『Ghost of Tsushima』の「誉れ」はどう訳されたのか―SIEローカライザーインタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『Ghost of Tsushima』の「誉れ」はどう訳されたのか―SIEローカライザーインタビュー

ローカライズを担当したSIE JAPAN Studioから、石立大介氏・坂井大剛氏・関根麗子氏の3名へインタビューを実施。日本人ならではの感覚や、キャスティングにまつわるエピソードなどを伺いました。

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発売から一ヶ月以上が経ち、先日にはオンラインマルチモード「冥人奇譚」が発表され、またもや話題となった『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』。本作の国内における評判の高さは、もはや語るまでもありませんが、その高評価の一因には、ハイクオリティなローカライズもあると思います。

石立大介氏(左)・坂井大剛氏(右)

関根麗子氏

今回は、本作のローカライズを担当したSIE JAPAN Studioから、石立大介氏・坂井大剛氏・関根麗子氏の3名へインタビューを実施。ローカライズ時に感じた日本人ならではの感覚や、キャスティングにまつわるエピソードなどを伺いました。

――本日はよろしくお願いします。まず、『Ghost of Tsushima』ではどのような形で関わられていたのかをご紹介ください。

石立SIE JAPAN Studioの石立と申します。シニアローカライゼーションプロデューサーとして、主に国内マーケティング担当との調整や、国内で出すトレーラーやリリース文のチェックをしたり、ローカライズスペシャリストの坂井さんのサポートなどをしていました。

坂井SIE JAPAN Studioのアソシエイトローカライズスペシャリストの坂井です。メインの業務は台本の作成や収録の立ち会い、海外から送られてくる素材の管理です。

関根SIE JAPAN Studioの関根と申します。今回のプロジェクトに関しては、アソシエイトプロデューサーという立場で、プロジェクトのスケジュールマネジメントやプロジェクトマネジメントの面でサポートさせていただいています。

――今回、『Ghost of Tsushima』という日本を舞台にしたゲームということで、最初にローカライズのお話をもらった時に、他のゲームとは違った感覚を持たれたのではないかと思います。率直にどう感じたでしょうか。

石立僕はこの3人の中で一番早く(2017年のE3頃)ゲームを見せていただきました。開発チームはまだ取材旅行を1回ぐらいしかしていなかったはずなんですが、とにかく現実の日本にはないぐらいきれいな光景、でも日本とわかるという感じでした。とにかく、美しいというのが第一印象でした。

坂井私は2018年のE3前に担当が決まりました。AAAタイトルのメイン担当が初で、しかも時代劇ということで、前々から『Ghost of Tsushima』の話は聞いていたんですが、これは難しいだろうなと思っていました(笑)。荷が重いですし、元々時代劇にも馴染みがなかったので、どうなることやらと当初は思っていましたが、楽しみではありましたね。

関根私は一番最後にチームに加わったんですが、前からグラフィックを遠くから見てきれいだなー、いいなーと思っていました。私も海外育ちなので、日本の歴史には疎くて、担当して大丈夫かなと思う反面、父親と時代劇を見て育ったので、とても楽しみでした。

――発売後のローカライズの評判はどうだったんでしょうか。全世界で日本語が標準吹き替えとして収録されていますが、海外の評判などがあればお聞きしたいです。

石立海外の評判を完全に追えてはいないのですが、SNS上では良い評判をいただいていますね。ただ、リップシンクが英語なので、そこが残念という声も聞いています。とはいえ、日本語の方が表現に深みがあって重さがあるという声や、中井さんの世界的な名声から、中井さんの声だから日本語でやりたい!という声も見ています。

関根ペルシャ語やアラビア語の投稿も見ました。

――今回時代劇、ある意味歴史モノというジャンルであり、独特な言い回しや表現が多いと思います。単純な翻訳だけではなくて、ローカライズする側にも知識が求められると思いますが、かなり勉強されたのでしょうか。

石立そうですね。JAPAN Studioのローカライズチームは常に何かしらのタイトルが動いているので、『Ghost of Tsushima』に備えて何年も前から準備をするということはできませんでしたが、ローカライズ作業が始まる前から、小池一夫先生(※)という有名な劇画の原作者の方が開かれていた時代劇セミナーのようなものに通ったり、時代劇映画や劇画、時代小説、和歌の本、伝統芸能の語りの映像を見るなど、参考資料をそれなりの量、参照しました。加えて日本中世史の一般向け書籍は半分趣味として読んでもいました。

