
日々沢山の新規タイトルが追加、販売されるSteamですが、その内容は正に玉石混淆です。リリースされたゲームを一覧で眺めて、未だ日の目を見ない名作を探すのもPCゲーマーの醍醐味と言えるでしょう。編集部ではそんなリリースタイトルの中に6,500円という強気な値段設定で、お世辞にもクオリティが高いとは言えないゲームが並んでいるところを発見。今回は、その実態を少し掘り下げてみたいと思います。
問題のタイトルは『Special training camp』『Sharpshooter』『lianliankan』『5SPOTS』『Kotori』『pata』の6つ。『pata』を除いた5タイトルはほぼ同時にリリースされていることが、リリース順検索での並びやSteamDBでの記録から確認できます。また、『pata』についても他の5タイトルとそれほど間が開いているわけではありません。
これらのタイトルには発売時期、値段以外にも、『Kotori』を除いて開発者及びパブリッシャー表記がゲーム名と同じになっていたり、『Kotori』と『5SPOTS』では直撮りの紹介映像が用いられ、環境音等から同じ場所で録画したであろうことも察せられるなど、共通点が多く存在しています。また、それ以外のタイトルでは言語が簡体中国語のみに統一されています。

SteamDBにて他国での価格設定についても確認したところ、各国間で値段に変動はありますが、変動率自体は『スカイリム』等人気ゲームとそれほど変わらない様子。米国価格なら日本より25%も高い約8,100円となっていました。同様にSteamDBでストアの変更履歴に注目すると、やはりこれらの作品は同時期にストア登録や発売日の変更が行われており、タイトル間に関係がある可能性はかなり高そうです。
ここで気になるのが、唯一ゲーム名と開発元が一致していない『Kotori』です。こちらの開発及びパブリッシャーとして登録されているDD GAMEは過去にもゲームをリリースしている様子で、しかも今回発売されたタイトルに比べれば、随分とクオリティに見合った値段設定となっています。
しかしそれでも販売は成功したとは言い難く、返金を示唆するなど酷評するレビューや、そもそもレビューもほとんどつかない状況でした。残念ながら今回の他タイトルとDD GAMEとの関連を示す情報は得られませんでしたが、過去作でも直撮りによる紹介映像を利用している作品があるなど、やはり関係を強く感じさせます。

色々と外野で意見してみてもしょうがないですし、百聞は一見に如かず。人柱ならぬスパ柱ということで、少しばかり作品を触ってみました。まず、ここまで一番多くの手掛かりを提供してくれた『Kotori』に手を付けたのですが、まさかのBGMだけが悲しく鳴り響くのみでまともに起動せず、プレイを断念せざるを得ませんでした。
その他5作品については起動はするものの、UIから不親切でとても6,500円の価値があるとは言い難いクオリティ。ゲーム性もスマホ向け広告で見たことがあるような物から、インベーダーゲームそのままの物、単なる間違い探しを延々とさせられるものと、無料ゲームの方が余程よくできていると評さざるを得ないものばかりでした。



これらのゲームはいずれ削除されていくものと思われますが、Steamへのゲームリリース審査には、未だ改善の余地が残されていると言えるでしょう。虚無を感じて間違い探しを続ける可哀そうなスパ柱がこれ以上生まれず、そして適切な努力を行った開発者が適切に報われ、暗黒面へ堕ちることの無いようなシステムとなることを願うばかりです。
※UPDATE(2022/12/15 19:45):本文中の単語の誤用を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございます。