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『Half-Life』ってどんなシリーズ?『Alyx』までの長く険しい「忍耐」の歴史を解説!【総力特集】

ナンバリング最新作など長年熱望された『Half-Life』シリーズ。今回は『Alyx』発表までに起きたシリーズの歴史を振り返る特集記事です。

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2019年11月22日、新作VRアクション『Half-Life: Alyx』が発表されました。ナンバリング新作が熱望されてきた作品だけあり、この発表に興奮した方も少なくはないことでしょう。本稿では20年以上にわたる『Half-Life』シリーズの歴史を振り返りながら、『Alyx』発表を機にシリーズ初挑戦&再プレイをしたい方に向けた関連作品を紹介していきます。

まずは1998年に発売された『Half-Life』を簡単に振り返り。Valveが開発した本作は、リアリティ溢れるマップのみでなく、マルチプレイFPSの『Counter-Strike』『Day of Defeat』など数多くの人気Modの母体となったことでも知られています。

そして2004年11月16日には続編の『Half-Life 2』が世界同時発売され、物理エンジン導入による世界へのインタラクションや、Steamを用いたデジタル配信を活用したことでも話題となりました。なぜ『Half-Life』はここまで話題を呼ぶのでしょうか? 今一度振り返ってみましょう。

1998年に登場した『Half-Life』、Modの可能性を示した『Counter-Strike』


『Half-Life』開発元であるValveは、ゲイブ・ニューウェル(Gabe Newell)氏とマイク・ハリントン(Mike Harrington)氏が1996年に設立した会社です。特に「ゲイブ・ニューウェル」という名前は、Steamユーザーであれば『Half-Life』を未プレイであったとしてもご存知かもしれません。

彼らは1996年までマイクロソフトに勤めていましたが、退社後、ハリントン氏の友人でid Softwareに所属していたマイケル・アブラッシュ(Michael Abrash)氏の力を借りながら、同社から『Quake』エンジンのライセンスを取得します。このエンジンをベースに改造を施したものは、最終的に『Half-Life』で使われた“GoldSrc”エンジンになっていきます。


その後Valveは開発メンバーを集めつつ、パブリッシャーのSierra Studiosと契約し、コードネーム「Quiver」というゲームの開発をスタートしました。ニューウェル氏は、スティーブン・キングの小説「霧(ミスト)」から着想を得て開発を進めると共に、その題名を『Half-Life』へと決定します。

ストーリーやグラフィック、そしてリアリティに重点を置き、脚本にはシナジー幾何学の『GADGET - Past as Future -』のノベライズ版「ザ・サード・フォース」や、SF小説「パパの原発」、「The 37th Mandala」などを執筆した作家のマーク・レイドロー氏を起用しました。ちなみに『Half-Life』のゲーム内にはレイドロー氏の作品「The Orchid Eater」と「The 37th Mandala」の小説が並べられているロケーションもあります。


『Half-Life』はPC向けタイトルとして1997年内の発売を予定していたものの(5月に発表、E3 1997にも出展された)、同年発売の『Quake II』と競合してしまうことや、多くの要素において妥協することになったため、10月2日に延期を発表。1997年の末にはレベルやAIなど、多くのものを一度破棄していたそうです。


新発売日は「1998年Q1」と設定されていましたが、さらに1998年春、1998年夏と延期を重ねます。最終的に1998年11月7日に完成を迎え、同月19日にリリースされました。ちなみに1998年夏には『Half-Life』の拡張として『Team Fortress 2』が発表されていましたが、実際にリリースされたのは2007年11月のことでした。


以上が『Half-Life』の発売までのあらましです。発売当時のレビューでは、リアリティのあるストーリーテリングやシチュエーションを持ち込んだ点において好評を得ていました。主な評価点となったのは「リアリティのあるアイテムの配置やパズル要素」や「アグレッシブな敵AI」、「従来のゲームメカニクスに縛られない、主人公のゴードン・フリーマン博士から離れない視点」。特に最初から最後まで一人称で続くゲームプレイから、没入感の高さへの言及が目立っています(初代『DOOM』や『Duke Nukem 3D』などはマップが連なった各エピソードを選ぶスタイルだった)。


その後『Half-Life』関連作品として、海兵隊員エイドリアン・シェパード伍長を主人公に据えたGearbox Software開発の拡張版『Opposing Force』が1999年に発売。警備員のバーニィ・カルフーンが主人公となる『Blue Shift』が2001年にリリースされています。そして『Half-Life』本編は、2008年の時点で920万本以上の売り上げを達成するビッグタイトルとなりました。