(※編集注:『Ghost of Tsushima』にも影響を与えた「子連れ狼」などを手掛ける漫画原作者。)


――通常のローカライズよりも大変だったのでしょうか。

石立通常のローカライズでもかなり勉強はしているんですよね。現代ものであれば現代もので、現代の海外ドラマを研究したりとか、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』であれば海賊ものの資料を参照するとか。ただ、今回は日本ということで、日本のプレイヤーのことを考えると量は多かったですが、その代わり大量の資料が日本にありますし、日本史を専攻されている先生にお話を伺うこともできたので、リソース面では豊富でした。

――シナリオなどは深いところまでサポートは入っていたのでしょうか。

坂井シナリオに関しては、こちらからもっとこうしてほしいというリクエストは出していなかったんですよ。ただキャラ名はいくつかの変遷を得て今の名前に変わったキャラクターもいます。開発側が元々時代劇が好きだというのもありますね。

石立ゲーム内に出てくるグラフィックの漢字などは坂井にかなり問い合わせがありましたし、歴史的にこれはどうなの?っていう確認もありましたね。最初期の段階では、ストーリーのあらすじを聞かされて、日本的にこれはどう?日本のプレイヤーが怒り出すことはない?ってフィードバックを求められたこともあります。

――日本を舞台にした海外スタジオ製タイトルを、日本国内に向けてローカライズするというのは、なかなかないことだと思います。通常の海外タイトルに比べて意識の違いや、プレッシャーに感じる部分はあったのでしょうか。

関根通常のローカライズと比べると、JAPANスタジオを頼っているからねと言われていて自由はありましたが、一番プレッシャーを受けたのは坂井さんだと思います。自由がある分、言葉選びや台本を作るのには、他のタイトルより更に責任重大で求めるものが大きかったかなとは思います。

石立日本が舞台だということで、日本以外のユーザーは気にしないけど、日本人だと気にするだろうなと思う箇所はありましたね。ローカライズは現代ものが一番難しいと言われることがありますが、それは現代に生きているから違和感に気付きやすいからです。それと同じで、日本で生きている人は他の国の方よりもより気付きやすいだろうという違いはありました。

あとは、プレイヤーごとのバラつきですね。プレイしてくれる方の時代劇への造詣や親しみも20代の方と50代の方では違うでしょうし、逆に史実については20代の方の方がアップデートされた情報を教育されているかもしれない、という点も考えなくてはなりませんでした。

坂井英語をそのままローカライズするというよりは、英語をベースにして1から時代劇を作っていきましょうというのは、早い段階でチームや収録ディレクター、声優さんと認識を共通させました。

石立収録に入ったあとは、だんだん迷いが少なくなるというか、ブレが少なくなるという感じですね。仁のセリフを最初にたくさん録ったんですが、個人的にはあれが大きくって、こういう感じの仁だったら他のキャラクターはこうだな、という基盤になってもらえたんです。

坂井最初に届いたシナリオって、メインストーリーの本当の最初の方なので、仁は二言目には「伯父上」って言っていて(笑)。ですが強い存在だからこそ伯父上を頼っているんだなと、収録を通してこっちが気付かされることもありました。


――収録とローカライズの作業は並行でされていたんでしょうか。

坂井収録しながら台本を書いて、それをまた収録して……という形で進めました。台本も1回ですべて届かず、2~3ヶ月おきにストーリー順ではない形で届きますね。

――ローカライズをするにあたって、ものすごく大変だった点などもあったと思います。

坂井石立が少し話してましたが、言葉選びにはすごい苦労しました。石立が見つけてくださった、その言葉が最初に文献などに登場した時期・年代がわかる辞書を重宝していました。この言葉がいつから使われていたのかなというところを調べて、鎌倉あたりから使われていた言葉を中心に文章を作っていくという流れを確立できたのは良かったです。慣れてしまえば良いんですが、自分の中の正解がなかった時はだいぶ迷いました。

