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冥界を旅する黒猫の2D探索アクション『Crypt Custodian』プレイレポ―表情豊かで広大な世界、魅力的なキャラクター、戦闘がバランス良く融合した作品

頼もしいホウキを武器に、ゴーストたちに立ち向かえ。

連載・特集 プレイレポート

今回は、インディーデベロッパーKyle Thompsonが手掛ける『Crypt Custodian(クリプト カストディアン)』のプレイレポートをお届けします。

探索型アクション『Crypt Custodian』とは

本作は、探索型の2Dアクションアドベンチャー。死んでしまった黒猫の「プルート」は、とある事件をきっかけに冥界の宮殿外へ追い出されてしまいます。広大なダンジョンを冒険し、能力をアップグレードして悪いゴーストや巨大ボスと戦い、謎を解き明かして、再び宮殿へと戻ることが目標です。

特徴的なのは、手書き風でトゥーン調のキャラクターとビジュアル。主人公のプルートをはじめ、カエルのペブルや冥界のケンドラなど、かわいらしく愛着の湧くようなキャラクターがストーリーを盛り上げています。

また牧歌的な雰囲気とは裏腹に、どこか陰鬱で寂しさを感じるステージの数々がギャップを生み、本作独自の世界を作り上げているのも良かった点です。余談ですが、筆者個人としてはゲーム中に流れる浮遊感のあるアンビエント調のBGMが特に印象的で心に刺さり、ゲーム画面をボーっと眺めているだけでも大変満足できました。

戦闘やアクションは、シンプルな設計とスムースなモーションによって手触りはかなり良好でした。派手さはないものの爽快なバトルが楽しめます。スキルの獲得や能力のアップグレードなど自由に組み合わせて、様々なプレイスタイルを構築できるのも魅力的で、ゲームシステムもしっかりと作り込まれています。

操作、言語、難易度

操作はキーボード及びコントローラーに対応し、筆者はXboxコントローラーを使用しました。言語は、日本語字幕ありで特に問題なくプレイできます。他には、「やさしい」「ふつう」「むずかしい」の3段階から難易度が設定可能で、敵の反応スピードや攻撃パターンが変わってきます。

広大な「死後の世界」を探索

主人公の黒猫プルートは、気づくとなぜか全く知らない場所で目を覚まします。するとそばにいた「ピップ」がプルートを「宮殿」へと案内すると言います。「ここはどこ?」プルートは、突然の出来事に事態があまり飲み込めていません。

淡々と説明するピップによると、どうやら彼は死んでしまったようで、冥界の守護者「ケンドラ」に会わなければないとのこと。そこで審判を受け、“いい魂”なら宮殿内で祝福されながら暮らすことができ、“悪い魂”なら永遠に宮殿外で過ごすことになる、と告げられます。

宮殿へ行く前に少し探索してみましょう。周囲は大きな池に囲まれ、蓮の花が咲いていたり美しい風景が広がります。チュートリアルは簡素なもので、ジャンプしたりマップを開いたりできます。

奥へと進むと、「ホウキ」を発見。これがプレイヤーの頼れる相棒となります。武器を手にすると、つい試したくなるのが人情。近くにあった壺を攻撃してみます。しかし、この行為が大変な事態を招こうとは……

宮殿に着くと、冥界の守護者ケンドラがいました。ここでプルートの人生を振り返り、白か黒かを決めるそうです。

プルートは元々野良猫で、たくさん家族がいました。そして心優しいカップルに拾われ、幸せな日々を送っていたのですが……ある夜、街へ出たときに運悪く車に轢かれてしまったのです。なんとも悲劇的な人生にケンドラも同情したのか「いい魂」と判断され、祝福の宮殿内に送ってくれるようです。

めでたしめでたし、と思いきやなんだが雲行きがあやしい。ケンドラが難色を示していますが、一体何でしょうか……?

あぁっ!面白半分で像を壊してるとこ見られてる!……そうです、確かにやりました。ホウキを手に入れウッキウキでそこらにあるモノ破壊しまくっていました。言い訳するも、時すでに遅く……

なんと、この行為のせいでプルートは“悪い魂”に早変わり。罰として「宮殿の外」へ永遠に追放されてしまいました。しかも、冥界の清掃員として任命されます。

宮殿外の扉を抜けて、「泣いている廃墟」へと足を踏み入れます。ここから本格的なダンジョン探索が始まりますが、雨がしとしと降り続けるなんとも寂しい場所です。

ダンジョンはとても広大で、マップで現在位置を確認しながら進みます。拡大縮小やマーカの設置など、マップ機能はそれなりに充実しています。

各ステージにある「神殿」では、ゲームの保存とファストトラベル、装備の付け替えや能力アップグレード、HPが全回復するので積極的に活用しましょう。

ダンジョンには弓矢を撃ってくる遠距離型から近距離型の敵まで、さまざまな悪霊たちが徘徊していて気を抜けません。全員倒すことで新たな道が出現したり、経験値を得ることができます。

