最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は、パブリッシャーPrime Matter/開発GoldKnightsより、2022年10月13日にPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに正式リリースされたソウルライク アクションRPG『The Last Oricru』のプレイレポをお届けします。
『The Last Oricru』とは
本作は、プレイヤーの選択で物語が変化する、ストーリーに重点を置いたソウルライクなアクションRPGです。中世とSFの世界観がミックスした惑星で目が覚めた主人公が、2種族間の争いに巻き込まれながらも惑星からの脱出を目指していきます。
どちらの種族に協力するか、裏切るか、など選択によって各勢力からの評判が変化し、展開するストーリーが変わっていきます。ゲームプレイはいわゆるソウルシリーズの様な重厚アクションとレベリングシステムを採用しています。
また、アクションは苦手だけどストーリーを楽しみたい!といったプレイヤー向けに優しい難易度も用意されているので、さほど苦戦することなく物語を楽しめます。協力プレイにも対応しており、画面分割とフレンドとのオンラインプレイが可能です。協力プレイ限定の呪文や、1人がダウンしても仲間の手を借りてその場で復活できるのも協力ならではとなっています。
『The Last Oricru』の実内容に迫る!
本作は、2つの種族「人型のナボル」と「ネズミのラットキン」による争いが続く惑星「ワルデニア」を舞台に、冷凍睡眠から目覚めた350歳の主人公「シルバー」が惑星からの脱出を目指します。ゲームスタート直後、現実か夢なのか冷凍睡眠から目覚めるも異世界人に殺されてしまいます。
すると「宇宙船」という名のAIによってリブートされる主人公。バーチャル空間でのチュートリアルが始まります。トレーニングではバトルの基本操作を学び、サクッと終わらせると神殿らしき建物内で目覚めます。
周りには巨大ネズミが床掃除の真っ最中。窓際にいる「マルティス総主教」から状況を簡略的に伝えられ、光るベルトの能力により不死でいれることと、先ずは訓練をしてこいと催促されます。総主教の召使であるネズミに案内され訓練所へ向かっていると、道中同じベルトをした人間に遭遇。どうやらプレイヤー以外にも複数人同じ能力と目的を持った人達が集まっている様です。
軽く挨拶を終えて、トレーナー「トビアス」の稽古場へ向かいます。トビアスの話を聞いていると、かなりのネズミ嫌いな様。稽古前に武器を調達して来いとのことで、武器庫へ向かうとラットキン族の「ゴック」から装備品と「トビアス」に対しての悪評を聞かされます。
武器を調達して稽古を申し込むと、稽古相手は台所で盗みを働いたネズミの処刑を任されますが、どうするかはプレイヤーの返答次第。本作では会話の中で回答を選択する機会が度々あり、その選択次第で起こるイベントやエンディングが変化します。最初の質問では戦う相手が若干変化する程度ですが、選択によるその後の変化は大小様々です。
「稽古する」を選択するとそのまま悪事を働いたネズミの処刑となり、拒否すると更に重い犯罪を重ねたネズミが登場します。実際のところ、台所で盗みを働いたネズミを処刑しても、稽古の流れで重い犯罪をしたネズミと戦うことになります。ただし、返答の選択次第でプレイヤーに対する評判がそれぞれの種族で変化します。
必ず戦うことになる重犯罪者のネズミは防具も装備しており、防御されている間はあまりダメージを与えることはできません。ただ、本作では敵がアクションを起こす際の事前動作が分かり易いので、ソウルライクに慣れたプレイヤーならヒットアンドアウェイで比較的楽に倒せることでしょう。
もちろん逃げるだけでなく、素早く敵の後ろを周って攻撃も可能。ただ「バックスタッブ」はありません。もし、アクションが苦手で倒されてしまっても、より簡単なストーリーモードに切り替えられます。
ネズミを倒すと、本番の稽古をするのに武器を変えて来いとトビアスに言われ、再度武器庫管理のネズミ「ゴック」のところへ。すると既に同族を殺したことが伝えられており、この人間もナボル種族の「トビアス」と同類かと冷遇されます。
装備を受け取ったあと、再度話しかけてみると汚名返上の為に手助けするかどうかの選択が可能に。「支援」を選択すると、仲間の治療に必要な医療品を探してくるよう頼まれます。
ノベルゲーム的、選択システムで物語が変化
本作のイベントとプレイヤーに対する評価の分岐要素は主に2種類です。ひとつは、最初の軽犯罪を犯したネズミを処刑するかどうかといった「回答を選択するだけで評判が変化」する分岐要素。
ふたつ目は「頼まれた依頼の完遂又は放棄」により、その後の展開が変化していきます。依頼されたクエストが、どの地点までに完了しないといけないかは表示されない為、新たなイベントが始まると未達の依頼は放棄扱いになり評判が下がります。このチュートリアルにあたる神殿のステージからも、選択や依頼の達成の有無によるイベントの変化が見て取れます。
このステージでは、神殿が建てられている小さな島からの脱出が目的。本番の稽古後、直ぐにイベントが起き、ナボル種族の「女王ハドリアーナ」が「マルティス総主教」の暗躍の噂を聞き調査しにやってきます。そこでも違法な武器を隠す依頼もあり、調査員に見つからない様に隠すといった簡単なステルスミッションもこなします。