――印象的な言葉として「誉れ」といったものがありますが、言葉選びについてはいかがでしたか。

石立「誉れ」は最初の方からありましたね。英語で言えば「Honor」で、おそらく多くの方は訳語として「名誉」が一番最初に出てくると思うんですが、時代的にも合いませんし、また名誉という言葉も“鎌倉時代の侍”というフィクションには合わないなと思って、大和言葉を探そうと思って出てきた単語です。名誉の類義語は、馴染みある言葉から、知らないようなことばまでいっぱいあるんですよ。その中でも、「誉れ」は現代でも一般的ではないものの、聞けばぱっと分かる言葉で、単なる武勲以上のニュアンスを含むイメージなので。その辺のバランスは意識しました。

他にも、たとえば、コトゥン・ハーンの言葉遣いは、登場人物の中でも少し古めの言い方になっています。これは、彼が日本語を勉強してきたからで、また、教養レベルも高いからです。そういったのも含めて、キャラクターの背景などによって使う言葉を変えていきました。


――逆に日本人だからこそ表現しやすかった点はありますか。

坂井欧州と比べると侍と庶民の身分の違いは感覚として我々の方が理解しやすいので、ゆな、たかのセリフはやりやすかったですね。あとキャラクターとしても庶民の方が表現しやすかったです。逆に石川先生をはじめ武士のキャラクターは、日本語にしにくい点もありました。

石立英語の音声だと、武士とかの身分はあえて無機質と思えるセリフ回しで演じていて、それによってストイックな武士らしさを出しているというところもありました。なので、ある意味一本調子とも捉えられかねないような演技もされていて、逆に庶民の方がキャラクターがわかりやすくなっていました。

坂井庶民チームの方がぱっと聞いてぱっと感情がわかりやすかったですね。

石立武士のキャラクターは言っていることと本当に思っていることとの不一致がかなりありましたね。それが、武士らしさの一側面でもあると思います。

――堅二は最初からあういうキャラクターだったんですか?うっかり八兵衛ポジションだと思ったのですが。

坂井そうだと思います。開発の方もうっかり八兵衛ポジションで作ったと思います。原語の堅二もあんな感じだったので。

石立そうですね、お調子者というか。ただ堅二は坂井さんがすらすらと書いていたように思いますし、日本語の声を担当してくださった佐藤せつじさんもご本人があんな感じで(笑)。演出の人とも収録中の掛け合いだとかで色んなジョークをされる方で、普段はそういう役柄を演じない方だと聞いて驚きました。


――特徴的な部分として、伝承クエストの琵琶法師の語りだとか、和歌の部分はすごく印象的でした。琵琶法師の語りの元はどういう表現をされていたんでしょうか。

石立あれは英語も一応リズムを付けているというか、完全な詩ではないんですが韻文っぽさのある、普通の会話体ではないリズムになっているんですよね。当初は、開発側が歌にすると言っていたのですが、節回しなどを含めてローカライズが難しくなりすぎるので、それはやめてくれと要望を出しました。琵琶法師の語りや和歌など、詩のようなものに関しては、通常の会話と区別するようにした方がいいだろうという考えから、ちょっと意識して訳し分けましたね。

琵琶法師については、最初は英語の尺を無視して古文のような語りの詞章を作って、それを後から尺あわせしていくという作り方をしました。台本は私が書きましたが、音声収録のディレクターの方と坂井にフィードバックをもらい、音で聞くだけでは分からないとしても、字幕や絵を見れば分かるというようなところに落として仕上げました。他にも、琵琶法師役の羽佐間道夫さんは、伝統芸能の語りもご経験があるとのことでしたので、現場で最終的なフィードバックをいただきつつ、現在の形にしていきました。

――同時に出てくる墨絵も印象的でしたね。原語版も見たくなってきました。

坂井原語もかなり凝っていると思いますよ。羽佐間道夫さんもすごい語りをしてくださっているので、どちらも面白いと思います。


――和歌はいかがでしたか。ローカライズの方法がなかなか想像つかないところではありますが。

石立実はあれは、そのままローカライズしただけです。ただ、ゲーム内で和歌とされているのは日本語だけで、海外では俳句になっています。鎌倉時代には(現在の形の)俳句は存在しないというのは日本では一般的な知識なので和歌にしないかと提案したんですが、世界的に見ると俳句と和歌では認知度が全く違うし、俳句という言葉自体も日本に興味をもっていないと知らないレベルなので、グローバルで和歌にするのは厳しいとのことでした。

