ローグライクメカRPG『GearHead Caramel』―本作の世界は80年代と90年代のコミックとアニメから多大な影響を受けている【開発者インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ローグライクメカRPG『GearHead Caramel』―本作の世界は80年代と90年代のコミックとアニメから多大な影響を受けている【開発者インタビュー】

グラフィックはシンプルですが、作り込まれたローグライクRPGです。

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ローグライクメカRPG『GearHead Caramel』―本作の世界は80年代と90年代のコミックとアニメから多大な影響を受けている【開発者インタビュー】
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気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Joseph Hewitt氏開発、PC/Linux向けに7月22日にリリースされたローグライクメカRPG『GearHead Caramel』開発者へのミニインタビューをお届けします。

本作は、バイオモンスターや巨大なロボットが闊歩する世紀末な世界を、仲間と共に冒険するターン制のローグライクメカRPG。ロボットに搭乗して戦うこともあれば、生身でダンジョンを探索したり、交渉したりすることも可能です。記事執筆時点では日本語未対応。

『GearHead Caramel』は、1,010円で配信中


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?

Joseph Hewitt氏(以下Joseph) Joseph Hewittです。元々カナダ・ニューファンドランド島出身ですが、1998年から韓国に住んでいます。『GearHead』シリーズのメインデベロッパーを担当していますが、同時に英語の教授やカートゥーン製作者としても仕事をしています。

好きなゲームはたくさんあります。若い頃は『ウィザードリィ』シリーズ、『ゴールデンアックス』『Moria』が好きでした。アクションゲームは得意ではないので、RPGやストラテジーゲームをプレイすることが多いですね。テーブルトップゲームも好きで、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」「Battletech」「Warhammer 40,000」を遊んだりします。ロボットやゲーム関連のミニチュアを大量にコレクションしていますよ。

――本作の開発はなぜ始まったのですか?

Joseph本作は『GearHead』シリーズの3作目になります。一番最初の『GearHead Arena』は2002年にリリースされ、2作目の『GearHead 2』は2005年にリリースされました。その後、私の私生活で大きな変化が訪れ、なかなかゲーム開発に戻ることができませんでした。まずは息子が産まれ、忙しくなりました。次に、私のカートゥーンの仕事が成功したのです。家族を支えるため、私はカートゥーンの仕事により力を入れるようになりました。それでも、いつかは『GearHead』の世界に戻りたいとずっと夢見ていたのです。

本作において、プレイヤーのキャラクターはCavalierと呼ばれる、放浪するメカパイロットです。世界は破滅的な核戦争から蘇ろうとしています。本作の中心となる問いは「あなたはどんな未来を作りたいか?」というものです。ある意味、本作は少し重苦しいものです。このポストアポカリプスの世界ではたくさんの悲惨なことが起きます。友人や仲間が死ぬこともあるでしょう。しかしある意味、本作は希望に満ちたゲームでもあります。プレイヤーのアクションで世界をより良い場所にできるのです。たとえ小さな行いでも、大きな結果につながるのです。

『GearHead』シリーズの開発をスタートさせたのは、韓国に引っ越したすぐ後になります。カナダにの友人たちに会えないのが寂しく、特に彼らと一緒にテーブルトップゲームを遊んだのが懐かしかったのです。

――本作の特徴を教えてください。

Joseph本作一番の特徴は、ランダムナレーションです。これはつまり、ストーリーがコンピュータによって変化されるのです。これにより、プレイするたびに異なるストーリーを楽しめます。これこそ『GearHead』シリーズの主な特徴の一つでもあります。『GearHead Arena』でこのテクニックが初めて成功したという人もいるようです。しかし、本作で使われるランダムナレーションは過去の作品よりも洗練されています。

ランダムナレーションを採用したいと思った理由は2つあります。1つは、ただこれが実現できるということを証明するためです。大学で英文学を勉強しているときに、このアイデアを思いつきました。2つ目の理由は、自分でも本作を遊びたいという思いからです。ランダムナレーションにより、自分で作ったもので驚くような体験が可能になるのです。

――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?

JosephRPGファンとメカファンに遊んでいただきたいですね。以前からの『GearHead』プレイヤーの方は良い想像力をお持ちで、フィクションの世界を楽しんでくれています。本作はシンプルな2Dグラフィックですので、ハイテクなグラフィックを求めている人には向かないと思います。しかし、本作は作り込まれた世界観と面白いイベントが盛りだくさんです。これにより、合う人にはとても面白いゲームになっていると思います。

本作は、私がプログラミングのほぼすべてを行い、アートも私がほぼすべて担当しています。これによりゲームの規模が制限されてしまっていると思う方もいるかもしれませんが、逆に自分1人で作ることで、本作にとって本当に大事なものを選び抜き、大事でないものは捨て去るということができているのです。本作は愛がたくさん詰め込まれた作品です。

――本作が影響を受けた作品はありますか?

