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Game*Sparkレビュー:『Redfall』鳴り物入りで登場した本作の真価は“口惜しい”の一語に尽きる

なにかといろいろ言ってしまいたくなる『Redfall』。本稿では誠意をもってレビューを試みたいと思います。

連載・特集 Game*Sparkレビュー
Game*Sparkレビュー:『Redfall』鳴り物入りで登場した本作の真価は“口惜しい”の一語に尽きる
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公式ローンチトレーラー(日本語対応)

口惜しい――Arkane Austinの最新作『Redfall』をプレイし終えた筆者の頭に過ったのは、このようなネガティブな印象でした。その口惜しさの正体とは「多様なアプローチや豊富なロア」など、ポテンシャルを持ちながらも充分に発揮できていない部分、幾多の不具合などなど……思うところは多数でした。そんな姿勢でレビューを執筆する運びとなっておりますので、本作の熱心なファンのみなさまとは、意見が異なるかもしれません。

本記事執筆においては2023年5月8日までのバージョンでプレイしています。プレイを重ねたことで見えてきた新たなポイントもあるため、同じく筆者が執筆した先行プレイレポートから評価が変わった点があることを、予めご了承ください。

また、今回はゼニマックス・アジア提供のメディア向けプレイ環境を使用していますが、ゲーム内容に差異はありません。これまでのレビューと同様、企業活動やユーザーコミュニティに影響を受けずに、ライターの価値観に基づいた評価を与えていきます。

筆者は基本的に、レビューにおいてはある程度不具合に目をつむります。なぜならば技術的な問題はアップデートで直る見込みがあり、発売直後のバグや不具合に重きを置き過ぎると、レビューが古びてしまうためです。しかし、そうは言っても看過できない問題をはらむのが本作なのです。見過ごすと誠意のないレビューになってしまう、このことから不具合についてもきちんと言及していきたいと思います。

筆者はPC(Steam)版を遊んでいて、マシンスペックは「CPU:第12世代Intel Core i7-12700・GPU:RTX 3070 VRAM8GB・メモリ:32GB」となっております。本作はメモリへの依存度が高く、メモリ以外は同スペックの友人(メモリ16GB)が動作設定で「中」スペック認定され、カクツキに見舞われています。筆者環境では「高」プリセットで快適なので、全体的に最適化不足な印象は否めないでしょう。

『Redfall』のストーリーライン

本作の舞台はマサチューセッツ州にあるとされる架空の街「レッドフォール」。吸血鬼に乗っ取られた街を救うために、4名からなる吸血神を倒すことがストーリー上の目的です。ただしストーリーよりゲームプレイに注目すべき作風となっているため、物語はあまり重要ではないでしょう。かつては賑わっていたダウンタウンや遊園地、海沿いの遊歩道などロケーションは豊富。また吸血鬼の配下に加わってしまった人間も敵対モブとして登場します。

『Redfall』のゲームプレイ

一部のセーフハウスの攻略。

メインミッションは、「セーフハウスミッション」と呼ばれるサイドミッションをクリアして手に入るドクロを所定数溜めて、ボスがいる世界に飛び込んで倒す、というフローを基本として進行します。ミッションのバリエーションはというと、物探しに東奔西走させられるものが多いです。

ステルスが有効な「ジェイコブ」をピックしてプレイ。

ゲーム開始時にピックするキャラクターによってゲームバランスが大きく変わるため、ピック次第では移動や戦闘に不満点や「納得のいかなさ」を感じるかもしれません。そのくらいアンバランスなキャラクター性能となっているといえるでしょう。

ロビー画面。

キャラ性能に大きな差があるため、ますます協力プレイしたいところですが、本作の協力プレイには“野良マッチング”がなく、“フレンド同士のロビーマッチング”に留まります。そのうえ進捗はホストのみ保存され、クライアントには保存されません。ゲーム内で招待するプレイヤーのSteamプロフィールが見られるので、野良マッチの実装も計画されていたのかもしれません。

「吸血鬼のネスト」では銃器が手に入る。

ボス戦のために鍛え直そうと別のメインミッションを選ぶ……といったプレイは、本作ではできず、フリーロームでアイテムを収集するしかありません。この仕様は“詰み”のように見えてしまいますが、そこで輝いてくるのが「吸血鬼のネスト」というダンジョンです。このダンジョンは近くにいる吸血鬼をパワーアップさせる仕組みがあるため、戦略のためにネストを潰すという攻略法も有効なのです。