ただ、日本では鎌倉時代に俳句となると違和感が出てしまうので、英語の音声の尺が長めだったため、それを利用して和歌にさせてもらうことにしました。そして、開発側の了承を経て、まずは私と坂井とで1セット(3パート×3パターン)ずつ作って、仁役の中井さんに実際に読んでもらって尺内に収まるかを測ってから、他の和歌の原稿を作成しました。また、本番の収録時にも、プレイヤーがどの選択肢を選んでも違和感がないようにと、中井さんが平板ぎみに読んでくださるなど、工夫してくださいました。

石立ただ、セリフ(音声)は古典短歌のような言葉遣いにして字幕で現代語訳を入れているのですが、仕様上、選択肢の古文には現代語の説明を入れることはできなかったので、一部を現代語に翻訳しています。なので、選択肢の歌と仁のセリフが違うところがあるんですよね。実際には、言葉が違うだけで意味は同じなのですが、バグか?と言われている方もいたので、ちょっと心を痛めています。


――他にローカライズで印象に残っている点はありますか。

坂井シーンで言ったら百合と仁のシーンですね。最初の方に届いたんですが、その時に本当にびっくりしました。アメリカの人がこれを書いたのか、と。何人か百合の声優候補をディレクターから出してもらった際にそれぞれ百合に対するイメージが違ったため意見がぶつかってしまったりだとかもありました。百合之譚のラストシーンの収録時は涙が溢れましたね……。

――あれは非常に良かったですね……。

坂井あとは仁とゆなの絡みも印象的で、ゲーム終盤で気持ち的にちょっと近づく雰囲気があるじゃないですか。あの時は私の中では2人は男女の関係になっていると思っていまして(笑)。原文でも仁の方がゆなのために俺も頑張るみたいなセリフもあったんですが、結局日本語ではそこをそのまま出していないんですね。収録する際に、仁役の中井和哉さんからも「ここはどうなんでしょう……」となったので、気持ちを出さない形に修正しました。

石立でもあのセリフ、当初の原稿は「ゆなのために頑張る」よりもっと直接的だったと思いますよ。「今宵はともにいてくれ」みたいな、夜に誘う感じに坂井が訳していたんですが、英語はそういうふうに取れなくもないけど、男女の関係ではなくて仲間としてともにいてくれとも取れるような形にはなっていました。中井さんもそういう解釈だったような。

関根「今宵はともにいてくれ」って色気がありますね(笑)。

石立そうなんですよ。坂井は良い意味で脚本に色気があるというか、心が染み出てくるようなセリフを書く人なんですよ。ただキャラクター間の関係性には過度にセンシティブな印象を僕は受けましたけどね(笑)。これだけを言うと印象悪いので補足すると、トレイラーで出てくる「誉れは浜で死にました」というのも坂井がぽんぽんっと書いていたので、名セリフをこんなに簡単に出せるんだっていう、才能に驚きましたね。フックのあるセリフを作ってくれるんですけど、ただ、男女間のアレだけは深読みしすぎるというか(笑)

――実際にプレイしていた感じだと、どちらとも取れるような雰囲気で、絶妙な雰囲気だったと感じました。

坂井ゆなの声優さんもその辺は察してくださっていたみたいで、前半のゆなとは違う雰囲気で演じてくださったからこそ、そういう雰囲気になったんだと思います。

――女性らしさというか、ヒロインらしさが出てきたのは面白かったです。登場人物に個性が強くあるのが、日本語訳のセリフの妙であるとか、そういったところもあるんだなと感じました。

坂井声優さんもご自身の中にキャラクターを作り上げていらっしゃるので、我々が意図している以上のものを出してくださることが多かったですね。

――声優さんもやっぱり選ばれていると思うんですが、メインキャラクターなどの起用の理由を教えていただけますか。

石立実はオーディションしたキャラクターが多いんです。普通は主役ともう2~3人くらいで、他はディレクターさんの指名にお任せしていますが、この作品はディレクターさんが時代劇ものを0から作るのが初めてであったり、声優によって方向性が変わる部分が多々あったりしましたので、脇役に至るまでほぼオーディションです。最初に決まったのはハーン役の磯部勉さんで、2017年のPlayStation Experienceで出したトレーラーで最初に出てくるのがハーンだったため、珍しいパターンですが敵役から選ぶということをしました。