武器を隠す前に見つかってしまうと、引きずられながら女王の前に連れて行かれ、そのまま牢屋行きですが成功していると少し違った展開に……。
違法な武器を隠し倉庫に持って行った場合は、女王に呼ばれるもののぞんざいな扱いは受けず、何か隠し事はないか訊かれます。正直に話した際とそうでない場合でその後の対応と評価ポイントが変化。
ただ、どちらにしても最終的にラットキン族がタイミングよく紛争をはじめることに変わりありません。
もし、ネズミ「ゴック」に頼まれた治療薬のクエストを完了していた場合は、脱獄後に神殿内で再会するゴックに感謝され、神殿内のラットキンは攻撃してこなくなります。
また、トレーナーのトビアスが生きていた場合は、ゴックから殺害依頼をされ、引き受けてその依頼を完了すると、ネズミ達と共に島を脱出し戦場へ向かいます。
この様に選択や依頼された任務の達成次第でストーリーに変化はありますが、実際のところ冒険する世界はオープンワールドではなく、脇道はあれど後戻りできない1本道になっているので世界を探索する自由度はあまりありません。
また、一度どちらかの種族が見方扱いになったエリアは、味方の種族に攻撃できなくなるため、味方に見せかけて密かに暗殺するといった裏切り行為が不可能なのは残念な点です。両方の種族から嫌われている場合のみ、どちらの種族にも攻撃できるようになります。
残念ながら裏切り行為ができるのは会話内での選択か依頼の内容次第。ノベルゲームの様に選ぶ回答で、相手の反応や配置される敵などが変化していきます。そのため基本的にレールから外れる事なくストーリーが進行。あまり自由はないものの、その分それぞの会話や変化するイベントが丁寧に作られており、正にストーリーに重点を置いたアクションRPGといった印象です。
最大の敵は、常に乗馬している様な視点の上下運動……
本作をプレイして直ぐに気づく違和感。それはキャラクターを動かすと小刻みに画面が揺れてしまいます。正直3D酔いを経験したことがない筆者ですら、なんだか嫌な感覚を覚えるほどに不快感をプレイヤー自身に与えてくるのがゲームとして致命的です。
頭に視点の移動の起点があるためかは定かではありませんが、アイテムを取るだけでも揺れます。ロックした敵が近くに寄って来ると強制的に若干下を向くのも少し戦い辛いです。プレイキャラクターに近いためか、揺れを大きく感じる原因になっています。
それを変更しようとオプションメニューを開いても、視点変更や揺れの制御、更にキーコンフィグといったアクションゲームには必須と思える機能が全く備わっていないため、対処は「慣れ」しかありません。これは出来るだけ早く修正して欲しい点です。
アクションや装備のカスタマイズ性は思いの外ない
本作では、メインアクションとサブアクションが左右の武器又は防具で発動可能です。ただし、使える魔法やスキルは装備品に特性として付いているため、特定のスキルを使用する為には決まった装備品を身につける必要があり、自由なカスタマイズの足枷となっています。
大抵の場合は、武器ならメインアクションで攻撃、サブで攻撃魔法や支援魔法。防具は、メインが防御、サブでパリィや回復魔法といった具合です。装備品のアップグレードも可能ですが、スキルや魔法の付与はできません。そのため、決まった装備になりがちで、せっかく丁寧に作られたアイテムの数々を身に付けることなく解体し素材として使うだけとなっているのが残念です。
戦闘におけるアクション面は、敵の事前動作が大きいので攻撃が避けやすく、ヒットアンドアウェイで雑魚もボスも対処可能なため手応えはあまり感じません。ソウルシリーズの様な難易度とアクション要素、快適な操作を期待すると肩透かしをくらいます。
また、本作では画面分割による協力プレイと、フレンドとのオンラインプレイに対応しています。協力プレイでは、体力がゼロになっても仲間が生きていればその場で復活可能です。
レベルはメインキャラクターと同レベルまで上げることができます。ただし、インベントリーアイテムは共有となっており、同時に同じアイテムを装備することはできません。他にも協力プレイならではの要素はある様ですが、画面分割で右手でコントローラー、左手でキーボードと1人で2キャラクターの協力プレイを試みていたため、直ぐ限界に達しました……。
ここまで紹介してきた『The Last Oricru』ですが、グラフィックや世界観、変化する数々のイベントなどが充実しており、ノベルゲームの様なストーリー重視のアクションRPGです。
ただ、視点や操作、キーコンフィグなど基本的な部分があまり良くない点が実際のゲームプレイにマイナスの影響を与えています。アクションゲームとして見ても敵の動きが単調なため、個人的には駆け引きや達成感をあまり感じませんでした。しかしながら、何だかんだと先のストーリー見たさで、プレイしていられるのでストーリー重視のゲーム好きにはオススメ!?できるかもしれません。
今後のアップデートで視点関連やキーコンフィグなどが基本的な部分が改善されればと思います。シリアスな物語とソウルライク好きは……どうでしょうか!
※UPDATE(2022/10/23 15:50):本文中誤字を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございます。
対応機種:PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S
記事におけるプレイ機種: PC(Steam)
発売日: 2022/10/13
記事執筆時の著者プレイ時間: 4時間
価格: 5,500 円