林立する高層ビル群やジャパンタウン、サイバーパンク世界の街並みを歩く。原典から読み解く『サイバーパンク2077』(ナイトシティ編) | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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林立する高層ビル群やジャパンタウン、サイバーパンク世界の街並みを歩く。原典から読み解く『サイバーパンク2077』(ナイトシティ編)

『サイバーパンク2077』の舞台となる街「ナイトシティ」を「Cyberpunk NIGHT CITY」から紐解きます。リリースに向けて妄想を膨らませましょう……!

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カードゲームの発売が発表され、メディアミックス的にも大きな広がりを見せている『サイバーパンク2077』。筆者は最近も暇さえあれば公開された公式動画を観返し、景観や人々のやり取り、細かいギミックに目を凝らしてしまいます。

今でも思い出すのは、初めて映画「ブレードランナー」を観たときのこと。その退廃的未来観の新しさと、そこに生きる人々の生き様のリアルさに心を奪われ、「この世界に一度でいいから住んでみたい。一生暮らすのは嫌だけど、こんな世界を自分の足で歩き、自分の目で見てみたい」と強く願ったものです。

※「ブレードランナー」:1982年公開、リドリー・スコット監督の映画。当時全く新しい未来世界のビジュアルを生み出し、現在のサイバーパンク文化の基礎を造った作品です。街並みなどは日本の歌舞伎町をイメージして作られており、さらにその後の日本の漫画やアニメにも多大な影響を与えました。この相互関係によってサイバーパンク文化と日本は切っても切れない関係を持つこととなっています。

その願いが、もう間もなくコンピュータRPGという形で叶おうとしています。サイバーパンクものが好きなゲーマーなら、ここ数年で間違いなく最も待ち遠しく、ワクワクする日々を送っているのではないでしょうか。

本記事では、そんなワクワクを抑えられない筆者が、シリーズ原作であるルールブック「Cyberpunk NIGHT CITY(以下NC)」を参考に、『サイバーパンク2077』の舞台となる街がどのようなものなのかを紹介していきます。「NC」は原作TRPGの「Cyberpunk2.0.2.0」の追加コンテンツ(通称「サプリメント」)であるため、『サイバーパンク2077』にどれほど反映されているかは予想できませんが、ゲーム世界を知る上で参考になることでしょう。

また、Game*Sparkでは「ロール」編「シルヴァーハンド」編と『サイバーパンク2077』の世界を掘り下げた特集記事を公開中。本稿で興味を持った方はあわせてご覧ください。

『サイバーパンク』の舞台となる「ナイトシティ」の基本情報


「NC」によると、ナイトシティはアメリカの北カリフォルニアに位置する、人口500万人の都市とのこと。国際貿易の中心で、年間900万人が訪れる観光地でもあり、大企業のビルが林立する企業都市でもあります。スローガンは「明日のエッジに建つ都市」。ちなみにこの「エッジ」という言葉は「最先端を行くこと」やギリギリの世界に生きるという意味を内包した、『サイバーパンク』シリーズの最も重要なワードのひとつです。

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この世界は、旧時代の環境破壊により、多くの都市は水没して、大気が汚染されています。そんな中、このナイトシティは水没を免れ、寒暖差もあまりありません。有毒な酸性雨の降る確率は年間でわずか35%とされており、気候には大変恵まれています。

大都市らしく、治安維持にも力が入っています。特に駐車違反には厳しく、見つかり次第強制撤去され、そのまま24時間経過すると問答無用で解体・売却・分解されてしまいます。また、障害者用の駐停車位置に無断で車両を停めていた場合、障害者の人々は、武器を使用してその車両を排除する権利があります。一見、弱肉強食の世界に見えるナイトシティですが、社会的弱者を守ろうとする法律もしっかり備わっているようですね。

特筆すべきは、街の各所に点在する情報端末。「データターム」と呼ばれるこの端末は、都市内のあらゆる場所にあり、そこから簡単にあらゆるニュース、天気予報、娯楽情報などはもちろん、インターネットにもアクセスすることができます。

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未来的であり、旧時代感もある「データターム」が、『2077』でどのように扱われるか気になるところ。

「NC」という書籍は「データタームで情報を閲覧している」という設定で書かれており、各ページにそのウインドウを模したデザインが施されています。こういった粋な作りも本作の魅力であり、そのディテールが作品世界への没入度を高めてくれています。

ところで、スマホが普及している現代から考えると、特定の位置でしか端末にアクセスできない、というのはあまりにも不便な話です。「NC」発刊当時は、「街中に端末があるなんて、なんて便利な世の中なんだ!」と考えられていたのかもしれません。情報技術に関しては、当時の想像を超える進歩を果たしたのだと思うと、感慨深いものがあります。

区画毎に細分化された、機能的都市の詳細


「NC」にはナイトシティの詳細な地図が掲載されており、それぞれ細かい区分けまで記されています。機能に応じた18の区画に分かれており、行政区や銀行区、工業地帯に商業地帯、密輸業者や海賊が集まる港湾施設、中華街やジャパンタウンなど、非常に多くの様相を見せています。その中で『2077』とも関わりが深そうないくつかの施設を紹介していきます。