Joseph本作の世界は80年代と90年代のコミックとアニメーションから多大な影響を受けています。私は子供の頃、「科学忍者隊ガッチャマン」と「トランスフォーマー」が大好きでした。コミックでは「Rom the Space Knight」「The Micronauts」(日本のおもちゃをベースとしたマーベルコミック)、「Mister Miracle」「リージョン・オブ・スーパーヒーローズ」「Atari Force」からもたくさんの影響を受けています。

当時、カナダでは日本のマンガやアニメを手に入れることが難しかったのですが、日本のおもちゃはたくさんありました。「超時空世紀オーガス」のアクションフィギュアを持っていましたし、「ゲッターロボ」「勇者ライディーン」、そして「太陽の牙ダグラム」のラウンドフェイサーやクラブガンナーも持っていたのです。これらのロボットの本当のストーリーはわからなかったので、自分でストーリーを想像して作っていました。このクリエイティビティが本作にも影響していると思います。

90年代になると、カナダでも日本のアニメが見られるようになってきました。そして私はたくさんの作品のファンになったのです。例えば、「機動戦士ガンダム」「機動警察パトレイバー」「バブルガムクライシス」「カウボーイビバップ」のような作品です。これらのアニメは本当にワクワクしましたね。当時カナダやアメリカではこのような作品は作られていませんでした。これらの作品のバトルシーンのエネルギーを本作にも取り入れようとしたのです。『GearHead』シリーズはターン制ですが、バトルは白熱したものになっています。

『GeadHead』シリーズに影響を与えたゲームですと、『Ancient Domains of Mystery』や『Moria』のようなローグライク、『ファイナルファンタジー』シリーズ、昔の『Fallout』シリーズ、そして『Mechforce』です。『Mechforce』とはボードゲーム「Battletech」の非公式なコンピュータ版です。今同じようなゲームを作ったら訴えられるでしょうね。しかし90年代は違いました。

私はこの作品を楽しみましたが、アメリカンスタイルの、鈍くて、ぎこちない歩くタンクは好きになれなかったのです。また、ただ戦いだけじゃなく、ロールプレイの要素もあったらいいなと思っていました。『GeadHead』では、メカの中だけじゃなく、メカの外でも面白いことがあるようにしています。

――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?

Joseph日本語対応予定はあります。『GearHead』シリーズのファンは日本にたくさんおり、彼らのサポートには大変感謝しています。本作の多言語化は、今までのシリーズのように簡単ではありません。

本作で新しく採用したランダムナレーションのテクニックの一つが、テキスト生成です。ゲーム中のセリフが事前に用意されたものではなく、コンピュータがそのシチュエーションに合わせて生成しているのです。日本のプログラマーと日本語の翻訳家と一緒に作業をする必要があるでしょう。

お手伝いに興味がある人は、『GearHead』ブログのコンタクトフォームからご連絡いただくか、Discordでご連絡ください。今は私の家族の助けを得て、部分的な韓国語対応を進める予定でして、これは本作の翻訳システムがどうなるか確かめるのが目的です。

――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?

Joseph新型コロナは本作の開発に確かに影響を与えました。過去2年間、ビデオ通話という形でクラスを教えています。これにより、自宅で本作の開発にかける時間も増えました。また、パンデミックによりコミックイベントに出席することができず、コミックでお金を得ることができなくなり、これにあまり時間を割かなくなりました。本作が経済的にも成功し、翻訳を手伝ってくれる人を雇えればいいと思っていますし、もっと本作の開発に時間を割ければいいと思っています。

――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?

Joseph過去作と同様、本作のプレイを配信するのも収益化するのも大丈夫です。配信者の方々はサポートさせていただきます。他の方が私の作ったゲームをプレイしている様子を見るのは好きですし、特に予想もしなかったシチュエーションを体験するところが大好きですね。もし事前に配信のことを教えていただければ、Twitterや私のブログで宣伝させていただきます。もし配信者の方で何か質問や本作の問題点などあれば、ご連絡ください。できる限り対応させていただきます。短くまとめると、配信は素晴らしいことです。

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

Joseph以前日本を訪れたときは、本当に楽しかったです。また行ければいいなと思っています。日本の友達にも会いたいです。日本の『GearHead』ファンの方々のサポートには感謝申し上げます。そしてまだファンでない方々は、自分に合いそうだと思っていただけたのなら、ぜひプレイしてみてください。最後に、日本のすべての人に、お好み焼きへの感謝を申し上げます。

――ありがとうございました。

◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後インディーデベロッパーメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。


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