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コンパスひとつでサバイバルの地図作り『Subnautica: Below Zero』方角を知るのみにあらず【ゲームで世界を観る#17】

地図がなければ自力で作るまでです。

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コンパスひとつでサバイバルの地図作り『Subnautica: Below Zero』方角を知るのみにあらず【ゲームで世界を観る#17】
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未知の場所を探険するのに必要な物、それは「地図」です。近頃はスマートフォンで簡単に地図を参照できますが、本当のサバイバルではそうはいきません。

『Subnautica』シリーズでは全体を把握する地図が存在しません。ビーコンを頼りに進むこともできますが、正確な位置関係を知るには「測量」を使い自分で地図を作るしかないのです。紙と鉛筆を手にして、危険なエリアや拠点へのルートを自分で調べてメモしていく。この作業が冒険の醍醐味でもあり、生死を分ける命綱でもあります。

地図をいちから作るのに必要な物はコンパスと定規です。最低限でもコンパスがあればなんとかなります。平面上で自分の位置を把握するのに必要な情報は、「1つの基準点からの距離と方角」か、「2点の目標への方角」のどちらかです。正確な縮尺で描くには前者の情報と定規が必要ですが、コンパスしかない場合は後者を利用します。どちらを使うにしても、まず地図全体の基準となる座標を得ることが必須です。

ゲームの序盤では、2つのビーコンの座標を探知します。探索の起点となる投下ポッドと合わせ、最低限3つの座標が分かれば、その周囲を「面」として捉えることができます。これを使って地図を作成しましょう。

『Subnautica』の場合はビーコンを設置して、そこに表示される距離を基にするのが適当です。距離を使う場合に間違えてはいけないのが、高さを正確に揃えることです。『Below Zero』の場合だと海中と陸上の両方で活動しますが、高さが揃っていないとその分距離が長くなり、その修正をしないとポイントが大きくずれてしまいます。実際の測量では縦の角度を測り、三角関数で水平上の距離を割り出します。ゲーム中では難しいので、ビーコンの設置は海抜ゼロを基準にして、海中からまっすぐ浮上するポイント、または海岸線に設置するのが望ましいです。

「緊急用の備蓄」のビーコンは深い場所に設置されているので、一度回収して水面付近に設置し直します。これで正確な距離を測量できます。

基準点の投下ポッドに戻って、遅れて受信する「デルタ基地のドック」の座標を基に、紙面上へ書き込んでいきます。まずはお約束の方角と縮尺の設定で、今回はA4に収まって分かりやすい1/10,000、10センチが1,000メートルになるようにします。

海抜0メートル地点に於ける基準点から「緊急用の備蓄」ビーコンまでの距離は455メートル。方角は真西。1/10,000にすると4.5センチなので、紙の上に4.5センチの線を引きます。大雑把でも機能はしますが、念のためコンパスと定規を見比べて方角をより正確にします。

もうひとつの座標、「デルタ基地のドック」は現地には向かいませんが、海岸線上にあると仮定してそのまま使います。距離は623メートル、方角は真南から少し西側。先ほどと同じように6.2センチの線を引きます。これで地図上に3点の正確な位置が揃いました。すると、「緊急時の備蓄」と「デルタ基地のドック」の間の距離が地図上で7.4センチ、縮尺を戻すと約740メートルであることが分かります。3つの角度と距離が特定された三角形、これが地図として機能する最初の「面」です。この三角形の中にあるものを探索してメモしたり、シーグライドの地形図から特徴を書き込んだり、スキャナールームの立体とは違った視点で状況を俯瞰することができます。

距離と方角さえ正確に測れれば、最初の基準点から離れて座標を繋いでいっても問題ありません。これを「導線法」と言います。この単純な方法で大偉業を成し遂げたのが、精緻な日本地図を最初に制作した伊能忠敬です。海抜0メートルの海岸線を歩きながら、細かく数珠つなぎで距離と方角を測定していき、その正確な積み重ねが誰もが知るリアルな地図になりました。後に縄や鎖を使いますが、最初に伊能忠敬が距離を測るのに使ったのがなんと「歩幅」です。出発する前に一定の歩幅でまっすぐ歩く訓練を重ねたそうで、55歳から開始したにもかかわらず並々ならぬ熱意がうかがえます。その真の目的は地球の緯度1度の距離を正確に測ることで、その結果地球の周囲が約4万キロであることを独力で突き止めました。

三角形の基本は最先端のGPSでも全く変わらず、宇宙の衛星との位置関係を受信機が計算して導き出しています。GPSの信号には方角の情報が無いので、日本の直線だけでは候補地が2つできてしまいます。そこをカバーするため、3つの衛星の3つの距離を使います。地上と宇宙を繋ぐ巨大な三角錐を作ることで、現在の無数の機器が現在地を測れるのです。これは地球のみならず、宇宙の星々の距離を測るのも同じ原理です。

コンパスは分度器代わりにも使えるので、学校で習った三角関数、サイン、コサイン、タンジェントを応用すれば、自分の身長と歩幅を物差しにしてどんな状況でも測量が可能です。オートマッピングくらい付けろとごねている場合ではありません。地図が当たり前にあるという思い込みを捨てなければ、本当にサバイバルへ放り出されたときに脱出することは難しいでしょう。


《Skollfang》

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