豊富なようでいて実は数種類に留まる銃器。

最初こそバリエーション豊かに思えた武器ですが、プレイを重ねてみるとそれほど多いわけではありませんでした。同時に装備できる枠が3つしかないのは、オンライン協力プレイを想定したゲームデザインゆえなのかもしれませんが「ソロでも戦闘中にインベントリを開いても時間が止まらない」という仕様のため、窮屈さを感じます。そしてその設計は、難易度のむやみな上昇にも繋がっています。そのくらい、戦闘時の弾薬には貧するゲームです。しかしながら、弾薬に貧するデザインは「リソース管理の戦略性」という面白さに繋がっているとも言えます。

悩ましい不具合の数々

オンライン協力プレイはロビーにてマッチングするわけですが、切断されてしまうとロビーまで戻り、拠点まで帰されてしまいます。Co-op仲間のクライアントはミッション進捗が保存されない仕様のため、万が一の切断が非常に手痛いです。

岩場で震えまくりながらスタックする様子。

バグの中には「銃が撃てないバグ」という致命的なものも見られます。また、これは不具合でなく仕様ではありますが、店で武器を買うときはインベントリ操作時に出来る「Rキーで詳細を見る」という行動が取れません。よって、武器にサイレンサーが付いているかどうかは買うまでわからない……というバクチ要素となっており、店売りで安心して買えるのは杭を打ち込む「ステークランチャー」に敵を燃やせる「フレアガン」といったものに留まります。

店で見たい画面。

「字幕と音声が一致しない」という事態も珍しくありません。こうなってくると「発売日にゲームを買う意義」のようなものも薄れてしまいますが、良くも悪くもゲームパスというサービスがそれを救済しているともいえます。

『Redfall』の銃の撃ち心地や戦略性の高さは評価できる

倒すとレジェンダリを落とす「ルーク」

本作の戦闘における“銃の撃ち心地の良さ”は、まっすぐ褒められます。それに裏打ちされたミッションの多様な攻略法も良い点ですし、多数の敵をいなしたときの快楽は大きいです。戦闘は敵もこちらも1、2発もらうと死に瀕するバランスなので歯ごたえがあり、ハイスピードな戦いを楽しめます。

なんだかんだ嬉しいレジェンダリ。

弾薬のリソース管理はうまく機能していて、複数の銃を使い分ける理由になりますし、戦略性の幅が必然的に生まれることになります。この点は称賛できるポイントです。また、ボス戦にはギミックが用意されていて、集中力を要するバトルを味わえます。反面、ボス戦が進行しなくなるバグもあります。

また、協力プレイでミッションをクリアしたり蘇生されたりすると「深まる絆」要素が発現してランダム会話がアンロックされていきます。細かな要素ですが、Co-opシューターならではのシステムといえるでしょう。

ユニークな持ち味を活かすアップデートに期待

新しいことに挑戦している点は評価できる一方、それが成功しているかどうかは別問題です。不具合満載で「約9,700円」で販売するのは、買い手にとって非常に悩ましい問題をはらんでいます。ゲームパスで提供されてはいるものの、アップデートが約束されている以上、今はまだ“買いの時期ではない”といえるでしょう。

慎重なプレイも強気なプレイも受け入れてくれるポテンシャルを秘めているのだからこそ、その持ち味を活かすアップデートが訪れることを祈ります。長くプレイすれば愛着の湧くタイトルなので、ローンチ直後の問題を解消しながら進化していくことを期待します。

総評:★☆☆

良い点
・多様な攻略法を試せるゲームプレイの幅広さ
・心地の良い銃撃

悪い点
・看過できない数々の不具合
・ホストしか進捗が保存されない協力プレイ
・ルーターシューターとしては豊富といえない銃の種類

タイトル:Redfall
対応機種:Game Passを含むXbox Series X|S、PCおよびクラウド
発売日:2023年05月01日
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)(Steam
今回の記事執筆に限定したプレイ時間:36.5時間
価格:9,680円



《SHINJI-coo-K(池田伸次)》

FPSとADVを偏愛しつつネトゲにも造詣のあるフリーライター SHINJI-coo-K(池田伸次)

「Game*Spark」誌に寄稿しつつも「IGN JAPAN」誌と「GAMERS ZONE」誌にも寄稿。「インサイド」誌にも寄稿歴あり。今はなき「Alienware Zone」誌や「週刊Steam」誌にも寄稿していたフリーライター。 そしてヒップホップビートメイカー業も営む音楽家兼ゲームライターの兼業家。通称シンジ。

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