時代劇を日本でそのまま演じられる人をキャスティングしてほしいとリクエストしたほか、モンゴル帝国の圧倒的な強さを感じられるキャラクターが良いということで何人かの方に来ていただいてオーディションを行いました。威厳があったりとかずる賢そうだったりとか様々な素晴らしいハーン像を出していただきましたが、時代劇らしさも威厳もある磯部さんにお願いしましたね。

石立仁については、個人的にですが、中井さんのセリフ回しが何度聞いても飽きないというか、心地よく、同じような言い方でもニュアンスが出ているという点が良かったという印象があります。

坂井選考条件として、時代劇っぽさとか泥臭さ、かっこ良すぎない、可愛すぎないというのがありました。中井さんはそこにドンピシャにはまった印象がありました。

――中井さんの声はすごくぴったりでした。ハーンは理性的な怖さが入っている、インテリっぽい怖さを感じましたね。

石立ハーンは主要キャラクターの中では一番理性的なんですよね。日本側はみんな感情とか誉れとか、理性じゃないもので動いている。その描き分けもある程度計算しています。元(モンゴル)って当時でいうと超先進的な帝国じゃないですか。技術も優れていて戦略も優れていてという理性にある種の暴力性も備えているのがハーンで、鎌倉武士側は全体的にもっと感情的、短絡的に動くという形です。


――収録時に印象に残っていることはありますか。

石立政子さん役の安藤麻吹さんはキャスティングが決まってから本番の収録で呼ぶまでにかなり時間がかかってしまっていて、「案件がなくなったかと思った」と言われてしまいました(笑)。オーディションが2018年E3のトレーラーの直前で、本番の収録は2019年の12月中旬くらいまでかかっていましたね。

関根テストプレイの時点で他のキャラクターは日本語のビルドになっているのに、政子さんだけ英語のままとかそういった状態でした。

坂井安藤さんも政子さんを気に入ってくださっていたようです。、安藤さんの中にも政子さんに対する同情というかそういうものもあったのではないでしょうか。収録するときも泣けるシーンは感情を込めて、実際に涙を出しながら演じてくださっている方がたくさんいたのが印象的でした。

石立ゆな役の水野ゆふさんも、当時の下人って奴隷に近いというか売買される人間なので、そういう自分が何も所有させてもらえない社会的に抑圧された感じをすごく出していただきました。


――ゆなのエピソードでは自分を売った人さらいに復讐するシーンも感情がこもっていましたね。

坂井そのシーンがちょうどゆなのオーディションをする時に使ったシーンです。どれだけ恨みを込められるか、下人としての弱さや悔しさを出せるかに注目して、こっちにがっつりと伝わってきたのが水野さんでした。

石立武士とは違う、下賤とされる身分の実感がすごかったんですよね。セリフ回しも役に合わせたのかご本人のスタイルなのか分かりませんが、整った感じから一本外してくるんですよね。それがすごくいい。

ちなみに、オーディションでは、そのキャラクターにとって本質的だと我々が考えるシーンを演じていただくことが多いです。

――他にも声が印象的な人物だと、志村も挙がりますね。

石立志村役のオーディション、仁のお父さんの葬儀のシーンと、もうひとつありましたよね。

坂井志村城で武士に檄を飛ばすシーンですね。

石立仁に対しての優しさと、武士を束ねる者としての厳しさですね。志村は、ハーンがこいつは殺さないでおく方が良いと思えるだけの人物なんですよね。大塚明夫さんはまさにそういう志村だったわけですが、代表作がいくつもあり、有名なシリーズのキャラクターも演じてらっしゃいますので、「それっぽいと思われる怖さもあったのですが、それでも演じていただきたいと思う器の大きさを演技から感じてしまったのが理由でしたね。包み込んでくれるような雰囲気があると収録ディレクターの方も言っていました。


――改めてセリフを聞いたり、原語音声でプレイしてみると、また新たな発見がありそうですね。本日は色々とお話しいただき、ありがとうございました!
《Game*Spark》

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