パブリッシャーCrytivoは、Square Glade Gamesが開発を手がけるサンドボックスサバイバル『Above Snakes』をPC(Steam)向けに2023年5月25日リリースしました。
本作は、架空の西部開拓時代を舞台にしたサバイバルゲーム。世界に落下した隕石の影響によって死体が蘇っている世界で、主人公のアイヤナが狩りや農業、釣りといったサバイバルを行いながら、この土地で起きる異変へと立ち向かっていきます。プレイヤー自身が世界をバイオームパネルで決めていくシステムが特徴的な作品です。
本稿では『Above Snakes』のプレイレポートをお届け。自分だけの世界をじっくりと作りながら遊べる、本作の魅力を紹介していきます。
一夜にして変貌した世界で生き残れ!
まず、本作の時代背景として入植者と先住民の間で争いが続いていた世界であることが語られます。しかし、争いが続く憎しみの時代でも両陣営に愛が生まれ、やがて一人の赤ん坊が生まれます。それが本作の主人公・アイヤナです。やがて成長したアイヤナは、自分の家系のルーツを知るべく旅に出るようになります。
とある夜、アイヤナの母親が住む町“コープスクリーク”に緑色に輝く隕石が落下したのです。この落下により多くの人が犠牲になったのですが、さらなる悲劇が続きます。なんと、犠牲者たちが蘇り始めたのです。こうして、突如として大きな異変が発生した世界で、アイヤナはお世話になっていた旅先の家で目を覚まします。
ここではまず、知人のアンからチュートリアルとして伐採や建築といったクラフト、食事や戦闘といったサバイバル、そしてマップの拡げ方などのゲームの基本を学ぶことになります。チュートリアルの操作説明はかなり丁寧に作られているので、ゲーム内の操作に迷うことはほぼないと思います。
そして、一通りの操作を覚えたところでアンから“コープスクリーク”で発生した異変の詳細を手紙で伝えられます。すでに町は滅び、かろうじて生き残った人々は荒野に逃げているというのです。アイヤナは生存者たちを訪ね、町に住んでいた母親の行方を、そしてこの世界に何が起こっているのかを調べることになるのです。
手元にあるのは、最初に建築した拠点と少しの素材が残っているのみ。サバイバルしながら世界を冒険していくアイヤナの物語が始まります。
飢えや乾き、正気度を保て!料理が便利なサバイバル
『Above Snakes』では、体力のほか飢え、乾き、正気度、疲労というステータスが用意されています。このあたりのステータスは比較的オーソドックスですが正気度は「倒したゾンビを調べる」アクションを行うときに大きく減少するので注意が必要です。正気度以外の各種ステータスは、基本的な作業中に少しずつ減少していきます。本作で重要な回復リソースは「料理」です。
料理はキャンプファイアで1つから3つまでの食材を入れて作り出します。料理は基本的に食材の持つ効果の足し算で、3つの食材を用意する場合は乾きを癒やす“水”を2つ、体力回復効果のある“バニラ”を1つ混ぜれば「乾きを大きく回復して体力も少し回復する料理」が完成します。さらに特定の組み合わせでは大きな効果を持つ専用の料理も作れますよ。
疲労と正気度は夜になってベッドで眠れば回復可能。料理の自由度を含めて各種ステータスの管理は比較的容易なため、飢えなどのサバイバル要素としてはそこまで厳しいものではありません。食材を含めたクラフト素材のリポップも早いため、1日を採集作業に充てれば数日は各種リソースを保てるイメージですね。
なお、エリアによっては寒さなどに対する温度対策が必要です。寒いエリアなどで凍えた場合はダメージを受けるだけでなく、手を使った行動ができなくなってしまうことも。寒さであれば装備品で補ったり、キャンプファイアを置いて火に当たったりなど、さまざまな方法で自分を守る必要があります。
もちろん危険なのはそれだけではなく、マップ上にはゾンビや野生生物が存在しています。ゾンビたちはマップによっては初期から登場するほか、夜になるとどこからともなく現れます。幸いゾンビの感知能力はそこまで極端に高くないため、気付かれないようにクラフトした装備品や飛び道具で先制して戦えばある程度は安全です。
採集や戦闘、釣りなど、この世界でアイテムを集める方法は多彩に用意されています。ただし、素材などはマップのバイオームで決まるので、世界を創造・冒険することが重要なのです。
パネルを選んで世界を自ら作り出せ!
本作で最もユニークなのシステムは「Creating World Pieces」と呼ばれる、マップをパネル形式で自分ではめていくもの。ゲーム内でひとつのバイオームは小さく、少し探索するだけであっという間にすべてを採集し尽くしてしまいます。そこで、プレイヤーはマップの端に「新しいマップ」を設置して世界を広げていくのです。
マップには草原や森、湖、凍結湖など多彩なバイオームがあり、ゲームの進行によってアンロックされていきます。また、ストーリーイベントが発生する特殊なパネルも用意されています。マップは専用の机で研究してアンロックする必要があるほか、置くためには各種作業でゲージを溜めなければなりません。
また、マップは各バイオームのパネルをはめ込んでいく方式なのですが「共通したバイオームで繋げなければならない」というルールがあります。草原からいきなり極寒の大地などの無理な地形はできないという事ですね。そのため、マップパネルには「森と草原」「森と雪の森」などの複合バイオームも登場し、より複雑な地形を作れるようになります。
このパネルシステムは、パズルゲームのように考えながら快適な世界を作るのが大切。水が欲しいから近場に湖を置くか、狩りのために森をたくさん配置するか、鉱石の掘れる貴重なエリアを優先するか……アイテムが必要ですが再配置もできるので、ゲームが進んでバイオームの選択肢が増えることで「自分なりの世界」を作るのに没頭してしまいます。
上述した「素材のリポップの早さ」も嬉しい部分で、考え抜いて作った世界は常にプレイヤーに豊かな恵みをもたらしてくれます。ストーリーの期限などもないため、気ままな採集生活を楽しんだり、大きな家を造ったり、狩りやゾンビハントに勤しんだり、遊び方は自由です。
ここまで紹介してきた『Above Snakes』。世界を作れるパネルシステムは比較的緩めなサバイバルの相性が良く、ゆったりと自分なりの生活を楽しむことができるゲームです。サバイバル系のゲームの醍醐味とも言える「新しい世界の発見と探検」というものを自分で形作れる体験は非常にユニークです。
とにかく「自分だけの世界を作る」というのが面白く、自分なりに納得するまで何度も何度もマップを作り直してしまいます。商人などの重要な拠点を近くに集めるような配置にするのも、人々の関係性を考えたような無理のない配置にするのも、どちらも正解です。『Above Snakes』の世界は遊ぶ人のものなのです。
ただし、ストーリーを進めないとマップ種類や素材が増えず、拠点の発展に限界が来てしまうという部分も。ストーリーもそこまで長くないため、マイペースな遊び方とゲームを進めるバランスを見極めるのも重要です。また、ゾンビも(そこまで)脅威で無いなど、ゲームの難易度自体は高くないため、本気のサバイバルを遊びたい人には向いていないかも知れません。
ゆるめのサバイバルと世界を作る喜びは相性抜群!ゆったり遊びたい人にぴったりスパ!
タイトル:Above Snakes
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2023年5月25日
記事執筆時の著者プレイ時間:11時間
価格:2,800円