Game*Sparkレビュー:『イモータルズ フィニクス ライジング』 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

Game*Sparkレビュー:『イモータルズ フィニクス ライジング』

あの名作の遺伝子を強く感じるアクションゲーム。戦闘の爽快感は文句なし。

連載・特集 Game*Sparkレビュー
Game*Sparkレビュー:『イモータルズ フィニクス ライジング』
  • Game*Sparkレビュー:『イモータルズ フィニクス ライジング』
  • Game*Sparkレビュー:『イモータルズ フィニクス ライジング』
  • Game*Sparkレビュー:『イモータルズ フィニクス ライジング』
  • Game*Sparkレビュー:『イモータルズ フィニクス ライジング』
  • Game*Sparkレビュー:『イモータルズ フィニクス ライジング』
  • Game*Sparkレビュー:『イモータルズ フィニクス ライジング』
  • Game*Sparkレビュー:『イモータルズ フィニクス ライジング』
  • Game*Sparkレビュー:『イモータルズ フィニクス ライジング』

12月3日に、ユービーアイソフトから『イモータルズ フィニクス ライジング』が発売されました。元は『ゴッド&モンスターズ』のタイトルで開発されていたタイトルで、非常にアクション性の高いオープンワールドゲームになっています。また、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』から影響を受けていることもあり、共通している要素も多数。今回はそれらの比較も交えながら、レビューしていきたいと思います。

なお、今回のレビューではPC(Ubisoft Connect)版を使用しました。

世界観はギリシャ神話がモチーフに。語り部である神々の掛け合いも魅力たっぷり

本作はギリシャ神話をモチーフに舞台が制作されており、「ゼウス」や「アテナ」といった、名前だけなら多くの方が聞いたであろう神々が登場します。シナリオの方もギリシャ神話のエピソードの1つ、「テュポン」との戦いを下地にしたもの。原典と同じように神々が行方知れずとなってしまい、主人公の「フェニクス」は彼らを探し出し、テュポンを打倒するのが大まかなストーリーの流れです。

ストーリーが進行していく中で面白いのは、プレイヤーに対し語り部が存在している点。そもそも本作のストーリーは、ゼウスとプロメテウスの会話から始まります。プロメテウスは人間に火を与えたことでゼウスから罰を受けている神で、罰から解放されるためにフェニクスの冒険譚を語り始める、という流れ。このためプレイヤーが操作するフィニクスを、ゼウスとプロメテウスが第三者として眺めているわけです。

彼らの会話はなかなか面白く、ギャグはもちろんシリアスな展開もあり、たまにギリシャ神話とは関係ないメタな発言が飛び出すシーンも。基本的にフィニクス1人での冒険になる今作で、プレイヤーの心を和ませてくれます。

ただ神話が題材になっているだけあり、前提として神話や古代ギリシャの雰囲気や価値観、世界観を知っていないと分かりにくい会話も多数ありました。説明はある程度してくれますが、それですべてカバーできているのか、と聞かれると難しいところです。

とはいえムービーが入り、丁寧な解説になる場面も多数。ギリシャ神話への入口としては入りやすい部分もあります。

ちなみに本作と世界観が似ているユービーアイソフトの『アサシン クリード オデッセイ』とは文化的な繋がりがあるくらいで、作品として直接的な関係性はありません。神々の性質について『オデッセイ』をプレイしておけば予習になるぐらいでしょうか。

マップの雰囲気は『アサクリ オデッセイ』に近い部分も?影響を受けた要素は多数

マップの雰囲気は『オデッセイ』に多少似通っている部分があります。具体的にはDLCの第1弾で登場したマップ「エリュシオン」に近いイメージ。平地は少なめで高低差のある地域が多めで、神話的な雰囲気を感じられるマップになっています。

歩行以外の移動手段としては空中からの滑空、馬などが上げられます。多くのオープンワールド系のゲームであるように、移動先として設定できるロケーションポイントも多数。『BotW』の影響を受けている話の通り、未解明のマップは巨大な像に乗って解析できたり、小さなダンジョンを攻略する「迷宮」も存在します。ようはシーカータワーと祠ですね。

迷宮はクリアすると「ゼウスの稲妻」というアイテムがゲットできます。一定数集めるとスタミナを増やせるので、滑空やダッシュ、壁のぼりの時間を伸ばしたい時に必要になります。HPの方は「アンブロシア」と呼ばれる別のアイテムが必要に。こちらはマップに落ちている状態で手に入る場合がほとんどです。

探索面に関する要素としては、他に「千里眼」があります。一定の範囲内なら壁越しにでも迷宮やアンブロシアの場所が分かるシステムで、目的の場所や物を探す際に便利です。ただ目標を発見するにはEキーを押す必要があり、これは対象1つ1つ、個別で行わなければなりません。結果としてカメラを回しながら、Eキーを連打する場面が何度かありました。この辺りは一度で分かるようなシステムにしてくれた方が良いようにも感じます。

他にもマップの各地には「神話チャレンジ」がいくつか設置されており、これは指定された条件をクリアすると「カロンのコイン」を入手できるもの。アビリティの獲得、強化で使用するアイテムです。このチャレンジも千里眼で発見できるので、苦労して探す展開にはあまりならないでしょう。

