
先日、『アーマード・コア』シリーズへの独自の視点からの言及をきっかけに、多くの日本人から「ロボゲー・ロボアニメ詳しすぎな外国人」として知られるようになったオリー・バーダー氏。実は、氏はゲームやアニメを中心として日本サブカルを海外に長年伝えてきた記者であり、様々なタイトルにかかわってきたゲームクリエイターでした。
弊誌の取材に対して、そんな氏がこぼした最近の悩みと言えば「ロボゲーを作らせてくれるスタジオが見つからない!」ということなのだそう。そこで、本稿では、氏の文章を通じて、氏のもつ「ロボゲー・ロボアニメ」への視点や美学の一端をお伝えしていきたいと思います。
『第3次スーパーロボット大戦α』で、私は初めて「超獣機神ダンクーガ」を知りました。
『スーパーロボット大戦』シリーズは、ごく最近に至るまで、基本的に日本語版のみの展開でした。しかし、それでも私のようなファンにとっては大きな障害とはならず、言葉の壁があるにもかかわらず、ゲームを輸入して遊んでおりました。
私が初めてプレイした『スーパーロボット大戦』は、ゲームボーイ版の第1作です。というのも、幼い頃、両親から「テレビの画面が傷むから」という理由で、テレビに接続するタイプのゲーム機を買うことを許してもらえなかったためです(もちろん、テレビの画面が傷むというのは事実ではなかったのですが)。
その結果、私にとって初めて自分専用のゲーム機となったのがゲームボーイでした。そして、このゲーム機にはリージョン制限がないことをすぐに知りました。つまり、世界中のどこで購入したソフトでも問題なく動作したのです。
ゲームボーイで最初に輸入したのは『R-TYPE』で、その次が『バトルユニットZEOTH』でした。そして、その後に『スーパーロボット大戦』を手に入れました。
当時の私は主にアクションゲームを遊んでおり、パッケージのイラストやタイトルからも、きっとアクションゲームの一種だろうと思っていました。そのため、実際にゲームが届き、内容が本格的なシミュレーション(戦略)ゲームであることを知ったときは、大変驚きました。
しかも、難易度は非常に高く、さらに言葉の壁もあって、まともに進めることはほとんど不可能でした。それでも私はそのゲームを手放さず、ずっと手元に置いていました。そして、ずっと後になってから、ようやく一度クリアすることができましたが、その話はまた後ほど触れたいと思います。
ちなみに、そのゲームのソフトは今でも大切に保管しております。

『第3次スーパーロボット大戦α』がきっかけで変わった私の人生
それから長い年月が経ち、私はイギリスのエレクトロニック・アーツ(Electronic Arts)で認証テスターとして勤務しておりました。その前年には日本で英語教師をしており、帰国の際に日本仕様のPlayStation 2も持ち帰っていました。
もちろん、その頃も日本から定期的にゲームを輸入しており、NTSC-ukのような輸入ゲーム専門サイトや、英国のゲーム雑誌・新聞などでレビューも執筆しておりました。この時期の数年前、友人たちからセガサターン版の『スーパーロボット大戦F』および『スーパーロボット大戦F完結編』を私に勧めてくれたことがありました。しかし、子どもの頃にゲームボーイ版で大変苦労した記憶があったため、結局は自分で遊ぶことなく、彼らのプレイを横で見ているだけでした。
ところが、その状況が大きく変わったのが、PlayStation 2用ソフト『第3次スーパーロボット大戦α』の映像を目にしたときでした。
私はすぐに本作を輸入し、オンライン攻略ガイドを活用しながら複雑なメニューを一つひとつ理解していきました。そして、ついに問題なく遊べるようになったのです。
私が『第3次スーパーロボット大戦α』に強く惹きつけられた理由の一つは、その参戦作品の素晴らしさにありました。『電脳戦機バーチャロン』から「マクロスプラス」に至るまで実に豪華なラインナップで、さらに本作を通じて「超獣機神ダンクーガ」とも出会いました。今では「ダンクーガ」は私にとって生涯で最も好きなメカアニメのひとつとなっており、その証として数多くの超合金コレクションを所有しております。
また、戦闘アニメーションの完成度も驚異的でした。仕事が終わると、他のテスターたちが私のデスクの周りに集まり、私のプレイを見守っていました。そして、各メカが繰り出す迫力ある必殺技が決まるたびに、しばしば拍手が起こったことを今でもよく覚えています。
それ以降、私は完全に夢中になりました。『第3次スーパーロボット大戦α』を何度も最後までクリアしただけでなく、それ以前の作品にもさかのぼってプレイし、ゲームボーイ版の第1作も含めて一通り遊び尽くしました。
さらに、新作の発表にも常に注目し、発売されるたびに欠かさず輸入して丁寧にプレイするようになりました。
『スーパーロボット大戦V』がすべてを変えた瞬間
2016年当時、私は数年前に日本へ移住したばかりで、ちょうどForbesでの執筆を始めた頃でした。そんな中、『スーパーロボット大戦』シリーズ25周年を記念する大規模なコンサートに招待されました。
その会場で、私は初めてJAM Projectのライブパフォーマンスを拝見しました。まさに圧巻のステージでしたが、その日最大のニュースは別にありました。――最新作『スーパーロボット大戦V』、そして本作に英語ローカライズ版が収録されるという発表です。