「アラサカ・タワー」

ナイトシティの企業地区「コーポレート・プラザ」にある、ツインタワー。セキュリティーサービスと武器兵器等の世界的企業「アラサカ・コーポレーション」のアメリカ支局の本部です。「荒坂」という名前からもわかる通り、日本の企業。このビルは2つとも130階建てで、19階までは構造的につながっており、そこから最上階まで2つの塔が並び立つような見た目になっています。ナイトシティで最も高いビルであり、都市のあらゆる場所からその姿を見ることができます。

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画像右奥にあるのが『2077』のアラサカ・タワー。「NC」とは多少外観も異なるようですが、ゲーム中で大きな役割を果たすことは間違いないでしょう。

日本の企業が最も高いビルを持っている、というのは日本人としてはなんとも嬉しくなります。しかし、その外観は、飾り気のない黒ガラスと金属で禍々しい印象を与えると書かれており、悪の組織の本拠地のような言われようです。高度経済成長を経て急速に伸びていく日本が世界を制圧してしまうのではないかという、当時のアメリカの情勢や価値観がここに現れているのかもしれません。

「トラウマ・チーム・タワー」

『2077』のゲームプレイデモの冒頭で登場した、医療チーム。契約者を救うためなら他者の命はいとわない、非常に特殊な組織です。主人公のVが救った人を担架で運び出した人たちが、それに当ります。ガッチリと武装した姿はとても医療チームには見えませんし、何より恩人であるはずのVを激しくどついた場面には大変驚きました。命を救った人であろうとなかろうと契約者以外の人間は眼中に無いという、ビジネスライクを極限まで突き詰めた姿勢。この尖ったスタンスが、退廃的な世界をより印象付けてくれます。

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トラウマ・チームのメインビルは、「メディカル・センター」の区画内にあります。同社のメインオフィスが入っており、もちろん救助のための整備施設もあります。医療チームのビルなのに、兵器庫がしっかりと配備されていることは、いかにもトラウマ・チームらしいところです。

「ジャパン・タウン」

ナイトシティには、「リトル・イタリィ」と呼ばれるイタリア街に、「リトル・チャイナ」という中華街の他、「ジャパン・タウン」が存在します。あのジョニー・シルヴァーハンドも演じた野外音楽堂や、展望台、恋人たちの聖地「ガーデン」などもあり、殺伐とした都市のなかでも心穏やかな時間を過ごせる場所となっています。

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木の割り箸で食事を取る男。『2077』でも日本文化は人々の中に根付いているようです。ちなみにこれは映画「ブレードランナー」のオマージュでもあります。

また日本街らしく、「中川歌舞伎一座」が興行を行う歌舞伎座があったり、先述のアラサカが出資する日本伝統文化博物館があるなど、日本の文化も全面にアピールされています。

特筆すべきは、「ニチバン・モール」と呼ばれるショッピングモール。この施設は、地上に見えている部分は全体の3分の1であり、残りはすべて地下に伸びています。この地下街の構造は、「20世紀末の日本の伝統にのっとった“地下ショッピングセンター”として造られて」いるとのこと。伝統とは何なのか、深く考えさせられます。

「コンバット・ゾーン」

ナイトシティで最も危険であり、そしてゲーム的には最も美味しいところがこの「コンバット・ゾーン(戦闘ゾーン)」です。都市の南方に広がるこの区画は、あらゆる箇所が焼け落ちた廃墟であり、荒くれ者の集う場所。年々その範囲を拡大しているようです。去年までは住宅だったところが、今年にはもう瓦礫の山になっているなど当たり前。コンバットゾーンの堺にある居住区は戦々恐々とした日々を送っているようです。

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コンバットゾーンでは、銃撃戦が人生のすべて。突然の死と隣合わせの世界で、より「エッジ」な生き方を磨いていくのです。

かつては保安部隊がまるごと消息を断ったこともあるらしく、警察ですら近づかない地域です。中の様子は情報が少ないため、「NC」本誌内にも、詳細な地図はありません。TRPG的にはレフリー(いわゆるゲームマスター)がマップを自作することを推奨しています。この手の戦闘イベントでは、マップの詳細を事前に知らないほうがゲームマスターもプレイヤーも楽しめるからです。

この地区は、おそらく『2077』でも重要なイベントロケーションとなるでしょう。これまで公開された画像の中にはそれらしい部分がいくつもありましたので、今後が一層楽しみになります。



ここまでナイトシティについて紹介しましたが、まだまだ情報は山のようにあります。「NC」には、ポスターサイズのナイトシティ全景マップも同封されており、それを眺めているだけでも、興奮が抑えきれなくなるものです。本書は、実質的に絶版状態であり、入手困難となっています。もし幸運にも入手できた人は、2020年4月までこの本の中で、サイバーパンクの世界を旅してみるのも良いでしょう。

※UPDATE (2019/08/08 19:56):記事タイトルと本文を修正しました。コメントでのご指摘、ありがとうございました。
《竜神橋わたる》

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