中国インディーゲームの5人の開発者を2年間追ったドキュメンタリー「独行(Indie Games in China)」などをご覧ください。日本語字幕あり)。


本作ではそのような、夢を追ってインディーゲーム開発を行う若者が主人公となります。主人公は天才でもなんでもなく、ごく普通のゲーム開発者です。しかも熱心にゲーム開発しているわけでもなく、「ネットを見ているうちに一日が終わってしまった」というような、どこにでもいる一般人。その日常を、ドキュメンタリー形式のADVゲームに仕上げています。さっそくプレイしていきましょう。

主人公は大学生



ゲームを開始すると、まずは主人公の外見を作っていきます。ちょっと『テラリア』っぽいですね。変な髪型や服装がないのは、やはり「一般の開発者」という点を重視しているからなのでしょうか。いつものごとく「ゲムスパ」と名付けておきます。ちなみにゲームのストーリーは、実際の出来事を基にして作られているそうです。


「すべてのゲーム愛好家に捧げる」の言葉のあと、タイトル画面が現れます。ここから「継続」を選ぶとゲーム本編に進むことができます。ゲムスパはゲーム開発者ではなく、まだ大学一年が終わったばかりです(中国は9月入学)。一年があっという間に過ぎ、夏休みが始まってしまったことで、「いったいこの一年、何をしていたんだ!時間が過ぎるのが速すぎる!」と急に焦燥感に駆られ出しました。


とにかくこの夏休みには何かを成し遂げようと、朝5時に起きて5時半出発するバスの乗り場へ向かいます。ちなみに中国の人たちは基本早起きで、大学生でも休みの日に普通に朝7時とかに起きている人が多いです。


操作方法ですが、A、Dキーで左右移動、Eキーで文字送りをしたり調べたり話しかけたりできます。スペースキーを押しながらだと移動速度が速くなります。


朝5時だというのにスーパーが開いてますね(朝8時ぐらいなら開いているスーパーも多いです)。人に話しかけると選択肢が出てきました。とりあえずあいさつをすると、「ああ、こんにちは……」とそっけない返事が。知り合いでもなんでもないので、当たり前かもしれませんが。


バス乗り場に到着。長距離バスっぽいですね。運転手らしき人に、早く乗るよう言われます。ちなみに中国の長距離バスは喫煙OKのものも多かったので(近年は減ってきましたが)、タバコを吸わない人にはきついものがありました。


バスが動き出しました。ここでゲムスパの野望(?)について少し語られます。ゲムスパはこの夏休みにアパートの部屋を借り、ゲーム開発をしてStim(Steamではない)で配信しようともくろんでいるようです。

ゲムスパは中学生のころからゲーム開発に興味があり、大学でもコンピュータ関連の学部に入っています。「もし一つのゲームを30元で売って、それが50万本売れたら……1500万元!」と皮算用を始めるゲムスパ。しかし「売れなかったらどうしよう」とも悩み始めました。

ゲーム開発に取り掛かろう



バスが走っているシーンで本作のタイトルが浮かび上がってきた後、バスは目的地に到着します。演出がよくできていて、映画を見ているようです。運転手に話しかけると「バスの中で物を食うな」と叱られました。


右に向かって道を進んでいきます。プレイしながら「何かに似ている」と思っていたのですが、今考えるとどことなく『たけしの挑戦状』に雰囲気が似ています。道行く人に話しかけると、「RPGでもないのに知らない人に話しかけるな」などと辛辣な言葉を吐かれました。


アパートに到着。エレベータに乗って、ゲーム開発のために借りた部屋へと入りました。「部屋は広いように見えるが、実際は細長いだけで、左右移動しかできない」とメタセリフを言うゲムスパ。しばらくベッドで休んでから、ゲーム開発に取り掛かります。


ベッドでしばらく眠ったら、昼食の時間になってしまいました。スマホを使って何か注文しましょう。中国では外食の配達業が盛んで、多くの人たちが日常的に利用しています(筆者も利用していました)。UberEatsのようなシステムで、街角にある小さな店のメニューも掲載されているので便利です。


昼食を食べ終わった後、部屋の奥にあるノートパソコンでゲーム開発を始めます。しかしゲームエンジンをまだインストールしていないことや、しばらくゲーム開発をしていないためいろいろ忘れていることなど、思ったよりも前途多難です。


ゲムスパは中学・高校時代のことを思い出します。中学のころは独学でゲーム開発を学び、簡単なゲームをいくつか作ってきました。しかし次第に勉強が忙しくなり、高校生になったころには受験でゲーム開発はほとんど手つかずの状態。ブランクがかなりありますが、一から始めるつもりで頑張りましょう。


突然電話が掛かってきました。母親からのようです。外に住むより家に戻ってきたらどうか、大学の生活は問題ないかなど、いろいろ質問をしてきます(答えの選択があります)。子供のことを心配しているようですね。「とくに問題はない」と答えて親を安心させましょう。しかし独立してゲーム開発することに対し、理解のある親というのは、中国ではまだまだ少なそうです。親としてはできるだけ安定した職業について欲しいですしね。「独行」を観るとその大変さがよくわかります。

なかなかゲーム開発の進まない日々



ゲームエンジンのインストールと設定が終わりました。使いながらだんだん勘を取り戻していくゲムスパ。最初から難しいことをせず、一度初心にかえって簡単なゲームから開発しようと決心します。


プログラムを書き込みます。キーボードを適当に叩くと、それらしいプログラムが画面に現れるので、なんとなくゲームを開発している気分になります。


そして出来上がったのがこちらのミニゲーム。木箱を左右に動かしたりジャンプさせたりするだけのものです。今日はこれで満足したゲムスパ(早い)。さらなるゲーム開発は明日にしましょう。


夜、ベッドに入ったとき、「ゲーム開発をするのはいいけど、具体的に何を作るかを決めていない」ことにいまさら気付くゲムスパ。開発するゲームのジャンルを選択しますが、すべて「シューティングゲーム」のみです。ここでは銃を撃つゲームのことですね。


それからどんなゲームを作るかを決めていきます。主人公は人型かロボットか、武器は何を使うのか、敵は何なのかなどを選択していくと、画面のキャラクターがその通りに変化していきます。


すると先ほどの設定でミニゲームがスタートしました。自分の設定が実際に動くのは面白いですね。ライフはないので、攻撃をいくら食らっても死ぬことはありません。目的まで着けばゲームクリアです。


翌日もゲーム開発に挑みます。開発の合間にStimの新作ゲームをダウンロードしますが、「急いで遊んで2時間以内に返品しよう」と言い出しました(Stimにも返品ルールがあるようです)。ちょうどStimのサマーセールも始まっているので、ストアページばかりを見てしまい、ゲーム開発が進みません。


気晴らしに地下鉄に乗って深セン湾へ行きました。本作の舞台は深センだったようですね。レンタル自転車で湾の周辺をサイクリングします。


自転車を漕ぎながらゲムスパは、初めてゲーム開発をしたときのことを思い出しました。ゲムスパは13歳のころ、ネットで「誰でも簡単にゲーム開発ができるソフト」を見つけ(よくある誇大広告だったようですが)、ゲーム開発の世界にのめり込んでいきます。このシーンに移るときの演出が映画っぽくてなかなか良かったです。


散歩後、気分を一新させて帰宅。作りかけのゲームの開発を続けます。しかしバグが発生。ここでバグ取りのミニゲームが始まります。果たしてゲムスパはゲームを完成させることができるのか。そして今後どのような道を歩むのか。この後の展開は自身の目で確かめてみてください。

駆け出しゲーム開発者の日常を追体験する作品


本作はゲームというよりも、駆け出しのゲーム開発者(というか大学生)の日常や、その苦悩を追体験するインタラクティブドキュメンタリーといった作品です。ドット絵の2Dながら、演出にセンスがあるので見ていて楽しいです。実際の出来事を元にして作られた作品だとのことなので、おそらく開発者自身の体験談が入っているのではないかと思います。


本作のゲーム部分ですが、テキストを読んだりミニゲームをクリアしていくだけなので、特に難しいところはないかと思います。ミニゲームはバリエーションが多く、多少難しいものもありますが、ゲームオーバーは無いので、時間を掛ければなんとかなるかと思います。ドキュメンタリー的な物語展開を重視しているので、ゲーム的なものを求める方には合わないかもしれません。逆に中国のインディーデベロッパーがどういう生活をしているのか、何を考えているのかを知りたい方には打って付けの作品とも言えます。

本作は英語にも対応しているのですが、まだ翻訳が完全ではないとのことで、ストアページでは中国語サポートのみの表記になっています。今後、他の言語にも翻訳されていくことを期待しています。

製品情報



※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。

■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国の歴史ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごす。中国の国立大学で9年間講師を勤め、現在台湾在住。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら
《渡辺仙州》

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