また、道中には「呪い」がかかってしまったり、敵をノーダメで倒すチャレンジや、彷徨う魂を解放するイベントなどさまざま謎とギミックが仕掛けてあり、探索を飽きさせない工夫が随所に見られます

そして落ちている鍵を見つければ、次のステージへと進めます。広大なダンジョン探索は戦闘、謎解き、アクションが見事に融合していて、とてもやりがいがある楽しい体験でした。

能力を強化し悪霊たちをやっつけろ

次にやって来たのは、“悪い魂”たちが集う憩いのスペース「罪人のバー」です。ここでは、支配人マラーから色々なものを購入できます。

例えば、周囲に回転するホウキを作り出すスペシャル攻撃「スーパーイップ」や、HP最大時に攻撃力が30%増加する「魂のサポート」など、ホウキを強化したり能力をアップグレードして戦闘を有利にすることができます。

カウンターの横にはジュークボックスがあり、ダンジョンに落ちている「ディスク」を発見して持ってくれば、報酬として実際にBGMとして流すことが可能です。こうした遊び心のある収集要素は、探索をさらに楽しくしてくれます。

通常攻撃を当てると、画面左上にある「勇気ゲージ」が満タンになりスペシャル攻撃が発動するしくみ。先ほど購入した「スーパーイップ」は、ホウキが回転して全方位に攻撃できる便利なワザで囲まれたときに重宝します。

プルートの能力は、神殿でのみアップグレード可能です。スペシャル攻撃と能力の組み合わせ方によって自分だけのプレイスタイルを構築できるので、いろいろと試してみるのもアリだと思います。ちなみに、筆者は移動速度が早くなる「素早いステップ」の装備をオススメします。

“弾幕地獄”のボス戦

順調にダンジョンの探索を進めて「真珠の神殿」にたどり着きました。中にはプルートと同様に清掃員として働く「ペプル」の姿が。彼女が言うには、この洞窟は世界一美しいカエル「パール」のための神殿だそう。

薄暗い洞窟内は、頭をひねったギミックや手強い悪霊たちがウヨウヨいます。

それらを乗り越え奥へと進んでいくと、あれ?ペプルが持っていたホウキが落ちています。彼女の姿は見えませんが……

先には、巨大ボス「クモがいっぱいの壺」が待ち構えていました。引き返せないので戦うしかありません。

初めてのボス戦でテンパってしまいますが、壺から大量にクモの子が飛び出て突進してきたり、トゲトゲの波状攻撃だったり、とにかく画面いっぱいの弾幕攻撃に苦戦し、何度もゲームオーバーに。

通常攻撃からのスペシャル攻撃でHPをチクチク削りつつ「弾幕の予兆があれば全力で逃げる」という作戦でなんとか体力の半分くらいまでは減らせるのですが、そこからフィニッシュまでがなかなか難しい。ボス戦開始から約1時間。そろそろ心が折れそうなので、もう1回だけやってダメなら止めよう……そう思っていました。

あ!そういやジャンプするの忘れてた。ここにきて自分が死にまくる原因が判明しました。そうです。地上からの攻撃はジャンプして回避すればいいだけで、無理に弾幕を見極める必要はなかったのでした。

これに気づいたおかげで、クモの子やトゲトゲ攻撃を難なく回避することができるようになり……

タイミングを見計らって攻撃を加え、徐々に追い詰めていきます。そして、ついにフィニッシュ!初めてのボス戦を制しました。

壺の中身の正体はなんとペプル。彼女は洞窟内を掃除しながら、宮殿内にある「クリスタルミラー」という特別な鏡を探していました。鏡の中へ入ると、別の世界へいくことができるそうで、ここから抜け出すきっかけになるかもしれません。

ちなみに、撃破したボスと何度でも再戦できる「ボスラッシュモード」が搭載されているので、腕に自身があるプレイヤーはぜひ挑戦してみてください。


本作は、かわいらしくポップなキャラクターたちと物憂げな世界観、広大なダンジョン探索と爽快なアクション、シンプルで奥深い戦闘システムの融合がバランス良く、ライトユーザーからコアゲーマーまで幅広く楽しむことができる万人向けの作品だと感じました。

  • タイトル:『Crypt Custodian』

  • 対応機種:Steam/PS5/PS4/ニンテンドースイッチ

  • 記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)

  • 発売日:2024年8月27日

  • 著者プレイ時間:4時間

  • 価格:2,860円(9月11日まで15%オフの2,431円)
    ※製品情報は記事執筆時点のもの


スパ君のひとこと



トゥーン調の世界観が最高に癒やされる!戦闘も探索もバランス良く楽しめたスパ!




《DOOMKID》

心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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  • スパくんのお友達 2024-09-01 8:14:41
    なぜか羊が主人公のゲームを思い出した
    7 Good
    返信
    2件の返信を表示 返信を非表示
  • スパくんのお友達 2024-09-01 3:59:35
    買ってた
    5 Good
    返信

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