『アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝』黄金伝説は実在した!スペインに略奪された本当の「黄金の男」【ゲームで世界を観る#35】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝』黄金伝説は実在した!スペインに略奪された本当の「黄金の男」【ゲームで世界を観る#35】

「黄金郷」は人々の欲望が生み出した幻でした。

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『アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝』黄金伝説は実在した!スペインに略奪された本当の「黄金の男」【ゲームで世界を観る#35】
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年末年始は名作アクション映画の時節、ということで今回はPlayStationコンソールを代表するアクションアドベンチャーのシリーズ第1作『アンチャーテッド エルドラドの秘宝』 を取り上げます。

南米の奥深くにあるとされる、黄金の財宝に満たされているという場所、「エル・ドラド」。未踏の地を目指す大航海時代に生まれたその伝説は、現在もトレジャーハンターの夢として語り継がれています。劇中では黄金伝説のエル・ドラドが「黄金郷」ではなく「黄金の男」であることを突き止めました。

エル・ドラドとはスペイン語で「El Dorado」、その言葉自体では「黄金の~」だけを表し、それが何を指すのかは文脈によって変わります。多くの場合はある特定の人物です。一般的にエル・ドラドは黄金の溢れる「場所」として伝わっていますが、その起源を辿ると、実は「黄金の男」が先だったことが分かっています。

15世紀以降海洋進出を進めたスペインは、ポルトガルと交わした1494年のトルデシリャス条約により、金銀の確保を目指して南米の征服を推し進めます。征服者(コンキスタドール)は南米の国々に武力を以て侵攻、1533年にインカ帝国(タワンティン・スウユ)を制圧して、皇帝を人質に黄金を集めさせるなど略奪を行います。

コンキスタドールのひとりゴンサロ・ヒメネス・デ・ケサダは1536年、率いる約1000人規模の探検隊が探索に向かいました。ジャングルの厳しい環境によって飢餓や疫病に見舞われ、目的地に到着するまでにその大半が命を落とします。その途中、彼らはある噂を聞きつけました。現在のコロンビア高原に全身に金箔を塗った部族の王、つまり黄金の男=「エル・ドラド」がいるというものです。

成果を上げるチャンスと見たゴンサロは目的地を変更、崩壊寸前まで追い込まれながらも、一行はその場所へなんとか辿り着きました。その結果……確かに「黄金の男」は存在していたのです。

コロンビア高原には先住民のムイスカ族が住んでおり、複数の国がまとまった「ムイスカ連邦」を築いていました。彼らは地元の黄金やエメラルドを神への供物として扱っており、グアタビータ湖に投げ入れる儀式を行いました(中南米では地下や水中が神のいる場所とされている)。その一環として、一族の首長達が全身に金粉を塗って池の中に入ります。これこそが「黄金の男」=エル・ドラドの由来となったものでした。『Sid Meier’s Civilization VI』にも都市国家フンザとして登場します。

彼らの宮殿には黄金郷と呼んでも良いほどの黄金と宝石の装飾品で溢れ、細工技術も洗練されていました。ヒメネス隊はそれらを略奪、聖地であるグアダビータ湖からも供物を引き上げました。ムイスカ連邦の国々も武力制圧して、先住民の血と引き換えに「宝の山」を手にしました。そのまま拠点を構えて新たに都市を築いたのが、現在のコロンビア国の発祥です。

“ヒメネス隊が秘境探検で莫大な富を手にした”。その報告は、伝説を追い求める大航海時代の人々に大きな衝撃を与えました。彼らが命がけで未踏の地へ挑むのは「プレスター・ジョン」や「黄金の国ジパング」といった伝説を証明し、莫大な富を持ち帰るという夢があるからです。それが実際にあったとなると、まだまだ他にもあるかもしれないという熱を帯びてきます。そんな期待から実際に発見された「黄金の男」から、まだ見つかっていない「黄金郷」へとエル・ドラドの意味が移っていきました。

1541年、ゴンサロ・ピサロ(フランシスコ・ピサロの異母弟)は探検隊を率いて、そんな第2の黄金郷捜しに出発しました。隊にはスペインの武装兵約300人と、荷運びに現地徴発した先住民約4000人を伴い、アマゾンの奥地へと分け入ります。

彼らは黄金と同時に香辛料の産地も求めていたものの、結局どちらも見つけられずに隊は壊滅。彼らが聞いた「アマゾネス」の話から、その一帯が「アマゾン」と名付けられました。その後も続く探検隊が征服と壊滅を繰り返し、その中で見聞きした噂とヒメネス隊の話が膨らんでいった結果、アマゾンの奥地にある黄金郷エル・ドラドのイメージが形成されたのです。

スペインが収奪した黄金や宝石の多くがヨーロッパに持ち出され、一部は形を変えて再利用されました。中でも有名なのがメトロポリタン美術館所蔵「アンデスの王冠」で、ちりばめられたエメラルドの中で一番大きい粒は、ピサロがインカ帝国皇帝アタワルパから奪った「アタワルパ・エメラルド」と呼ばれます。こうした文化財は欧州の博物館に収蔵され、現地の要請にも関わらず返還はあまり進んでいないのが現状です。

中南米の植民地化でこのまま覇権を握るかと思われていたスペインでしたが、そこに立ちはだかったのがイングランドです。スペインの弱体化を図るため、英国政府が略奪行為の許可を出す私掠免許を大量に発行し、植民地から本国へ輸送数船を海賊に襲わせました。この海賊の中から頭角を現したのが、我らがネイサンのご先祖様、フランシス・ドレイクその人でありました。

平民と呼ばれた彼が如何にして成り上がり、両国のパワーバランスを覆す「アルマダの海戦」を戦ったのか?その活躍と顛末は次回にて。


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