そして2000年には、ドリームキャスト移植版『Half-Life』が海外向けに発表。しかしながら延期を重ね、2001年には発売中止になってしまいます。『Half-Life』は欧米で大きな人気を得ていたので、「予定通り発売されていたらドリームキャストの運命が変わっていたかもしれない」とも語られることもありました。ちなみに、一方でPS2版は2001年に発売されていました。

また、1999年当時に大学生だったミン・リー氏は、『Half-Life』のModとしてマルチプレイFPS『Counter-Strike』をリリースしていました。Valveは、Mod開発人気に乗じてコミュニティから開発者をスカウトしつつ、Mod開発者にスポットを当てたイベントを「Half-Life Mod Expo」を2000年に開催しています。

なお、『Counter-Strike』そのものは2000年11月に欧米で、国内では2001年3月に単体のパッケージ版が発売されています。2003年4月にはナムコからアーケード向けの『Counter-Strike NEO』が発表され、2010年まで運営されていました。


このように『Half-Life』の人気は、「本編」そのものの革新性と付随する「Mod開発」、そして「マルチプレイ」と幅広い要素で成り立っていました。

そしてValveはGDC 2002で、ゲーム配信プラットフォーム「Steam」を発表し、私たちゲーマーの人生さえも覆していくことになります。

物理エンジンを本格導入しゲームを変えた『Half-Life 2』
《G.Suzuki》

ミリタリーゲームファンです G.Suzuki

ミリタリー系ゲームが好きなフリーランスのライター。『エースコンバット』を中心にFPS/シムなどミリタリーを主軸に据えた作品が好みだが、『R-TYPE』シリーズや『トリガーハート エグゼリカ』などのSTGも好き。近年ではこれまで遊べてなかった話題作(クラシックタイトルを含む)に取り組んでいる。ゲーム以外では模型作り(ガンプラやスケモ等を問わない)を趣味の一つとしている。

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  • スパくんのお友達 2020-07-02 15:54:51
    Steamで初代のグラフィック強化mod出たけど、それの感想も聞きたいなあ
    0 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2019-12-31 19:59:02
    挙動がおかしいハーフライフソースを薦めるとか何考えてんの?
    4 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2019-12-31 3:39:16
    こういうゲームの開発をする情熱はとっくに無くなったのかと思ってたよ。現状Steamからの儲けが美味しすぎて、実行ファイル無しだったり、盗用アセット多用の"ゲーム"も完全放置、キュレーションすらまともにしてないわけで。

    Alyxにしても、シングルプレイヤーゲームは久しぶりだし、それもニッチなVR。最近のvalveはアーティファクトとか失敗も目立つから、どうなるか心配。人員の流出もあるし、今のValveはHL2やPortal2のころとは別物と考えたほうがいい。
    8 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2019-12-30 22:23:28
    じーっとかがっ見てたら俺があと20年くらいしてもうちょっと髪が残ってたら新GMANにそっくりになれそうな気がした
    もう既に髪が足らないんだが
    1 Good
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  • スパくんのお友達 2019-12-30 15:27:46
    いやあ懐かしい。リアルタイムで知ってるのは2から(初代は後からやった)ですが。Doom3 VS Half-Life 2 という2大FPSが延期しまくる中でFarCryが出てしまってあれこれも超すげえじゃんみたいな、そんな時代でした。当初はSteamの意味がわからなくて、なんでこんな余計なものつけるんだよって憤慨したなあ。

    Half-Life がシングルプレイFPSに革命を起こし、CounterStrikeがMODとオンラインFPSに革命を起こし、Half-Life 2が物理演算に革命を起こした(前2作ほどでの影響力ではないけど)ように、AlyxがVRゲームに革命を起こしてくれることを期待しています。想定クリア時間は13時間だそうで、そこまで長時間プレイできるVRゲームがほぼないという現状を覆してほしいですね。
    22 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2019-12-30 15:21:58
    half-lifeの使命はFPSというジャンルの拡張にあるんだよ。
    だから完結は許されないんだ(諦観)
    8 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2019-12-30 14:25:34
    2の時にSteam導入したけど、この記事で「スチムー」の事を思い出して、変な笑い出た。

    Half-life2自体も翻訳可笑しかったよな。誤字はもちろん、男女区別のない英文を女性のものとして訳した結果、使いまわし部分で男がオネエになってたり。普通に男女差のない言い方にできなかったのかと今でも笑える
    6 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2019-12-30 6:28:22
    ファンがいるのに完結させる気のない制作会社が嫌い。
    11 Good
    返信
  • スパくんのお友達 2019-12-30 6:07:14
    つまりAlyxが来年に予定通りに出ない覚悟をしておいたほうがいいってことか
    21 Good
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