拠点では装備強化の他、アビリティの獲得も。クエスト系の要素も充実

冒険の拠点になる「神々の広間」では、ゼウスの稲妻、アンブロシアでの基礎的なステータス強化の他、フィニクスの装備強化やアビリティの獲得も行えます。装備は敵を倒したり宝箱から回収できる素材を使って行うもので、攻撃力や防御力が上昇、追加効果も得られます。この強化要素は装備品ごとに行うものではなくジャンルに対して行うタイプになっており、従来の作品で言うなら装備の熟練度が上昇する、といったところ。新しい武器を手に入れても、変更されるのは追加効果と外見のみとなっています。

他にはクリアすると報酬が手に入るクエスト形式のシステム「英勇の試練」も。強化素材や装備を手に入れられるので、余裕があればクリアしておきましょう。デイリーの試練もあるので、やり込む予定なら定期的なチェックをオススメします。

獲得できるアビリティは種類が豊富で、本作の戦闘を派手に、よりスピーディにしてくれます。上述した通りアビリティはカロンのコインで獲得、強化が可能。中には移動を便利にしてくれるアビリティも。コインは入手できる機会も多いので、ため込まずに使ってしまいましょう。移動系はコインの消費も少なく、迷った時にオススメできるアビリティです。

また、アビリティに似た要素として「祝福」があります。これはストーリーを進める中で獲得できるもので、計12種類あります。『BotW』的にいうと英傑の加護ですね。

スピード感のある戦闘は本作最大の魅力

戦闘はスピード感があり、アビリティの存在もあって非常にアクション性が高くなっています。武器の切り替えは瞬時に行える他、パリィや回避時に敵の動きがスローになる要素もあり。攻撃ボタンを連打しているだけで解決できてしまう場面が多々ありますが、アクションの幅の広さは十分あります。探索よりも戦闘が好きなプレイヤーなら、本作は魅力的なタイトルと思えるでしょう。

しかし戦闘の幅は広いものの、深く掘り下げているかどうかは微妙なところ。アビリティは強化できても1回か2回程度で打ち止めになってしまいます。やり込み要素としては成立していませんし、浅く広く取ってしまった印象が拭えません。

パズル要素は意外と本格的。従来の『ゼル伝』を連想させる作り

迷宮を始め、本作は謎解きの要素もいくつかあります。特にそれぞれの神を救出する後半の迷宮では、大型のダンジョンでパズルゲームに挑む形式がほとんど。ここも『BotW』を思い浮かべますが、こちらのパズル要素はどちらかというと従来の『ゼルダの伝説』に近い方向性になっています。部屋ごとに分かれた小、中規模の謎解きを何度か行い、ボスにたどり着くイメージです。

その難易度は平均的に見ると高くはありませんが、一部難解な謎解きもありました。『ゼルダの伝説』などのプレイ経験がない場合は、更に難しく感じる可能性もあります。アクションが要求される回数も多かったので、進めない時はアビリティを強化してみるのも手でしょう。

また、通常マップでもストーリーに関わっている場所の場合、謎解きが要求される回数が多かった印象があります。基本的にテンポの速いゲームなので、急ブレーキをかけられる感覚を受けました。

魅力は十分あるものの、活かしきれているかどうかは難しいところ。戦闘メインなら2週目からが本番?

本作をまとめると、その影響元とも言える『BotW』に酷似した部分がありますが、戦闘面を始めオリジナリティーを備えているタイトルです。クリアすればアビリティなどを引き継いで2週目に入ることも可能。敵が強化されていますが、アビリティをフルに使った殴り合いを楽しめます。戦闘をメインで考えているなら、2週目以降の方が本作の魅力を感じられるでしょう。

しかし個性を出している一方、全体的に中途半端になっている感じも受けます。謎解きはそれなりの難易度があり、初心者向けと言い切るのは難しいです。探索要素も濃いわけではなく、物が多いだけで終わっている、とも受け取れます。洗練されたマップをイメージしていると拍子抜けするかもしれません。

題材になっているギリシャ神話の方は、初見のプレイヤーにとって意味不明になる感じはなく、そこそこ丁寧に扱われていると感じました。題材にしたゲームとしての限界はありますが、ギリシャ神話の入門にもオススメできる作品でしょう。

神話の解釈としては原典寄りな部分が多く、登場する神々も癖が非常に強い……のですが、序盤ではある理由によってゲームオリジナルの姿をプレイヤーに見せてくれます。特に戦いの神「アレス」は笑えること間違いなし。本来の個性を逆手に取ったような遊び方は、神話ファンとしても楽しめる内容でした。まあ最終的には、いつものギリシャ神話の流れに戻るのですが。

そういったコミカルな面も含め、本作は他のオープンワールド系のゲームにはない魅力を持っています。先駆者の陰に隠れてしまっているタイトルなのも事実ですが、興味があるなら手に取ってプレイしてみるのをオススメします。


総評:★★★

良い点

・スピーディな戦闘、豊富なカスタム要素
・ギリシャ神話を題材にしたコミカルな掛け合い、魅力的な世界観
・多種多様なパズル要素

悪い点

・全体的に中途半端
・ギリシャ神話知らないと分かりにくいエピソードがある
・一部謎解きの難易度が高め



《8月》

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top