90年代風ビジュアルで描かれる、更に熟成された群像劇…『N1RV Ann-A』プレイレポート【TGS2019】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

90年代風ビジュアルで描かれる、更に熟成された群像劇…『N1RV Ann-A』プレイレポート【TGS2019】

話題を呼んだバーテンダーADV『VA-11 Hall-A』の続編『N1RV Ann-A』がTGS2019のPLAYISMブースにて展示。新しいバーテンダーは、どんな人生を客と語りあうのでしょうか?

連載・特集 プレイレポート
90年代風ビジュアルで描かれる、更に熟成された群像劇…『N1RV Ann-A』プレイレポート【TGS2019】
  • 90年代風ビジュアルで描かれる、更に熟成された群像劇…『N1RV Ann-A』プレイレポート【TGS2019】
  • 90年代風ビジュアルで描かれる、更に熟成された群像劇…『N1RV Ann-A』プレイレポート【TGS2019】
  • 90年代風ビジュアルで描かれる、更に熟成された群像劇…『N1RV Ann-A』プレイレポート【TGS2019】
  • 90年代風ビジュアルで描かれる、更に熟成された群像劇…『N1RV Ann-A』プレイレポート【TGS2019】
  • 90年代風ビジュアルで描かれる、更に熟成された群像劇…『N1RV Ann-A』プレイレポート【TGS2019】

2019年9月12日から15日にかけて、幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2019」。優れたインディーゲームをパブリッシングするPLAYISMのブースでは、ベネズエラから生まれた話題作『VA-11 Hall-A』の続編『N1RV Ann-A(ニルヴァーナ)』が展示。新たなるグリッチシティで、バーテンダーはどんな会話を紡ぐのでしょうか?

前作と対照的な、新しいバー



新しいバーテンダーであるサムは、前作のジルとは対照的です。お客さまと応対するスタイルから、お酒を作る素材のバリエーションまで違っているのです。グラフィックについても、『N1RV Ann-A』では90年代のPC-9800用ゲームを思わせるビジュアルに変化しています。往年のアダルトゲームにみられたような、単なるキャラの可愛さに、強気と猥雑さが混ざり合った雰囲気が『N1RV Ann-A』にはあります。

サムがどんなふうにお客さまと接するのかを見てみましょう。カウンターに座ったのは、オリヴィアという名の女性です。彼女と会話する切り出しに、このバーが映画のロケ地であることを話していきます。


会話が温まるなか、オリヴィアもビールを頼みます。前作の『VA-11 Hall-A』でお馴染みの、リストから材料を探し、カクテルを作るプロセスから大きく変わり、『N1RV Ann-A』では棚に並べられた膨大なお酒をそのまま出したり、カクテルを作るかたちに変わりました。


出すお酒によって会話が変わるだけではありません。時にサムがお客さまに合わせて、どんなテンションで言葉を返すのかの選択肢も実装されました。サムは器用にジョークで切り返すか、それとも真剣に切り返せるか会話を選べる女性のようです。今回はお酒だけではなく、より多彩な会話の展開が描かれているのです。

お酒を飲みながらの会話で、ゆっくりと見えてくる社会



さて『VA-11 Hall-A』では、小さなバーで会話しているだけなのに外の広い社会を感じさせる仕掛けがたくさんありました。混沌とした政治情勢に揺れるベネズエラの雰囲気さえ感じさせたほどでしたが、『N1RV Ann-A』に置いても社会を感じさせるテキストは健在です。

ビールを飲み、少し身体が温まったオリヴィアは、自分が人工インプラントを取り扱う、バイオテック企業の管理部門に所属していることを話します。彼女が脾臓について担当していることを話すと、サムはオリヴィアに「うちの息子も臓器がほしいって言うんですよ。脾臓の”ひぞー”って響きが好き」と言った会話を交わし、子どもがいることをさりげなく明かすのでした。

社会の姿だけではなく、キャラクターの人生がどこか生々しく語られることも『N1RV Ann-A』では健在です。サムには荒れていた過去があるらしく、そんな中で妊娠し、今のバーテンダーの仕事に就いたことが会話の中で語られます。サムは「今、人生の軌道を修正している」のだとか……。新しいバーテンダーからは、どんな社会と、醸成された人生が語られていくのでしょうか?『N1RV Ann-A』は Nintendo Switch/PS4/PCにて2020年にリリースを予定しています。
《葛西 祝》

ジャンル複合ライティング 葛西 祝

ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、現代美術や格闘技などなどを横断したテキストをさまざまなメディアで企画・執筆。Game*SparkやInsideでは、シリアスなインタビューからIQを捨てたようなバカ企画まで横断した記事を制作している。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top