あまりにまぶしいオタクカルチャーへの憧れ―メイド喫茶の店主として新しい人生を送る『電気街の喫茶店』は傑作の予感【BitSummit X-Roads】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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あまりにまぶしいオタクカルチャーへの憧れ―メイド喫茶の店主として新しい人生を送る『電気街の喫茶店』は傑作の予感【BitSummit X-Roads】

Bittsummit2022に出展されていたメイド喫茶のゲームには、日本で育った中国のクリエイターならではの日本文化へのきらめきが凝縮されている。

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あまりにまぶしいオタクカルチャーへの憧れ―メイド喫茶の店主として新しい人生を送る『電気街の喫茶店』は傑作の予感【BitSummit X-Roads】
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ひさしぶりの一般開催となったBitSummit X-Roadsを歩いていると、巨大なバナースタンド一面にきわどい水着の女の子が描いてあるブース『電気街の喫茶店』(Maid Cafe at Electric Street)を発見。まさかひさしぶりの開催で開放的になりすぎて大人向けのゲームまで出展されてしまったのか?! と思い、つい試遊してみたのですがそんなわけなく(当然である)、中身は落ち着いたメイド喫茶を舞台にしたADV&シミュレーションゲームでした。

しかし……実際に遊んでみるといろんな気持ちが急降下や急上昇を繰り返す内容となっており、水着の女の子への気持ちと別の感情が湧き上がる、傑作の予感をもたらすゲームなのだとわかりました。

超過労働まみれで人間の権利も奪われていた主人公がメイド喫茶に転職

さて、まず「水着の子はすぐに出るのかな、暑い夏だし涼しい展開にならないかな」というしょうもない心でプレイをスタートしましたが、いきなり描かれるのは狭苦しいオフィスで従業員全員が上司への殺意を抱きながら何もできず激務する状況でした。いきなり気分が急降下する展開に戸惑いを隠せません。

主人公は上司に数字で呼ばれており、選択肢を見るに明らかに心に限界がきている様子です。もう終わりだ! 転職するしかねえ! と怒りを爆発させた主人公は上司を怒鳴りつけて退職を宣言。オフィスの同僚たちはその姿に拍手喝采しています。いや他のみんなも直ちに労基に相談しろ! ユニオンを組んで会社と交渉しろ! ……と思わなくもないのですがそういうゲームではないので妄想はここまでにします。

主人公は勢いあまって退職したわけで、もちろん次の職場は決まっておらず、いきなり完全な無職に。さあこれからどうするんだ……という不安で心が支配されていきました。

その一方で「もう毎日終電まで残業しなくていい、無職になった瞬間の世界はこんなにも美しいんだ……」と感じさせるのが、精微に描かれたピクセルアートの数々です。日本橋を舞台にアニメやゲーム、映画といったカルチャーが敷き詰められた街がみずみずしく描かれているのです。

本作はUnityで作られており、単にピクセルアートを実装するだけではなく特殊なシェーダーも実装することで、他の似たタイトルとは違うオリジナルの表現を実現しているとのこと。日本のサブカルチャーがすごいきらめきを持って描かれているように映るのは、どうも単に職を捨てて自由になったせいだけじゃないのでした。

さてそんな美しいカルチャーの街を歩いている間に、ふらっと主人公はとあるメイド喫茶へ。ところがガラガラでさびれた店で、ひとりのメイドさんがこまっている様子でした。メイドさんの名前はシロ。このタイトルのヒロインです(冒頭の水着の子も彼女)。彼女にお話を聞くと、どうやら店長がいない様子です。主人公は話を聞いているうちに、なんといきなり店長として働くことになるのでした――。

さあメイド喫茶の店長になり、お店を再生させよう!

新たに店長となった主人公は、まずお店のメイドさんを増やすためにシロと一緒に街へでかけます。メイドさん候補にはゴスロリの子や、まさかのギャルなどが見当たり、主人公はシロとふたりで時にはギャルをストーキングしてみたり、あの手この手を駆使して勧誘を試みるのでした。

こうして主人公はメイドを集め、本格的に店を運営していくことに。お店パートではメイドとしてどのキャラクターに接客をおまかせするかを決めることができ、その後で自動で営業していく流れとなります。一部では『VA-11 Hall-A』や『コーヒートーク』のようなドリンクを作るというパートもあるのですが、開発者の方に話を伺う限りどちらかといえばカフェを運営するシミュレーションの要素が強くなるとのことでした。

中国のクリエイターが日本のカルチャーに向けた思い

さて、メイド喫茶を運営するゲームプレイと、街を探索するADVの要素が混ざった本作なのですが、本作を遊んでいてもっとも強く感じるのは途中にも描いたように日本のサブカルチャー全体に対する、なにか憧れやきらめきのような感情が強く反映されていることでした。

これまでもアニメやゲームやアイドルといったオタクカルチャーを描いたゲームは数多く存在してきましたが、ここまでの美しさを持って描かれたのは珍しいかもしれません。そんな描写の理由を明かすべく、本作のクリエイターである劉博文さんにお話をうかがうと、「もともと日本育ちの中国人なんです」とのことでした。

そんな劉さんは11歳の時に中国へと住まいを変え、大学まで暮らしたそうです。その間、子どものころに過ごした日本の文化や風景への思いは強くなっていき、その思いが『電気街の喫茶店』にて結実したとのこと。

ちなみに舞台が日本橋になった理由には、「オタクの街といえば秋葉原だけど、多くの作品が描いていたからちょっと変えることにした」そうです。それはかなり効果的だったと思われ、街の風景には色々なカルチャーが密集する区画と情緒あふれる風景の二つが同居しており、日本への憧れを描く風景として鮮やかなものがあります。

『電気街の喫茶店』は現在開発中。Steamにてストアページが用意されています。ちなみに、本編のシロのスタイルはここまでのスクショのように控えめで、会場にも展示されていた水着のシロは店長である主人公がPhotoshopで胸を盛っているのかもしれません……。


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《葛西 祝》

ジャンル複合ライティング 葛西 祝

ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、現代美術や格闘技などなどを横断したテキストをさまざまなメディアで企画・執筆。Game*SparkやInsideでは、シリアスなインタビューからIQを捨てたようなバカ企画まで横断した記事を制作している。

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