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歴史を真剣に描いていけば、世界は白と黒に分かれることはない―『アサシン クリード ヴァルハラ』開発者インタビュー

『アサシン クリード ヴァルハラ』ディレクター、Julien Laferriere氏へのインタビューです。

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歴史を真剣に描いていけば、世界は白と黒に分かれることはない―『アサシン クリード ヴァルハラ』開発者インタビュー
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発売直前に開催された『アサシン クリード ヴァルハラ』のオンラインイベントと併せて、ディレクターのJulien Laferriere氏にインタビューの時間を設けていただきました。取材旅行には参加できなかったLarerriere氏ですが、そこで得られた見地がゲームの方向性を決定づけるものになったようです。パネルディスカッションでは出なかった武器の話題や、歴史を描く上で大切にしていることを伺いました。

オンラインイベントの模様はこちらから。

ヴァイキングを題材に選んだ理由とは?『アサシン クリード ヴァルハラ』オンラインセッションレポート Part1

『オリジンズ』や『オデッセイ』と違い、参照できる資料が少なかった―『アサシン クリード ヴァルハラ』オンラインセッションレポート Part2

ヴァイキングが人々を惹き付ける理由―『アサシン クリード ヴァルハラ』オンラインセッションレポート Part3

オーディンは案外普通のおじさんなのかもしれない―『アサシン クリード ヴァルハラ』オンラインセッションレポート Part4


――現地のフィールドワークでは戦闘の体験も行ったそうですね。

Julien Laferriere開発陣は現地に行ってヴァイキングが実際に歩いたであろう道をたどり、体で時代の空気を感じてきました。私自身は行けなかったのですが、盾や斧、弓の扱い方を学びました。武術の師範に教わりながら、盾の隊列を組んだりテクニックを実践したり、とても参考になる体験でした。

――ヴァイキングは「ウルフバート」という伝説の剣を使っていたそうですが、ゲームでもそういった伝説の武器を探すイベントはありますか?

Julien Laferriere『ヴァルハラ』にはエクスカリバーが登場しますよ! エクスカリバーはアーサー王伝説に由来し、イギリスを舞台にするなら出すしかないと思っていました。『アサシン クリード』のレガシーにも関係するものですし、ファンタジーがたくさん混ぜられた王権神話のよい例です。エクスカリバー以外にも、ヴァイキングの伝説の武器がゲームで見つけられます。

――ヴァイキングのスタンダードはやはり斧と盾ですが、それ以外にも様々な武器があると思います。おすすめのスタイルはありますか?

Julien Laferriere斧の二刀流はやはりかっこいいですね。『ヴァルハラ』でも一押しの要素ですし、とても攻撃的なプレイスタイルができます。レベルアップに従い新しいスキルが増えていって、両手持ちの武器を片手で持てるようになったり、他にも面白いものがありますよ。でも私が絶対に薦めたいのは斧の二刀流と、ハンマーの二本持ちですね!

――エンターテインメントにはヒーローと敵役がつきものですが、歴史劇では特定の民族や国が敵となり、時にそれは差別やプロパガンダだという批判も受けることがあります。歴史を描く『アサシン クリード』はこの問題に対してどのように向き合っていますか?

Julien Laferriere『アサシン クリード』の歴史描写で最も大切にしているのは、信じられるものを可能な限り作り込むことです。歴史を真剣に描くに当たって、ステレオタイプを避け、あらゆる事項を慎重に扱います。このゲームにおいてもヴァイキングについてたくさんリサーチし、信仰や神話、社会について議論を重ねました。私たちが取り組みたかったのは、「野蛮な狂戦士」のステレオタイプよりももっと深く掘り下げることです。彼らがイングランド侵攻に及んだ理由にスポットライトを当てたかったのです。

現実は「ヴァイキングは正義」「アングロ・サクソン人は悪」というような白と黒に分かれておらず、どちらでもない灰色でできています。ゲーム中でもプレイヤーは善悪どちらも演じられます。ヴァイキングにも善い人間悪い人間はいますし、サクソン人も同様です。だからこそ私たちは絶え間ないリサーチを重ね、多様なアイデンティティを表現しようとするのです。

――では、今回の宿敵となるアルフレッド大王についてお聞かせください。

Julien Laferriere善悪で割り切れない人物の良い例ですね。ゲームで会ってみると「分かりやすい悪人」ではなく、とても複雑なキャラクターなのが面白いんです。彼はヴァイキングに侵略される側です。私だったら御免被りますが(笑)、ヴァイキングに囲まれても信念を持ち、独特の考え方を持っています。ここから先はネタバレになるので、彼がどういう人物なのか、何を成そうとしているのか、ゲームを通じて知っていくのが面白いポイントです。

――次に自然環境についてです。ノルウェーの自然の厳しさはどのようなものですか?

Julien Laferriereノルウェーの自然は、気候と土地の残酷さと、極光が生み出す美しい景色、そのコントラストに尽きます。とても素晴らしい対比なのですが、冬になれば穀物は全く育ちません。その厳しい気候によって、ヴァイキングは大きな社会を形成できなかったのです。

イギリスの気候もまた大きな対比です。ノルウェーは険しい岩山が切り立っていましたが、イギリスはそれとは正反対です。すぐに農業ができると分かるでしょう。どこまでも続くなだらかな丘は瑞々しい緑に覆われていて、まるで自分たちを温かく迎えてくれるようです。何日も船を漕いでイングランドへやってきた理由がきっと分かるでしょう。

――男女の性別選択について、何か面白い違いや仕掛けはありますか?

Julien Laferriere選択によってジェンダーが変化するシステムを、まずは遊んでもらいたいですね。カットシーンは役者それぞれの持ち味によっていくらか差が生じています。役作りの違いによるものですね。ですがあまり大きいものではありません。アニムスがどちらを再生するか、プレイヤーの選択で変化させるのです。これがこのゲームで一番注目してもらいたい要素になります。切り替えはいつでもできるので、ロードし直してもう一方を楽しむのもいいと思います。

――本日はお時間をいただき、ありがとうございました。


大きな歴史の中では善と悪は常に曖昧であり、それをどこまでも詳細に描くことで世界の複雑さ、多様性を表現する。「真実はない」ポストトゥルースの時代に、世界を単純化させないための心構えが窺えました。

『アサシン クリード ヴァルハラ』は、PC/PlayStation 5/Xbox Series X/PlayStation 4/Xbox One/にて発売中です。

《Skollfang》

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