これは本当に衝撃的な出来事でした。それまで英語で遊べた作品は、『スーパーロボット大戦OG』シリーズの一部に限られており、いわゆる本編(メインライン)作品が英語化されることは一度もなかったのです。
海外のファンの間では、複雑な版権問題がある以上、本編作品の海外展開は不可能だろうと半ば当然のように考えられていました。しかし、それがついに現実となったのです。
あの会場の客席に座りながら、子どもの頃から「いつか英語で遊びたい」と願い続けてきたシリーズが、ついに実現するのだと理解した瞬間の衝撃は、言葉では言い表せません。
また、海外ファンが戸惑うであろう点もすぐに思い浮かびました。それは『スーパーロボット大戦V』に「宇宙戦艦ヤマト2199」が参戦したことです。海外における「メカ」という定義は比較的厳格であるため、この作品の参戦は意外に映ったかもしれません。この話題については、また別の機会に詳しく触れたいと思います。
いずれにせよ、『スーパーロボット大戦V』以降の作品には公式の英語ローカライズが収録されるようになりました。ただし、一つだけ条件がありました。それらはアジア地域向けの発売であったため、引き続き輸入する必要があったのです。しかし、PlayStation 4やPlayStation Vitaはリージョンフリー仕様でしたので、大きな問題にはなりませんでした。
その後、スイッチ版が発売される頃には、私はForbesにてこれらの新作を継続的に取り上げ、レビューも執筆するようになっていました。
しかし、やがてこれらの作品がSteamを通じて国際的に配信されるようになり、状況はさらに大きく変わっていくことになります。
現在の海外における『スーパーロボット大戦』シリーズの状況
本稿執筆時点において、最新作『スーパーロボット大戦Y』はほぼ全世界で発売されており、英語にも完全対応しています。
私は現在、本作を5周目までプレイしており、いまだに全ユニットおよび全パイロットを徹底的に強化し、まさに手のつけられないほどの強さへと育成しているところです。
『スーパーロボット大戦』は、もはや一部の熱心な輸入ファンだけが知る作品ではありません。現在では海外でも大きな販売本数を記録する人気シリーズとなっています。
実際、『スーパーロボット大戦T』以降は、海外での売上が日本国内の売上を上回るようになりました。
私がこの状況を素晴らしいと感じる理由は、『スーパーロボット大戦』が今や世界中に向けてメカアニメ文化を紹介する“文化的な架け橋”のような存在になっているからです。
というのも、本シリーズは、これまで触れたことのなかった作品へとプレイヤーを導く優れた入口となっているからです。
たとえば、好きなガンダム作品の機体を使いたいという理由でゲームを購入した結果、まったく知らなかった別のシリーズに出会い、その作品のファンになる――そのような流れが自然に生まれています。
実際、私自身も「超獣機神ダンクーガ」や素晴らしい「勇者シリーズ」のファンになったのは、このシリーズがきっかけでした。ですから、海外における『スーパーロボット大戦』の人気拡大は、心から喜ばしいことだと感じております。
私のお気に入り『スーパーロボット大戦』作品

今回の締めくくりとして、少し趣向を変え、私個人のお気に入り『スーパーロボット大戦』作品をご紹介したいと思います。
これまで長年にわたり数多くの作品を楽しんできました。もちろん、最初のゲームボーイ版も含めて思い入れがありますが、その中でも特に印象深い作品を挙げさせていただきます。
まず第一に挙げたいのは、『第3次スーパーロボット大戦α』です。前述のとおり、参戦作品の豪華さや戦闘アニメーションの完成度は素晴らしく、物語も非常に魅力的でした。幼少期にゲームボーイ版で挫折した私が、本格的にシリーズへとのめり込むきっかけとなった作品でもあります。
次に特に楽しんだのは、『スーパーロボット大戦J』です。本作には、私が心から愛してやまない「蒼き流星SPTレイズナー」が参戦していました。その後、ニンテンドー3DSで発売された『スーパーロボット大戦UX』および『スーパーロボット大戦BX』も大いに堪能しました。これらをプレイするために、特別仕様の『スーパーロボット大戦』モデルのニンテンドー3DS本体まで購入したほどです。
特に3DS作品では、「機甲界ガリアン」の参戦が非常に嬉しく、さらに「巨神ゴーグ」のマノンさんがプレイアブルユニットとなったことには強い感動を覚えました。合体攻撃を繰り出すたびに、思わず涙してしまったことを今でも鮮明に覚えております。
近年の作品では、『スーパーロボット大戦T』がとりわけ印象深い一作です。私は本作を15周以上プレイしており、下記には11周目のプレイ動画もございます。参戦ラインナップの魅力はもちろんのこと、過去3作品から洗練・整理されたシステム面も完成度が高く、総合的に非常に優れた作品だと感じております。
また、「カウボーイビバップ」からスパイクがソードフィッシュIIで参戦したことも、私にとっては今なお特別な出来事です。もっとも、この参戦については海外ファンの間で戸惑いの声があるのも事実ですが。
なお、「海外において何が“メカ”あるいは“ロボット”と見なされるのか」というテーマにつきましては、次回のコラムにて改めて詳しく取り上げたいと思います。
オリー氏とともに「ロボゲー」を作ることに興味のあるスタジオや団体は、この記事の末尾にある氏のプロフィールから個別に問い合わせていただけますと幸いです。







